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2020年杉並区議会第一回定例会一般質問(酒井まさえ) |
日本共産党杉並区議団を代表して、認知症対策について、放課後等デイサービスについて、移動支援事業について質問します。 まず、認知症対策についてです。 昨年10月、知人のケアマネジャーから、ある家族の住宅のことで相談を受けました。 その家族は、78歳の母親と透析を受けている80代の父親、そして精神疾患を持つ50代の息子の、3人で暮らしていました。息子が自宅に放火し、本人は亡くなり、母親は弟の家に夫とともに避難しましたが、その後の住まいをどうしたらいいかという相談でした。幸い、両親とも、ケア24が対応して入所することができました。 母親の認知症はかなり進んでいて、避難先の弟からは、介護がとても大変だったことを聞きました。私も、以前、看護師として、認知症の家族の困難事例を多く見てきましたので、認知症の進んだ母親と生活する家族の苦労はどのようだったか想像できます。 Q1−1 こうした悲惨な事件が二度と繰り返されないように、区としても力を尽くすことが求められると思いますが、本来、支援が必要な認知症の人に支援の手が届いていない現状があります。区はこのことを、どのように認識しているのか伺います。また、地域で孤立している認知症の人について、区の支援に繋げる取り組みを強化すべきと指摘しますが、区の認識を伺います。 厚労省は、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると推計しています。 昨年、厚労省は、「新オレンジプラン」に代わる「認知症施策推進大綱」を出しました。 大綱は、従来掲げてきた「共生」に加え、「予防」を位置付け、2025年までに、70歳代で認知症になる人の割合を6%減らすなどの「数値目標」を盛り込みましたが、「政府が「予防」を前面に打ち出すことは、発症した人を「予防を怠った人」とみなす差別的風潮を広げかねない」と、反発を受け、予防数値は取り下げました。 認知症の人や家族が切実に求めているのは、早期発見から初期対応、家族への支援、終末期のケア、看取りまで切れ目なく治療と支援を行う体制の構築だと考えます。 Q1−2 昨年、「認知症施策推進大綱」も出されましたが、区は、介護、医療の関係者の意見を踏まえ、認知症対策についてどのように取り組んでいるのか伺います。 認知症対策については、区も目標を持ち取り組んでいますが、その取り組みが今日の状況にふさわしいものとなっているのか、ただしていきたいと思います。 まず、認知症サポーター、キャラバンメイト、認知症カフェについてです。 認知症サポーターは、認知症についての正しい理解や対応方法を学ぶことができる「認知症サポーター養成講座」を受けた人のことで、受けた後、認知症の人や家族を温かく見守る応援者となって活動をする人です。 キャラバンメイトとは、「認知症サポーター養成講座」の講師をする人のことで、認知症カフェは、認知症の人やその家族が、地域の人や専門家と相互に情報を共有しお互いに理解する場です。 私は、それぞれの取り組み状況について、杉並区が23区の中でどのような位置にあるのか、2018年度の都の資料で調べてみました。 まず、認知症サポーター養成ですが、杉並区は、25,908人で13位で、キャラバンメイト数は309人で15位、認知症カフェは14ケ所で20位でした。 同じ人口規模の板橋区は、認知症サポーター養成はほぼ同数ですが、キャラバンメイトが511人で5位、カフェは28ケ所で9位でした。 認知症を取り巻く状況や、区長の予算編成方針では「年齢や障害の有無にかかわらず、誰もが地域社会の中でいきいき暮らせる環境を整えることは区の重要な責務の一つであると考えております」と述べており、このことからも改善が求められます。国の大綱では、認知症サポーター養成は2020年度までに、全国で1,200万人を目標としています。 Q1−3 認知症の方もいきいき暮らせるためにも、大綱の目標を踏まえ、認知症サポーター、キャラバンメイト、認知症カフェのますますの拡充が必要だと考えますが、区の見解をうかがいます。 私も認知症サポーター養成講座を受けました。受けたみなさんは、意欲のある人たちで、何か役に立ちたいと思っている人たちでした。この人たちがまちで活躍したら、認知症にやさしいまちができると思いました。 しかし、介護の現場からは「認知症のサポーターはたくさんいるようだが、どんなことをしているか見えない」という声も聞かれます。そこで、区の担当課やケア24に、認知症サポーターが各地域に何人いて、どんな活動をしているか実態を問い合わせてみましたが、把握されていませんでした。他の自治体では、「認知症サポート養成講座」を受けた人をそのままにしない取り組みが、各地で広がっています。 Q1−4 区はケア24と連携し、認知症サポーターが地域でどのような役割を果たしているのか、行政として実態を把握し、サポーターの役割と取り組みの推進に責任を負うことをすべきではないでしょうか。また、フォローアップ講座、ステップアップ講座開催の強化も求めますが、区の見解を伺います。 次に、認知症初期集中支援チームの実態についてです。 認知症初期集中支援チームは、認知症専門医の指導のもと医療、福祉の専門家が、認知症が疑われる人や、認知症の人及び家族を訪問し、医療や介護に繋げる支援で、非常に重要な事業です。杉並区は、2015年から取り組みはじめ、2018年度の目標は60件としていましたが、実績は38件でした。60件の目標数値は、これまでの認知症高齢者の訪問実績からとのことでしたが、開きがある現状です。 Q1−5 そこで伺いますが、目標数値より少ない理由と、その対策についてうかがいます。また、大綱の目標からどうなのでしょうか、伺います。 次に、若年性認知症支援についてお聞きします。 18歳から64歳までに発症した認知症を若年性認知症と呼んでいます。 働き盛りの世代がかかるため、高齢者以上に家庭や、職場への影響が大きく、精神的、経済的負担も大きくなります。また体力があるので、介護は大変になります。 若年性認知症は「本人も周りも変化に気付いたが、受診してもわからず、診断が遅れた。症状が出て2年後に診断された」など、発見が遅れる傾向があります。 また、「相談するところがほしいが身近にない。社会の理解も乏しい。」などの声も聞きます。若年性認知症に対する総合的な支援の拡充が求められます。 Q1−6 若年性認知症の実態に対しての区の認識を伺うとともに、若年性認知症の方の人数、区として今後経済面の支援など、どのように支援を拡充していくのか伺います。 若年性認知症の人は、身体は元気で社会参加への意欲が強い人が多いのが特徴です。一方、高齢者のデイサービスに行っても話が合わない、なじめないなどの声も聞きます。集える居場所がまだ少ない状態です。 練馬区では、通所介護施設「練馬若年認知症サポートセンター」を開設し、若年性認知症に特化した専門性の高いデイサービスを行っています。たとえば、就労型支援活動では公園や道路の美化活動、家事活動では料理や食品づくり、そのほか、園芸や体力作りなど、個人の特性にあわせたプログラムを展開しています。練馬区のほかにも、世田谷区、目黒区で若年性認知症デイサービスが取り組まれています。 Q1−7 若年性認知症の特徴からも、他区が行っている、若年性認知症デイサービスの開設を求めます。区の見解を伺います。 次に、認知症高齢者グループホームへの入居費助成制度について伺います。 認知症グループホームはワンユニット9人までの少人数で、食事、入浴、排せつなどの介助を受けながら共同生活をし、家庭と同じような環境で生活が送ることができる施設です。 私も看護師時代、認知症高齢者には、交流や刺激の少ない特養ホームよりも認知症グループホームの方が適していると、勧めてきました。 ところが、認知症高齢者グループホームは、特養ホームと比較して入所費用が高額で減免制度もありません。要介護度によって決まる利用料のほかに、家賃、食費、管理費なども必要となり、食費、水光熱費、共益費などを合わせれば、15万から20万円は必要です。 Q1−8 認知症高齢者グループホームの入居費用の負担が、高齢者の入所を制約している現状がありますが、区はどう認識しているのですか? 2015年2月、厚労省は、市町村が任意事業としてグループホームの家賃等の助成事業を実施することを認める事務連絡を出しており、都内でも助成を開始した事例もあります。区としても、家賃助成等を検討すべきですが、区の見解をうかがいます。 次に、認知症高齢者の事故補償についてです。 2007年、愛知県で認知症高齢者が線路に入り電車にはねられ死亡した事故で、鉄道会社が事故の損害賠償を求め家族を訴えました。2016年最高裁は「遺族には賠償責任はない」と判決が出たことから、認知症とその家族が潜在的に抱える高額賠償のリスクが注目を集めました。国による救済制度の創設も検討されましたが、見送られました。 そうした中、認知症の人が徘徊によって鉄道事故等を発生させ、家族が損害賠償責任を負うことになった場合等に補償される保険が注目されています。都内では葛飾区がはじめて導入しました。保険料は区が負担し、補償金額は最大5億円、徘徊時に負った障害等に起因する交通事故での死亡や後遺障害は最大50万円が補償されるというものです。こうした事故補償制度は、国分寺市も実施し、中野区でも今年2月1日から登録申請受付を開始しています。 Q1−9 認知症高齢者の事故補償が自治体に広がっていることについて、区は、どのように認識していますか?国に対して一律に仕組みを求めるとともに、区としても、認知症高齢者救済の立場から事故補償についても検討すべきと考えますが、区の見解を伺います。 認知症対策の質問の最後に、認知症の理解を広げるための宣言や条例についてお聞きします。 全国では、宣言や条例で、認知症やその家族を支援する動きがひろがっています。宇治市の「認知症の人にやさしいまち・うじ」、青森県五所川原市の「認知症の人をみんなで支え合うまちづくり宣言」、福岡市の「認知症フレンドリーシテイ宣言」などです。 お隣の世田谷区では、昨年12月、認知症になっても希望や人権が守られ安心して暮らせるまちづくり目指して、(仮称)「認知症施策推進条例」を制定すると発表しました。 Q1−10 杉並区も、やさしいまちづくり、宣言をして、区民の認知症の理解を深めることと、支援の輪を広げていくことを求め、区の見解を伺い次の質問に移ります。 放課後等デイサービスについて質問します。 放課後等デイサービスは、2012年の児童福祉法改正で規定されたサービスのひとつで、学校就学中の障害児に対して、放課後や夏休み等の長期休業中に、生活能力の向上のための訓練等を継続的に提供し、障害児の成長を支援するとともに、放課後等の居場所づくりを行う事業です。 現在、区内には20カ所の事業所があります。サービスで行われるプログラムは主に生活力向上を目的としていますが、音楽療法士による音楽療法を使ったプログラム、運動を通して体を動かし、子どもの脳を良い状態にする試みをしている所など、児童や保護者のニーズをふまえ、様々な内容の支援が行われています。また、障害のある子どもたちの放課後の居場所を作ることで、仕事をしている保護者への支援にもなっています。 サービスを利用している児童の保護者からは「子どもにとって放課後デイは落ちつけるところ。できるだけ通わせたい」「障害児に合わせた活動内容になっていて、喜んで通っている」などの声が寄せられています。 Q2−1 区は、放課後等デイサービスの役割と重要性について、どう認識していますか。伺います。 サービスを利用するには、「障害児支援利用計画」を作成し、相談・申請の際に聞きとりした内容及び提出された利用計画をもとに、支給日数が決定されます。この支給日数は、国から提示された「支給の目安」を参考に、各自治体が決めています。国は、原則として、各月の日数から8日を控除した日数を上限とする、としています。 杉並区は、「小学校1・2年生は週1〜2回まで最大月10日、3〜6年生は週2〜3回で最大15日、学童クラブ併用者は、週3回学童クラブに通うことが前提のため、週2回最大10日、中学〜高校生は週5日以内最大23日」としています。状況によっては、この日数を超える場合もあるということになっています。 私は、この間、多くの保護者の方から「通所の日数を増やしてほしい」という要望を聞いてきました。「デイの回数は子どもの状況で決めるべきだが、すでに枠が決まっているというのはおかしい」「学童クラブで怪我をしてしまい、学童クラブには行けなくなり、週3日通っている。もっと日数を増やしてほしい」「学童クラブに3日という取り決めをしないでほしい」などです。 Q2−2 区はこのような保護者の声をどう受け止めていますか?見解を伺います。 私は、近隣の中野区、練馬区、世田谷区の放課後等デイサービスの様子を調べてみました。 3区とも、子どもの状況、保護者の状況に合わせて、国が示している各月の日数から8日を控除した23日通っている児童がほとんどでした。学童クラブとの取り決めもなく、併用していても、杉並のように学童クラブに3日行かなければならないという縛りはありませんでした。その他、私が聞いた9つの自治体が、「1カ月23日支給している」という回答でした。 Q2−3 区は他自治体の支給日数の実態を把握していますか。近隣区の事例を示してください。 私が調べた近隣自治体は、そもそも、杉並区のような、区独自で出している手引きに書いてある、通所日数の目安はありませんでした。 Q2−4 国の通達では、区の規定のような支給日数の制限はないのではありませんか。区の認識を伺います。 Q2−5 放課後デイサービスは、学校や家庭とは異なる時間、空間、人、体験等を通じて、個々の子どもの発達に応じた支援を行うことにより、子どもの最善の利益の保証と健全な育成を図るものであると規定されています。国の通達に沿い、支給日数や学童クラブ併用による制限はなくし、支給日数を増やすよう求めますが、いかがですか。 最後に、移動支援事業について質問します。 私たちは、情報公開請求で、杉並区が実施した23区と近隣自治体の移動支援事業調査票を確認しました。調査結果からは、この間、改善が求められている各項目において、他区での実施事例などが明らかとなっています。 余暇・社会参加の外出について、自宅以外も起点の対象としている自治体は17区、対象としていない区は杉並区を含めて6区となっています。 Q3−1 余暇・社会参加の外出については、自宅以外も起点の対象とするよう、長年にわり要望が寄せられています。見直しの際には対象とすべきと考えますが、いかがですか。また、通学・通所における支援等、余暇活動以外の支援も拡充するべきです。見直しの方向性を伺います。 この間、移動支援の支給に際して、精神障害者等の支給が制限されてきた経緯があり、改善を求めてきました。公開請求による資料では、対象者の現在の課題として、「移動支援の支給において、身体障害や精神障害には厳しい要件が設けられています。そのため、移動支援の必要性が高くても支給対象とならず、利用することができないケースがあり、支給要件の見直しが課題となっている」と区の見解が示されています。 Q3−2 移動支援に関わる対象者の課題について、区の認識を伺うとともに、支給要件については、速やかに見直すべきと考えますが、いかがですか。 Q3−3 移動支援の需要に対して、ガイドヘルパーが不足しており、人材確保を進めるために事業者支援を拡充することが求められています。報酬単価の引き上げ、人材確保や定着支援を進めるべきと考えますが区の見解を伺います。 以上、明確な答弁をもとめ、質問を終わります。 再質問します。 Q4−1 放課後等デイサービスについて、区は、受給日数を、障害児や保護者の状況の合わせているとおっしゃっていますが、私たちの調査ではそうなっていませんので、区は、実態を調査することを求めます。 そして、来年度、区独自の手引きを更新すると聞いていますが、その手引きに区独自の目安は書き込まないことを求め、区の見解を伺います。 Q4−2 移動支援事業について、余暇、社会参加の外出につて、自宅以外も起点の対象としているケースは、他区で実施しているところが多いのですが、なぜ杉並区では実施できなかったのですか?伺います。 Q4−3 区は対象の現在の課題として「移動支援の支給において、身体障害や精神障害には厳しい要件が設けられています。そのため、移動支援の必要性が高くても支給対象とならず、利用することができないケースがあり、支給要件の見直しが課題となっている」と、区の見解が示されていますが、この事について、かねてから問題が指摘されていながら、改善されていませんでした。 この問題意識を共有しているのであれば、すみやかに改善すべきではなかったのでしょうか。見解を伺います。 Q4−4 移動支援事業の報酬単価の引き上げについて、どのような問題意識を持っていますか。伺います。 |
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