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2019年杉並区議会第四回定例会一般質問(野垣あきこ) |
1、阿佐ヶ谷駅北東地区計画 日本共産党の野垣あきこです。阿佐谷駅北東地区まちづくり及び、西武新宿線について質問いたします。 ・災害に強い安全安心なまち・・・防災の視点から まず、阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくりについて、災害対策の視点から質問します。 10月12日に上陸した台風19号は、全国各地で大きな被害をもたらし、国は大規模災害復興法に基づく「非常災害」に指定しました。杉並区では過去最大の防災体制のもと、11カ所の避難所が開設され、杉一小の避難所には115名が避難しました。 区の作成した「地震被害シミュレーション」によると、M7.3の首都圏直下地震が発生した場合の阿佐谷北地区の避難者予測は、阿佐谷北1・2丁目が杉一小を最寄りの震災救援所とし、1,088人が収容可能としていますが、さらに阿佐ヶ谷駅からの帰宅困難者や滞留者も避難してくる事が予想されます。総合計画の中でも帰宅困難者対策の推進は重点とされています。 中央線4駅ごとの「駅前滞留者対策行動ルール」も制定されていますが、災害時には受け入れ可能な集客施設や事業所が少なく、一時滞在施設の確保が難しい状況とあります。 Q1−1、先日の台風や東日本大震災の時には、杉一小では阿佐ヶ谷駅からの帰宅困難者に対し、おやじの会が炊き出し等の支援を行うなど、震災救援所として非常に大きな役割をはたしました。帰宅困難者・駅前滞留者対策としても、阿佐ヶ谷駅至近である杉一小の役割は重大と考えますがいかがですか。 Q1−2、阿佐ヶ谷駅北東地区計画において、杉一小は病院跡地に移転しても震災救援所や浸水害時の避難所としての役割を果たせるのか?と区民からは不安の声があがっています。移転後、阿佐ヶ谷駅からの距離は現在の杉一小よりどれくらい離れるのか、帰宅困難者の受け入れについても今まで通り行う予定なのか、お答えください。 Q1−3、移転予定の病院跡地は、区の水害ハザードマップ上ではどのような土地か、浸水の可能性はないのか、伺います。 Q1−4、国立研究開発法人防災科学技術研究所の「地震ハザードカルテ」によると、杉一小の土地は標高42mで微地形区分ではローム台地、移転用地となる病院の土地は標高39mで谷底低地となっています。谷底低地は地盤が軟弱で揺れやすいため、地震被害が拡大しやすいと言われ、また周辺は木密地域であることから火災危険度、災害時活動困難度も高くなるという指摘がありますが、区としてはどう認識し、対策をする予定なのか伺います。 安全な場所にあり、災害時に区民の命を守ってきた杉一小を、不公平な条件で換地し災害リスクの高い土地にわざわざ移転してしまう区のやり方を、単なる区画整理事業として済ませる訳にはいきません。また、水害対策の点では、公園や空地(くうち)の少ないこの阿佐ヶ谷駅北東エリアで、けやき屋敷の屋敷林は洪水浸水時にも大きな役割を果たすと考えます。 Q1−5、森林土壌は雨水を一時的に貯留し、時間をかけて徐々に下流に流すことによって、洪水の発生を防止・軽減させるという特徴があります。けやき屋敷の屋敷林の洪水緩和の機能や浸透能について、区はどのように認識していますか。また、地区計画では樹木の7割を伐採する計画ですが、雨水貯留機能が後退する恐れや緑被率大幅後退の影響についての調査や考察はされているのか、伺います。 特に、けやき屋敷のように手入れがされている場合、浸透能はさらに高いと言えます。 Q1−6、こうした懸念をするのは、中杉通りの地下には2,400立方メートルの一時貯水施設が整備されたにも関わらず、昨年8月の豪雨では雨水が溢れ冠水しているからです。けやき屋敷の樹木が大量に伐採され、緑地部分も減少すると、こういった局所的短期集中豪雨や台風で阿佐ヶ谷地域での冠水がさらに酷くなるのではないか、区の見解を伺います。 ・阿佐谷の歴史と文化が調和したみどり豊かなまち この地区計画の目標に「阿佐谷の歴史と文化が調和したみどり豊かなまち」というのがあります。けやき屋敷は都指定の旧跡となっており、みどりに関する指定文化財の中で区内唯一の旧跡であり、貴重なもので、当然区はそれを守っていかなければならない立場です。 Q1−7、東京都に問い合わせたところ、樹木が枯れてしまったり建物が消滅した場合は、区教委と都教委で相談し旧跡指定を取り消すこともあり得るとのことでした。病院移転でけやき屋敷が解体され樹木の大半が伐採されれば、都の旧跡指定は解除となる可能性が高いと考えますが、区はどう認識しているか、旧跡を保全する意思はないのか、伺います。 また、みどりの保全に対して区は、できなければ伐採、伐採したら新たに創出すれば良いという考えがあるようですが、新しい樹木が既存樹木と同じように大地に根を張り、その葉を茂らせるのには何年もかかります。「新たなみどりの創出」と言いますが、植えればすぐに豊かになる訳ではありません。7割の大径木を伐採すれば「みどり豊かなまち」とは呼べず、後退だと指摘せざるを得ません。 Q1−8、先の決算特別委員会では、病院がけやき屋敷に移転すれば屋敷林とは呼べなくなるとの答弁がありましたが、杉並区緑地保全方針にある「杉並らしいみどりの保全地区」からは阿佐谷北一・五丁目地区は外されるのか?伺います。 我が党区議団がネットと返信用ハガキで行ってきたアンケートには、392通の返信がありました。引き続き住民の関心は非常に高く、「低層建造物が多く、広い樹林帯のある希少な駅前環境は保持して地域の魅力とするべき」など、けやき屋敷に対する意見も数多く寄せられています。また、住民団体からは地方自治法に基づく住民投票を求めたいという話も聞いています。 Q1−9、区はみどりの保全を重点とし、屋敷林を「区民共有の資産」とした実行計画があるにも関わらず、地区計画原案の意見書募集の記載を「区域内の土地所有者及び利害関係を有する方」とし、かなり限定していました。この記載にあたっては、私も所管に対し地権者以外の意見も受け付けるよう要望し、区域外からも受け付けることになりましたが、区域外の住民にも利害関係が生じるのは当然です。区は地権者以外の住民には利害関係はないという認識なのか、お答えください。 ・にぎわいや利便性が高まり、来訪者が集うまち 雑誌・建築ジャーナル9月号では「僕らの再開発」という特集が組まれ、「注目の現場」としてこの計画に関する記事が掲載されていますが、その中に「はたしてにぎわい拠点は必要か?」という記述があります。わが党区議団のアンケート等でも、杉一小移転後の跡地構想について商店や住民から様々な声が寄せられています。阿佐ヶ谷はスーパー等も充実し、個性豊かな商店街が頑張っている町で、新たに大型商業施設の誘致や60mの高層ビルは必要ないという意見が大半です。 Q1−10、地区計画の目標には、「にぎわいや利便性が高まり、来訪者が集うまち」とありますが、この来訪者のニーズとは何か、客観的に調査をしたのか。また、それは公聴会や意見書などで出されている地域住民の意見よりも大事にされるべきものか、区の見解をお示しください。 ・自然保護の条例における都との協議について けやき屋敷では、希少な猛きん類であるツミの生息が認められたにも関わらず、地区計画原案の意見書への回答では、ツミの保護には全く触れられておらず不自然とさえ感じました。都環境局の話では、区との話し合いの中で調査は専門家とよく相談すること、その際に環境省の「猛禽類保護の進め方」をベースに行うべき、ということを区にはかなり前に伝えているとのことです。 Q1−11、環境省の猛禽類保護の進め方では、「営巣場所の発見及び少なくとも繁殖が成功した1シーズンを含む2営巣期の調査が望ましい。2営巣期を含む1.5年以上の調査期間とする。」とありますが、前回に明確な答弁がなかったのであらためて伺います。今後の追加調査はどのように行うのか。具体的に示してください。 Q1−12、都計審での報告には、スケジュール予定として来年の3月に都市計画決定とあるが、ツミの調査や保護策の策定は進んでいるのか伺います。都の返答もないまま、ツミの保護を無視して病院移転のための樹木伐採など都市計画の手続きをすすめることはあってはならないと考えますが、区の見解を伺います。 Q1−13、今後都との協議次第で、計画を大幅に見直さなければならないとなったら、都市計画決定を再度やり直すのか?都市計画決定の予定だけが決まっていて、都との協議の完了は決まっていない、内容も明らかにしないというのはおかしいのではないでしょうか。 Q1−14、ツミの保護策について都環境局とはどのような話をしているのか、時系列でその内容を明らかにしてください。 ・病院跡地汚染 地区計画原案の意見書の区の考え方には「総合病院跡地の土壌汚染対策については重要な課題と認識しています」とあります。学校移転や病院移転に賛成という方からも、病院跡地の汚染調査はやるべきだという声が、公聴会でも住民が行ったシール投票の場でも、我が党区議団アンケートでもあがっています。 Q1−15、第3回定例会では、病院に対し土地利用履歴や過去の医療廃棄物の取り扱い等の調査を行うよう申し入れている旨の答弁がありましたが、進捗状況を伺います。 Q1−16、また、動きがなければ区から確認する必要があるのではないでしょうか。できない理由があるのか、いつまで待つのか、地歴調査については病院運営中であっても、可能な限りの公的な届出資料の確認や聴取調査、現地調査は行うべきです。汚染対策の費用負担は別として、期限を決めて報告させる必要があるのではないか、いかがですか。 この問題を病院任せにしていては「重要な課題と認識している」とは言えないのではないでしょうか。原案説明会では、杉一小のPTA会長も「本当に教育のことを考えているのか。なぜ教育委員会はここにいないのか。意見書は地権者のみで杉一小保護者からは受け取ってもらえないのか?」と意見を述べています。 Q1−17、杉一小の病院跡地への移転は、子どもたちの教育環境と健康に大きく関わる問題と考えますが、教育委員会としての見解を伺います。 ・換地について 10月10日の施行者会で決まった「土地評価基準及び換地規定」について、わが党区議団は情報開示請求を行い、読み解いてみましたが、一般的な土地区画整理事業や換地の常識を覆すような内容でした。土地評価基準を決めるにあたり、評価員の3名中2名が土壌汚染について「評価に反映しなくても良い」「評価上問題はない」としており、汚染対策を施行者間で確認していれば、法や指針があっても適用されないとの認識で進められているのであれば問題です。 Q、1−18、日本不動産鑑定士協会連合会の「不動産鑑定評価基準に係る実務指針」では、土壌汚染の除去等の対策が行われてたとしても、土地の最有効使用の制約、汚染物質の残存の可能性、また汚染地であったということによる心理的嫌悪感(スティグマ)などにより、不動産の減価を招くことに注意を促しています。区が言うように、病院が全面的に責任を負うという理由で土壌汚染がない土地と同等とする扱いは誤りではないかと考えますが、区の見解を伺います。 Q、1−19、杉並区の交流自治体・静岡県南伊豆町は、町の地方創生事業で都市部に住む高齢者らの移住定住を促す「日本版CCRC(生涯活躍のまち)」から撤退する、と表明しました。区の所有地と共に拠点と見込んでいた隣接の病院跡地に土壌汚染が見つかり、土地取得費が高騰したことなどから断念したと聞いています。土壌汚染の有無は、土地の換地や取得の際は最も重要な確認事項であり、相手方に任せて情報が全く示されないという事態は異常なことで、区民が疑問に思うのも当然ではないのか。区の見解を伺います。 ・巨大病院建設計画 Q1−20、けやき屋敷跡に移転する病院建替計画について、構想や基本設計などは既に関係機関には示されているのではないですか?わが党区議団が資料請求した、自然の保護と回復に関する条例に基づく開発許可申請の事前相談の中で示されているスケジュールでは、病院整備計画の「事前調査・相談・設計等」は今年度の半ばには完了ということになっています。これに基づけば、構想や基本設計は当然示されているはずで、区が今の段階で知らないという事は考えられません。お答えください。 Q1−21、病院移転地であるけやき屋敷のみどり保全と、容積率の緩和はイコールではなく、みどりを残す部分については建ぺい率で制限するもので、みどりを守るという観点ではなく巨大病院建設のための容積率の大幅緩和と指摘せざるを得ないがいかがか、区の見解を伺います。 防災や文化財・自然環境保護などあらゆる視点からも、現行計画については抜本的に再検討が必要だということは明瞭です。私は、子どもたちの教育環境は何よりも大切にしたい、これからもけやき屋敷の緑に癒されたい、と思う多くの住民の願いを聴かずに進められる開発はあってはならないと思うのです。区は、将来にわたって屋敷林と杉一小という区民の大切な財産を守るという立場に立ち、住民意見や議論を活かした計画に転換させることを強く求めて、次の質問に移ります。 2、西武新宿線について 次に、西武新宿線について伺います。 今月18日の夕方に、井荻―上井草間で発生した人身事故の影響により、西武新宿線は運転見合わせ、踏切はしばらく不通となりました。一日も早い、開かずの踏切対策が求められます。8月30日に行われた都議会の環境・建設委員会では、西武新宿線の井荻〜西武柳沢間の連続立体交差事業に関する陳情の審査が行われ、都は高架化の素案作成にあたって、地下方式では単線シールドの検討しか行っていなかったことが、我が党都議団の質疑によって明らかになりました。 単線シールドとは、上下線のトンネルを一本ずつ、別々のシールドマシンで掘っていくもので、対して複線シールドという工法は、一つのシールドマシンで大きめのトンネルを掘り、その中に上下線のレールを通すというものです。 西武新宿線の中井〜野方間では、単線シールドが採用されていますが、単線シールドですと横幅は2本で14〜18メートル必要とされます。一方、複線シールドは10〜12メートル程度で済むと言われます。 横浜市では、相模鉄道本線の鶴ヶ峰駅付近で複線シールドを用いた地下化計画があります。横浜市の担当者の話では、費用面でも単線シールドより複線シールドの方が、既存の鉄道敷地内で工事がおさまりやすく、用地買収も少なくて済むとのことでした。 Q2−1、そこで、鉄道用地買収についての区の見解をうかがいます。 2004年に「運輸政策研究」という雑誌に寄稿された、「鉄道と道路の立体交差事業における事業評価の課題と改善方策」というタイトルの論文があります。執筆者は、東急電鉄株式会社工事事務所課長補佐で、運輸政策研究機構運輸政策研究所研究員である山本隆昭(たかあき)氏です。論文には、事業評価や費用便益に触れ、「環境面で優れながらも、一般的に事業費が高価な地下式に対して評価が十分なされず、結果として事業費が安価であるという理由で高架式が優先される傾向がある」と指摘しています。 また、JR東日本の宮野義康氏は、「鉄道と道路の連続立体交差事業による周辺市街地への影響について」という論文で「地下のメリットである環境改善効果が適切に評価されず」とし、高架化と地下化の便益に差が無くなる下で、「一般的に事業費の小さい高架化ばかりが選択されてしまっていると考えられる」と指摘。JR東日本の中央線の三鷹〜立川間の連続立体交差事業で地下化を選択した場合、便益の増大分は約二千億円程度という試算を示し、地下化による便益が地下化による費用の増大を上回るケースがあることも指摘しています。 Q2−2、連続立体交差事業についての学識者からの指摘、とくに環境面での効果、環境改善効果について区はどう考えますか? Q2−3、西武新宿線の西武新宿駅〜上石神井駅間の複々線化計画は、今年に入り都市計画が変更・廃止となりましたが、この計画ではどのシールド工法が採用されていたのか、うかがいます。 Q2−4、また、地上の用地買収への影響はどうだったのでしょうか。うかがいます。 先ほど紹介した横浜市の相模鉄道は、高架式の方が、大幅に工期が長くなるという比較だったそうです。側道の用地買収にかなり時間がかかるというのが理由だそうで、実際今でも、西武線の線路際には、どんどん新しい建物が建っているわけです。 住民から地下化を求める声があがっているのは、立ち退きについての不安もありますが、50年後、100年後のまちの姿や、税金を使う公共事業は必要なことに効果的に、たとえば下井草地域の住民の方からは「八成区民集会所は、区立施設再編整備計画にはひっかからなかったのに、西武線の立体交差事業で立ち退きか…」という意見も聞いています。 また、地下シールドトンネルから地上までの連絡通路についても、掘削面を大幅に縮小する技術も開発されています。 野方〜井荻間については、平成26年に中野区議会の建設委員会で「鉄道立体交差化の構造形式案の比較表」というのが出されています。概算事業費、事業期間などありますが、平成25年度委託調査結果として示されており、これも単線シールドで計算されているということです。概算でも1,500億円規模の事業です。 Q2−5、区としては、今紹介してきたような様々なシールドの工法や、住民の声を都に届け、西武新宿線の立体交差事業計画の構造形式の再考を都に求めるべきと考えますが、区の見解をうかがいます。 やり方によっては、地下方式のほうが、工期や費用も抑えられ、住民の悲願である「開かずの踏切対策」についても、早く実現する可能性があります。西武新宿線沿線のまちづくりにおいては、今回寄せられた住民の声をしっかりと反映したインフラ整備を行いながら、鉄道連続立体交差事業の事業者である都に対して、その工法等の検討を尽くすよう、地元自治体として強く働きかけていただくことを重ねて求めまして、私からの質問を終わります。 |
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