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2018年杉並区議会第四回定例会一般質問(上保まさたけ) |
日本共産党杉並区議団を代表し、阿佐谷地域のまちづくりについて質問します。 1.阿佐谷地域のまちづくりについて 阿佐谷地域では、杉並区が進める阿佐谷北東地域のまちづくりが大きな問題となっています。区の計画では、区画整理事業によって、杉並第一小学校は土壌汚染の可能性がある河北病院の敷地に移転し、杉一小が移転した跡地の多くは民間地権者が取得し、民間デベロッパー等の活用で、高層の巨大施設が整備されようとしています。そのために、容積率の大幅引き上げが計画されています。そのうえ、河北病院がけやき屋敷に移転改築されることで、貴重な屋敷林が削減されかねない状況となっています。 私はこれまでも本会議質問等で取り上げてきましたが、改めて計画および進め方の重大な問題点について、ただしていきます。 第一の問題点は、杉一小跡地に巨大高層ビルを建てようとし、そのために容積率など都市計画の大幅緩和をすすめようとしていることです。 区は、「にぎわいの拠点とする」ことを理由に、容積率等を緩和し、高さ60メートルの高層ビルの整備を想定しています。 しかし、巨大高層ビルの整備は、阿佐谷駅北側の景観を一変させるものであり、しかも公的施設は区の商工関係の施設だけで、あとの大半は民間の集客施設が想定されており、地域の商店街にも大きな影響を及ぼすことは明らかです。 そこで改めて、区の計画では、どのような施設になる可能性があるのか、質したいと思います。 まず、現在の杉一小の用途地域は、商業地域、近隣商業地域、第1種中高層住居専用地域に分かれていますが、区の構想では、杉一小の跡地用地全体を商業地域にすることを前提としていると思いますが、どうですか。 また現在の杉一小の用地の容積率、すなわち敷地面積にたいする施設の延床面積の比率は、現状では600%、500%、300%そして200%に分かれていますが、見直しによって全体を600%、すなわち6倍に引き上げた場合、杉一小学校の後に整備できる高層ビルの延床面積は最大で何㎡になるのですか。 容積率等の緩和は、杉一小跡地だけではありません。河北病院の移転改築が行われるけやき屋敷部分でも行われようとしています。当該地域の現状は、第一種中高層専用地域で、容積率200%、建蔽率60%ですが、どの程度の緩和を検討しているのですか。またどの程度の緩和がありうるのですか。 現在の阿佐谷駅北口で高いビルは、阿佐谷北口駅前ビルが8階建て、さらに杉一小隣の西友が6階建てです。にもかかわらず、杉一小跡地に60メートル13階ものビルを整備しようという区の計画は、駅北側の街並み、景観を一変させるものです。さらに、容積率等の大幅緩和は、地権者優遇と言わざるを得ません。区が交換で取得する河北病院用地の容積率は300%、敷地面積にたいし3倍の延床面積の建物しか建てられません。 それに対し、交換で民間地権者が取得する土地は、駅前の一等地であり、現状でも西友並みのビルが建てられ、さらに容積率の引き上げで敷地面積の5倍から6倍の延床面積の建物を建てることができるのです。 私が行ったアンケートでは、杉一小跡地に13階建てのビルを建てる計画に対しては、「息苦しい」「そんなに高いビルが建つと神明宮やけやき通りを圧迫しかねない」「自営業が衰退する」など、反対の声が多数寄せられました。 高層巨大ビルを想定し、民間地権者への優遇となる都市計画の大幅緩和、見直しは中止し再検討することを求めるものです。 第2の問題点は、杉一小跡地の巨大高層ビルの整備、運用に民間デベロッパーを積極的に参加させようとしていることです。区は、跡地での施設整備について、「民間の有効活用」を強調しています。 本来、交換によって区立小学校の跡地に建てる施設は、公共性や公益性があり、区民から喜ばれる施設であるべきではないでしょうか。新たな地権者とはそうした条件を付けて交換すべきではないでしょうか。 ところが、区は巨大高層ビルづくりに地権者とは別に民間の力を活用することを繰り返し強調しています。具体的には民間の資金投入を期待すると言われています。施設整備に民間デベロッパー等の資金が投入され、施設の管理運営を民間デベロッパーに委ねることになれば、周辺商店街との協調などお構いなしに、利益優先のビル事業になることが懸念されます。 そこでまず確認します。杉一小跡地の土地の権利者は地元地権者と一部ですが杉並区ですが、ビル整備の主体、すなわちビルの建設主及びビルの所有者は誰を想定しているのですか。 民間活用とはどのようなことを想定しているのですか。施設整備に民間資金の導入も含まれうると思いますがどうですか。区と地権者のもつ土地の上に民間が施設を整備することも否定できないのではないですか。 そうなった場合、施設は利益、市場性が最優先され、周辺商店会が懸念する大規模商業店舗などが入る可能性は規制できないのではないですか。また、そうなると区の産業商工会館が入ることすら担保されないことが懸念されますが、産業商工会館の施設内への移転はどのように担保されるのですか。 区立施設、区有地だった跡地に、区民の要望や利益に反するような施設がつくられ、運営されることは許されないことを指摘するものです。 第3の問題は、区の進める区有地の交換が、公平とはいいがたく、区民の利益が損なわれかねないという重大問題です。 区は、杉一小の区有地と河北病院敷地の民間地権者の土地を交換しようとしていますが、交換は公平に行われることが大原則であり、交換によって区が損害を被るようなことは絶対にあってはなりません。しかし、区が進めようとする交換、区画整理事業による換地は、きわめて疑問だらけです。 まず確認しますが、換地の基本原則である区画整理事業法89条が定めた換地照応の原則及び土地評価の考え方について区はどう認識していますか。 換地においては、土地の交換が照応の原則及び公平の原則に沿ったものでなければなりません。「照応」とは大体同一の条件で均衡がとれていることを言います。土地区画整理事業法は、交換の前後で土地の位置、地積、土質、環境などが照応する、すなわち大体同一であることを定めています。 また「土地区画整理事業運用方針」では、「土地評価は土地区画整理事業を公正かつ公平に行うための基本」だとし、「周辺地域の地価動向や経済・社会情勢を踏まえ、土地の利用価値が的確に反映されなければならない」としています。 今回の換地は、こうした原則に沿っているといえるのでしょうか。 まず、正さなければならないことは、区が小学校用地として受け取ろうとする土地が汚染の可能性が高い土地だという問題です。病院敷地に医療廃棄物等が埋められ土壌汚染があったことは、各地で起きており、河北病院も可能性があると思いますが、区はどう認識していますか。 土壌汚染の可能性、履歴については病院に説明を求めたのですか。その結果はどうだったのか、確認します。 この問題は、交換の照応の原則に反しているとともに、小学校の用地の基本条件、あり方の問題です。 土壌汚染がないと確認できていない土地を区が小学校用地として換地で受け取ること自体あってはならないことではないでしょうか。区は土壌汚染が発見された場合の対策は河北病院側でやると約束したと強調していますが、どのような事態になるのか不透明な中で、換地を行うべきではないと思いますが、どうですか。 次に土地価格の評価の問題です。さきほども紹介したように、国土交通省はガイドブックで「土地評価は土地区画整理事業を公正かつ公平に行うための基本」だとしていますが、今回の場合、土地評価の公正、公平性についてきわめて疑問です。 区は、区が学校跡地に約3割程度の権利を持つことで、均衡がとれた換地だとしていますが、その根拠は不明です。均等といえる具体的な根拠を示してください。 土地売買にあたって土地価格計算の基礎となる国税路線価をみた場合、私は、杉一小前の路線価は河北病院前の路線価の2倍を超えていると認識していますが、区はそのことについてどのような認識ですか。 さらに土地の形状によって建物の建築が制約を受けるいわば不整形か否かも評価額に大きな影響を及ぼすと思いますが、その点についてどう認識し、評価したのか確認します。 さらに、杉一小跡地は容積率などの大幅引き上げで、土地の評価額がさらに上がることは必至だと考えますが、区はどういう認識なのか伺います。 私たちは現時点でも正面路線価、側方路線価及び不整形割合を総合的に判断すれば、現在の杉一小及び児童館用地の方が土地評価額は大幅に高く、今後の容積率緩和を加味すればさらに引きあがり、小学校跡地のなかで区の取り分が3割しかないなどあり得ないと考えます。 貴重な区有地を土壌汚染の可能性があり、正面路線価では2分の1程度の土地と交換し、そのうえ、容積率の大幅引き上げをはかるということは、明らかに地権者優遇と言わざるを得ません。 こうした行為は、貴重な区有財産を損失させる行為でもあるといわざるをえません。 関連してお聞きします。すでに一部報道されていますが、区画整理事業にかかわる関係者から区長への政治資金問題です。 地権者及び河北病院関係者から区長への政治献金の有無、献金の年月と献金額、及び区長が献金を要請したのか明らかにしてください。 東京都選挙管理委員会に提出された区長の政治団体の収支報告では、地権者、河北病院関係者からの献金が記載され、献金の時期は、2014年の前回区長選挙の時期です。そもそも、区からの委託事業者や補助金等をうけた事業者からの献金は禁止されており、そのうえ今回のまちづくり計画、区画整理事業にかかる関係者からの献金は、区民の疑問をまねくものであることを厳しく指摘するものです。 第4の問題は、今回の計画が、区がすすめる貴重なみどりの保全に逆行することです。 今回の計画で病院移転改築しようとしているけやき屋敷は、中杉通りのけやき並木、神明宮の樹林とともに、街の中心部に残る貴重なみどりであり、区民からも樹林が伐採されることを危惧する声があがっています。 私が取り組んだアンケートへの回答でも、「けやきの緑が削減されることはさみしい。多くの昆虫、鳥、動物たちのことも心配です。アスファルトで固めないで土は残してほしい」「けやきの緑は阿佐谷の歴史そのものです」「開発という名目で緑をなくすのはやめてほしい」などの声が寄せられています。 河北病院の移転改築は、この貴重な保存樹林に重大な影響をもたらすことは明白です。けやき屋敷の樹林本数も含む概要及び、現河北病院の建築面積を示してください。 区は「みどりの顕彰」において屋敷林を表彰し、「杉並区緑地保全方針」では、保全地区を選定していますが、それぞれ何カ所あるのか。また当該箇所はその貴重な一つかどうか確認します。 保全地区は文字通り、区民共通の財産という認識のもとに、区として保全を求める地区であり、みどり顕彰表彰屋敷林は、杉並の屋敷林を後世に残していくことを目的に、屋敷林の中からさらに貴重な屋敷林を指定したものです。杉一小用地との交換を理由に区が屋敷林の伐採を規制しないどころか、容認することはあってはなりません。 区は地区計画で緑地保全に関しても規制するとしていますが、現在の樹林の一定数が伐採されることが懸念されますが、それはどの程度なのか。 また、地区計画では樹木数も指定するのか。単に緑化率では樹林の保全にはならないと考えますが、区の認識はどうですか。 景観も保全するといいますが、現在ではけやき屋敷はけやきで覆われ森状態になっています。しかし、病院の移転改築に加え容積率等の緩和によって、現在より高い建物となれば、かなりの範囲で森から建物が飛び出す結果となり、景観が根本的に変わるのではないか。 以上質問してきましたが、区が進める阿佐谷北東まちづくりは、第1に容積率等の大幅緩和によって高層ビルの建設を促し、阿佐谷の街並みに大きな影響を及ぼすこと。 第2に民間活用、民間デベロッパーの参入促進によって、杉一小跡地の巨大施設が市場性優先の施設になりかねないこと。 第3に、区有地の換地が公平な換地とはいえず地権者優遇の可能性が高いこと。 第4に区内でも貴重な屋敷林の破壊につながりかねないことなど、重大な問題があります。 加えて、換地に当たっては、どのように土地評価を行ったのか不透明な点があります。 これまでの検討過程のデータ、資料等をすべて明らかにし、杉一小の設備などの施設整備方針を含め阿佐谷のまちづくりを住民参加で再検討すべきと考えますが、いかがか。見解を伺い私の質問を終わります。 |
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