議会質問 |
> indexに戻る |
2018年杉並区議会第二回定例会一般質問(富田たく) |
日本共産党の富田たくです。日本共産党杉並区議団を代表しまして、①公契約条例について、②杉並区区立施設再編整備計画について以上2項目について質問いたします。 1.公契約条例について まずは、公契約条例についてです。 公契約条例、または公共調達条例とは、自治体が発注する工事契約や委託契約について、発注者側である自治体がその契約のもとで働く労働者の労働条件に一定の基準を設けることで、労働者の処遇を維持・改善するとともに、品質の向上などプラスの効果を期待する条例です。 国際的には1946年に国際労働機関ILOの第34回総会によって「公契約における労働条項に関する条約」が採択されており、公共事業において国内法で定められた労働条件よりも有利な条件で契約することを求める内容となっています。残念ながら、日本政府はこの条例を批准しておりませんが、社会問題となった官製ワーキングプアの問題、ダンピング問題の解消を目指して、公契約条例制定に向けた社会的な要請は高まっております。 全国の自治体でもこの取り組みが進んでおり、都内では昨年12月には目黒区議会で、今年3月には日野市議会で公契約条例が可決されました。多摩市、国分寺市、渋谷区、足立区、千代田区、世田谷区につづいて8自治体目、全国では20自治体を数えます。 公契約条例を制定した自治体では、「賃金に見合う腕のいい労働者が集まるため工期も短縮でき、品質も高くなった」、「賃金の下限が定められているため、交通費など余分な出費を避ける傾向が生まれ、地元への発注が広がった」、「適正賃金が支払われることで、仕事への誇りが生まれ、やりがいを感じるようになり労働者のモチベーションがアップした」等の効果があり、行政、事業者、住民、そして労働者から喜ばれています。 また、2014年から公契約条例がスタートした福岡県・直方市(のおがた・し)では、条例によって給食調理員の時給が100円上昇し、826円となったことにより、近隣自治体の同種の労働者の募集賃金が上がったとの報告もあります。 労働者にとっては、適正な賃金を受け取る権利が保障されることにより、生活が安定することはもちろん、公共事業の入札の際において、過度なダンピング競争の抑制効果もあります。 建設業界では、低賃金できつい仕事とのイメージが根強いもとで、人材不足は年々厳しくなっていると言われていますが、賃金などの労働条件が良くなることで、より優秀な人材が集まってくることともに、若手の参入も期待でき、業界の人手不足解消、人材育成にも有効です。 発注する側の自治体は、労働者の賃金が上がれば税収が上がりますし、消費も増えるので地域経済の活性化にも繋がります。区民にとっては、安全で品質の高い社会資本が提供されることになります。 この様に、他自治体でも制定の動きが進む公契約条例の意義、効果について、杉並区はどのような認識を持っているのか、区の見解を確認いたします。 我が党区議団はこの間、繰り返し公契約条例の制定を求めてまいりました。区として、公契約条例の制定に向けた検討を求めますが、区の見解はいかがでしょうか。この点を確認して、次のテーマに移ります。 2.杉並区区立施設再編整備計画について 続いて、杉並区区立施設再編整備計画についてです。 2014年(平成26年)3月に区立施設再編整備計画が作られ、4年が経過しました。この間、あんさんぶる荻窪、児童館、区民事務所会議室、科学館、和田堀会館などの施設が廃止、縮小されました。多くの計画が、区民の声を聞くことなく、区長のトップダウンで進められてきました。 区立施設の再編整備とされてはいますが、その一番の目的は区立施設のスリム化、すなわち廃止と縮小です。そして、その根拠としていたのは、今後30年間に必要な改築・改修経費が2800億円となることと、超少子高齢化による急激な人口減少によって区税収入が激減するというものでした。 区は計画策定にあたり、2013年に発表された「国立社会保障人口問題研究所」(以下、社人研とする)の人口推計を使用しましたが、その内容は杉並区の総人口が推計翌年から激減し、30年後には12万人の減少、高齢化率が当時の約2倍の約40%となるものでした。 一方、杉並区は今後20年間を想定した人口推計を独自に試算しており、総合計画、住宅マスタープランや環境基本計画、介護施策など、杉並区の各分野の根幹となる計画に使用していました。 この区独自の人口推計は、約10年間は人口が増加し、20年たっても総人口は1000人程度しか減少せず、高齢化率は19.7%から22%までしか上昇しないというものです。 わが党区議団は、当時、施設を削減するときだけは急激な少子高齢化の人口推計を使い、高齢者施策など基本的な計画には高齢化の傾向が緩やかな杉並区独自の人口推計を使うという、二枚舌ともいえる人口推計の使い分けを厳しく批判をいたしました。 さて、区税収入が激減すると試算し、その根拠としてきた社人研の人口推計ですが、今年4月に新たな推計が発表されました。 その内容は前回2013年版人口推計と打って変わって、杉並区では急激な少子高齢化も大幅な人口減少もこの先30年は発生しないというものでした。 2013年版では、杉並区の人口は下降の一途をたどり、30年間で12万人の人口が減少するとされていましたが、最新版では30年間で減るどころか、2035年まで増加し続け、その後はほとんど減らずに2045年には59万人と、現在と比較しても約3万人の増加になると推計しています。 実際、計画策定された2014年当時の杉並区の人口は54万人でしたが、今年1月には56万人と増加しています。 そこで、うかがいます。計画当時、区は独自の人口推計と社人研の人口推計を使い分けていましたが、当時の区独自の推計は20年後もほとんど人口が減少しないというものでした。区としても急激な人口減少となる社人研推計は間違っていると認識していたのではないでしょうか。にもかかわらず、社人研の推計を使用した責任は重大だと厳しく指摘するものであり、反省を求めますが、区の見解はいかがか、答弁を求めます。 先に示した通り、最新版の社人研人口推計では杉並区の30年後の人口は、激減するどころか3万人も増加することになっています。本計画で採用していた社人研の人口推計がここまで大幅に変わったのですから、「人口が減少するから区立施設を削減する」という考え方は見直しせざるを得ない状況だと指摘します。区の見解を求めます。 さらに、施設再編整備計画では2013年版の社人研人口推計を用いて、財政予測を行い30年後には190億円も区税収入が減少すると試算し、計画の冊子にはグラフまで載せていますが、実際には4年が経過しても区税収入は減少するどころか約30億円の増収となっています。 当時の区税収入の減少予測についても、明らかに実態と乖離したものと指摘しますが、区の見解はいかがか、確認いたします。 我が党区議団は、こうした意図的な人口推計の使い分けなど、計画案発表当初から問題点を指摘してきましたが、決まって議会の場では、「将来的には人口が減少するのだから削減は必要だ」と、開き直ってきた区の姿勢は問題です。 実際に区の総人口は増加しており、今後も人口は増加することが想定されます。本来、人口増に応じた施設整備こそ考えるべきなのに、逆に施設削減を進めることは区民福祉を低下させるものであり、福祉の拡充を求める区民に対して、自治体としては無責任な姿勢であると指摘するものです。区の見解はいかがか、答弁を求めます。 実態とかい離した社人研の人口推計を利用して施設削減路線をひき、施設を利用する区民や現場職員の声にも聞く耳を持たずに、強引に施設の削減が強行された結果、地域ではどんな事態が引き起こされているのでしょうか。 3月に廃止となった、あんさんぶる荻窪の荻窪北児童館の代わりに、期間限定で杉並保健所4階に「おぎきた子どもプレイス」が設置されました。荻窪北児童館を奪われた児童や保護者からは次のような悲痛な声が寄せられています。 上荻在住の保護者からは「あんさんぶる荻窪がなくなり、荻窪5丁目より公園がないので、子どもが家からでなくなり、困っている」との声。 「子どもプレイスに一度行ったら、とにかく行きたがらなくなった。あんさんぶる荻窪の児童館には行きたがっていたのに、困っている」との声。 就学前児童の保護者からは「13時からは学童クラブ専用になるので、お昼ご飯も取らずにギリギリまで体育室で遊び、帰宅するようになり、昼食時間が遅くなった」との声も。 このほかにも、 「以前は図工室で小学生と幼児が交流できたが、子どもプレイスは部屋数が少なく、幼児が小学生と交流できなくなり、世代間で断絶されてしまっている」との声や、 「子どもプレイスの見守りの方による子どもへの制約が多い」といった声、 小学5年生の男子からは「あんさんぶるの時にはゲームを友達とやれたのに、今度のところではできない。ゲームができる場所が欲しいです」との切実な声も届いています。 あんさんぶる荻窪、荻窪北児童館の廃止によって、子どもが家にこもりがちになった、子どもプレイスにはいきたがらない、といった声には私も大変驚きました。子ども達の健やかな成長の場が奪われるとともに、保護者にとっても子育て環境が悪化していると厳しく指摘するものですが、区はどう受け止めているのか、区の見解を伺います。 父親にとっては会社が休みとなる日曜日に、子どもと児童館に行って一緒に遊ぶことが、親子の重要なコミュニケーションの場でした。荻窪北児童館の廃止は、そういった親子の居場所も奪うことになってしまいました。ある保護者からは「子どもプレイスができても日曜日が休館日で、父親が子どもたちを連れて遊びに行けずに困っている」との声が寄せられました。こういった家庭は、いったいどうすればいいのでしょうか。区はどう答えますか。区の見解を伺います。 荻窪北児童館には、中高生専用のスタジオがあり、バンド練習やテレビゲームをして、中高生の居場所ともなっていました。中高生が民間のスタジオを借りることはお金の面でも大変難しいことを考えると、児童館のスタジオがあるのは大変ありがたい事です。しかし、おぎきた子どもプレイスの間取り図には、そういった施設は見受けられません。中高生の居場所が喪失してしまったと指摘しますが、区の見解はいかがか、確認いたします。 区は、児童館を廃止しても、児童館の機能は継承すると言ってきました。しかし、保護者や児童から寄せられた「子どもへの制約が多い、遊ぶ時間が限られている、ゲームができなくなった」などの声からわかることは、荻北児童館の施設機能が子どもプレイスでは再現できておらず、児童館の機能を継承し、発展できているとは到底言えないと言う事では無いでしょうか。この点について、区はどう考えてるのか、答弁を求めます。 これまで、区は「児童館という施設にとらわれることなく」という言葉を使い児童館の廃止を進めてきましたが、児童館という施設そのものが、子ども達にとって、のびのび遊び、健やかに成長できる居場所であり、保護者にとっては子育て支援の重要な施設でした。今後も、そうした役割が児童館という施設に求められていると指摘するものですが、区の見解はいかがか、答弁を求めます。 荻窪5丁目の保育施設は園庭がなく、さらに園庭の代わりとなる公園も5丁目には小さい公園が一つあるだけです。そのため、あんさんぶる荻窪は、屋上の庭園など含め、施設そのものが近隣の保育園児の大切な遊び場ともなっていました。 地域からは「あんさんぶる荻窪がなくなり、困っている。」、 「一つの公園をいくつもの保育園の子どもたちが奪い合うように遊んでいる」といった声が寄せられていますし、 現場の保育士さんからは、「近所のお年寄りや保育園以外の子どもたちが遊ぶスペースがなくなってしまい、申し訳なく思っている」との切実な声が寄せられています。 施設の削減が区民に多大な犠牲を押し付けていることを、重く受け止めるべきです。 区立施設の削減によって不便になったといいう生々しい声は、杉並区が毎年発行している「杉並区区民意向調査・区政に関する意識と実態」にも本当に多く載せられています。 「あんさんぶる荻窪が税務署になるのが不便」、「児童館や科学館などの廃止を止めてほしい。子どもへの教育の経費削減に思えます」といった声。 駅前事務所などについては、「区役所の分室が駅前になくなったのが大変不便である。ぜひとも復活させてほしい。」との声や、「阿佐谷出張がなくなり不便。」との声、「桜上水駅前事務所を利用していて便利でしたが、無くなってしまい遠い永福和泉区民事務所まで行っている。」といった声です。 こういった声について、区はどのような認識を持っているのでしょうか。 「杉並区区民意向調査・区政に関する意識と実態」に自由意見をのせているということは、それなりの見解をお持ちだと考えますが、施設が削減されて使いづらくなったといった区民の声を、どう受け止めているのか、お答えください。 施設の削減についてだけでなく、施設使用料の値上げについても区民の意見が載せられています。 「スポーツを行う体育館使用料が高くなっています。会費の値上げをしていますが、回数も減らすことになりそうです。」との声や、 「体育館や区民センター等の施設利用費の値上げは止めてほしい。」との声。 「集会所を利用するが、室料が高くなり時間も短くなった。」、 「体育館の使用料金があがるのに不満がある。もっと使いやすくして健康促進をして医療費の削減をしてもらいたい。」といった声です。 使用料の変更は、施設再編整備計画と同時期に出されたいわば兄弟のような計画ですので、この点についても確認をしていきたいと思いますが、このように施設使用料の値上げと利用区分の変更により、様々な活動の継続が難しくなった、使いづらくなったとの声を、区はどう受け止めているのか、確認いたします。 さて、高齢者専用施設のゆうゆう館の今後についても確認しておきたいと思います。 計画では、区内には32館あるゆうゆう館について、多世代が集えるコミュニティ施設へと転用するとされ、今年度までは検討、その具体的な方向性は今後の第二次実施プランで出されていくこととなっています。 この地域コミュニティ施設というものが、いったいどのようなものかが、いまだに見えてきません。その役割と機能、使い方をどのように考えて検討をしているのか、具体的な内容を確認いたします。 高齢者人口が増えるなかで、高齢者の居場所であるゆうゆう館の役割はさらに重要になってきます。ゆうゆう館がコミュニティ施設へ転用された場合、今まで高齢者が利用してきた面積が削減されてしまうのではないか、との懸念の声が寄せられています。 現状の高齢者専用としていた利用面積を削減する方向なのか、それとも、高齢者専用スペースとして維持するのか、どちらになるのか、答弁を求めます。 また、ゆうゆう館を地域コミュニティ施設へと転用することで、現在まで行われてきたゆうゆう館の協働事業はどのようになるのか。そもそもゆうゆう館の協働事業について、杉並区はどのように検証を行っているのか、確認いたします。 杉並区はこれまで小学校区を単位とした46の近隣住区の施設整備方針をもって、どの地域に住んでも、児童館もゆうゆう館も集会所も会議室も利用しやすいようにと整備してきました。 この近隣住区の考え方、施設の設置方針は大変重要な意味があったのです。しかし、この在り方についても、区は駅中心とした多心型のまちづくりへ転換するとして、住民との議論もなく一方的に決めてしまいました。区民からも、この方針転換について疑問の声が上がっています。 そこで確認しますが、そもそも、近隣住区の考え方での施設配置について、区民の施設利用の観点から、区はどのように評価していたのでしょうか、答弁を求めます。 公共施設の在り方で重要なのは、どのような施設が求められ、それをどのように配置していくかという観点ではないでしょうか。 子どもの居場所として必要な施設は子どもが歩いて通える距離に、子育てに必要な支援施設もママ、パパがベビーカーを押して歩いて通える距離に、高齢者施設、会議室や集会施設も、やはり歩いて通える距離にあることが重要です。 区立施設再編整備計画において、区は近隣住区の施設配置方針をやめましたが、考え方を見直し、これまでの小学校区を単位とした近隣住区の考え方で施設配置を考えていくべきと指摘いたします。区の見解いかがでしょうか。 東京都が昨年12月に発行した「平成28年度・特別区公共施設状況調査結果」では、特別区の公有財産として保有する建物の総面積比較が記載されています。 杉並区は約80万平米で、一人当たり面積は約1.4平米となり、23区で比較すると、下から2番目の22位です。人口に対する公共施設の総量は実は極めて少ないのが現状です。 また、区立集会施設だけでみると、2008年から2016年の8年間で杉並区は32か所の集会室が減少し、延べ面積では2322平米が削減されていることが分かります。 施設再編整備計画以外の削減も含まれていますが、23区で集会施設が削減されているのは8自治体と半数以下で、2000平米以上も削減しているのは杉並区だけです。 逆に千代田区は38か所2606平米の増設、練馬区、足立区、江戸川区なども20か所以上増やしています。 他区と比べて1人当たりの公共施設が少ないうえに、削減面積は突出しているのが現状なのです。それも、あんさんぶる荻窪のように、地域での役割を考えずに削減が行われてきたことは、二重の意味で問題です。削減された地域では、明らかに区民サービスの低下となっていると指摘しますが、区の見解を確認します。 公共施設とは、地方自治法に定められているように、住民福祉を増進する目的をもって利用に供するための施設であり、住民生活を支える重要な役割を担っています。これまで、区民と杉並区が培ってきた区立施設は区民の要求によって作られてきたものばかりです。区民の声を聞かずにトップダウンで削減していくことは、区民生活に重大な影響を及ぼします。 区立施設再編整備計画の削減、縮小という考え方を改め、区民にとって必要な施設は存続させ、施設ごとの在り方については、利用者やその分野の有識者との懇談を持ち、区民・住民と一緒に考えていくよう、区の姿勢を改めることを強く求め、区の見解を確認して、一般質問を終わります。 |
Tweet |
このページの先頭へ ▲ |