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2021年杉並区議会第一回定例会一般質問(酒井まさえ) |
日本共産党杉並区議団の酒井まさえです。 区議団を代表して、 1、就学前の障害児への支援について 2、都市計画道路について 以上2項目について質問いたします。 1.就学前の障害児支援について 最初のテーマは、就学前の障害児への支援についてです。 私も、ひとりの母親として障害児を育ててきました。1990年にダウン症と、重い心臓病の合併症を持つ次女を出産しました。 600人から800人に1人の確率で生まれてくると言われるダウン症は、21番目の染色体異常が原因で、顔に特徴があり、筋肉の発達の遅れから体を支える力や咀嚼力が弱く、知的にも遅れがあり、心身ともに健常児よりゆっくり発達していきます。 生まれてすぐにダウン症だと判明し、私は目の前が真っ暗になり、どうしたらいいか分からなくなりました。その時、夫からは「我が家の子として生まれてきてくれたのに、がっかりしていたら、この子に失礼だ」と言われ、目が覚める思いがしました。 そうはいっても、親が子どもの障害を受け入れるには時間が必要です。 「なぜ自分の子どもだけが周りの子たちと違うのか」「健康な体で生んであげれなくて申し訳ない」といった思いが付きまとい、わが子と自分の将来に悲観的となり、子育てに向き合う気力が失われてしまいます。 こうした状況を乗り越え、持って生まれた障害を「この子の個性」として受け入れるまでには個人差もありますが、少なくない時間が必要です。 次女が1歳を過ぎた頃に、私は親としてわが子のダウン症という障害を受容することができたと思いますが、出産してすぐに入会したダウン症の親の会の会員の励ましや、専門家からの様々な指導と援助がなければ、もっと多くの時間がかかったと思います。 特に、生後8か月で通った区立障害児支援施設の「たんぽぽ園」では、理学療法士からの支援や助言に日々支えられ、育児への意欲を取り戻す大きなきっかけをもらいました。 次女にとっても「たんぽぽ園」で得た支援・指導は、その後の成長には欠かせないものだったと思います。 生後8か月から、個別指導として月に一度リハビリ訓練に通い、2歳からは親子通園、3歳からは幼児グループで遊びを通して身体や知的な発達の支援を受けました。 その間、次女は心臓の手術を2回受けましたが、小さな体で2度もの大手術を無事乗り越えられたのも、「たんぽぽ園」で受けたリハビリ訓練によって体全体の筋肉の発達が促されていたからだと思います。 4歳からは通常の保育園に通いながら、「たんぽぽ園」の言語心理の個別指導に通うことができ、言葉の数も増えました。私はこの機に、看護師の仕事に復帰することができました。 このように、障害を持って生まれた子どもにとって、乳幼児期に発達の支援を受けることは、その後の成長の基礎を築くもので、その支援の質、量ともに充実していることが重要です。 1―1、就学前の障害児の人数の推移について さて、「たんぽぽ園」などでの発達支援を進めるには、対象となる子ども達が何人いるのか、その規模を把握しなければ適切な支援は行えません。 次女が通っていたころの「たんぽぽ園」は現在より規模が小さく、しかし年々入園希望児が増えていった記憶があります。次女が卒園した後、1997年には現在の子ども発達センターに移設され、受け入れ人数も拡充されました。 その後、2012年に児童福祉法の改正により、「発達障害」も精神障害のひとつと認められ、発達支援が必要となる障害児の人数は近年、増加傾向にあると思います。 【問1−1】 そこで、まずお聞きしますが、杉並区内には就学前の障害児が現在、何人ぐらいいるのでしょうか。その人数と同年代の区内人口に対する割合について、過去5年間から現在までの推移を伺います。 1−2 こども発達センターと児童発達支援事業所の役割について 【問1−2】 こうした就学前の障害児への発達支援として、杉並区では通所療育施設の区立施設であるこども発達センターと、民間施設である児童発達支援事業所があります。行政と民間がそれぞれ通所施設を運営していますが、その役割分担と連携について、杉並区ではどのように行っているのか、具体的な説明を求めます。 1−3、児童発達支援の実施状況及び利用人数の推移について 【問1−3】 また、こども発達センターと児童発達支援事業所の区内での実施状況及び、施設数と利用している児童の人数について、直近5年間の推移についても示してください。 1−4、児童発達支援事業所の現状、および需要予測と対応 民間が設置する児童発達支援事業所は多くが保育園などに通いながら、週に何日か事業所に通い、障害に見合った支援を受けられる施設です。 昨年9月に区が発表した「令和元年度・区政経営報告書」では、児童発達支援事業所運営助成に触れ、利用状況の把握や需要予測を行うと示しています。一方、事前の聞き取りでは、需要予測については明確に示されませんでした。そこで伺います。 【問1−4】 児童発達支援事業所について、現状の施設数、受入人数で十分と考えているのか、区の認識を伺います。 また、支援を必要とする児童数は今後も増加すると考えられますが、発達支援事業の今後の需要予測をどのように見積もり、どのような対応を検討しているか具体的に示してください。 1−5、児童発達支援事業所の設置数について 児童発達支援事業所の区内設置数について、「令和元年度・区政経営報告書」では「身近な地域で必要な療育を受けられるよう、療育枠の確保に努める」としています。 【問1−5】 ところが、2019年度時点で、20施設あった事業所は、今年度末には15施設へと、この2年間で5施設も減少しています。減少した理由を伺います。また、施設の減少により必要な療育が子ども達に提供できていないと指摘しますが、区の見解はいかがですか。 1−6、児童発達支援事業所の拡充が必要 区自らが「療育枠の確保に努める」とするのであれば、児童発達支援事業所の施設数を増やすことが求められます。 【問1−6】 子どもの発達に必要な療育の機会を保障するためにも児童発達支援事業所については、早急に2019年時点の施設数、20か所に回復させるとともに、さらなる拡充が必要と考えますが、区の見解はいかがですか。 1−7、「身近な地域で」についての区の考え 児童発達支援事業所の施設数、規模の問題とともに、歩いていける身近な地域に事業所があるかどうかも重要なことです。 厚労省は、児童発達支援事業所は「障害児の通園可能な範囲(例えば中学校区など)を基準に最低1か所」と「整備の考え方」で示しています。 しかし、杉並区内の15か所の事業所の所在地は特定地域に限られ、区内36町目のうち、方南、和泉、和田、堀ノ内、西荻や、西武線沿線地域など26町目が空白地域になっています。 中学校区で見るならば、区内23の中学校区のうち、事業所が設置されているのは7区で、16区が空白地域です。 阿佐谷に設置されている発達支援事業所の職員からは、「方南町に住んでいる子どもさんが、遠くて大変のように思います」という声もありました。 【問1−7】 区政経営報告書では、「身近な地域で療育が受けられるよう、療育枠の確保に努めていきます」とありますが、身近にあるべきというのは区としてどう考えているのですか、伺います。 1−8、「身近な地域」での整備について 【問1−8】 児童発達支援事業所の整備については、区内の設置数だけを見るのではなく区内の空白地域の解消を考慮して進めるべきと考えますが区の見解を伺います。 また、空白地域の解消に向けて、具体的にどのように検討しているか伺います。 1−9、こども発達センターの幼児グループ指導の通所日数の減少について 次に、こども発達センターでの児童発達支援について伺います。 始めに幼児グループたんぽぽ園の通所日数の減少にともなう療育機会の減少についてうかがいます。 【問1−9】 「たんぽぽ園」の定員は40名ですが、登録者が定員を超えた年度では3才児、4才児の通所回数が減らされている現状があります。 今年度は、33名の登録でしたので3歳児は週に3日、4歳児は週に5日通える状況ですが、今後も登録者数が40名を超える年度は通所回数が減ることになります。必要な療育の機会が減少してしまう事態は大変問題だと考えますが、区の見解を伺います。 1−10、こども発達センターの幼児グループ指導の増設について 子ども発達センターは、区内に1か所のみで、南部地域の高井戸東にあり、全区から児童が通園バスで通っています。遠方から通園している児童にとっては、通園時間が負担となり、渋滞などでバスが遅れると療育時間が減少してしまうこともあります。保護者からは、「北部にも施設があればいいのに」との声が上がっています。 また、3歳児は週に3日しか通所できない現状もあります。4,5歳児は週5日の通所が可能で、保護者からは3歳児の通所日数を4,5歳児なみに増やしてほしいとの要望もあります。 一日の療育時間についても、保護者から要望が届いています。1日4時間の療育時間では「仕事ができないので、せめて幼稚園並みに延ばしてほしい」とのことです。 【問1−10】 こうした保護者の要望に応えるとともに、登録児童数が定員を超過した際に通所日数が減ってしまう問題を解消するために、「たんぽぽ園」の分室の設置や新規園の増設などを行い、幼児グループ指導を拡充し、子ども達の療育の機会を増やすことを求めますが、区の見解はいかがでしょうか。 1−11、障害種別のクラス編成について 次に「たんぽぽ園」の障害種別クラス編成についてうかがいます。 通所している児童の保護者から、「よく動き回るお子さんに担任がつきっきりで、おっとりしたわが子は放置された」との声や、「同じような障害でグループが形成されれば良いと思うが、難しいのだろうか」などの声が寄せられました。 【問1−11】 児童発達支援ガイドラインでは、「支援にあたっての配慮事項」で、「一人一人の子どもの障害種別、障害の特性及び発達の状況に応じた支援を行うことが必要」とされています。障害種別を考慮し、療育単位であるグループを現状より細かくするよう求めますが、区の見解を伺います。 (保護者の要望についてできる限り早急に対応を) 児童発達支援ガイドラインには、支援に当たっての配慮事項に、「設備や備品への配慮」が上げられています。この点について、一点だけ要望しておきます。 こども発達センターの親子グループに乳児を通わせていた父親が、施設内でのオムツ替えの場所で苦労したという話を聞きました。男性トイレにオムツ替えスペースがなく、数年来、設置の要望を出し続けて、やっと今年1月に男性トイレにオムツ替えベッドが設置されました。 こうした、保護者や利用者からの要望について、今後はできる限り早急に対応していただくよう強く要望するものです。 12、たんぽぽ園の親子通園について、親の就労を考慮した柔軟な対応 さて、私も経験しましたが、障害を持っている子どもを育てながら仕事に就くことは、大変苦労が多いものです。 たんぽぽ園では、週一回の親子通園が求められますが、親の就労との両立の点では負担は大きく、保護者からは、「毎週必要なのか」という声が多く寄せられています。 親子通園は、職員が親子関係を観察し、保護者への助言、指導などの支援ができるといった効果が期待でき、保護者もその必要性は理解していると思います。ただ、毎週1回の通園によって就労に影響が出ていることも事実です。 【問1−12】 今後、保護者の就労も考えた上で、親子通園の在り方を検討することが必要かと考えます。区の見解を伺います。 13、こども発達センターの増設について 私は、昨年11月、子ども発達センターを見学させていただきました。 多くの障害児を受け入れ、通園での療育、リハビリや言語心理指導などの個別指導や、保育園等訪問支援や療育講座などの地域支援の実施と、まさしく地域の中核的な療育支援施設としての役割を果しているということが分かりました。 一方、療育室が足りず、会議室や職員休憩室を療育室に転用し、女性トイレに子ども用トイレを設置したり、職員の人数に対して職員室が狭く1人1台の机が置けずパソコンも足りていないなど、求められる支援の量に対して施設規模が追い付いていない現状と、それによる現場職員の皆さんの苦労の実態もわかりました。 【問1−13】 区立こども発達センターは、厚労省の言うところの児童発達支援センターであり、同省が示した整備の考え方は、概ね10万人規模に1カ所以上を配置するというものです。杉並区の人口は約58万人ですので、この考え方に基づけば、最低でも区内5か所での運営が求められます。 こども発達センターで療育の部屋が足りず、職員室に机が置けないといった状況の解消と、今後も障害児の入園要望に応えられるように、早急にこども発達センターを増設することを求めますが、区の見解を伺います。 児童発達支援に携わっている職員のみなさんの、一人一人の児童への支援はご苦労も多いと思います。特に、コロナ禍のもとでは、今まで以上に子どもたちの命と健康を守るために奮闘されてきたことと思います。障害者の親の一人として、改めて感謝を申し上げ、次の質問に移ります。 2、都市計画道路について 次のテーマは、都市計画道路についてです。 2−1都市計画道路・補助133号線 都市計画道路・補助133号線は、中杉通りを南阿佐ヶ谷駅から五日市街道まで延伸する、長さは890メートル、幅16メートルの大型道路計画です。既存の道路を拡幅する他の優先整備路線と違い、100件以上の住宅を立ち退かせて、新たな道路を住宅街に通すことが特徴です。 2019年11月に事業説明会が行われ、翌年1月より測量が開始されました。説明会に先立ち、2018年には地権者や近隣住民で反対する会がつくられ、計画見直しを求める署名は現在までで、3261筆になっています。 補助133号線の事業化は決定しても、杉並区として、住民の意見を受け止めるべきではないでしょうか?この間の住民の声や活動を示し、質問していきます。 2−1−① 計画反対の声に対する区の認識について 我が党区議団が昨年11月から行っている補助133号線についてのアンケートには、計画に対して様々な声が寄せられていますが、その多くが計画を中止すべきと回答しています。寄せられた声を紹介しますと、 「静かな、緑多い街を壊さないで」 「終の住処としている、この土地を離れたくない」 「このままの地域であってほしい」 「莫大な費用をかけて道路建設をするのではなく、感染対策に当てるべき」 など、です。 昨年12月13日、住民団体が、「都道133号線予定地をご一緒に歩きましょう」と題して、杉並区議会議員とともに現地を視察する小集会を開催しました。 私を含め3名の区議会議員が参加しました。全体では40名が参加し、地域ごとに6人の地権者の方に思いを語ってもらいました。 地権者の方からは、 「周りの人に、測量お断りのステッカーと登りを立ててもらうよう話している。少しでも多くの方に分かってもらいたい」 「道路を造らないようにするために、近所の人がこの場所に住み続けてほしいので、交流を持ち仲良くしている」 「歩いてみて、緑豊かなこの地域に道路ができたらどうなるか考え、改めて街を分断する、街壊しの道路だということが分かった」 といった、お話がありました。 【問2−1−①】 そこでお聞きしますが、補助133号線の計画地域では、街並みを破壊し住まいを奪う道路計画に対し、スッテッカーやのぼり旗で反対の意思表明をしている住民が多数います。区として、こうした住まいや生活を守りたいという住民の声を認識していますか?そして、どう受け止めているか伺います。 2−1−② 測量スケジュールについて 次に測量スケジュールについて確認します。 昨年11月14日時点では、住民団体の問い合わせに対して、都から「133号線の左右道路境界線から40メートルの範囲の現況測量は7・8割終了している。用地測量(境界測量)については3月までに始まる」との回答がありました。 【問2−1−②】 現状、補助133号線の現況測量は、どの程度終了したのでしょうか。また、用地測量の着手は何月何日を予定しているのかうかがいます。 2−1−③ 無断測量問題について 都が行っている測量で一部問題も発生しています。 昨年3月31日、私道の所有者の了解を得ないまま測量を行い、無許可で鋲を打っていたところを土地所有者が発見しました。すぐに抗議し、作業員はその場で鋲を抜き、謝罪しました。 説明会を行い、個別に測量のチラシを投函したとしても、私道などの民有地については、その所有者の了解があって初めて測量行為がなされるべきものと考えます。 その後、市民団体は東京都に対し、このようなことが二度と起こらないよう要請書を提出しました。 【問2−1−③】 区はこうした事態を把握していますか。また、区からも東京都に対し、無許可での測量はしないよう強く求めてほしいが、いかがですか。 2−1−④ 区長との懇談の実現について 昨年の決算特別委員会で、住民の声を取り上げた私の質問に対し、区長は地域住民との懇談会をやっても良い旨の答弁をされました。都施行の事業となるため、立ち退き件数や事業費も明らかにされておらず、住民の不安は大きなもので区長に是非話を聞いていただきたいと住民の方々は話していました。 【問2−1−④】 その後、1月27日に住民団体が区長に対して、懇談の申し入れを行ったとお聞きしました。ぜひ懇談を実施し、住民の声を受け止めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。 2−2 次に区施行路線補助221について 次に区施行の都市計画道路・補助221号線についてです。 この路線は、環状7号線から中央線の高架の北側に沿って中野区境まで続く長さ290メートルの生活道路で、5.45メートルの道路幅員を約3倍の16メートルへと拡幅する計画です。 道路に面して戸建てや共同住宅、地域の生活を支えるスーパーや個人商店が立ち並ぶ地域で、その多くが立ち退きを迫られます。 昨年末、事業概要及び測量説明会が開催され、多くの住民が参加しました。立ち退きを迫られる道路開発の内容に、住民からは 「数年前にローンを組んでアパートに建て替えし、家賃収入をローンの返済と、老後の生活資金に充てようと考えていたが、ローンに対する補償がないと言われショックを受けている」 「親の代からこの土地に住んでいるが、行政からは一度も都市計画道路だとの説明を受けたことがない」 などの声があがりました。 その後、事業予定地内の半数近くの住宅には、測量お断りのステッカーが張り出されています。 【問2−2】 そこでお聞きしますが、このような事態について、区はどう認識しているのでしょうか。また、住民の声を無視して事業を強行することはあってはならないことだと指摘しますが、見解を求めます。 新型コロナウイルスの影響で、大幅な税の減収も見込まれる中、道路建設に莫大な税金を投入することは重大な問題です。 補助133号線については杉並区が東京都に対して、計画を見直すよう申し入れを行うこと、また、補助221号線については杉並区として計画を見直すこと、この2点を最後に強く要望しまして、私の一般質問を終わります。 |
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