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2020年杉並区議会第一回定例会予算特別委員会意見開陳(富田たく) |
日本共産党杉並区議団を代表して、令和2年度杉並区各会計予算と関連議案に対する意見を述べます。 【新型コロナウイルス対策について】 まず、新型コロナウイルス対策についてです。感染が広がるなか、感染拡大の防止と区民のいのちとくらしを守るために、区が責務を果たすことを強く求めるものです。 日々状況が変わるなかで住民への迅速な情報提供を実現し、相談窓口の周知や感染拡大防止に係る情報は区ホームページだけでなく、紙媒体での配布や掲示等の様々な手法を活用し、高齢者世帯等にも速やかに情報提供を進めることを求めます。 国による小中学校の休校要請は児童生徒や保護者だけでなく、学校教職員や保護者の勤務先にも大きな影響を与えております。今後の休校の扱いについては、教員、子ども、保護者の声をよく聞き取り、学校運営に反映させることを求めます。また、国が支援を表明していますが、その支援から漏れる方が出ないよう、区としての実態把握に努めていただきたいと思います。 また、東京都は自治体へのヒアリングなどを行わずに、医療機関へのマスクの配布などを進めようとしているようです。区から都に対して連携を図るよう言っていく必要があると思います。私たちも、国会議員団や都議団と連携し、区への情報提供などに努めていくことを、改めてお伝えしておきます。 次に区民のくらしと負担の実態についてです。 昨年10月、自民公明安倍政権により消費税10%への増税が行われ、国民生活と日本経済に大きな影響を与えました。アベノミクスによる貧困格差の拡大と、固定化が進むなかでの消費税負担増によって、低所得世帯や自営業者に追い打ちがかけられている状態です。 消費税の2%増税により、各家庭の負担増がどれほどになるのか、日本経済新聞が試算しています。 年収400万円から500万円の世帯では軽減税率などを加味しない単純計算で2%の増税により、年間4万5千円の負担増となり、消費税負担の年額は21万2千円となると試算されています。年収の5分の1が消費税で消えていく大変重たい負担となっています。 こうしたなかで杉並区の来年度予算が、国民生活を守るための予算となっているかが、大きく問われています。 ◆区民負担の現状について 予算審議では、国民健康保険料など区民負担について質疑を行いました。 【国保くしやまさん原稿】 国民健康保険は、被保険者の所得水準が低いにもかかわらず、保険料負担が重いという構造的課題を抱えていることは、特別区長会も繰り返し認めてきました。にもかかわらず提案された国保条例は、介護分を含めた均等割を600円値上げし、1人当たり6万8400円とするものです。 均等割額は18年連続値上げとなり、その結果、年収400万円40代夫婦と子ども2人の4人世帯の来年度の国保料は51万円余となります。10年前の2.07倍、年収の12%、1割以上という、余りにも重たい負担が、あまりにも急激にこの世帯を襲っています。 国は、この間、財政投入したと言いますが、杉並区の国保会計でみれば、都道府県化が実施された2018年度は前年と比べ、国と都からの歳入が19億円減額となったことを区は認めました。 さらに問題は、都への納付金額の減額措置と区の一般会計法定外繰入の縮小・廃止を進め、再来年度以降も保険料を引き上げようとしていることです。被保険者の負担を増加させ、生活そのものをさらに困難に追い詰めるもので、許せるものではありません。国と東京都に対しては抜本的な財政負担の拡充を区としても要求すること。また、区の法定外繰り入れを継続して保険料の値上げをストップさせるとともに、子どもの均等割の軽減など、子育て世帯への負担軽減を早急に行うよう求めるものです。 負担増は国民健康保険料だけではありません。今年度から来年度にかけて所得税や住民税については減額されているように見えますが、10年間の推移でいえば、やはり値上がりしています。先にあげた年収400万円の4人世帯では10年間で、所得税は2.64倍となり、住民税は2.09倍です。先に示した国保料の値上げや消費税の増税、年金保険料と合わせた税と社会保険料の負担の合計は年額で128万円を超え、年収400万円の3割が消えていく計算です。 こうした負担増の実態に目を向けず、「社会保障消費税の充実のために消費税の増税は必要」とする区の姿勢は問題があるものと指摘するのもです。 【施設使用料の見直し】 税や社会保険料だけでなく、杉並区では、区立施設使用料の値上げも進められてきました。 2015年の使用料見直しでは区内団体の登録減額制度の廃止と使用料の計算方式の変更により各施設で2倍近くの値上げ、施設によっては3倍以上となった施設もあります。税や社会保険料の負担増が家計を圧迫する状況で、低所得者世帯の施設利用を守るためには、使用料の値上げは許されるものではありません。 こうした使用料値上げの理由として使われたのが「受益者負担の公平性」でした。この考え方の一番の問題は、区立施設の充実による区民福祉の向上という姿勢を区が投げ出してしまっている点です。 区立施設の利用により、区民は生涯学習や芸術活動といった文化的な活動を行っています。また、区の体育施設を通しても、健康維持と共にやはりスポーツという文化を育んでいます。こうした活動を支えるのが区の役割であり、その結果が区民福祉向上にもつながります。 しかし、区民の活動を支えるどころか、施設を使わない人からの税金も使っているのだから施設を使って利益を受けた区民に負担を増やすんだと「受益者負担の公平性」という言葉で施設使用料の値上げを行ってきたのが杉並区です。今回の改定案では、余りにも高くなりすぎた会議室、集会室などは僅かに使用料を引き下げますが、体育施設の使用料は更に値上げされます。 質疑ではパブリックコメントに寄せられた区民の声を取り上げ、値上げに賛成している意見がたった3件なのに対し、値上げに反対や否定的な意見は39件で約8割にのぼることを指摘しました。 区は、こうした8割にも上る意見を一切取り入れずに切り捨てたことが、質疑で明らかとなりました。区民の切実な声に耳を傾けないという姿勢を転換することを強く求めるとともに、区民の声を受け止め、2015年に行った施設使用料の大幅値上げ以前の水準に戻すよう強く求めるものです。 【財政調整基金の積立額が10年間で2倍に】 税や社会保険料、施設使用料などの負担増が区民を襲う一方、杉並区は財政調整基金の積み立てを大幅に伸ばしてきました。2011年に224億円だった残高は、今年度、2019年度末は458億円と9年間で256億円の積み増しで、2.3倍にとなっています。東京都の平均積立額の1.5倍です。 こうした、税金のため込みの一部を活用し、負担増や低所得に苦しむ区民生活を守ることを強く求めます。 【就学援助】 その一例を示したいと思います。今回、時間の関係で取り上げられませんでしたが、就学援助の入学準備金は、杉並区より手厚く支給している自治体が半数近くにのぼっています。 小学1年生では4万4,190円が杉並区の支給額ですが、他区ではそれよりも1万5千円以上高い6万3,100円、中学生では杉並区は5万0,110円ですが、それよりも2万5000円以上高い7万9、500円を支給しています。 今年度、杉並区で就学援助が認定された小学一年生は370人、中学一年生は411人、他区と同様の入学金準備金を支給するのに必要な予算は、単純計算で約2000万円です。今年度末見込みの財政調整基金残高458億円のたった0.04%を活用するだけで、入学準備金を他区と同水準に引き上げることができます。 財政調整基金については、こうした活用を強く求めるものです。 就学援助については入学準備金の支給額拡充とともに、認定基準を平成25年度の生活保護基準引き下げ前に戻し、就学援助が必要な世帯が受給できるよう改善を求めます。 また、保護者へのお知らせを区ホームページで公開したことについては評価いたしますが、認定基準の目安額が控除後の所得額での表示であり、年収と勘違いする方もいると思います。所得額だけでなく、収入額、いわゆる年収額も参考として記載することを求めます。 【個店支援について】 消費税増税の影響については、区内商店街、個人商店への影響についても目を向けなければなりません。 この間、我が党区議団は10%への増税について区内個人商店を周り320件を超えるお店で聞き取り調査を行いました。その結果、45%のお店で売り上げが減少したと回答し、中には売り上げが2割、4割減少したとの声も寄せられています。 こうした状況のなか、個人商店への支援を強化するよう求め質疑を行いました。 来年度予算案の商工費は900万円余り増額となっているものの、内訳を見ると重要な商店街施設整備助成は減少しています。 区も、以前から商店街の皆様と検討を進めると答弁してきましたが、具体化されていないのが現状です。改めて、個店支援の強化を求めるものです。 また、消費税増税とともに新型コロナウイルスの影響で、区内経済にも大きなダメージを与えると考えられます。来年度行われる産業実態調査については、そうした影響についても調査対象とすることを求めます。 【高齢者福祉について】 次に、高齢者福祉についてです、質疑では緊急通報システム、介護サービス利用低所得者の負担軽減、介護保険事業者支援を取り上げました。緊急通報システムは設置台数が年々減少している実態が明らかとなりました。一人暮らし高齢者にとっては大変重要な制度です。必要な方全てにいきわたるよう、利用条件の緩和や制度周知の抜本的強化を求めます。 介護サービス利用低所得者の負担軽減事業は、低所得高齢者の介護の負担を軽減するものですが、利用者負担が軽減される分を行政と登録事業者が負担するものとなっております。低所得高齢者にとって重要な事業ですが、事業者負担があることから実施事業者が増加していないのが現状です。事業者負担軽減を検討し、実施事業者を増やすよう求めるとともに、利用条件となる収入や預貯金などの限度額を引き上げ、区として対象を広げるよう求めるものです。 介護事業所でのヘルパー不足は喫緊の課題であり、事業所での人材確保、定着支援、研修の実施などを行う介護保険事業者支援事業は、事業所を支える重要な事業です。しかし杉並区で予定されている相談会は来年度は1回のみと不十分と言わざるを得ません。大田区は面接相談会と介護主食セミナー合わせて年に15回も開催しています。ヘルパー不足が介護事業所の存続にも影響を与える状況であることを直視していただき、支援事業の内容充実に力を入れるよう求めます。 【阿佐ヶ谷問題(野垣原稿)】 阿佐ケ谷駅北東地区まちづくりについても質疑で問題点を指摘しました。 (①樹林伐採について) 国際的に気候変動問題が注目を集めるなか、宅地化が進んだ杉並区では、現存ずる貴重な樹木を現状のまま保全することが重要です。区内の屋敷林が半減し、区としても樹木の激減を課題として認識しているのにもかかわらず、けやき屋敷の樹木大量伐採によるCO2固定量の減少量を計算しようともしない姿勢は問題です。 (②ツミの保護策) また、けやき屋敷周辺では、絶滅危惧種である猛禽類「ツミ」が生息、営巣しております。調査や都との協議、保護策の策定も完了しないまま、計画が進められていることは問題です。 (③土地換地計画) さらに、現在の河北総合病院と杉並第一小学校の換地については、土地評価基準と換地規程が施工者会で決定されておりますが、その土地の係数が杉一小用地を低く評価するものであったことを質疑で告発しました。区民の大切な財産である区有財産を守る視点が、大きく欠けているもと厳しく指摘するものです。 (⑤病院跡地の土壌汚染) 河北病院の土壌調査の質疑では、吉田副区長が他の地域の病院跡地の取り扱いについて述べておりましたが、そもそも質疑で確認したかったのは、2年前に区が「現在運営法人と連携し過去の履歴調査を実施中」と答弁していたことについて、その汚染履歴の調査結果がどうだったか、ということです。住民もこの点は不安を持ち、調査結果を明らかにするよう求めています。 速やかに運営法人に対し調査結果を報告するよう求め、議会や住民に伝えることを強く求めます。 【都市計画道路】 まちづくりに関連して、都市計画道路についても述べます。来年度予算には、補助132号線の事業化に伴う予算が含まれています。そもそも4月に事業認可を取得する予定であり、住民合意もなく強行されている道路整備はまちを壊してしまうことになりかねません。計画見直しを求める署名も5700筆以上集まっています。 住民の思いに寄り添い、乱暴な道路整備を止めるよう強く求めるものです。 【公契約条例】 党区議団がかねてより求めてきた公契約条例が提案されました。現場の労働者の処遇を改善するためにも、適切に運用することが求められます。現場の実態を把握し、より充実した条例となるようを求めるものです。 【コミュニティふらっと条例】 区立コミュニティふらっと条例につてですが、この新たなコミュニティ施設は区立施設再編整備計画によって、児童館の全館廃止やゆうゆう館の削減を進めることが前提となる施設整備であり、多くの問題を抱えていることから賛同できません。 【区長公用車について】 次に、区長の公用車使用についてです。 この間の党区議団の指摘で、区長車の使用に関する基準が作られたことは重要です。また、基準に基づいて日程表が記録として残されるようになりました。しかし、区長車を使用していたのにもかかわらず、日程表への記録がない運行も散見されます。また、情報公開請求で取り寄せた資料からは、懇談等の相手、場所の記載が黒塗りで、公務かどうかの確認ができないものもありました。 こうした点について、公務性が確認できる記載をすべきと指摘しましたが、区長からは、「公務性という意味が分からない」と開き直る答弁や、「医者でも弁護士でも守秘義務があると同じように、責任ある立場に立てば同様であるといった答弁がありました。 そもそも、透明性の確保というのは区の答弁で出てきた言葉で、そのために記録を残すよう基準を作ったのも区であります。 公務という言葉の定義も、区長車の使用に関する基準の第2条で明記されておりますので、基準の内容を再度確認し、後から区民が見ても疑問を持たれない記録を残すよう求めるものです。 【賛否の表明】 以上、述べてまいりました理由により、予算関係については、議案第30号令和2年度杉並区一般会計予算、31号・国民健康保険事業会計予算、32号・用地会計予算、33号・介護保険事業会計予算、34号・後期高齢者医療事業会計予算には反対いたします。 関連議案については、第6号、第10号、第13号、第15号、第16号、第17号、第42号、以上7議案には反対。 第4号、第5号、第7号、第8号、第9号、第11号、第12号、第14号、第18号、第25号について、以上10議案について賛成いたします。 最後に、多くの資料を準備していただいた職員の皆様に厚くお礼を申し上げ、意見開陳を終わらせていただきます。 |
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