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2018年杉並区議会第二回定例会一般質問(上保まさたけ) |
日本共産党杉並区議団を代表して、1.保育について、2.学校改築について、3.区長の利害関係者との対応について質問します。 1.保育について まず、保育についてです。 今年4月、杉並区は、待機児童がゼロになったと発表しました。保育所整備については、子ども達の利用頻度の高い公園の転用など問題点もありますが、保護者の運動や、わが党区議団も繰り返し求めてきた認可保育所の増設を進めてきたことは重要です。 一方、認可保育所に入園できなかった保護者からは、待機児童ゼロ発表について、疑問の声も出されています。待機児童からの除外数が今年度も4月時点で315名発生していますが、「除外」とされる中には、「申込み時から育児休業中で、必ず復職しなければならない状況にない者」も含まれています。この中には、早期復職を求めていたが、認可保育所に入園出来ず、認可外入所の加点が廃止されたため、育休加点を得るために育休を延長せざるを得なかった保護者も含まれていると考えられます。 今年度の認可保育所への入園申請において、認可外保育所への調整指数の廃止と育児休業延長に対する加点の付与について、どのような影響があったと考えているのか、区の見解を伺います。 保育待機児童としてカウントされない除外数について「保護者の私的な理由による待機」等、除外数の内訳と詳細をお示しください。 早期復職を求めていたにも関わらず認可園に入園できないため、来年度の調整指数の加点を求めて育児休業を延長している世帯は、待機児童に該当するのではないのか、区の見解を求めます。 前区長時代に急増した認証保育所や緊急対応として整備された区保育室など、杉並区では認可外保育所が待機児童解消の一定の受け皿となっています。区の認可保育所入所内定率は74%で、他区と比較しても認可外保育所の定員数が多い状況です。 こうした現状を、区はどう認識していますか。また、今後、認可保育所の整備により、待機児童ゼロを目指すのか、区の見解をうかがいます。 区保育室や家庭福祉員、認証保育所などの認可外保育所は、これまで待機児童解消の受け皿として、一定の役割を果たしてきましたが、認可保育所の増設や急激な指数変更等の影響を受けて、0歳児の入所申込者が減少し、事業運営が困難になっているとの声が寄せられています。こうした現状について、区はどう認識していますか。 そもそも家庭福祉員や区保育室は区からの委託事業です。区の保育政策によって運営に支障を来たす事態が発生するのであれば、保育定員割れに対する加算等を検討すべきではありませんか。見解を伺います。 今年4月から、大規模な保育料改定が行なわれ、各階層で1割〜3割程度の値上げとなりました。区は、引き上げの根拠を、保育運営経費の増大と応益性、利用者間の負担の公平性などとしています。しかし、そもそも保育とは、児童福祉法に基づき、保育に欠ける児童に対し、市区町村が必要な保育を確保する実施義務を担い、かかる経費は国や都、区が負担すべき性格のものです。区の引き上げの根拠は、この法の趣旨に反するものです。 住民税非課税世帯にも保育料の負担が押しつけられたことは深刻な問題です。今回の改定で、保育料徴収の対象となった住民税非課税世帯の世帯数を示してください。 23区で住民税非課税世帯からも保育料を徴収している区は、杉並区を含めて6区です。一方、足立区では今年4月から、住民税非課税世帯と住民税非課税・均等割課税世帯の保育料を無償化しました。 他区では低所得世帯への保育料負担軽減等の取り組みも行なわれるなか、区が、これまで無償だった低所得世帯に対しても保育料の負担増を強いることは大きな問題です。区はどう認識していますか。 民営化された保育園で、園外公園での保育中、園児1名が公園から抜け出し行方不明となった事故が発生したと聞いています。園児は、その後、近所の住民が園に連れてきてくれたとのことでした。 園からの報告では、①保育士の公園内での全体把握の体制に切れ目が生じたこと。②保育士が子どもの人数を把握する間隔が20分と長かったことが原因だとしています。大きな事故に繋がる可能性もあり、保護者からも不安の声が出されています。 今回発生した保育中の事故の経緯と原因、区としての対応、今後の再発防止策等について、区の認識をうかがいます。 区として、民営化園で発生した保育事故について、どう認識していますか。また、民営化までの引継ぎ期間の設定や保育園の規模、保育士の経験年数や体制、用務員等の保育士以外の職員の配置等、公立保育園から民営化園に移行することによる変更点について確認します。 これまでも、民営化された保育園で、園長も含め職員が年度途中に大量離職するなどの重大問題が発生していることを指摘してきましたが、公立保育園の民営化が「保育の質」の低下につながりかねないことを端的に示しているのではないでしょうか。 公立保育園での「保育の質」が引き継がれず、民営化早々に保育事故が発生するような現状で、これ以上の民営化を進めるべきではありませんが、区の見解を求めます。 延長保育を申請する際、保護者を雇用する雇用主からの、文書提出を義務付ける方針が示されました。書面の内容は、「本来、保育の必要とする児童がいる従業員に対して、短時間勤務制度の利用促進や時間外労働(残業、超過勤務)の削減など、労働環境の改善を図るべきところですが、改善するまでの間、やむを得ず延長保育の申込みが必要となりますのでお願いいたします。」と、雇用主が区にお願いするという体裁になっています。 保護者からは、「延長保育の理由を雇用主の責任であるかのような、非常に高圧的な文面で、このような書面を会社に渡せない」と困惑する声が私たちに多数寄せられていますが、区にはどのような意見が寄せられていますか、答弁を求めます。 事業者が、子育て世代でも働きやすい環境整備に努めることは重要なことです。しかし、この文面は、雇用主に対しあまりにも高圧的で、保護者の立場を悪くすることも十分に考えられます。 保護者に不利益とならないよう申請書類の文面は変更すべきと考えますが、区の見解をうかがい、次の質問に移ります。 2.学校改築について 次に学校改築ついて、第一回定例会に引き続き、区内で深刻な事態となった小学校の教室不足問題について質問します。 先の第一回定例会予算特別委員会で、わが党区議団は、8年前、学校統廃合により開校した天沼小学校で、新校舎開設からわずか3、4年で普通教室不足による改修工事が発生し、特別教室などが削減・縮小された事態を示し、区の認識と対応を質しました。 しかし、それに対する副区長の答弁は、深刻な事態を起こしたにもかかわらず、反省の弁はなく、児童数の「読みは大きくはずれていない。いたし方ない。」など驚くべき答弁でした。 よりよい教育条件の整備は国と自治体の重要な責務です。今後も、多くの学校が改築を迎えるだけに、今回の事態に対し明確な分析、総括なしに進めることは許せれません。 わが党区議団の調査では、小中一貫校を除いて、この10年以内に改築された学校5校のうち、1校を除く4校で大幅な普通教室不足が発生している実態が明らかとなりました。 2008年に改築された高井戸小では4教室、2009年に改築された荻窪小では2教室、2010年に改築された天沼小では5教室、2014年に改築された高井戸第二小では4教室の普通教室が足りなくなっています。 自然災害や、社会状況の激変等の理由もないなかで、建築して10年もたたない時点で、児童数予測を大幅に誤り、建てたばかりの施設を部分改修する事態が、5校中4校で起きていることは、異常なことです。その原因をしっかり分析し、総括し、今後に活かすべきだと考えますが、区長はどう認識し、対応しようとしているのか、見解を伺います。 今回の対応で重大なことは、不足教室を補うために、整備したばかりの図書館やランチルームまで縮小して配置変えや廃止などの事態が発生していることです。 改めて確認しますが、先に示した5校中4校で、不足教室を確保するために、整備した施設の縮小、改変、廃止及び特別教室等の転用などの具体的な事例を、各学校別にお示しください。 図書室を縮小移転した天沼小学校は、特色のある教育活動として読書活動をあげ、特徴的な図書室を、新校舎基本指針の中でも重要視していました。 高井戸第二小では、特徴的なスペースとして改築基本方針の中で位置付けられていたオープンスペースのほとんどを普通教室に転用しました。それについては、学校だよりで「本校の特徴だったオープンスペースがなくなってしまうのはとても残念」と嘆きの一文が載せられています。 ところがこうした事態について、副区長は答弁で、満足度調査をもちだし非常に満足していると紹介し、何ら反省の意思を表明しなかったことは驚きです。 改築された新しい学校に期待をもってむかえながら、それが裏切られる結果になったことに対し、児童や父母の声を区は真摯に受け止めるべきではありませんか、区の見解を伺います。 区は「杉並区小中学校老朽改築計画」で今後の改築を進めようとしていますが、計画は重大な懸念をはらむものです。 それは、基本的な考え方が、改築による財政負担の軽減であり、具体的には施設規模のスリム化による改築経費の縮減を強調していることです。 私はこの計画を改めて読み直しましたが、普通教室の数が、スリムに設定されたら、また同じ誤りを繰り返しかねないと実感しました。そこで確認します。 普通教室数の設定について、今回の事態から区は何を今後に活かすつもりなのでしょうか。先の予算特別委員会で、教育委員会事務局次長の答弁では、「一定の反省というものも踏まえて、ピーク時を想定した必要な施設整備というものをやっていく、そういうことが必要だなと改めて感じた」との発言がありましたが、ピーク時に対応すること、各種の人口予測があるなかで最大予測にも配慮し、それをも超える事態への対応を行うこと、すなわち余裕教室などの準備が重要と考えます。区の認識はいかがですか。 また、この点で、2008年に改築した方南小は余裕教室が5教室ありましたが、2014年の高井戸第二小は余裕教室がゼロになりました。これもスリム化の一環なのか答弁を求めます。 さらに計画では、1校あたりの延床面積を近年約9,000㎡から7,700〜7,800㎡に下げることを盛り込んでいることも重大です。だいたい一つの普通教室が約64㎡ということですから、もし延床面積を1300㎡削減した場合、普通教室20教室分もの削減となります。 9000㎡に改築した学校でも、すでに教室が足らない事態となっているのにも関わらず、それをさらに縮減するというのでは、また教室不足という事態を発生させることになるのではありませんか。 この7,700〜7,800㎡という数字は何を根拠に算出されているのか、確認します。 わが党区議団は、東京都総務局発表の特別区公共施設状況調査結果を分析しましたが、杉並区の児童1人あたりの小学校の建物の延面積は、12.8㎡であり、23区の中では面積が小さい位置にあるのではないかと推測されます。 区は、児童1人当たりの小学校施設の延床面積と23区での順位をどう認識しているのか、伺います。また、今でさえ23区で低い位置にあるのに、今後さらに縮小しようということなのか、明確にお答えください。 計画に盛り込まれたのは延べ床面積の縮小目標だけではありません。ランチルームの見直しやクールヒートトレンチの廃止が具体的事例として明記されています。 そこで、伺いますが、ランチルームは、子ども達や保護者、地域から要望があっても作らない、あるいは縮小するということなのか。イエスかノーではっきりお答えください。 この様に、小中学校老朽改築計画には、多くの問題点があり、この間の教室不足の教訓を生かすという点でも計画の見直しが必要です。 区が拠り所にしている社人研の人口推計でも、今後も年少人口は増える見込みとなっています。そうした中で施設のスリム化を進めることは、教室不足などの同じ過ちを再び繰り返すことになるのではないでしょうか。区の見解を伺います。 教育条件を整備するにあたり、過剰なお金をかけることを求めるものではありませんが、教育の土台となる施設の整備に必要な財政投入を行うことは、基礎自治体の当たり前の責任です。財政削減を第一に考え、学校施設のスリム化を進めることは、許されません。区長の認識を伺い、次の質問に移ります。 3.区長の利害関係者への対応について 最後に、田中区長の区の利害関係者との対応について質問します。 これまでも、本議会のなかで、区長の政治資金パーティーに利害関係者がかかわり、利害関係者にパーティー券購入を働きかけている問題がとりあげられました。また、区長の政治団体が利害関係者によびかけてゴルフコンペを開催し、副区長まで参加していたことも他会派議員によって告発されました。 しかし田中区長は、こうした問題について、何が問題なのだという旨の態度をとってきました。区長としてのこうした態度は、きわめて見過ごせません。 まず法的な基本原則から確認したいと思います。 公務員の利害関係者とのかかわり方は、国家公務員倫理法及び倫理規定によって定められ、禁止事項のなかに、利害関係者から供応接待を受けること、利害関係者と共に遊戯又はゴルフをすることなどを定めています。 区長に伺いますが、法及び規定は、なぜ公務員に利害関係者との接待やゴルフを行うことを禁止していると認識していますか。答弁を求めます。 国家公務員倫理法第1条は、法の目的について、「職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する国民の信頼を確保することを目的とする」と明記しています。 この趣旨からすれば、たとえ区からの補助金や発注の話をしなくても、利害関係者とゴルフをし、飲食をすること自体が公正さに対する不信を招く行為であり、信頼を損ねるから行なってはならないと規定していると思います。 この国家公務員倫理法の規定は、地方公務員にも及ぶものだと思いますが、区はどのように認識していますか。 法の43条では、地方公共団体等は、「この法律の規定に基づく国及び行政執行法人の施策に準じて、地方公務員の職務に関する倫理を保持するために必要な施策を講じるよう努めなければならない」と定めています。努力義務規定ですが、区長は、杉並区職員の倫理保持、具体的には利害関係者との接触の仕方などについて、どのような施策を講じているのかお答えください。 国家公務員倫理規程の解釈をめぐっては、詳細なQ&Aなどが国家公務員倫理審査会から示されています。例えばゴルフの場合、ゴルフクラブの月例コンペに参加したらたまたま利害関係者がいたというケースは差し支えないとし、禁止しているのは、国家公務員が利害関係者と打ち合わせて一緒にゴルフをするようなケースだとしています。 まず確認しますが、他会派議員が明らかにしたゴルフコンペ参加者名簿のなかに、区の補助金を受け、発注をうけるなど利害関係者は何人、何割いますか。 田中区長の政治団体・東京良友会主催のゴルフコンペは、まさにゴルフ場で偶然一緒になったのでなく、区長の側から呼びかけて一緒にゴルフを楽しむという行為であり、副区長はそれを知りながら参加しているはずです。 こうした区長自らが特定の利害関係者と積極的にゴルフをし、親交を深めるよう企画し、実行することは、倫理法、倫理規定の趣旨からみてあまりにも不適切だと思いますが、区長はどう認識しているのですか。もし問題ないというなら、その根拠を示してください。 さらに区長の政治団体・東京良友会主催によるゴルフコンペに関連して、質問します。公表されたコンペの資料でも東京良友会という政治団体名が記載され、これまでの質疑でも区長の政治団体の主催という指摘に、訂正するような答弁はありませんでした。公表された資料ではプレー代の実費以外に6000円の参加費を徴収しています。 政治団体の主催なら、そのゴルフコンペの収入、支出は収支報告書に記載が義務づけられているのではありませんか。 念のために東京都選挙管理委員会に問い合わせしましたが、法ではすべての収入の記載を義務付けており、ゴルフコンペも収支は報告書に記載しなければならないと説明していました。記載してなければ、虚偽記載となります。 東京良友会の報告書は虚偽記載にあたるのではありませんか。答弁を求めます。 利害関係者との対応に関して、最後に指摘しておきたいことがあります。今年の第一回定例会でわが党区議団の山田議員が質疑したように、補助金等の権限をもつ区長がいわばその地位を利用し、利害関係者にパーティー券購入を働きかけることは倫理的、道義的にも慎むべきです。 この点で、最近開催された区から補助金を受け取っている団体の総会資料の活動報告のなかに「田中良をかこむ会」が記載されていることが確認できました。補助金を受けた団体がその団体の費用でパーティー券を購入したのではないでしょうか。 政治資金規正法では、地方公共団体から補助金、負担金、利子補給等をうけている団体等からの寄付をうけることは禁止しています。パーティー券ではありますが、こうした規制法の趣旨からすれば、利害関係者にパーティー券の購入を要請することは、慎むべきではないでしょうか。しかも平成28年度の収支報告書を見ると、対価である1万円を超えてパーティー券を購入した額は420万円になります。 区長は都議会議員と違って補助金の支給や契約などの権限をもっています。よって利害関係者との対応は、厳格に対応することが求められるのです。区長いかがですか。 いくつかの問題点、疑問点を指摘しましたが、公平、公正な行政運営のトップに立つ区長が、倫理法、倫理規定で厳しくただしている利害関係者と無規律に対応していることは許されません。高知市などでは、特別職倫理条例を策定し、千葉市、福井市でも特別職の倫理に関する条例を制定しています。 これまでの利害関係者との対応の経過について、区長の判断ではなく、公務員倫理に関する専門家、第三者による検証をうけ、今後是正すべきは是正すると誠意ある態度をとることを強く要望します。区長いかがですか。 明確な答弁を求め、質問を終わります。 |
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