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2019年杉並区議会第二回定例会一般質問(富田たく) |
日本共産党・富田たくです。日本共産党杉並区議団を代表しまして、 ① 消費税の増税について ② 区立施設使用料の見直しについて ③ 方南町駅のバリアフリー化について 以上、3つのテーマについて一般質問いたします。 1. 消費税増税について 最初のテーマは消費税の増税についてです。 5月13日に内閣府が発表した今年3月の景気動向指数速報値では、景気の現状を示す一致指数が前月比で0・9ポイント低下し、2015年を100とした場合で、99・6となりました。 さらに、27日には同指数の改定値が発表され、99・4とさらに低く改められました。 この指数によって決定される景気の基調判断は、「下方への局面変化を示している」から「悪化を示している」へと引き下げられました。基調判断で使われる「悪化」の定義は「景気後退の可能性が高いことを示す」もので、6段階の評価のうち最も低い判断です。また、「悪化」と判断されたのは6年2カ月ぶりのことです。 ここにきて、景気の後退局面の可能性が高まりました。 景気が悪化している中で、消費税の増税を行うとすれば、それは日本経済にとって重大な悪影響となってしまいます。 過去、消費税の導入時、そして2回の増税時は、当時の「月例経済報告」ではいずれも景気は「拡大局面」、「回復の動きを強めいている」、「穏やかに回復しつつある」と上向きの判断でした。しかし、それでも5%、8%の2度の増税は景気悪化の引き金を引くこととなりました。 政府が景気悪化を認める下で、消費税を増税したことはありません。日本共産党の志位和夫委員長は、このことに触れ、「10月に増税を実施することは、歴史的にも前例のない無謀な行為であり、日本経済にとって自滅行為となる」と指摘しています。 【Q1−1】さて、ここで確認ですが、3月の景気動向指数速報値などから、多くの経済学者やエコノミストが景気の減速、後退局面の可能性を指摘しています。景気が悪化していることについて区長の認識を確認いたします。 【Q1−2】 また、景気が悪化するなかで消費税を増税することは、杉並区内の地域経済にとって大きな影響を与えると指摘しますが、区長の見解はいかがかでしょうか。 こうした経済指標の発表内容を予測していたのか4月18日、自民党の萩生田光一(はぎうだ こういち)幹事長代行が、インターネット番組で ・「景気が回復傾向にあったが、ここに来て日銀短観含めて落ちている。6月はよくみないといけない」 ・「本当にこの先、危ないぞというのがみえてきたら、崖に向かってみんなを連れていくわけにはいかない。そこはまた違う展開があると思う」 との発言を行い、消費税の延期の可能性に言及したことで世間を沸かせました。 一連の発言に対し、政府幹部や自民党幹部からは、これらを打ち消す発言が相次ぎ、財界からも厳しい批判が噴出していましたが、増税延期に言及する発言は、リーマンショック級の経済危機がない限り増税は進めるとしていた安倍首相の姿勢とは明らかに異なり、政権与党内部でも全国的な増税反対の世論に押されて、動揺が走っていることが浮き彫りとなりました。 萩生田氏の発言から一か月以上たちましたが、この間に行われたマスコミ各社の世論調査では、消費税増税反対、延期の声が過半数を占めています。 5月11、12日に行われたTBS「世論調査」では、消費税の増税に、賛成が35%、反対が57%。 5月18、19日に行われた朝日新聞の世論調査でも、賛成が39%、反対が54%。同調査では消費税増税で景気に悪影響が出る不安についても調査していますが、「全く」「あまり」を合わせた「不安を感じない」が22%、「大いに」「ある程度」を合わせた「不安を感じる」が75%となっており、この調査では消費税増税に対する国民感情が見て取れます。 今年の第1回定例会の代表質問でも取り上げましたが、我が党区議団は区内で営業する自営業・個人商店を対象とした「消費税増税に関するアンケート」に取り組んできました。 現在までに328店舗から回答をいただきましたが、集計作業を行っていて私が驚いたのは「現在の8%の消費税を価格に転嫁できているか」との質問に対し、「出来ていない」との回答が53%にものぼっていたことです。 大規模店やチェーン店との価格競争などから、8%分の消費税をお客からはもらわずに、自分たちの売り上げを削って国に納めている。そうしたお店が区内の自営業・個人商店の半数以上というのが、今回のアンケートで明らかとなりました。 さらに、「4年前の8%増税で売り上げが減少した」と答えたお店は51%と、半数以上にのぼっています。 その原因は8%への増税によって消費が低迷したことだけでなく、消費税を価格に転嫁できないお店で、増税分がそのまま売り上げ減少に直結していたからではないでしょうか。 アンケートには、消費税について様々な声も寄せられました。 あるお花屋さんからは、4年前の8%への増税後、「お客様が、食べるのに精一杯で花を買えない、と言っていた。」との声が、 また、ある飲食店からは、「8%になったとき値上げしないで頑張ったが、半年して本当に厳しくなり、少し値上げした。10%増税でどうなるのか・・・」との声が。 皆さん消費税の増税によって、大変な苦労をしながら営業を続けているのです。 このアンケートでは、消費税の10月からの増税について、延期すべきとの回答が23%、反対との回答56%、合わせて79%、8割近くとなりました。 【Q1−3】今年の代表質問でこうした区民の声を取り上げ、消費税増税の影響に対して区の認識を確認しましたが、区は「国において消費マインドを低下させない景気対策が実施されると認識している」旨の答弁をしていました。 仮に消費マインドを低下させない対策が実施されたとしても、先に挙げたように消費税が増税されれば、価格に転嫁できない個人商店は売り上げが減少するのは明確です。 そうした、消費税の負の影響があることを、区長はどのように認識しているのか、確認いたします。 区長は消費税の増税について「持続可能で安定的な社会保障制度を確立するため、社会保障と税の一体改革は避けて通れない」、「国民の将来不安を解消するためには一定の負担も必要になってくる」と容認する姿勢を示しています。 しかし、消費税とは、所得が低い人ほど負担割合が重たくなり、社会保障の目的の一つである“所得の再分配”、いわゆる“格差の是正”に逆行する税制度で、社会保障の財源とするには不適切です。 4年前に社会保障のためと安倍政権が8%に増税しましたが、2013年度から今年度までの7年間で、安倍政権のもとで削減される社会保障費は、額が判明しているものだけで4兆2720億円にも上ります。増税しても社会保障は削られる一方です。 消費税の導入や増税は、常に法人税減税とセットで行われてきました。現に、導入から30年間の消費税税収は372兆円ですが、同じ時期の法人税3税の減収額の累積は291兆円。 実に消費税収の8割近くが法人税減税の穴埋めになっていたというのが、統計データでも明らかです。 では、社会保障の拡充のための財源はどうすべきか。日本共産党は「消費税に頼らない別の道」を提案しています。 中小企業の法人税負担率は18%ですが、大企業は10%しか負担していません。それは研究開発減税など大企業しか使えない優遇税制があるからです。 また、所得が1億円を超えると、所得税の負担率が逆に下がってしまいます。それは富裕層に有利な証券税制があるからです。 これらの大企業、富裕層への優遇税制を改めることで、7・1兆円、さらに米軍への思いやり予算や沖縄への米軍新基地建設など、我々の税金を費やす必要のない予算を改めれば、0・4兆円、あわせて7・5兆円の社会保障の財源が生まれてきます。 こうした財源を、社会保障と、中小企業支援や最低賃金の向上、子育て、教育に回すことができれば、社会に、くらしに希望が持てる日本となるのではないでしょうか。 あらためて、区長に置かれましては、社会保障の拡充のためには消費税の増税はやむなし、との考えからいったん距離を置き、別の財源を生み出す方法に目を向けていただくよう要望するものです。 【Q1−4】そして、先に述べてきました通り、消費税の増税が区内の自営業・個人商店、中小企業の営業と、区民の生活に深刻な影響を与えていることを認識していただき、区民の商売と生活を守る立場から、少なくとも10月からの増税は延期するよう区長が政府に意思表示するべきだと考えますが、区長の見解は如何でしょうか。 この点、答弁を求めて次のテーマに移ります。 2. 使用料の見直しについて 次に、区立施設使用料の見直しについて、質問いたします。 杉並区は2014年に使用料の見直しを行い、翌年の2015年から2017年の3年間で段階的に適用してまいりました。 この見直しでは多くの施設の使用料が大幅な値上げとなるとともに、登録団体の2分の1減額制度の廃止や、プールなどの高齢者割引の縮小、学校開放の有料化など、施設にかかわる区民負担が大幅に増加いたしました。 私たち日本共産党杉並区議団は、当時の素案発表から一貫して施設使用料の値上げなどの問題点を指摘し、改善を求めてまいりました。 【Q2−1】区は使用料改定について、来年度実施にむけ本年度中に改定案策定の計画を明らかにしています。 区民生活に大きな影響をもたらすものであり、改定方針、改定案については時間的な余裕をもって、区民と区議会に明らかにすべきだと考えますが、現在の検討状況はいかがか。また、改定方針案の発表はいつ頃の予定なのか、確認いたします。 使用料の改定については、昨年の決算特別委員会でも我が党区議団がとりあげましたが、改定にあたり、次の4つの方向で改定を検討するよう提案するものです。 第1の提案は、使用料を算出する際の施設運営費から算出した「原価」にたいし、一定の割引率を適用することです。 現状の集会施設や体育館の使用料は、施設に係る全ての経費から、臨時的経費や資本的経費などを除き、面積案分や、使用可能な総時間数で割るなどし、1時間当たりの使用料の「原価」を算出し、この「原価」の100%を使用料として利用者に負担させています。 しかし、他区では算出された「原価」に対し、区民福祉向上と文化・スポーツ活動促進など公益性を考慮し、一定の割引率をかけて最終的な使用料を算出しており、杉並区としてもこうした割引率を導入するべきです。 昨年の決算特別委員会で我が党区議団がこの点を指摘したのに対し、区からは「今御指摘の点も踏まえまして、今般の計画改定の中で使用料の見直しを行うということにしたもの」との答弁がありました。 【Q2−2】その点を踏まえ、原価に対する割引率については、どのように見直しを検討しているのかを確認いたします。 また、文化・スポーツなど区民活動の促進、区民の健康増進などを考慮した割引率を導入すべきと、あらためて提案いたしますが、区の見解はいかがでしょうか。 【Q2−3】また、現状の原価100%からどの程度の割合を割り引くのか、その点についてもどのように検討しているのか確認します。 特に、集会室、会議室など多くの施設で原価の50%としている自治体が多く、杉並区も少なくとも原価の50%以下に設定すべきと考えますが、区に見解はいかがでしょうか。 第2の提案は、登録団体に対する使用料の2分の1減額制度の復活です。 区は前回の見直しで登録団体の2分の1減額制度を原則廃止してしまいました。 使用料の見直しによる値上げと、2分の1減額制度の廃止によって、2倍以上の負担増となっているケースもあります。 例えば、久我山会館のホールは休日午後の使用が、3時間で8000円だったところ、見直し後は18000円へと、2・3倍、実に1万円の値上げとなりました。 久我山会館を拠点としていた高齢者のダンスサークルの方々からは、 「10数年使用させていただいているが、会場費の値上げで、毎回5000円の赤字が続いている。活動をやめるかどうか考え悩んでいる」との声や、「会場費の値上げが続き、払いきれずサークルをやめざるを得なかった」といった、切実な声が寄せられています。 【Q2−4】このように、登録団体の2分の1減額制度の廃止が、区内団体の活動に大きな影響を与えていますが、その実態を区は調査しているのか確認いたします。また、調査していないのであれば、早急に調査すべきと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。 【Q2−5】23区では、現在でも登録団体制度を設け利用料を減免する自治体はまだまだあります。また、従来制度を見直した区でも、別な制度で支援継続を行っている区もあります。 たんに、登録団体というだけでなく、高齢者団体や障害者団体など一定の団体に対し、使用料を軽減している区も存在します。今回の杉並区の使用料の見直しにあたり、こうした他区の事例も参考にすべきと考えますが、区の見解はいかがでしょうか? 第3の提案は、使用料の減免制度の検討についてです。 【Q2−6】練馬区などは、団体と共に利用者個人の年齢、障害などに着目し、免除、減額制度を設けています。こうした制度について、区は承知しているか確認するとともに、今回の見直しで他区の事例を参考にすべきと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。 第4の提案は、学校開放使用料の軽減です。 杉並区は前回の見直しで、登録団体の無料制度が廃止され、無料となるのは区内在住・在学の児童生徒で構成される団体に限定されました。 学校の体育館について杉並区は、午前午後ともに1時間500円としておりますが、他区を見ると、渋谷区、墨田区、千代田区、目黒区、新宿区などは使用料が今でも無料です。また、葛飾区は一時間150円、練馬区は300円、世田谷区は316円〜360円など杉並区の2分の1、3分の1の金額となっています。 杉並区はPTA活動の場合、無料となりますが、他区ではPTA以外の団体も減額、無料となっている事例もあります。 【Q2−7】こうした他区の制度を調査したことはあるのか確認するとともに、そうした事例を参考に使用料の検討を行うべきと考えますが、区の見解はいかがでしょうか。 【Q2−8】また、児童生徒で構成される団体や、PTA活動だけでなく、児童生徒の保護者で構成される団体や、地域団体の使用に対し、減免、無料化など支援を広げるよう検討するべきと考えますが、区の見解を求めます。 このテーマの最後に、杉並区が5月7日から行った「公共施設の使用料等の見直しに関するアンケート調査」の問題点を指摘したいと思います。 この調査は当初、2000人の無作為抽出によるアンケート用紙の送付と、インターネット受付の二通りで、調査がスタートしました。 【Q2−9】この方法では、アンケートに回答できるのはごく限られた一部の方々で、ネット弱者や高齢者にとっては、意見が届けづらいアンケートとなっていると指摘しますが、区の見解はいかがでしょうか? また、誘導的な説明や質問、選択肢が多く、偏った結果となる可能性も指摘せざるを得ません。 区のアンケートでは、 “民間にもある施設・テニスコート、プールなどは、民間にない施設・公園、図書館などに比べて、負担割合をどうすべきか” といった内容の質問があり、回答の選択肢は、 ①高くしたほうがよい、 ②どちらかというと高くした方がよい、 ③どちらかというと低くした方がよい、 ④低くした方がよい、 の4つのみで、自由記述欄はありません。 そもそも、使用料などがかかっていない公園、図書館と比べさせるのですから、「高くした方がよい」を選択せざるを得ないつくりとなっています。 こうした、誘導的な設問がいくつもあり、調査方法として問題があると指摘せざるを得ません。 設問や選択肢を見直し、多くの方が回答できるよう回答期間を長くしてアンケートを再開するべきと考えますが、区の見解を求めます。 3. 方南町駅のバリアフリー化について 最後のテーマは、東京メトロ方南町駅のバリアフリー化についてです。 方南町駅は、開設当初、エレベータ、エスカレータが設置されておらず、バリアフリー化を求める要望が地域住民から上がっておりました。 地元の方々の根強い要望を受け、私も東京メトロ利用者の会の方々とともに署名運動や、東京メトロ本社との直接交渉を行ってまいりました。 2017年12月には、駅西側の環七通り沿いに新たな3番出入口が新設され、念願のエレベータ、エスカレータ、誰でもトイレが供用開始となりました。 その後、約1年半が過ぎましたが、地元の方々からは「大変便利になった」、「エレベータが出来てよかった」との声が、今でも私のもとに寄せられます。 それとともに、方南町駅の新宿・中野側の東側出入口についても、バリアフリー化を求める声が、数多く寄せられます。 というのも、西側に新設された3番出入口から東側の2番出入口までは、約175メートルも離れており、駅東側近隣の方々がエレベータを利用しようと思うと、その分、余計に歩き、かつ環七通りの大きな方南町交差点を渡らなければなりません。 また、2番出入口には開設当初からトイレが設置されておらず、地下鉄を降りてトイレに寄りたいと思うと、必ず西側改札から出なければなりません。バリアフリー化という意味では、この点も改善が求められます。 そこで、質問いたしますが、 【Q3−1】 方南町駅東側出入口のエレベータ、エスカレータ、トイレの設置等、バリアフリー化推進に向けて、区はどのような姿勢で臨んでいるのか、確認いたします。 また、東側出入口のバリアフリー化を求める根強い住民の声を、あらためて東京メトロへ伝えるよう求めますが、区長の見解を伺います。 東京メトロは2017年から「駅周辺開発における公募型連携プロジェクト」第3弾を実施し、方南町駅東側出入口近隣の開発事業で、駅との接続を前提とした開発の提案を募集しています。これは、バリアフリー化を主眼に置いて行われているものです。 【Q3−2】このプロジェクトについて、応募の状況や、東側出入口のバリアフリー化の検討状況を、区は把握しているのか確認いたします。把握していれば、その内容についてもお答えください。 さて、方南町駅では現在、池袋・方南町駅間の6両編成車両の直通車両運行に向けた駅改良工事が行われております。車椅子の方や、視覚障害者の方々にとっては、新宿・池袋方面に向かう際に必ず中野坂上駅で乗り換えることも負担ですので、6両編成の直通運転の開始が待たれるところです。 【Q3−3】 6両編成車両の直通運転開始について、東京メトロは2019年度上期を目指して取り組んでいるとしていますが、現在の駅改良工事の進捗と6両編成直通の開始時期の見通しについて、確認いたします。 最後に区内全体の状況について確認いたします。 【Q3−4】区内の鉄道駅で、エレベータが設置されていない駅、設置されてはいるが出入口ごとの整備が出来ていない駅、視覚障害者転落防止のためのホームドアや内方線付き点字ブロックが未だに設置されていない駅、などバリアフリー化が完了していない駅の数と駅名をお答えください。 また、こうした駅の早期のバリアフリー化を、鉄道事業者と協力し進めることを求めますが、区の姿勢を確認し、質問を終わります。 |
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