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2022年杉並区議会第一回定例会予算特別委員会意見開陳(富田たく) |
日本共産党杉並区議団を代表しまして、令和4年度杉並区各会計予算と付託議案に対する意見を申し述べます。 新型コロナウイルスのパンデミックが、私たちの社会に大きな影響を与えるようになって2年以上が経ちました。コロナ禍のもとで、パートやアルバイト、契約社員など立場の弱い方や様々な業種の中小業者への影響が未だに続いています。 こうした時だからこそ、杉並区の来年度予算は、新型コロナ感染拡大による様々な負の影響から、区民のいのちと暮らし、営業を守り、福祉を拡充することが求められています。 わが党区議団は、こうした観点とともに、これまでの区長の区政運営を振り返りつつ、分析し審査を行ってきた結果、今回の予算案は、住民福祉の向上という自治体責務が果たされておらず、田中区長の3期12年の区政運営の問題点が、より顕著に示されたものと指摘するものです。 よって、 議案第17号 令和4年度杉並区一般会計予算、 第18号 令和4年度杉並区国民健康保険事業会計予算 第19号 令和4年度杉並区介護保険事業会計予算 第20号 令和4年度杉並区後期高齢者医療事業会計予算 について、反対いたします。 以下、その主な理由及び、問題点について述べます。 ◆国民健康保険料について まず第1に、来年度も一人あたり5,512円の値上げとなる国民健康保険料が提案されていることです。田中区政3期12年で国保料は毎年値上げされてきましたが、今回の値上げは2018年度の都道府県化以降、最大となり、一人あたりの保険料額は17万1,380円となります。 値上げの主な要因は、新型コロナウイルスの感染拡大による医療給付費の増大によるものですが、感染拡大は被保険者の責任ではなく、非常事態ともいうべきものです。本来、保険料に跳ね返らないように、国や都が対応すべきであり、その責任を果たさないことは問題です。 特別区長会も「新型コロナウイルス感染症という特殊な影響による負担を被保険者に転嫁することを防ぐ」というスタンスで、要望書を出すなど一定の努力をしたことは否定しませんが、結果的に提案された保険料の値上げは、コロナ禍で雇用不安や営業不振など深刻な事態になっている被保険者に、追い打ちをかけるもので認められません。 国保は、加入者1人当り医療費が高い一方、低所得者が多いために保険料負担能力は低いとう構造的問題を抱えていることは区長会も認めています。したがって、保険料の値上げを抑えるためには公的な財政支援は不可欠ですが、国も東京都も、保険料の値上げを抑えるための財政支援を拡充しない一方で、自治体が行っている法定外繰入廃止を迫っていることは許せません。 杉並区は法定外繰入の解消年次を令和9年度としていますが、世田谷区は27年後の令和31年度、大田区は23年後の令和27年度としています、再検討し、毎年繰り返される保険料の値上げに歯止めをかけるよう求めます。 ◆生活保護について 第2に、人権を尊重する姿勢が欠けていることです。 生活保護申請時に扶養照会を実施しないことを求める書面を提出しようとした男性が、福祉事務所職員に書面の受け取りを拒否され、最終的に扶養照会が行われてしまったという事例が発生しました。 区は、男性の認識に誤解があり、区の対応に問題はなかった旨の答弁に終始しましたが、書面の受け取りをかたくなに拒否したこと自体、申請の権利を踏みにじる重大問題です。 さらに、当初から扶養照会に対し強い拒否の意思を表明していたにもかかわらず、照会を強行したことについて区は、精神的な支援が出来ないのかを照会したとしています。しかし、そもそも申請者が照会を拒んだ理由は、扶養義務者となる両親が高齢で病を抱えており、精神的な負担をかけたくなかったためです。厚労省の通知では、扶養照会を拒む理由を丁寧にききとり、扶養義務者による扶養義務履行が期待できない者に該当するか否かという観点から検討をおこなうべき、としています。 今回の事例はそうした観点から丁寧な聞き取りが行われたのか、はなはだ疑問です。照会を受ける親族の心理的負担を深く考慮すべきです。 生活保護については、ホームページの案内に不正確な表記もあり改善を求めました。4月にむけて改修をすすめているとの答弁があったことは重要な前進です。23区でも多くの区が、厚労省と同様に「生活保護の申請は国民の権利」であることをホームページ等に明記し、速やかな相談を促しています。隣の中野区では、最近ポスターも作成しています。杉並区でもぜひ取り組むよう求めます。 ◆高齢者施策の不十分さ 第3に、高齢者施策が不十分であることです。 田中区長は自治体の責務は福祉の向上と常々言ってきましたが、3期12年間の区政運営では極めて不十分な福祉施策が続いてきました。その象徴が高齢者施策です。 我が党区議団はこの間、高齢者施策の充実を求める立場から、東京都の包括補助事業を活用した福祉用具給付の拡充を提案してまいりました。区は、2019年度の高齢者実態調査結果を考慮して福祉用具全般の再構築を検討すると答弁してきましたが、一向に検討結果が出てきません。 質疑のなかで、区からは更に今後の高齢者実態調査の結果を待ってから検討するという、驚くべき答弁が有りました。3年近くも検討をしながら、さらに先延ばしにする姿勢は認められません。 補聴器購入費助成でいえば、この2年間で新たに5区が支援を開始しています。杉並区でも早急に福祉用具給付の拡充を決断するなど、高齢者施策を前進させることを求めます。 ◆児童館・ゆうゆう館の再編 第4の問題は、施設再編整備計画のもと児童館、ゆうゆう館、集会施設など区民の活動やコミュニティを支える重要な区立施設を乱暴に削減し、今後も削減が行われることです。 特に児童館再編については、広報すぎなみ3月1日号で「児童館再編で楽しい場所が、ぞくぞく!」などとして特集が組まれましたが、保護者や近隣住民からは怒りの声が寄せられています。 総合計画案などに寄せられたパブリックコメントでも、児童館廃止に反対の声や、存続を求める声、民間委託の中止を求める声は100件以上寄せられました。さらに、質疑を通じ、児童館機能が大幅に低下していることも浮き彫りとなりました。杉並区が広報で大絶賛した一方で、現実には様々な問題が発生していることを重く受け止めるべきです。 ゆうゆう館の再編についても、多くの利用者から、高齢者の居場所がなくなることや、集う場所が遠方になる等の懸念の声が寄せられています。 児童館・ゆうゆう館、集会施設の廃止・転用は即刻停止することを求めます。 ◆集会室問題について 施設削減問題にかかわって、集会室の水増し問題について、厳しく抗議するものです。 この間、東京都の「特別区公共施設状況調査結果」をもとに、施設削減によって集会施設の区民1人当たり面積が、2019年度には23区中22位まで低下してきたことを指摘してきました。 昨年12月に公表された令和2年度の同調査結果によると、区の集会施設数、面積が前年度より増加していました。 代表質問でその経緯を質すと、今まで除外していた施設を集計対象とするよう基準を見直し、東京都に確認の上、報告書を提出したとの答弁がありました。 わが党は、事実関係を確認するために、東京都に行き、担当課長同席のもと応対職員に経過を聞きました。その結果、区の2つのウソが明らかになりました。 一つは、区から東京都に電話があったのは報告書が提出された後だったということ。 もう一つは、電話では、集会所に入れる具体的な施設の話はなかったというものです。 これは、杉並区が基準見直しを正当化するために、「都に事前に確認した」との答弁が虚偽であったことを示すものです。 委員会質疑で山田委員が、事実経過を追及したところ、区も委員会中に都に問合せし、見直しに関する区からの電話は提出後だったことを認めました。 さらに、わが党の調査では、新たに集会室に加えた施設のなかには、定員がたった2名で面積9㎡程度の楽器練習室等も複数含まれていたことも明らかになりました。 施設再編で集会室を減らしたことの追及をかわすために、このような偽りの報告を東京都に提出していたことは許されることではありません。 都合の悪い事実を隠ぺいし、水増しや虚偽答弁を繰り返す杉並区の姿勢はきわめて異常です。代表質問に虚偽の答弁をしたことに対し厳しく抗議するとともに、謝罪し、答弁を訂正するよう、強く求めるものです。 ◆公民連携プラットフォームによる自治体責任の放棄 第5の問題点は、公民連携プラットフォームによって自治体の責任を放棄し、公共サービスを産業化しようとしていることです。 公民連携プラットフォームとは、公共施設等の整備・運営に対して民間のビジネス機会を拡大すること、官民連携のもとで公的サービスの産業化に取り組むことと、政府の骨太の方針に明確に示されています。 杉並区の全ての施策・事業が公民連携プラットフォームの対象になると答弁したことは、重大な問題です。公共サービスの産業化が進められれば、社会保障などについても地方自治体の責任が後退することに繋がります。 杉並区は「国の方針等に依拠したものではない」「公的サービスの縮小や産業化、市場化の指摘は当たらない」としていますが、基本構想審議会の会議記録では、国の方針に沿った公民連携プラットフォームの議論も行なわれており、事務局からの報告も、国が示す文言があふれかえっています。 公共施設のハード・住民サービスのソフトも含めて、公的サービスの産業化に突き進もうとしていることは極めて問題があることを指摘します。 ◆都市計画道路の整備 第6の問題点は、田中区政のもと、住民生活を破壊する都市計画道路建設を、住民合意なく進めている点です。 新たな総合計画案等へのパブリックコメントには、都市計画道路の中止、見直し、駅前再開発の中止を求める声が多数寄せられました。 補助221号線については、来年度に事業認可申請をすることが示されていますが、沿道住民から計画中止を求める声が寄せられています。中野区再開発と連動した道路整備は中止すべきです。 補助132号線は、杉並区議会にも6,131筆の計画見直しを求める声が届けられ、パブコメには、魅力ある西荻窪の街並みが、道路拡幅によって破壊されることを懸念する声が多数寄せられています。 さらに、道路拡幅は西荻窪駅南側での駅前再開発の動きも誘導することになり地域住民からは、懸念の声が多数上がっていることを、重く受け止めるべきです。 補助133号線の周辺地域は閑静な住宅街であり、既存道路もない住宅街を貫く道路整備を進めることに、住民の理解は全く進んでいません。 都市計画道路の強行はまち壊しに外ならず、直ちに停止することを求めるものです。 ◆教育問題、学校トイレ 第7の問題は、学校教育についてです。 区長は教育について「金出して口出さず」などと発言していますが、果たして十分な予算となっているでしょうか。 党区議団は、この間、区立小中学校のトイレ洋式化について、教育環境の整備と共に、災害発生時の避難所機能を向上させるためにも速やかに進めるべきと求めてきました。しかし、杉並区の学校トイレ洋式化率は、今年度4月1日現在で66.4%と23区中22位と最下位レベルです。金を出すというのであれば、学校トイレ改修の年次計画を立て、早期に80%達成を目指すべきです。 少人数学級の必要性やICT支援員、教育相談カウンセラー等の拡充に背を向ける姿勢も許されません。これらの要望は、杉並区のPTA連合協議会からも寄せられている事項であり、真摯に受け止め、改善することを求めるものです。 ◆区政運営、談合問題 第8の問題点として、不自然な落札結果に対する、杉並区の姿勢です。 この間、区の過去5年間の入札で落札回数が均等になっている、落札結果に何らかの規則性が見られる点を指摘してきました。今回、情報公開請求で示された10年前からの入札経過調書をもとに改めて調査を行った結果、複数の入札で10年前から同様の状況がみられることが分かりました。 公正取引委員会は談合が疑われる事例として、落札回数が均等になっている、落札結果に何らかの規則性が見られることを挙げていますが、その際、「外部から発注機関に談合情報が寄せられた場合だけでなく、入札時における入札参加者の行動から、発注機関の経験等を踏まえ、入札談合があると推測できる場合も、その情報は通報の対象となります。」と示しています。 要するに、落札結果に規則性がみられるなどの場合は、明確な情報提供などが無くても、通報対象となるとしています。しかし、区は10年にわたる不自然な落札結果について、問題があるなら根拠を示せと、落札結果などの調査も行わない姿勢を示しました。 発注機関として公正な入札を実施する責任を放棄するもので認められません。発注機関として、過去の結果も含め、改めて全面的な調査を行い、公正取引委員会への相談、通報など必要な措置を行うよう強く求めます。 ◆関連議案に対する賛否 以上、各会計予算に対する主な反対理由を述べてまいりました。 委員会に付託された議案については、 議案第4号、第6号、第24号、第25号、第26号、以上5議案については反対、 議案第5号、第7号、第8号、第12号、第22号、以上5議案については賛成といたします。 ◆新型コロナウイルス感染症とPCR検査拡充に向けて 最後に新型コロナ対策について、述べます。 感染拡大の第6波は、杉並区内でも猛威を振るいました。現在の感染状況は緩やかな減少傾向に入ったと見られますが、対策の手を緩めることがあってはなりません。 第6波を引き起こしたオミクロン株の特徴として、子どもにも感染が広がり、保育所や学校での感染が急増し、クラスターも相次ぎました。感染力が強い変異株を抑え込むためにも、PCR検査体制の拡充が、ますます重要になっています。高齢者施設、医療機関・障害福祉施設、保育園や学校での定期的な頻回検査の実施や、検査キットの配布等、さらなる検査拡充に取り組むことを求めます。 また、恒常的な保健所職員体制の拡充に取り組むこと、陽性判定を受けた療養者への迅速・正確な情報提供、支援策等の拡充など、区民の命と暮らしを守るために、全力を挙げることを求めます。 ◆結びに 結びに当たり、多くの資料を調製していただいた職員の皆様に厚くお礼を申し上げまして、意見開陳を終わります。 ありがとうございました。 |
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