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2018年杉並区議会第二回定例会一般質問(金子けんたろう) |
日本共産党杉並区議団を代表して、田中区長の公用車利用に関して質問します。 (1)公用車の不透明な利用実態、私的利用の可能性が 第1回定例会のわが党山田議員が指摘した選挙応援に公用車を使ったことについて、区は認めざるをえませんでしたが、反省や、費用の返還は表明しませんでした。 本来区長は、職員の先頭にたって、区民の税金を1円たりとも無駄に使わず、ましてや公務以外には1円たりとも使ってはならないという態度と実践を貫くべきです。また、区民から疑惑を招く、区民に説明できないような行動は慎むべきではありませんか。にもかかわらず、緊急連絡への対応の必要、秘書との打ち合わせなどの理由をあげて、選挙応援のための公用車利用を合理化し、何の反省もなく、費用の返還もしない態度は、舛添前知事と同じです。 わが党は、区民の代表として、こうした田中区長の姿勢、態度を見過ごすことはできません。そうした立場から、第1回定例会につづき、田中区長の公用車利用についてただしていきます。 まず第1に指摘しなければならないことは、公用車の公務以外の利用、私的利用が日常的に行われていたのではないかという疑惑です。われわれは、区長専用車の過去4年間の運行記録を入手し、公表されている区長の行動日程と突き合せましたが、公務として公表されてない公用車での移動が多数見られました。 例えば昨年2017年には、運行先で杉並区内以外の自治体名が記載された回数は138回ありましたが、そのうち「区長の行動日程」に記載されていない回数は81回に及びます。その中に指摘した世田谷区、練馬区の選挙応援もありました。 Q1、副区長は前回、公用車を使ったから「公務だった」と居直るような答弁をしましたが、こうした態度は許されません。区長に確認しますが、区長行動日程で紹介されていない公用車での区外移動のすべてが公務だと明言できるのですか。指摘をした世田谷区、練馬区以外に選挙応援など公務といえない移動に公用車を使ったようなケースは、他にないと明言できるのですか、はっきり答弁してください。 Q2、こうした疑問を呈するのは、単なる推測ではありません。疑問に思う根拠があってのことです。具体的に伺います。例えば、2016年4月16日の運行記録に、午後、目黒区と記載されています。この日は目黒区長選の最終日ですが、この目黒出張にかかるすべての書類を開示請求しましたが、開示されたのは、専用車の運転日誌だけでした。この公務は何だったのですか。 また、同じく2016年1月11日、専用車は小金井市に行っていますが、この記録の開示請求にたいしても、運行日誌しか示されませんでした。この日小金井市では、どのような公務をしたのですか。この日、市長選に当選した現小金井市長の選挙報告会が開かれ、田中区長が「駆けつけて」参加し挨拶していることを確認できますが、小金井市への区長車利用はそのためだったのではありませんか。はっきり答えてください。 Q3、事例をあげたらきりがありませんが、われわれが区外への利用について開示請求したら、公用車を使いながら公務としての記録がまったくない結果ばかりでした。区外への公務出張ならその結果を記録として残すことは当然ではないですか。どうなっているのですか。まったく記録がないとは、公務でなかった、私的利用だったと判断せざるを得なくなりますがどうですか。 Q4、東京都は、舛添前知事の公用車利用にたいする都民の厳しい批判をうけて、運用のあり方を検討しました。その報告書では、「公務に準じるかどうかの判断を完全に知事の自由裁量に委ねることは、公用車が公費で賄われているという観点からも、適切なものとは言えない」と結論づけています。そして「公務に準じる用務に使用する場合には、少なくとも、その判断が適切か否かを検証できるよう、その内容を明らかにする必要がある」としています。 これは当然のことではありませんか。区長はどう受け止めますか。 Q5、公務だといいながら、説明もできない、開示請求では公務としての記録も示されない。にもかかわらず「公務」だと言い続けることは許されません。この際、公用車の運行日誌を総点検し、1回ごとの運行が公務といえるのかチェックし、その結果を区議会と区民に公表する。公務だというなら、その根拠を示す。調査の結果、公務と判断できない利用の場合は、その費用は返還することを求めます。区長いかがですか。それなしに「公務」だと言い続けることは許されません。 (2)夜間の新宿区への専用車利用の実態は Q6、区外への専用車利用のなかでも、利用した回数がずばぬけて多いのは、新宿区への移動です。昨年の運転日誌で行く先が新宿区と記載されているのは48日もありました。ほぼ毎週、公用車で新宿区に行っていることになります。内、35日は、区長の行動日程ではまったく紹介されていません。そのため開示請求を行いましたが、2017年運行表に「新宿区」と記載された日程のうち、28日間については公務内容を示す文書は明らかにされませんでした。 そのなかで午後5時以降に区役所を出発して新宿区に向かったのは19日。専用車の帰りが午前0時を過ぎたケースは6日でした。 例えば昨年3月15日には、専用車は午後9時15分に区役所を出発し、区内経由で新宿区に行き、役所に戻ったのは午前1時30分。区長、この新宿で夜の公務とはどのような公務だったのですか。 Q7、さらに昨年の運転日誌を見て驚いたことは、新宿区に行ったうちのほぼ3回に1回、15回は新宿区各所と記載されていることです。新宿区区内で複数個所を回ったことを示しています。過去の日誌をみると、新宿区、新宿区、新宿区と3カ所をまわったという記録まであります。 これを見た区民が、新宿で飲食店をはしごしたのかと思っても、当然ではないかと思います。事実を明らかにしてください。違うというなら、昨年の新宿区行き、新宿区各所の実態を客観的な根拠を添えて示すべきです。公用車を新宿区での公務と言えない飲食等に使ったとしたら、許されません。二次会、三次会に誘われたとしても、公用車の利用を控えるべきではありませんか。 (3)深夜までの運行が常態化 Q8、次に驚くべきことは、新宿区だけでなく、年間を通して、深夜までの公用車利用が常態化していることです。昨年の運行記録では、専用車が区役所に戻った時間が午後11時を超えた日数は80日、運行日の約3割、そのうち深夜の午前0時間以降は27回もありました。 場合によっては深夜まで会合が続くこともあるでしょう。しかし午前0時以降が27日、年間の約1か月分が深夜の公務という実態は何なのか。誰もが疑問をもたざるをえません。区議会と区民に明確に説明してください。 Q9、さらに重大な問題は、深夜に及ぶ運行によって、専用車の運転手に異常な長時間労働が日常化していることです。開示請求によって明らかになりましたが、区長車を運転している専任運転手の時間外労働時間は、毎月、100時間以上、7月、10月には180時間、1月には222時間を超えています。しかも、1月は13日、12月は12日休みなしの連続勤務です。月100時間という過労死ラインを毎月超える労働が、強いられているのです。 厚生労働省は、時間外労働の限度に関する基準として、一定期間による延長時間は1か月45時間、1年365日とし、納期のひっ迫など特別の事情の場合でも労使協議を経て6回を限度として1ケ月60時間までしています。 基準を超える事態です。例外規定として、労基法にのっとり労働基準監督署の許可を受けていることが条件となっています。が、区長専用車の運行業務受託先である大新東株式会社は、この許可を得ているのか、その点について区は把握しているのか。確認します。 Q10、区長は自らが使用しているわけですから、この異常な反社会的、非人間的な超過労働の実態を知っていますね。委託企業の責任とともに、発注者、利用者、あるいは事態を知っていた区としての責任、区長自らの責任も問われる事態だと思いますが、どう認識にしているのですか。 Q11、さらに、異常なまでの超長時間の時間外勤務にたいし、適正な割増賃金が運転手に支払われていたのかも、気に係る問題です。運転手は定められた割増賃金を受けていたのでしょうか。知らないではすまされません。この点、区は認識していたのか。答弁を求めます。この点で、区が委託先の企業に対し、割増賃金分を適正に支払ってきたのかも、確認したい。委託先企業との契約では、超過時間が7200時間それで運転手に適正な割増賃金が支払われることを、区は当然確認するべきだと考えますが、どうですか。 Q13、区長等の専用車の異常な長時間運行にかかわって、いったい区民の税金がどれだけ投入されたのか、はっきりさせる必要があります。2014年度から昨年度までの各年 度ごとの委託料、燃料代等を答えてください。 (4)運行の厳格化、深夜運行の中止、記録の透明化−近隣区等と比較して Q14、わが党は、隣接区でも田中区長のような長時間にわたる深夜運行、頻繁な他区運行などが行われているのか、比較するために、各区長の運行日誌を開示請求で入手しました。現在把握できた時点でも、明らかに杉並・田中区長の公用車利用は異常、異質です。まず驚いたのは、中野区長です。中野区からの開示請求への回答は、「区長専用車、公用車を所有してないために当該文書なし」です。驚いて電話で問い合わせると、記載の通り、区長の専用車はなく、公務であっても区長の移動は、原則、自転車、やむをえない場合はタクシーで移動するというのです。 中野区長と同じことをせよとはいいませんが、区長みずからが、税金、公費の投入をできるだけ節約する努力をすることは大いに学ぶできではありませんか。区長いかがですか。 Q15、これと比べると、田中良杉並区長の年間80日が、いかに異常かが浮き彫りになります。深夜までの公用車運行は見直すべきではありませんか。近隣区長の2017年度の運行日誌を見ると、23時以降まで公用車を使った利用回数は、練馬区長6回、世田谷区長4回、渋谷区長3回でした。たとえ一部に深夜まで公務があったとしても、長時間にわたって運転手を拘束する公用車の利用は見直し、必要ならタクシーを使うなどの対応をすればよいではありませんか。いかがですか。 Q16、さらに運行の厳格化に関して質問します。千葉県市原市では、市長が公務といえない特定団体の会合に出席するために公用車を使ったことについて監査請求がだされ、監査委員会は、監査の結果、「公務とは認められない」と判断し、特別職専用車に係る燃料費及び特別職専用車運行管理業務に係る委託料の合計4286円を市長に変換するよう求めました。同時に重要なことは、意見として、次のように指摘しました。引用します。「本件監査の結果、市長の行動の正しさを証明することのできる記録が、市長日誌・運転日誌・その他の文書において十分に残されていないものがあり、いやしくも市民の負託をうけた特別職の説明責任が十分尽くされているとは言えない状況にある」こう指摘したのです。そして疑惑を市民に生じさせないためにも、事務のあり方について見直しを検討されたいとして(1)庁外における市長の公務出席に関する判断の厳格化、(2)市長日誌における記載方法の見直し、(3)運行日誌の記載方法の見直しを勧告しました。その後市原市に確認したところ、具体的な改善を図ったと聞いています。 さらに東京都では、先ほど紹介した検討報告書をうけて、知事は、公用車の運行は公務に限定する、舛添前知事が政務といって公用車を使っていたようなことはいっさい行わないことにしたと聞いています。あわせて、公務に関しては、時間、用件、場所を具体的に示した知事の週間実績をホームページで公表しました。したがって、専用車の運行日誌とこの週刊実績はすべて符号し、専用車を何につかったかはすべて確認することができます。 こうした努力は当然のことです。区長はどう受け止めますか。 Q17、第1回定例会では、わが党の山田議員の指摘をうけて、秘書課長は「誤解をまねかないよう区長の行動記録の方法等について課題を整理して検討してまいります」と発言しました。公用車を選挙応援に使ったことは事実上認めながら「誤解」などということ許されませんが、課題と見直しについて現時点でどのように検討しているのですか。運行の厳格化、不透明な記録の見直し、区民への説明の明確化など至急改善を行うべきではありませんか。具体的に答えてください。 (5)記録の保管と情報開示に関して 公用車の運行記録と関連して、公的な記録と情報開示のあり方についてただしたい。国会で、防衛省による記録の隠蔽、さらに財務省による記録の改ざんなど、驚くべき実態が明らかになり、国民から厳しい批判の声があがっています。記録の管理と情報の公開は、民主主義の根幹、国民主権の根幹にかかわる問題として徹底して正されなければなりません。 Q18、ところが、この点で、田中区政はどうでしょうか。まず、記録の隠蔽にかかわる疑惑です。第1回定例会でのわが党山田議が、区長の過去のスケジュールの管理について質問したのにたいし、秘書課長は「毎日日程は作成しておりますので、これは毎日必要がなくなったら廃棄しております」と答弁しました。改めて確認するが、ホームページでの公表以外に区長の過去のスケジュールに関連する書類は毎日廃棄し、保管していないのですか。 Q19、一日で破棄し、区長のスケジュールに関する記録は、ホームページで発表している「区長の行動日程」以外にないとは、到底理解できない。杉並区文書等管理規定34条2項では、「文書等は、完結した日の属する年度の翌年度を経過するまで、主管課の事務室内において保存するものとする」と明記している。そのうえで、文書等の種類に応じて、3年、5年、10年、長期保存の種類別年限が定め、文書分類表では、秘書事務関連記録は「長期」、「行事・出席」は5年となっているではありませんか。 条例や文書分類表によれば、区長のスケジュールに関する記録は1日で破棄し存在しないなどという答弁は、ありえません。 私は、廃棄しているという事実を確認する意味で、5月8日分の区長日程表を開示請求したところ、示されたのは区長の一週間分の予定表であり、しかも開示されたのは、開示請求から二週間を超えた日でした。さらに、区長の行動するに付随する、資料があることも分かりました。国会でも、イラク派遣部隊の日報隠蔽が大きな問題となっています。 区長のスケジュールに関する資料は一日ずつ廃棄したのではなく、存在しているのではないですか。はっきり答えてください。 実際は存在しながら、追及を逃れるための答弁で、存在を隠したとしたら、議会を欺く重大問題です。 Q20、とりわけ、存在しないと答弁してきた文書が、区長の公務に関する行動記録に関する文書であることは重大です。区長は自らの行動が、公正、公平で、いささかも区民の疑惑や誤解を受けないよう、説明責任があるのではありませんか。文書の保存とその年限を定めているのも、「区民等への説明責任を果たすことを目的」としているからです。 区長の公的行動記録にたいする区の対応は、明らかに区長の行動を明らかにしない、区民から隠そうとする態度です。 運行記録でも指摘したように、都知事は、ホームページで日々の活動紹介とは別に、時間と要件、場所を明記した公務に関する週間活動実績を公表しているのです。これが、当然の態度ではありませんか。 Q22、さらに、記録の保管以前の問題、区としての決定や執行が、きちんと文書として記録されているのかどうかという問題です。これは、この間の開示請求への区の回答で感じたことです。例えば、ホームページの行動日程では、昨年・2017年8月4日、出張「奈良県天理市」とあり、場所:奈良県天理市と記載されていました。これが何のための出張か開示請求で調べた結果、出張目的が「荻外荘移築に向けた天理教本部との懇談」だったことが確認できました。しかし、どの宿に泊まるかなどの記録はありましたが、天理教との懇談に関する記録は存在しませんでした。そもそも出張したら区内も含め、文書にして報告するのが基本ではありませんか。懇談に関する記録はなぜないのですか、それとも開示にたいし隠したのですか。 Q23、出張や他団体との合意、約束などに関する結果は、文書による記録として保管するのが大原則ではありませんか。いかがですか。これに反する事態は改めるべきです。以上、田中区長の公用車利用をめぐる問題点をとりあげてきましたが、公用車の私的利用は絶対に許されません。区民が必死の思いで納めた税金は、たとえ一円でも浪費してはなりません。公務だというのなら、区議会と区民が納得できる説明をすべきです。誤りがあれば、率直に事実を明らかにし、反省をすべきです。区長の姿勢と資格が問われる問題です。区長の明確な答弁を求め、再質問を留保し、質問を終わります。 |
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