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2019年杉並区議会第三回定例会一般質問(野垣あきこ) |
1、阿佐ヶ谷北東地区まちづくり 日本共産党杉並区議団を代表して、阿佐ヶ谷駅北東まちづくり計画について、済美養護学校について質問いたします。 最初に、阿佐ヶ谷駅北東まちづくり計画、区画整理事業計画について質問します。 わが党区議団は、今回の質問にあたって、この問題について返信ハガキとインターネットによるアンケート調査を実施しました。短期間に375人の区民の方から回答が寄せられ、回答の大多数は、けやき屋敷の樹木は伐採すべきでない、ツミは保全すべき、汚染の可能性のある土地に杉一小は移転すべきでないというものでした。 しかも、「阿佐ヶ谷北口に生まれて81歳になりますが、私が生まれる前から昔からの大切な樹木を人間の都合で切ってはなりません。自然を残してください。」など、切実な思いが書き込まれていました。アンケートに寄せられた住民の声に基づいて質問します。 ①区の進め方、区画整理事業計画の認可強行について Q1、まず、区が7月31日、阿佐ヶ谷駅北東地区土地区画整理事業計画の認可を申請し、8月30日に区がこれを認可した問題です。 私たち共産党区議団は、8月21日、事業認可をしないよう区に申入れをしましたが、ツミの営巣地が確認された以上、けやき屋敷の樹木を大量に伐採し、大規模な病院を建設する計画そのものの再検討が求められていたのではないでしょうか。どう判断したのですか? 手続きとしても、ツミの保護策、樹林の保全策など、東京都自然の保護と回復に関する条例に基づいて、都との協議が終わっていないのではありませんか。なぜ計画を申請し、かつ認可したのか。お答えください。 そもそも、区画整理事業計画策定のスタート時点では、区は、東京都の自然の保護と回復に関する条例による調査と保全計画の作成、都との協議の必要を知らなかったのではありませんか。絶滅危惧種の調査についても知らなかったのではありませんか。開示文書では、課題のなかに都条例にもとづく協議は書かれていません。計画策定の委託でも、条例にもとづく樹木などの調査や、ツミの調査は、追加委託し、契約内容の変更と委託費が増額されます。ツミについての都条例への対応や保全計画の必要は想定せずに進めてきたのではないかと疑わざるを得ません。 Q2、この間の計画強行の区の態度は、ツミの保護や、貴重な樹林の保全に背を向ける姿勢であり、都条例を誠実に遵守するという態度ではありません。いかがですか。 Q3、さらに許せないことは、区民無視の姿勢です。区民にも議会にも、区画整理事業計画がまったく公表されていません。区民に影響の大きい重大な計画の認可申請をするなら、事業計画や関連調査資料を区民に示すべきではありませんか。土地区画整理法でも、個人及び共同事業であっても、都道府県事業と同様に事業計画の公衆への縦覧を定めているのではありませんか。なぜ計画や調査結果を明らかにしないのですか。 Q4、さらに、認可申請直前の7月17日、区は公聴会を開催しましたが、公述を申請した28人のうち多数は、区の計画に反対、見直しを求めていたのではないですか。公述した10人の中でも反対、見直しが多数だったのではないですか。いかがですか。そして、こうした公述は、今回の申請と認可にどう反映したのですか、無視したのでしょうか。 Q5、次に、具体的に伺っていきます。まず、東京都がレッドリストで絶滅危惧ⅠA類「ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」と指定したツミについてです。計画地でのツミの生息については、第1回定例会の答弁で明らかになり、その後追加調査を行い、営巣が確認されたことが伝えられていますが、ツミに関する調査結果の詳細を明らかにしてください。 Q6、さらにどのような調査をしたのか明らかにしてください。都が条例の手引きで紹介している環境省の「猛禽類保護の進め方」では、「保全措置を検討するには、営巣場所の発見及び少なくとも繁殖が成功した1シーズンを含む2営巣期の調査が望ましい、とし、2営巣期を含む1.5年以上の調査をすべきとしています。区はどれだけの期間をかけ、どのような調査をしたのか、今後の調査計画についてもお答えください。また、調査を行った事業者についても明らかにしてください。 Q7、そのうえで保護策の検討について伺います。 環境省の「猛禽類保護の進め方」では、営巣中心域については、次のように記載されています。「この区域の改変や立ち入りは、繁殖の失敗や繁殖地の放棄につながるおそれがある」「この区域においては、住宅、工場、鉄塔等の建造物、道路の建設、森林の開発は避ける必要がある」 こうした規定によれば、ツミの保護のためには、樹木を伐採し病院を建設すること自体、許されないということになるのではありませんか。どう認識しているのですか。 Q8、さらに、都の開発許可の手引きでは、「行為地が樹林地である場合、土地の改変等を行う区域の周辺に現存樹林の樹高以上の幅の残留緑地を確保すること」また「建築物や擁壁等の工作物は、高木植栽やツタ等により可能な限り隠ぺいする」と規定しています。そして照明や放送施設も規制しています。区は、この手引きの指導にどう対応しようとしているのですか。 ③樹林の保全、緑の確保について ツミの保全と共に、区民が高い関心をもっているのは、けやき屋敷の樹林が保全されるのかという問題です。 杉並区は、樹林の保全に関する区民の質問にたいし、「可能なかぎり保全する」とくりかえし回答してきましたが、具体的計画はまったく明らかにしてきませんでした。第2回定例会の都市環境委員会では、既存樹木数はおおまかに100本と答えるだけで、残す本数は答えませんでした。しかし、私たちは、開示文書や公表された資料を分析した結果、既存樹木の本数は127本、保存のための診断をした本数は37本であることを確認しました。さらに都市計画審議会で、区ははじめて保存は約40本だが、病院との協議しだいとの認識を明らかにしました。 Q9、あらためて確認しますが、病院移転計画地に大径木は何本あるのですか。大径木以外の樹木は何本あるのですか。 Q10、区民には「可能なかぎり保全」と答えながら、その実態は、大径木だけでも127本の既存樹木がありながら、残すのはわずか40本前後です。既存樹木の3割程度しか残さない、7割は伐採することを「可能な限り保全」と言えますか、これは区民を欺く説明をしてきたといわざるをえません。いかがですか。 Q11、さらに、緑の後退も重大です。第2回定例会の都市環境委員会でくすやま議員が示した区の資料でも、けやき屋敷の緑被率は、7割にも及ぶものです。しかし区の発表では、これを25%にすると都計審で示しながら「後退ではない」と答弁しました。7割程度に及ぶ現在の緑被率を25%に減らすことが、なぜ後退でないのですか、お答えください。 Q12、都計審では、25%の根拠として、都市緑地法の規定だと説明しました。しかし、すでに都市環境委員会の質疑で、わが党は、自治体の判断で25%を超えることは可能であり、実際都内で40%とした西東京市の例があることを示しました。 さらに今回強調したいことは、この都市緑地法の規定は、もともと緑が少なく確保が困難な地域において緑化を促進するために、新規に開発行為をする場合に事業者に25%の緑化を求めるもので、現在7割もの緑がある箇所に適用する法令ではありません。いかがですか。 ④土壌汚染調査をなぜしないのか 次に、医療廃棄物による汚染の可能性が高い河北病院に杉並第一小学校を移転しようとし、しかも、汚染の有無について事前の調査もしてないことです。 Q13、土地区画整理法89条では、換地にあたって照応の原則、すなわち、位置や環境、地質などが移転前と大きく変わらないことを大原則にしています。この原則に照らせば、移転地の汚染の可能性をただすことは、換地計画を検討する大前提ではありませんか。さらに子どもたちの健康と安全を考えれば、汚染の有無の調査は最優先課題です。なぜ換地を決める前に調査をしなかったのですか。はっきり答えてください。 Q14、あらためて伺いますが、杉並区は、河北病院にたいし、医療廃棄物の敷地内での廃棄について、問い合わせをしたのですか。どのような回答があったのですか。問い合わせをしてないとしたらその理由、回答がないとしたらその理由を明かにしてください。回答をしない場合は、移転計画をとりやめるなどの厳しい対応をとるべきだったのではありませんか。 Q15、重大なことは、区自身の対応です。第二回定例会の都市環境委員会でも指摘しましたが、学校移転について検討するうえで、病院の土壌汚染問題は重大問題であり、そのために区の検討会(環境課も関わる)は、「病院事例情報、対策例、簡易調査、周辺配水調査」などの課題を上げていました。なぜ実施しなかったのですか。なぜ調査しなくてよいという判断をしたのか、明確に答えてください。 Q16、区民は事前調査の実施を求めているのです。ただちに調査を行うべきではありませんか、いかがですか。 ⑤公正の確保 次に、換地計画が公正、公平なものになっているのかという問題です。 Q17、国の運用指針では、換地計画の基本的考え方として次のように指摘しています。「換地計画では、客観的な判断基準に基づく換地設計と土地評価が必要であり、これらは地区の特性を考慮した換地設計基準及び土地評価基準を定め、これらに基づいて換地計画を作成することが望ましい」とありまず。計画では、この指摘はどのように具体化されたのでしょうか。 Q18、換地計画では、杉一小用地と移転先の病院用地の評価額をどう評価したのですか、そのさい汚染の可能性はどう考慮したのですか、不整形割合はどう考慮したのですか、また、杉一小の現在地の今後の容積率などの見直し等をどう評価したのですか、具体的に答えてください。 Q19、区は従来、杉一小用地の3割の権利を区は有すると説明し、私たちは過小評価ではないかと指摘してきました。今回の計画では区の権利は何割になったのですか、答えてください。 この質問の最後に、区民の意見、声に対する区の基本姿勢についてです。冒頭紹介したように、我が党区議団が行ったアンケートへの区民の回答では、けやき屋敷の樹林について「削減すべきではない」が約86%、ツミについても「保護を優先すべき」が約91%、杉一小用地での高層ビル建設は「建てるべきではない」が約86%、商業施設誘致も「反対」が約81%でした。 さらに公聴会での公述希望者でも計画に反対、見直しを求める人が多数でした。また、先日住民が行った阿佐ヶ谷駅前でのシール投票では、「阿佐ヶ谷のみどりがピンチ」の呼びかけに、「みどりを守りたい」が110人、「開発のためには仕方ない」はゼロ、「わからない」が1人という結果が出ています。また、二度目のシール投票でも賛成反対は問わず「区はこの問題についてちゃんと説明して欲しい」が、30件にも上っています。 Q20、多数の区民が、区が進める区画整理事業計画を認めていないことは明白です。区はどう認識していますか。 Q21、杉並区自治基本条例では、「地域のことは、住民自らが責任を持って決めていくことが、自治の基本」と、前文で高らかにうたっています。そして基本理念では、「主権者である区民が、自らの判断と責任の下に、区政に参画することができる住民自治の実現をめざす」と明記しています。 区民の意思を尊重する立場にたつなら、承認と執行を中止し、再検討をすべきではありませんか。区民の意思が確認できないというなら、区としてアンケートや住民投票の実施など区民意見を真摯に受け止める努力をすべきではありませんか? 2、済美養護学校について ①児童生徒数が爆発的に増えてキャパオーバー 次に、済美養護学校について質問します。 子どもの条件に合った学習環境を重視し、障がいなどを理由にした排除のない教育を実現するうえでも、区立済美養護学校の存在は重要です。 Q1、しかし、保護者などから「児童生徒数が年々増え教室不足となり、教室をカーテンで仕切って使っている」との実態が寄せられています。 私も先日視察にうかがいましたが、何年も前から音楽室、多目的室など特別教室を転用して普通教室にしている状況、一つの教室を二つや三つに間仕切りして使っている教室が七カ所もあるという実態に驚きました。区はこの実態をどこまで把握しているのでしょうか。具体的に示してください。 Q2、その結果、アコーディオンカーテンで仕切られた普通教室では大きな声や音が隣に漏れて集中できない、クールダウンするための部屋がない等、児童生徒に犠牲を強いる結果となっていることを、区はどう受け止めているのですか。 Q3、校庭も、新たに校舎を建てたことで狭くなり、運動会が大変だったいうと保護者からの声を聞きました。自分の子が出番の競技を見たら、あとは後ろへ下がって譲り合っているそうです。来年のパラリンピックの開催に向け、障がい児のスポーツ促進が求められているのに、逆に困難に追い込んでいる実態をどう考えますか。 Q4、こうした事態は、児童生徒の急増が予想されながら、児童生徒の立場にたって計画的な対策をとってこなかった結果ではありませんか。今後の児童生徒数をどう予測し、どう対策を取るのですか。特別支援学校の本来の目的を果たすためにも、具体的な対策と財政投入が必要ではありませんか。 ②教室増、分校の提案 Q5、我が党の国会での特別支援学校の質問に、文科省は「教室不足について、潜在的ニーズも含め解消計画を策定したうえで、新設校の設置や校舎の増築、分校、分教室の設置等、適切に対応するよう求めているところ」と答弁していますが、区はこうした文科省の答弁をどう受け止め、具体化しようとしているのか。 施設や用地の確保という点では、例えば近くの済美教育センターの一部移転するスペースを活用することや、北部地域の子どもたちはスクールバスで通うのに1時間以上かかるため、トイレも心配と聞いており、北部もしくは西部に分校設置すること、用地としては、旧若杉小跡地などもあると思います。その気があればできるのではないでしょうか?いかがですか。 ③しっかりとした基盤整備を こうした事態の要因は、特別支援学校にその教育を保障するにふさわしい条件を整備するための基準がないことです。40年前に23区で初めて設置した済美養護学校です。特に職員の配置や様々な取り組みにおいては、都立の特別支援学校より手厚くする努力もされています。時代の要請や区民のニーズに応え、ハード面でも更なる充実をはかっていくことが求められています。 Q6、国が養護学校の設置基準を持たない以上、自治体としてしっかりとした済美養護学校の基盤整備を本気で行うべきと考えるが、区の見解を伺います。 再質問いたします。 まず、都の自然の保護と回復に関する条例への対応及び、ツミの営巣という新たな事実への対応についてです。なぜこうした新たな事態をうけとめ、計画の再検討をしないのかの質問に対し、明確な答弁がありませんでした。 到底納得できるものではありません。そこで伺います。 第1に、ツミはけやき屋敷で発見され、さらに巣が隣接してあることが確認されるとともに、重要なことは、巣があるだけでなく、その巣で抱卵、抱雛(ほうすう、雛を抱くこと)と思われる行為が確認されたことです。この調査結果について、具体的に説明してください。 第2は、その結果、都条例の手引きによれば、けやき屋敷は営巣中心域となります。その認識はいかがですか、お答えください。 第3に、昨年の3月、今年の10月のけやき屋敷でのツミの確認についてです。ツミが発見された地点について説明してください。けやき屋敷の北東部の隅ではありませんか。具体的に答えてください。そしてこの場所は、地区計画素案では樹木は残さない、伐採予定地ではありませんか。お答えください。 第4に、けやき屋敷の緑被率は、現在7割程度と思いますが、それを地区計画素案では25%にするとしています。樹木は7割も伐採し、緑も三分の一しか残らない、これでツミが保全できるのですか。どう検討し、どう判断しているのですか。その判断は専門家の意見を聴かずして判断できない問題です。どういう専門家に聞いたのですか。区民がわかるように答えてください。 第5に、関連して25%は後退でないという都計審での発言を質問したことに対する答弁は到底納得できません。7割程度が25%に半分以下に減り、ツミの餌がなくなり、ツミが保護できないかもしれない事態が後退でないとはどういうことですか。再度答えてください。 第6に、手続きに関してです。 今回の開発行為は、東京都の自然の保護と回復に関する条例にもとづき、樹林の保全計画、ツミの保護計画などの提出とそれにもとづく都との協議が必要です。計画は提出され、その協議はすでに行われたのですか、お答えください。 提出もその計画にもとづく協議もしていないなら、なぜ区は計画の認可を申請し、区はこれを認可したのですか。事前に都の了解をとったのですか。はっきり答えてください。法令順守に反する行為を区が行うことは到底あってはならないことです。 第7に、ツミの継続調査に関してです。 今後調査とのことでしたら、具体的な調査課題や予定について明らかにしてください。 第8に、土壌汚染問題についての対応です。河北病院への問合せについて質問しましたが具体的な答弁を求めています。事実経過ですから、はっきりと答えてください。 第9に、手続きの話ではなく、移転計画を決める前に調べるべきと言っているのです。我が党区議団のアンケートでも、杉一小移転計画について、「移転すべきではない」が約47%、「移転を進める前に土壌調査の結果を示すべき」が約46%、これが区民の声です。子どもたちに安全安心な学び舎を、という区民要求に応えるのは自治体としての責務だと考えますが、いかがですか。 第10に、区民の関心が高いことは先にもアンケート等で示されており、区民の理解と納得のもとに進めるべきです。アンケート結果では区民の多数が納得していない、と示したにも関わらず、明確な答弁がありませんでした。区民多数が賛成しているという認識ですか、はっきりと答えてください。その根拠も示してください。 Q、最後に済美養護学校について、答弁は、検討してきたという事でしたが、実際に教室が足りない、校庭が狭くなっている、こういう教育現場の状況は、本来は不適切なのだということを区は認識しているのでしょうか、お答えください。 Q、杉並区の財政力を持ってすれば、済美養護学校のハード面での改善は可能です。子どもたちや教職員の負担軽減のため、早急に対策と改善を求めたいと思いますが、今一度、今後の改善に向けての具体的な見解をうかがい、再質問を終わります。 |
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