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2021年杉並区議会第四回定例会一般質問(山田耕平) |
日本共産党杉並区議団を代表して、来年度予算編成に関する基本方針と杉並区総合計画(案)等について、自宅療養者の死亡事例について一般質問します。 ■Q1.コロナ禍のもとでの財政執行と来年度予算編成方針について 1.Q1−1 始めに、令和4年度予算編成に関する基本方針について、コロナ禍においても、税金の使途を検証しつつ、新型コロナ対策と共に区民の福祉向上、暮らしの充実、命と健康を守るために振り向けることが必要と考えますが、杉並区の基本認識を確認します。 2.Q1−2 基本方針では、全ての事業について「必ず事業の見直し・廃止・整理統合・縮小を検討すること」とされ、実行計画外の新規事業が制限され、なかでも「原則として補助金の新設や増額については認めない」と示される等、コロナ禍を理由として、住民福祉の向上に資する事業についても新規事業を認めないとする区のあり方が、区民サービスの低下にも繋がりかねないことを懸念します。 例えば、決算特別委員会でも指摘しましたが、23区の高齢者施策を対比した場合、補聴器購入費助成の実施または検討が17区、シルバーカー購入への助成や貸与は13区、見守り配食サービスは18区、会食サービスは14区、高齢者への家賃等住宅支援は13区がそれぞれ実施していますが、杉並区はいずれも実施していません。 予算編成に関する基本方針での制約を受けたとしても、既に23区の多くの自治体で実施されている高齢者施策については、新規事業として実施を検討する必要があると考えますが区の認識を伺います。 特に、この間、我が党区議団が条例提案し、その必要性を指摘している補聴器購入費助成等は、コロナ禍のもとでこそ、高齢者の生活支援、コミュニケーション支援のためにも実施が求められている施策ではないのか、区の認識を伺います。 23区への調査では補聴器購入費助成の実施に向けた準備・検討を進めている区も3区あり、コロナ禍においても実施に向けた努力をしている区があることを、区はどのように受け止めているのか、認識を伺います。 3.Q1−3 コロナ禍において、税金の使途を正すのであれば、住民合意の無い事業は直ちに中止し、事業の在り方を見直すべきと考えます。その最たるものが、都市計画道路の整備です。 直近で実施された新基本構想策定における住民説明会で寄せられた意見37件の内2件、パブリックコメントに寄せられた意見392件の内、25件が都市計画道路整備への懸念や反対の声ですが、どのような意見が寄せられているのか具体的に確認します。また、このような懸念や反対の意見が多数寄せられていることを区はどう受け止めているのでしょうか。 寄せられた意見を踏まえれば、杉並区が進める補助132号線や221号線については、住民合意を得て進められているとは到底言えないと考えますが、区の認識を確認します。 4.Q1−4 コロナ禍が深刻化するなか補助132号線は2020年4月に事業認可され、補助221号線は、コロナ収束も見えない今年度中に事業認可申請の手続きが進められようとしていますが、これらの事業は中止・見直すべきではないのか、区の認識を伺います。 5.Q1−5 第3回定例会の補正予算では、木彫り母子像の購入費1千万円が計上されることとなりました。文化芸術振興の点では、文化芸術作品への一定の購入費は必要なものと考えますが、木彫り母子像の設置候補地の一つとして、子ども子育てプラザ善福寺が挙げられています。 一方、当該地域で進められる善福寺児童館の廃止・機能移転については、財政的な制約のもとで計画が進められ、児童・保護者から寄せられた要望についても、度々、財政的な制約のもとで実現困難等の説明が行なわれてきました。 そうした中、突如として、一千万円の木彫り像が購入され設置されることについては、多くの住民の理解を得られているとは到底言えない状況となっています。善福寺児童館利用児童の保護者は、子ども達にこそお金を使ってほしい等の切実な意見も寄せています。 木彫り母子像を購入することになった経緯を改めて確認します。また、子ども子育てプラザ善福寺を設置候補地として検討していると聞いていますが、このようなモニュメントの設置を行なったケースはあるのでしょうか?確認します。 善福寺児童館廃止・機能移転後のプラザに設置することについては、近隣住民の不信の声が高まっていますが、区として、この住民の声をどのように認識し、どう対応するのか確認します。 児童館廃止・機能移転により大きな負担や環境変化を迫られる子ども達にこそ、お金を使ってほしい、それが近隣住民や保護者の切実な願いであることを指摘し、その願いに沿った対応を行うよう求めておきます。 6.Q1−6 第3回定例会の一般質問では、緊急事態宣言下に区長が公用車を使用し、群馬県のゴルフ場へ移動。飲酒を伴う会食をしたことが、多くのマスメディアに取り上げられました。その後、区発注事業者と区職員がゴルフをしている問題も明らかとなり、区政運営の在り方そのものが問われることとなっています。 この点について、区長自らがマスメディアの取材に対応することもなく、記者会見等も開かれることはありませんでしたが、多くの区民に対して、区長自らが説明責任を果たすべきではないのか、区長の認識を伺います。 7.Q1−7 緊急事態宣言下での公用車使用による群馬県のゴルフ場へ移動と共に、区長とそこに関わった職員が移動や宿泊の費用を公費負担として支出していることも、区民の理解を得られないことと考えます。 コロナ禍を理由に財政的な制約を強調しつつ、区内事業者とのゴルフや会食旅行を聖域化することは区民理解を得られるものではありません。 緊急事態宣言中の県外ゴルフ場への移動と酒類を含む会食が全国的な問題として取り上げられ、区長の行為に対して厳しい目線が向けられる中、その行為を公費で負担することは、区民の理解を得られないことと考えますが、区の認識を伺います。 コロナ禍で税金の使途が問われている時であれば、尚更、このような公費負担の在り方を見直すべきではないのか、見解を伺います。 ■Q2.総合計画等における区民のくらしについて「貧困をなくす」位置付け 8.Q2−1 次に、総合計画案等について確認する。次期総合計画・実行計画の策定に対し、党杉並区議団は、現計画において基礎自治体の基本的責務である区民生活の向上に関する記載が不十分であり、これを改め、くらし・住宅への支援を計画の主軸に据えることを求めました。 杉並区内の生活保護受給世帯は6,408世帯、就学援助受給者は基準見直しで減少しましたが小学生の12%、中学生では21%と一定の割合を占めています。対象世帯は実際の受給者よりさらに多いことも推測される状況です。 都調査では、生活が苦しくなった理由として税や保険料の負担を指摘する声が多くありますが、コロナ禍のもとでも、非正規就労者、高齢者、零細事業者が加入する国保料は、連続値上げがつづき、国保料負担が収入の一割を超える世帯がある等、生活を脅かす事態となっています。 これら事態の解消はSDGsの目標第1「貧困をなくす」こととも関連することです。 SDGsが目標の第1に「貧困をなくす」をかかげていることを踏まえ「区民生活の向上」と「貧困と格差の解消」を新たな総合計画の柱に位置付ける必要があるのではないのか、区の認識を確認します。 9.Q2−2 一方、新たな総合計画案では、SDGsの目標第1「貧困をなくす」の位置付けが不明確です。その上、区の取組の関係性に、施策1「防災・減災まちづくり」施策2「防災対応力の強化」施策3「犯罪が起こりにくい、犯罪を生まないまちづくり」等も示され、直接的な関連性も明確ではありません。 SDGsの目標第1の「貧困をなくす」では「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」とされ、7つのターゲットが示されています。その点を踏まえれば、 ・生活保護が国民の権利であることを周知徹底し、必要な世帯が受けられるようにする。 ・就学援助について、基準の引き下げによる対象を拡大し、周知徹底をはかる。 ・給食費の無償化を区として検討する。 ・子供食堂や食料配布活動など区民による自発的な生活支援の取り組みに対して、区としての支援を継続・強化する。 ・国民健康保険料、介護保険料など社会保障負担の引き下げを行う。特に国保料については、法定外繰り入れを継続し、子どもにかかる均等割り保険料負担はなくす。 以上のような、具体的な取り組みを「貧困をなくす」ための対策として、計画上位置づけるべきではないのか、区の認識を確認します。 ■Q3.総合計画等における区民のくらしについて「住まいのみやこ」としての住宅施策 10.Q3−1 次に区民生活の要となる住宅施策について確認します。 杉並区は「住宅都市」をうたい、新基本構想においても「すまいのみやこ」などとしていますが、住宅を巡る状況はけっして良好ではありません。さらに、コロナ禍においては、杉並区の賃貸住宅居住者は過半数を占め、家賃負担は生活苦を深刻化させています。 総合計画・実行計画、区立施設再編整備計画等において、重要課題として公営住宅の戸数増の計画は無く、計画案に示されているのは都からの移管のみ、みどりの里は契約更新できなければ縮小としています。 高齢者住宅の提供は現計画の353戸が新計画においても353戸であり、全く拡充されない状況となっています。また、公営住宅の応募倍率について、都営10.5倍、区営5.1倍、みどりの里の単身が8.2倍等の高倍率は依然として改善する方向にはありません。 総合計画等、新たな計画案を実施することにより、都営・区営住宅数が23区で19位の現状が改善するのか確認します。また、杉並区の公営住宅の応募倍率は極めて高く入居が狭き門となっていますが、住宅確保を巡る深刻な状況は改善されるのでしょうか、区の見通しを確認します。 11.Q3−2 この間も指摘していますが、杉並区の最低居住面積水準は1人25㎡、2人で30㎡とされています。一方、最低居住面積未満の世帯は前回総合計画では22%弱、10年後に5%を目標としていましたが、平成30年度国土交通省調査では15.7%であり、目標には程遠い状況となっています。この水準は、都の水準と比較しても大きく立ち遅れている状況です。2017年3月の東京都住宅マスタープランでは、東京都の政策指標として、最低居住面積水準未満率の指標が設定されていますが、2013年度末に8%、2025年度には「ほぼ解消」としています。 杉並区の最低居住面積水準未満率の指標は2013年度末で何%となっているのでしょうか?都の住宅マスタープランで示される2025年度には「ほぼ解消」となる見込みがあるのか確認します。杉並区の状況は、都の住宅マスタープランともかけ離れた状況ではないのか、区の認識を確認します。 12.Q3−3 最低居住面積水準は、現総合計画にも目標値として位置付けられていた指標であり、新総合計画においては、目標の達成に向けた取り組みが必要と考えますが、最低居住面積水準の目標値の設定はどのようになっているのか認識を伺います。 目標達成がほど遠いために目標そのものを無くしたということであれば、今まで掲げてきた方針を捨てることでもあり、到底許されないと考えます。区の認識を確認します。 13.Q3−4 そもそも、住宅は世界人権会議やコペンハーゲン宣言など、世界の人権に関する宣言の中で、人間が尊厳を持って生きる権利の一部としています。住宅は権利であり、それを保障することは区の重要な責務と考えますが区の認識を確認します。 14.Q3−5 杉並区が基本構想において「住まいのみやこ」とするのであれば、最低居住面積水準の目標を達成するための具体策の検討を進め、都営住宅の増設を都に求めるとともに、区営住宅、みどりの里の増設を進める必要があるのではないのか認識を伺います。 23区では、高齢、障害、ひとり親などを対象に、なんらかの形で家賃助成を実施する区が広がっていますが、杉並区は実施していません。民間賃貸住宅で高齢、障害、ひとり親、低所得世帯などに対する家賃助成の実施を検討すべきではないのか、認識を伺います。 15.Q3−6 失業等で収入が減少した場合の区営住宅の家賃の減免について、条例上は12条の(3)では「使用者又は同居者が、失職、疾病その他の事由」とされていますが、減額事務の取り扱いでは、「高齢者」であること等の要件が付加されるため、失職等の場合でも減免を受けることが出来ない状況があります。 一方、23区では、失職等による収入減での減免を実施している区もあります。区営住宅の使用者又は同居者が失職し収入が減少した場合は、減免を受けられるよう改善すべきではないのか、認識を伺います。 ■Q4.総合計画等における営業への支援について 16.Q4−1 この間も指摘していますが、区内商店が減少し、生鮮3品店は3割に減っています。一方、個店への支援が位置付けられていません。 第53回杉並区区民意向調査では、杉並区について「個人経営の店が多くて美味しい店が多い」「個人で営業している飲食店や雑貨屋など、素敵で個性的なお店がたくさんあります」「コロナの影響で、そうしたお店が無くなってしまわぬよう、区からの支援をお願いします」という声が寄せられています。 杉並区は第53回杉並区区民意向調査に寄せられた個店の必要性や個店への支援を求める意見をどのように受け止めているのか認識を伺います。杉並区でも区独自の個店支援、商業支援に積極的に取り組むべきではないのか確認します。 17.Q4−2 決算特別委員会や全員協議会において、区は、商店街支援について「東京都などの補助金を活用して支援を行っていく」と答弁しました。一方、区独自の支援については明確ではありません。 加えて、杉並区実行計画(第一次)では、「地域に根差した商店街の活性化促進」として、イベント事業補助や防犯カメラの整備事業を商店街施設整備等支援の3カ年計画として打ち出していますが、いずれも東京都の補助事業であり区独自の支援策とは言い難いものです。 個店支援について、都の補助事業を活用すると同時に、他自治体が地域の実情に応じて実施している取り組みや、減少している生鮮3品店への支援なども参考にし、コロナ禍の影響を受けている経営への支援を区独自で行なうべきと考えますが、区の認識を伺います。 とりわけ、コロナ禍の第6波が懸念されるもとで、年末年始の区内商店への支援についても検討すべきと考えますが、認識を伺います。 ■Q5.実行計画等における目標値の低下 18.Q5−1 検診 現行の実行計画3か年の目標値より、新計画案により目標設定が著しく低下している分野があります。本来であれば、拡充が求められるのではないでしょうか。特に目標値の引き下げが顕著な分野は検診分野となっており、区民検診は2万人以上の目標引き下げ、歯科検診、胃がん検診、大腸がん検診、乳がん検診においても目標値が引き下げられています。 目標値を引き下げた各検診について、新計画の目標と現行計画目標において、どれほど引き下げることとなったのか確認します。 目標値の引き下げについて、区は実績減を理由としていますが、従来であれば、各検診の目標設定を引き上げ、実績値を引き上げる計画が必要ではないのか、区の認識を伺います。 19.Q5−2 今年度、杉並区のがん検診は、廃止や縮小等が行なわれました。前立腺がん検診については、日本泌尿器科学会が「我が国で最も多い男性がんの一つであり、死亡者数が増加傾向にある前立腺がんに対する対策として、前立腺がん検診の維持・推進」を求めているのにも関わらず、今年度から検診を廃止しました。胃がん検診の対象年齢についても、対象年齢のこれまでの40歳以上から50歳以上に変更しました。 がん検診の事業縮小や廃止は、区民の命や健康に関わることであり、廃止や縮小を行なうべきではないと考えますが区の認識を伺います。地域のかかりつけ医からも検診の廃止や縮小について、様々な懸念の声が寄せられており、検診の必要性を再検証し、前立腺がん検診の復活と胃がん検診の対象年齢の引き下げを求めますが、区の認識を伺います。 20.Q5−3 みどり・環境・気候変動 みどりや環境の分野においても新たな計画案での目標値が引き下がっている点は改善が必要と考えます。その前段として、気候変動に関する状況を確認します。 現在、気候危機とよぶべき非常事態が起こっており、国連IPCC「1.5度特別報告書」は、2030年までに大気中への温室効果ガス(その大半はCO₂ )の排出を2010年比で45%削減し、2050年までに実質ゼロを達成できないと、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比較して1.5度までに抑え込むことができないことを明らかにしました。 11月13日、COP26が閉幕しました。日本は石炭火力に固執し、温暖化対策に消極的な国に送られる「化石賞」を2019年のCOP25に続き、2回連続で受賞していることは不名誉なことです。 また、2040年までにゼロエミッション車へ転換する宣言についても、開催国の英国をはじめ、スウェーデンやカナダなど23か国と米GMやフォード、独ダイムラーなど大手自動車メーカー6社が合意する中、日本政府と日本メーカーは合意を見送り、温暖化対策に大きな後れを取っています。 気候危機への対応において、日本が温暖化対策に大きな後れを取っている現状について、区はどのように認識しているのか確認します。 自治体においては、気候危機に立ち向かうため、政府の目標や取り組み待ちではなく、積極的な取り組みが求められますが、CO2排出削減の2030年までの分野別目標はどのように検討されているのか認識を伺います。 21.Q5−4 現実行計画の目標値より新計画で目標値が引き下げられている樹木の保全について、保護樹木、保護樹林、保護生け垣が、それぞれ減少しています。 保護樹木、保護樹林、保護生け垣のそれぞれの目標は、現行計画と新計画でどのように減少しているのか確認します。特に、基本構想で「みどり豊かな」とうたいながら樹木目標等の後退が起きていることは新たな計画としても問題があるのではないのか、区の認識を伺います。 環境基本計画と温暖化対策実行計画には、現状の分析やみどり保全・拡大の方向性が位置付けられるべきと考えますが、この樹木の保全の目標が相応しいものなのか区の認識を伺います。 ■Q6.保育料と学童クラブ利用料 22.Q6−1 次に区政経営改革推進計画の「保育施設等の利用者負担の見直し」について確認します。計画案では「認可保育所等の利用者負担金について、国制度を参考とした適正化を図る」と示されています。 杉並区では、保育料の階層を32段階に設定し、所得階層毎の負担割合を細分化していますが、国制度を参考にした場合、所得階層が8段階となり、所得階層によっては、保育料が2倍以上となるケースが発生します。 区独自の保育料の階層を国の8階層に換算した場合、現行の1・2歳の保育標準時間D12階層の保育料は現行の30,800円から、どの程度の保育料となるのか確認します。 23.Q6−2 区政経営改革推進計画の「認可保育所等の利用者負担金の見直し」において、適正化により、保育料が値上げとなる世帯が発生するのか、区の認識を伺います。先の全員協議会において、区は低所得者層に対しての負担軽減を検討する旨の答弁を行ないましたが、区における低所得層の階層はどの段階と認識しているのか確認します。 24.Q6−3 学童クラブ利用料についても利用者負担の適正化が示されています。適正化により月額4,000円の利用料を値上げとする検討が進められているのか、区の認識を伺います。 併せて、延長利用料やスポット延長利用料については、どのような検討が進められているのか確認します。 ■Q7.自宅療養者死亡事例について 25.Q7−1 杉並区内における自宅療養者死亡事例について確認します。 杉並区の調査報告について、当該療養者の行動については「※はマスコミ報道により確認した情報」とされています。そもそも、マスコミの報道もご遺族への取材、聞き取り等に基づいて報道されていることであり、取材で明らかになった情報は、本来であれば遺族に対して杉並区から聞き取りを行ない、区自らの手で事実経過を明らかにする必要があるのではないのか、なぜ、ご遺族に直接聞き取りを行なわず、事実経過を確認する努力を行なわなかったのか、区の姿勢が厳しく問われます。 マスコミ報道で明らかになった事実に基づき調査報告をまとめていることは、調査報告として、不十分ではないのか区の認識を確認します。本来であれば、ご遺族への謝罪と共に調査への協力をお願いし、真相解明の努力を果たす責任が、杉並区に求められたのではないのか、認識を確認します。 26.Q7−2 区長がご遺族を訪問して以降、杉並区として、ご遺族にお会いしたのは11月1日とのことです。それまで、調査の進捗状況は明らかにされず、マスコミ報道によって調査が進められることになりました。また、情報開示資料では、「万一、訴訟となった場合の対応のため」として調査指示が出されています。 事実経過を明らかにするために、杉並区からご遺族への働きかけが無かったことについて、ご遺族が不信の念を募らせていますが、区はどのように受け止めているのか確認します。 また、区として「訴訟となった場合の対応のため」とは、どのような認識に基づいたことなのか認識を伺います。 27.Q7−3 要因の②として、保健所からの連絡に対する不応答について、当該療養者が家族とLINEで連絡を取り合っていたことが明らかになっています。ご遺族もこの点に関して、連絡は頻繁に取れていたと指摘しています。 どのような理由から、「保健所からの電話に未応答、ショートメールへも応答がなかった」のか、理由や事情を不明として終わらせるのではなく、さらなる調査を深める必要があるのではないのか、区の認識を確認します。 28.Q7−4 ご遺族からの聞き取りによって、8月5日14時59分「保健所の電話に出れない。なってから取ったら間に合わない」同5日15時に「こっちからかけても折り返しを待ってくださいと言われて」という内容を当該療養者がご家族と連絡を取っています。 ・調査報告書の8月2日の①②の午前午後の二度の架電を受けて、同日18:48分に本人から入電 ・8月3日の③午前の一度の架電を受けて、同日9時45分に本人から入電 ・同3日の④午前一度の架電、メールを受けて、同日17時40分に本人から入電 ・8月4日の⑤⑥に二度の架電、8月5日の⑦の架電を受けても、8月3日の本人からの入電の際に「折り返しを待って」と言われて、入電をしなかったことも考えられます。 杉並区として、8月5日14時59分「保健所の電話に出れない。なってから取ったら間に合わない」同5日15時に「こっちからかけても折り返しを待ってくださいと言われて」とのやり取りを、どのように分析しているのか確認します。また、このやり取りは調査報告にどのように反映されているのか認識を伺います。 29.Q7−5 8月5日「以降の対応を終了した」としたことについて、その前段階でA区内の医療機関に携帯電話番号が合っていることは確認していたにも関わらず、その後、住所を特定出来ない状況のまま、対応を打ち切った理由を確認します。また、対応打ち切りの際、「当該療養者は杉並区内に存在しない」という判断が行われたということなのか、認識を伺います。 30.Q7−6 自宅療養者がいるにも拘らず、居住地が確認できなかったという理由で対応終了とすることは、重大な判断となります。先の決算特別委員会では、対応終了という処理は重大な決定であり最終決裁者を確認したところ、保健予防課長とのことでした。一方、8月5日に対応終了を決めた際には、課長が関わった記載がありません。 対応打ち切りという重大な決断が、決裁者の課長が関わらないもとで、現場の職員や係長が判断せざるを得なかったということは、職員体制上、大きな問題があると考えますが、区の認識を伺います。 職員への聞き取りでは、相談対応責任者の不在により、困難事例等について相談できる相手がおらず、課長にも相談できなかったことを確認していますが、当時の管理職の体制をどのように認識しているのか確認します。 31.Q7−7 報告書の要因①医療提供体制の未整備は根本的な問題であり、今回の事例の背景となると考えますが、死亡する結果となったのは、要因③の保健所内の情報共有・情報収集体制の不備が決定的な誤りだったと考えます。 情報の見落としから始まり、療養場所の確認不足と他区保健所への未確認、これらの情報確認が無いまま、対応を終了してしまったこと。最終的には、本人からの最後の架電についても支援に結び付けることが出来なかったこと。ここに決定的な誤りがあります。 制御不能な感染拡大状況であったことは事実ではありますが、報告書「まとめ」については、区の対応が不十分だった点を正面から認め、死亡事例に関して区の責任を明確にするべきではないのか、区の認識を確認します。 特に、この検証結果報告の検証結果「まとめ」の中に自助や共助の文言を含めていることは不適切ですが、区として当該療養者には責任があると考えているのでしょうか、区の認識を確認します。 死亡事例が発生してしまったことを真摯に受け止め、ご遺族に対して誠実に対応し、真相解明の調査を徹底すること、実効性ある再発防止策を打ち出すこと、これが杉並区の果たすべき責務です。 杉並区が、ご遺族に対して誠意ある対応をとることを求め、一般質問を終わります。 |
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