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2020年杉並区議会第四回定例会一般質問(富田たく) |
日本共産党杉並区議団の富田たくです。区議団を代表して、 1.核兵器禁止条約の発効について 2.日本学術会議の任命拒否問題について 3.児童館について 以上3項目について質問いたします。 1.核兵器禁止条約の発効について まずは、核兵器禁止条約の発効についてです。 (1)核兵器禁止条約の発効までの経過 2017年7月7日に国連加盟国の3分の2を超える122か国の賛成で核兵器禁止条約が採択され、本年2020年10月24日にホンジュラスが批准したことで、条約発効に必要な50か国となり、2021年1月22日に核兵器禁止条約が発効されることが確実となりました。 これにより、核兵器の開発、実験、製造、貯蔵、使用、威嚇など、核兵器に関する全ての活動が国際法によって違法となるとともに、核兵器の完全廃絶までの枠組みと道筋が国際法として明記されることになります。 ヒロシマ、ナガサキに原爆が落とされてから75年、核兵器の廃絶を求めて証言活動など様々な活動を行ってきたヒバクシャの方々と、核兵器廃絶を求める世界の多くの人々、団体、政府の共同した取り組みが、国際社会を大きく動かした結果ではないでしょうか。 (2)日本共産党の見解 日本共産党は、核兵器廃絶を戦後一貫して訴えてきた政党として、条約の発効を心から歓迎するものです。 条約の発効は、核兵器に固執する核保有国からの敵対・妨害を乗り越え築かれた歴史的な到達であり、核保有国を一層政治的・道義的に包囲し、核兵器廃絶に向けた動きに画期的な貢献になると考えます。 【問1】 【1−1】(核兵器禁止条約の発効についての区長の認識) まず、最初にお聞きします。平和首長会議に加盟し、且つ「核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことを、すべての国に求め」ているヒバクシャ国際署名についても署名した区長として、核兵器禁止条約の発効が確実となったことに対し、どの様な認識を持たれているかお答えください。 (3)75年前に投下された2つの原爆と被爆者の思い 75年前、広島、長崎に落とされた2発の原子爆弾によって、広島では14万人、長崎では7万人もの方が、その年のうちに命を落としました。 原爆の熱線と爆風によって二つの街は文字通り焼け野原となり、ある人は一瞬にして炭のように黒焦げとなり橋の欄干に影を残して亡くなり、ある人は全身の燃えた皮膚が垂れ下がった状態で水を求めてさまよいながら亡くなり、ある人は爆風により全身にガラスが刺さって亡くなりました。 被爆者は言います、それは、おおよそ人間の死に方ではなかったと。 生き残った方々も、熱線の火傷や爆風による外傷、そして放射線被ばくによる様々な病によって、大変苦しい生活を強いられてきました。被爆者というだけでひどい差別を受けてきました。 原爆、核兵器によって地獄を体験した被爆者が、75年が経過した今でも、思い出すことでさえつらい被爆経験の証言活動を行い、私たちのような戦争を知らない世代に語り続ける理由は「二度と自分たちと同じ思いを誰にも味合わせたくない」ということです。 (4)日本政府の姿勢の問題点 しかし、唯一の戦争被爆国である日本政府は、こうした被爆者の思いに寄り添う姿勢を見せません。アメリカの「核の傘」に入り核抑止力を肯定し、核兵器禁止条約の締結についても、核保有国とともに否定的な姿勢をとり、多くの市民や政府を失望させてきました。 2017年の条約採択前に行われた核兵器禁止条約の国連会議を日本政府は欠席しましたが、欠席した日本の席に「あなたがここにいてほしい」と書かれた折り鶴が置かれていたことは有名な話です。 日本共産党は、日本政府が禁止条約に背を向け続けていることは、唯一の戦争被爆国として恥ずべきことであり、従来の態度をあらため、すみやかに条約を署名し批准するよう強く求めています。 【問2】 【1−2】(日本政府の姿勢に対する区長の認識) そこでお聞きします。区長はヒバクシャ国際署名に署名し、核兵器禁止条約を結ぶことをすべての国に求める立場を明確にしておりますが、そうした立場から、アメリカの「核の傘」のもと核抑止論を肯定し、核兵器禁止条約に否定的な日本政府姿勢について、区長はどのような意見を持っているのか、お答えください。 (5)原水爆禁止署名運動発祥の地「杉並」について 杉並区は原水爆禁止署名運動の発祥の地と呼ばれています。 1954年3月、ビキニ環礁においてアメリカが行った水爆実験により、遠洋漁業を行っていた第5福竜丸の乗組員の方々が被爆しました。当時、日本に水揚げされる魚介類の多くも放射能に汚染され、魚が売れないという状況になりました。 杉並区和田地域のお魚屋さんの女将さんが、魚が被爆し売れないのは核実験が原因だと声をあげ、署名運動を始めたことが有名ですが、区内では2か月のうちに27万人の署名が集まったといわれています。この署名運動は日本全国へと広がり、翌年には広島で原水爆禁止世界大会が開かれ、3000万筆を超える署名が寄せられました。 こうした署名運動は現在でも続けられており、日本国内にとどまらず、世界各国に広がり国連へと届けられています。 杉並区から世界へと大きく花開いた署名運動が、核兵器禁止条約の締結に向けた大きな国際世論を作ってきたことは言うまでもありません。 (6)新たな署名運動がスタート 10月29日、新たに「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」運動がスタートしました。被爆者団体だけでなく各界の著名人129人が呼びかけ人となっています。 署名運動のスタート集会で出されたアピールでは、「条約への参加を求める国民世論」が「7割を超え」ていることを指摘し、「核兵器がもたらすものは、「安全」でも「抑止」でもなく、被爆者が「地獄」と呼ぶヒロシマ・ナガサキの再来であり、人類の絶滅に通じるもの」であり、「核兵器禁止条約が発効するいま、日本政府こそが、核兵器のない世界のために努力する先頭に立つべき」と強く訴えています。 【問3】 【1−3】(新たに始まった署名運動への参加) この新たに始まった「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」について、田中区長も署名することを求めますが、如何でしょうか。 (7)原水爆金署名運動発祥の地杉並の区長として この間、我が党区議団は、原水爆禁止署名運動発祥の地の区長として、政府や社会に対し核兵器廃絶を大いにピールすることを求めてきました。 2017年9月にも私は一般質問で、政府に対し核兵器禁止条約に参加するよう意見を挙げてほしいと訴えましたが、区からは「区が参加する平和首長会議(中略)として政府に要請文を出したところでございまして、区が単独で要請文を出す考えはございません。」との答弁で、なんとも消極的な印象を持たざるをえませんでした。 【問4】 【1−4】(条約に参加せよと、日本政府に対して、区長が声をあげるべき) あらためて、原水爆禁止署名運動発祥の地杉並の区長として核兵器廃絶にむけた積極的な姿勢を見せるためにも、日本政府に対し核兵器禁止条約に参加するよう、区長自身の言葉で呼びかけることを求めますが、如何でしょうか。 この点について答弁を求めて次のテーマに移ります。 2.日本学術会議の任命拒否問題について 次に日本学術会議の任命拒否問題について、区長の政治姿勢を確認いたします。 (1)学術会議の任命拒否の経過 菅首相が、日本学術会議の新会員として推薦された科学者のうち6名の任命を拒否したことは、日本の民主主義と法治主義の在り方が問われる、大問題であります。 学術会議法では総理には学術会議の会員を選考する権限は与えられていません。 そのことは、1983年に会員の公選制を推薦制に変更した法改正のさい、中曽根政権下で政府は、繰り返し総理大臣の任命は「全くの形式的任命」、「実質的に総理大臣の任命で会員の任命を左右することはしない」、「推薦していただいた者は拒否しない」と明確に答弁し、法律の解釈として確立しています。 ところが政府は、こうした明確な法解釈を2018年に国会と国民に隠れて変えていたことが、この間の国会質疑で明らかとなりました。 時の内閣が法律の解釈を勝手に捻じ曲げ、改ざんすることが許されるなら、日本の法治主義は破壊されてしまいます。 【問5】 【2−1】(学術会議への政治介入についての区長の見解) そこでお聞きします。拒否した理由の説明もなく、法解釈の撤回についても説明もない、こうした菅総理の学術会議会員の任命拒否問題について、区長はどのように考えているのか答弁を求めます。 (2)日本の法治主義、民主主義を揺るがす大問題 【問6】 【2−2】(日本の法治主義、民主主義を揺るがす大問題) 戦時中の軍国主義による抑圧のもと、多くの研究者が戦争に加担させられました。それも毒ガスや生物兵器の開発、さらには、その効果を確認するために捕虜を使った人体実験、果ては原爆の研究など行われていたことが戦後明らかになっています。 こうした戦時中の深い反省から、1949年の日本学術会議創設時には、当時の吉田茂首相が明言したように、学術会議は政府から「高度の自主性が与えられている」とされてきました。 しかし、今回の任命拒否は、日本学術会議の独立性、自立性を真正面から否定するもので、学問の自由をはじめとする国民の基本的人権の侵害および、日本の法治主義、民主主義を揺るがす重大な問題であると指摘するものですが、区長にはそのような認識があるか、答弁を求めます。 【問7】 【2−3】(独立性についての区長の認識の確認) 政府に対し、様々な勧告を行う権限を与えられている学術会議には、日本学術会議法において、その独立性・自主性についての条文が何重にも規定されています。 政府から独立して職務を行うこと、会員については学術会議が推薦し総理大臣が任命すること、会員を辞職する際には会の同意、退職させる場合には会の申し出が必要など、法律によって実質的な人事権は全面的に学術会議に与えられています。こうした学術会議の独立性、自主性の必要性について、区長はどの様に考えるか、この点についても確認いたします。 (3)日本学術会議法からの指摘 【問8】 【2−4】(任命拒否が法律に違反しているかどうかの区長の認識の確認) さらに、今回の総理の任命拒否は日本学術会議法違反であることは明瞭だと考えますが、区長はどの様に考えるか、答弁を求めます。 (4)憲法15条について 【問9】 【2−5】(憲法15条を持ち出したことに対する区長の認識の確認) 菅首相はこうした学術会議法の解釈を捻じ曲げ、憲法15条1項を持ち出して、学術会議会員の任命が拒否できると繰り返し述べています。 しかし、憲法15条1項は公務員の選定、罷免は主権者である国民の権利という一般原則を述べたものであり、内閣総理大臣に公務員の任免権を与えた規定ではありません。 日本学術会議法として定められた会員の選定・罷免権に反した任命拒否という行為は、憲法15条で正当化できるものではないと考えますが、区長の憲法15条の解釈と、菅首相が15条を理由に任命拒否を合理化していることについて、区長の見解を伺います。 【問10】 【2−6】(憲法23条の学問の自由についての区長の認識の確認) 理由も明確にしない任命拒否が、憲法23条が保証した学問の自由を侵害するという指摘もあります。今回のような任命拒否が個々の科学者に委縮をもたらし、自由な研究を妨げるとともに、大学、学会などの自律的な集団に対しても、その自立性の阻害となることは明らかではないでしょうか。 そこでお聞きしますが、憲法23条で保障された学問の自由について、「個人の学者の研究の自由」だけでなく、「学者同士のコミュニティーや学会」などの団体、組織としてもその自立性、自主性を保障するものと考えますが、区長の認識を確認いたします。 (5)各界からの抗議声明 拒否された6名はいずれも人文・社会科学系の研究者で、安倍政権時代に安保関連法などに異を唱えていた方々です。政府の意に沿わない研究者を排除することは重大な問題です。 菅首相の任命拒否に対し、200を超える人文・社会学の学会が明確な説明と任命拒否撤回を求める共同声明を出しているとともに、他の分野の学会だけでなく、様々な団体が憂慮、抗議の声明を発表し、11月1日時点で670団体を超えています。 日本自然保護協会、日本野鳥の会、世界自然保護基金ジャパンの3団体は「今回の日本学術会議会員の任命拒否は、政権が学会及び研究者に圧力をかけていることにほかなりません。」として共同の抗議声明が出されています。 宗教法人「生長の家」からは、「今の時代、科学的真理の探究を操作しようとする政治が、宗教的真理の探究を尊重するなどということはあり得ないと考える」として「真理探究への政治の介入に反対する」声明が出されています。 前学術会議会長であり、前京都大学総長の山極寿一(やまぎわ じゅいち)氏は、「最高権力者が『意に沿わないものは理由なく切る』と言い出したら、国中にその空気が広がる。」「それは着実に全体主義国家への階段を上っていく」と述べています。 また、「学問の自由への国家権力の不当な介入と非難する意見があるが、私はそもそも民主主義の問題だと思う。」とも指摘しています。 【問11】 【2−7】(多くの学会が抗議声明を出していることに対する区長の認識) この様に多くの学会、団体、個人から声があがっていることは、政府の意に沿わない意見は排除していくという菅政権の強権的な手法に対する、重大な危機感の表れではないでしょうか。区長はこのことを、どのように受け止めているのか、答弁を求めます。 【問12】 【2−9】(区長として、国に意見を上げることを求める) 菅首相による任命拒否問題は、学術会議だけの問題ではありません。日本の民主主義の問題であり、日本国民全員の問題です。学術会議会員任命拒否を撤回するよう菅総理に対し、区長が意見をあげることを求めますが、如何でしょうか。 この点をお聞きして次のテーマに移ります。 3.児童館について 最後のテーマは児童館についてです。 (1)これまでの杉並の児童館 杉並区では、長年の地域住民の運動によって、一つの小学校に対して一つの児童館の設置を実現してきました。41館の児童館は、乳幼児、小学生、中高生など0歳から18歳までの子どもたちの居場所として機能してきましたし、その地域の子育て支援の拠点としての役割と、町会・自治会など様々な地域住民と子どもたちが接するコミュニティーの拠点としての役割も担ってきました。 (2)施設再編整備計画により、施設の縮小、削減が前提の再編へ しかし、施設再編整備計画によって、児童館施設の全館廃止方針が示され、現在までに9館の児童館が廃止され、機能の分散化がすすめられました。 小学生の居場所は児童館から小学校内に移され、学童クラブも大規模集約化が進められています。 児童館が廃止され子ども子育てプラザも設置されない地域では、乳幼児親子の居場所がなくなり、中高生の居場所も奪われることとなってしまいました。 また、小学校で行われていた学校校庭開放事業や放課後子ども教室などは、児童館施設での居場所事業と並行して行われており、地域によっては小学生の放課後の居場所は学校校庭開放や放課後子ども教室と児童館とが選択できていました。児童館が廃止されてしまうと、小学生の居場所の選択肢が減少してしまいます。 小学校内で進められる放課後等居場所事業では、事前登録が必要で、ビブスの着用が押し付けられ、未就学児と小学生の兄弟が一緒に遊べないなどの問題が指摘されています。 2019年10月に杉並区が発行した区民意向調査には、児童館が廃止された地域の保護者からの意見として、「放課後居場所事業」については、「昨年までの学童・児童館と違い、放課後居場所に来た子どもと、学童の子どもが自由に遊べなくなりました。児童館のような子どもの社交場ではなくなり、託児所という風です。新しくなり良くなるのかと期待していましたが、残念な状況です。なんとかなりませんか。」との声が載せられております。 また、小学校に移設され民間委託となった「学童クラブ」については、「若いスタッフの方々の子どもへの接し方に不安を感じています。全体に余裕がなく感じます」との声もありました。 (3)今後の児童館施設としての在り方の改めて検討すべき 今一度、再編整備計画で進めてきた児童館の廃止と機能の移転・分散については、立ち止まり、あらためて「あり方」から見直す必要があると指摘するものです。 【問13】 【3−1】(あり方の検討について) 先の決算特別委員会では、こうした我が党区議団の質問に対して、子ども家庭部長からは、「現在、児童館の再編が進んでいる中で、この児童館、学童クラブ、あるいは放課後等居場所事業、この質をどうやって確保していくか、それから子ども達にとってどういうことが望ましいか、こういうことについて子ども家庭部内で検討を始めています。」との答弁がありました。 部内での検討を始めているとのことですが、具体的にどのように検討を行っているのか確認したいと思います。 現場の職員や児童館館長の声が反映されているのか、検討メンバーの人数と役職など構成を示してください。また、検討の期間はどれくらいなのか、いつから始まり、いつまでを目途に行うのか示してください。 (4)2006年(平成18年)の検討の結果 2006年に杉並区が発表した児童館の在り方検討会報告では、児童館内にある学童クラブの定員増加により、一般来館が圧迫されているという課題の指摘もありましたが、その解決には児童館と学校や地域の様々な取組みとの連携の中で放課後の居場所づくりを再構築すべき、としており、決して児童館を全館廃止して小学生の居場所を小学校の中の居場所事業のみにするという方針ではありませんでした。 一つの小学校区に一つの児童館がある利点を生かして、今後もさらにその機能を強化していく必要があるとし、児童館という施設の機能拡充が必要と結論付けていたのです。 (5)2006年の在り方検討では有識者も参加していた また、杉並区の在り方検討会には、社会教育学や発達心理学などに精通した学識経験者や、子ども関係NPO法人の関係者、児童委員、青少年育成委員、PTAや学童クラブ父母会、地域子育てグループの関係者など、子どもにかかわる様々な立場の方が外部有識者として参加して検討が行われていました。 【問14】 【3−2】(外部の有識者の意見も聞くべき) 今回の検討についても、当時と同様に、専門の外部有識者の意見も取り入れるべき、と考えますが区の認識は如何でしょうか。 【問15】 【3−3】(検討の際のアンケートの実施方法について) 先の決算特別委員会では「子ども達に実際にアンケートを取る、その準備も現在進めています。」との答弁もありました。子どもたち本人の声を聴くことは大変重要です。 アンケートの対象年齢は何歳から何歳までとするのか。また、学校や保育園、幼稚園で配布するのか、保護者の意見を聞くアンケートを行うのかなど、具体的なアンケートの実施方法を示してください。 さらに、保護者だけでなく町会、自治会や地域で活動されている方々、子育てや子ども達の居場所や遊びに携わる方々など、児童館を通して子どもたちとともにコミュニティーを形成してきた方々へのアンケートも行うよう求めますが、如何でしょうか。 【問16】 【3−4】(検討結果について) 区からは「一定の考え方をまとめて次の施設再編整備計画の方に反映できるものは反映させて行きたい」との答弁もありました。 一定の考え方はいつ頃を目途にまとめるのか、その時期に示してください。また、まとめについては区民や区議会へは報告を行うべきと考えますが、どのように報告を行うのか確認いたします。 (6)他自治体での児童館等のあり方検討の状況 ここで、他の自治体での児童館等のあり方の検討についても、触れたいと思います。 東京23区および都内26市、合わせて49自治体について、児童館等のあり方検討の状況を調べてみました。23区のうち17区で、26市のうち15市で、合わせて32の自治体で、児童館等のあり方について検討を実施した、もしくは検討中との回答がありました。 そのうち、在り方の検討を進めた結果、施設としての児童館について、現状維持もしくは拡充と結論を出したのは23の自治体と検討を行った自治体の約7割に上ります。 墨田区の検討報告では「子どもたちが自立を身に付ける絶好の場所が児童館である」と、その重要性を位置づけ、更に「学校生活から切り離された放課後の生活の場として児童館に学童クラブを設置し(中略)分室を設置する場合は、できる限り学校生活から独立した放課後の居場所としての環境整備が必要である。」と指摘しています。 日野市は報告書で「児童館は日野市にとって必要であるということ、持続して発展し続けるべき存在であることが明確になりました」と、施設としての児童館の重要性を指摘しています。 目黒区では、一部民営化や児童館の役割の再構築は行うものの、拡充整備の要望が寄せられている地域では児童館の拡充整備の検討を行うとしています。 この様に、近年児童館のあり方検討を行っている自治体のうち7割の自治体で、児童館施設を維持し、小学生の居場所の確保を行っております。こうした自治体の多くは、小学校での居場所事業と児童館での小学生の居場所事業が平行して行われているのです。 一方、板橋区では38館の児童館を26館へ削減し、児童館を新たな地域子育て支援拠点事業施設に転換するとの方針を出し、小学生の放課後等の居場所事業を小学校全校で実施しています。 しかし、あり方検討の結果、板橋区は「学校施設外での活動を希望する小学生もいることから、『新たな児童館』は、引き続き」「小学生が放課後を過ごす場所の選択肢の一つに位置付けます。」と、小学生の居場所としての機能を児童館施設で存続しています。 検討が終わっていても、児童館や小学生の居場所がどのように変わっていくのかが不明確な自治体も一部有りましたが、大半の自治体が児童館を維持存続させていますし、削減しても小学生の居場所として児童館施設を確保しています。 杉並区のように、小学生の居場所を小学校内の放課後居場所事業にすべて移転し、児童館を全館廃止する方針を出しているのは、練馬区などごく一部の自治体に限られています。 【問17】 【3−5】(他自治体の検討結果を調査し、良いものは取り入れよ) 杉並区で検討結果をまとめるさいには、少なくとも、こうした都内自治体の検討結果を全て調査したうえで、取り入れるべきものは取り入れることが必要と考えますが区の認識はいかがかでしょうか。 【問18】 【3−6】(児童館の施設としての維持・拡充を求める) 最後に、施設再編整備計画での児童館の全館廃止計画を撤回するとともに、子どもの居場所の維持・拡充を強く求めますが、最後に確認し一般質問を終わります。ありがとうございました。 |
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