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2018年杉並区議会第一回定例会一般質問(上保まさたけ) |
日本共産党杉並区議団を代表して、介護保険制度改定について、学校施設整備について、阿佐谷地域のまちづくりについて質問します。 1.介護保険制度改定について まず、介護保険制度改定についてです。 現在、第七期介護保険事業計画の策定が進められていますが、今改定では介護サービス利用料の3割負担の導入、介護認定率の抑制による給付削減、給付抑制を実施した自治体へのインセンティブの付与等、介護保険制度改悪による介護現場に重大な影響が懸念されます。 今改定では、薬価部分を除く医療の診療報酬、介護報酬、障害報酬は、財務省の「マイナス改定」が狙われましたが、現場から厳しい批判が上がり、いずれも若干のプラスとなりました。 一方、今回の介護報酬改定は、給付抑制に主眼を置いた自立促進に特化したものであり、重大な問題があります。 在宅介護を支える通所介護では、大規模デイサービスの基本報酬を大幅に引き下げました。通所介護での報酬引き下げは前回改定の小規模デイにおける報酬引き下げに続くものであり、この間の小規模デイ事業者の深刻な運営実態を踏まえれば事態は深刻です。 区内の事業者からは、報酬引き下げによる深刻な影響を懸念する声が寄せられています。 区内で大規模デイサービスを行なっている事業者に話を聞きました。その事業者は今回の報酬改定により、現在の大規模デイサービスを維持することが困難なため、規模を縮小し通常規模に移行することを検討せざるを得ないと話しています。 今回の報酬改定が事業運営にも利用者へのサービス提供についても、重大な影響を与えていることが端的に示されています。 今回の報酬改定により、現行の報酬が引き下がる区内事業者はどの程度に及ぶ見通しなのか確認します。通常規模型事業所と大規模事業所それぞれでお答えください。 介護報酬改定により、区内のデイサービス事業所から深刻な声が寄せられていますが、区は今回の報酬改定が区内デイサービス事業者に与える影響をどのように受け止めているのか、確認します。 今改定では、高齢者の自立支援を促す仕掛けが随所に盛り込まれることとなりました。自立支援については、高齢者が住み慣れた自宅などで暮らし続けてもらえるようにする意義もある一方、介護費の抑制のため、望まない人への「自立の押しつけ」を懸念する声も広がっています。 通所介護においては生活機能向上連携加算や心身機能の維持に関するアウトカム評価等が創設されることになります。利用者の食事や排泄(はいせつ)、着替えなど身体能力について、「1人で着替えられる」「手助けが必要」などと身体能力等を点数化。利用開始時と比べて点数が上回っている利用者が下回っている利用者より多くなるなどした場合、「成功報酬」が事業者に支払われることになります。 区内事業者からは、「生き残りをかけて『成功報酬』のために、自立を望んでいない人にもリハビリを強いることにもなりかねない」と懸念の声が上げられています。また、利用者からは、本人の思いや選択が保障されるのかと心配する声も寄せられています。 介護保険制度は身体機能が落ちても安心して暮らせるためにつくられたものであり、利用者が望まない自立の押しつけや給付抑制を目的とした自立促進は理念に逆行するものであると考えますが、区の見解を確認します。 「成功報酬」のために利用者の意向に沿わない自立支援が押し付けられることのないよう、区の関与を求めますが、区の見解を確認します。 ホームヘルプ(訪問介護)についても、掃除や調理などの生活援助で、ヘルパーと利用者が一緒に活動すれば報酬をアップする仕組みとなります。国は生活援助を「家事代行」のように捉え、これまでの生活援助の専門性や意義を軽視し、生活援助中心型の基本料を引き下げました。 食事や掃除など生活援助はたんなる「お世話」活動ではありません。杉並区介護保険運営協議会では、訪問介護の専門の委員から「生活援助のみではなく、自立支援のために行っている」「身体介護の意味合いで仕事を受けている、できない部分を援助して、一緒になって行う生活リハビリとして捉えてほしい」と発言しています。これまでの生活援助サービスにおいても、身体介護も含めてのサービスが提供されていることが介護現場からも語られている点は重要です。 そもそも本来の自立とは障害があっても病気になっても、公的制度や社会的支援を利用し、尊厳をもって生きることですあり、多くの高齢者は適切な支援により出来ないことを補い、その人なりの暮らしを築くことが重要です。 今報酬改定での訪問介護における生活援助の報酬引き下げは生活援助の専門性を軽視するものであり、到底、認められません。 区は生活援助サービスの専門性や意義についてどのように考えているか、見解を伺います。 今回の制度改定は、生活援助中心型の報酬を引き下げるなど、専門性を軽視しているものであると考えますが区の見解を伺います。 介護報酬は改定の度に引き下げられてきた経緯があります。 2015年度には、安倍政権が進める社会保障費の「自然増」削減により介護報酬の大幅削減が介護現場を直撃しました。 報酬全体でマイナス2・27%、介護職の「特例加算」を除いた報酬本体はマイナス4・48%という空前の報酬カットにより、介護事業所の倒産、撤退が各地で激増する結果となりました。 「施設入所の制限」「利用者の放置」「食事や年中行事のカット」「利用者からの追加負担徴収」など、利用者や家族が犠牲となる事態が起こっています。 ここ杉並区でも事業者から事業運営に深刻な影響が出ているとの声や、利用者への追加徴収の問題等、深刻な実態が寄せられました。 先にも取り上げた通り、2018年度の介護報酬においても影響は重大です。 この間も指摘していますが、隣接の世田谷区では区内事業者の実態調査を実施しており、杉並区としても介護報酬改定等に伴う事業者への影響を把握することが今こそ必要ではないでしょうか。 介護報酬改定の影響について、区内介護事業者の実態調査を実施すべきと考えますが、区の見解を確認します。 介護現場の危機的状況を打開するためには、この間の介護報酬の削減路線をあらため、削減された報酬を元の水準に戻すことが求められます。 介護職員の賃金の引き上げや職員配置基準の改善、長時間・過密労働の是正につながる報酬体系への転換が必要です。 国に対して、介護現場の深刻な現状を伝え、介護報酬改定による現行からの報酬の引き下げ等は見直すよう求めるべきではないのか、区長の見解を求めます。 区独自に介護報酬引き下げの影響を緩和すべく、介護従事者の処遇改善策等を検討するべきではないのか、見解を求めます。 国は介護保険の保険者機能の強化等による自立支援・重度化防止に向けた取組を推進するとし、市区町村や都道府県の高齢者の自立支援、重度化防止等に関する取組に対して新たな交付金を創設します。 各自治体に対して、介護度改善などを見える化し、財政インセンティブを付与することの問題点は、この間も指摘してきました。 例えば、モデルケースとして先行して実施している三重県桑名市では、「できないことをできるようにするケア」、介護保険を「卒業」し担い手として地域デビューすることを目標に取り組みが進められています。こうした実態からも、財政インセンティブの付与が利用抑制に直結するのは明らかではないでしょうか。 杉並区として国の保健者機能の強化を目的とした財政インセンティブの付与について、どのように認識しているのか確認します。 先行事例からも要介護認定率の引き下げに対する財政的インセンティブにより、意図的に介護度を低くする事態が発生しています。財政的インセンティブに関わらず、利用者が必要なサービスを適切に受けることが保障される必要があると考えますが、区の見解を確認します。 財政的インセンティブ付与を目的に自治体ごとに介護給付費削減を競わせるような制度を改めるよう国に求めるべきと考えますが区の見解を伺います。 今回の制度改定で、現役並み所得者の利用料負担が3割へと引き上げられました。専門家からは「所得が低い層ほど要介護・要支援者の出現率が高くなる」という調査結果も出されており、サービスの利用が「必要」に基づくものでなく、「負担能力」によって決まることになります。最もサービスを必要とする人たちに必要なサービスが届かないというのは、介護保険制度の根本的な矛盾を示しています。 利用料のさらなる引き上げは、利用抑制にいっそうの拍車をかけ、制度の矛盾を広げるものです。そこで伺います。 今回の現役並み所得者の利用料3割への負担増について、区内における該当者数を確認します。 医療保険と異なり、介護保険利用料は永続的に負担が発生するものであり、3割負担は深刻な影響と考えるが区の見解を確認します。 今回の現役並み所得者の利用料3割負担への改定が、サービス利用の抑制につながると考えるが区の見解を伺います。 国に対し、利用料の3割への負担増をやめるよう求めるべきと考えますが区の見解を伺います。 今改定により、共生型サービスが創設されますが、65歳以上の介護保険優先原則を強化するものとして、障害者団体から懸念の声が広がっています。 障害福祉サービスの実施する事業者が介護保険サービスの指定を受けた場合、これまでのサービスの基準や体制、報酬が担保されるのか、確認します。 区内の介護事業者において、職員確保は深刻な問題となっています。 区内事業者からは、恒常的に介護人材が不足している現状が語られており、先の介護保険運営協議会においても、「問題なのは人がいない」など、介護サービスの運営上、人材が不足している切実な声が出されています。 介護保険運営協議会において、介護施設を整備した際においての職員不足の深刻な実態が寄せられたが、どのような声が出されていたのか?また、区として職員不足の実態をどのように認識しているのか確認します。 東京都では、来年度予算の新規事業として介護職員奨学金返済・育成支援事業や東京都区市町村介護人材緊急対策事業が位置付けられました。区市町村介護人材緊急対策事業は、地域社会を支える介護人材の確保・定着・育成を図るため、区市町村が取り組む介護人材対策への支援が実施されるものです。 東京都の介護人材の確保・育成・定着支援策について、新規事業の活用も積極的に進めるべきと考えますが、区の見解を確認します。 杉並区として介護職員確保や定着支援策を拡充すべきと考えますが、区の見解を確認します。 2.学校整備について 次に、公立小中学校の施設整備について質問します。 子どもたちにより良い教育環境を保障するために、老朽化した校舎の改修やすべての教室へのエアコン設置、トイレの洋式化を促進することは区の重要な責務です。 しかし、他の区市町村にくらべても、遅れている課題の一つが、公立小中学校のトイレの洋式化です。 2017年4月1日時点の都の調査によると、すでに豊島区、板橋区をはじめ11区市町村が70%を超え、東京全体のトイレの洋式化率は57・2%です。しかし、杉並区は54・0%と全都平均以下であり、23区では下から5番目の19位となっています。今年度には井荻小学校で洋式化工事が行われましたが、それでも区の洋式化率は55%で都平均よりも遅れています。杉並区固有の困難さがあるとは考えられません。 区長は、この現状をどう認識していますか、なぜ杉並区はおくれているのですか。答弁を求めます。 学校のトイレに関して、この間保護者からは、「小学校入学時に和式トイレを使えるように練習をしてきてほしいと学校に言われた。」という声や、区議団のアンケートを通じても学校の和式トイレを変えてほしいという声が寄せられています。いま、多くの家庭のトイレが洋式化しているもとで、学校トイレの洋式化の促進は児童・生徒、保護者の切実な願いです。 同時に重要なことは、防災対策の観点から一時避難所となる公立小中学校のトイレの洋式化は緊急課題だと思います。国も都もそうした観点から支援を強化しています。 洋式化促進の重要性、意義をどう認識しているのか、区長の見解を伺います。 東京都は昨年、文科省がトイレの改修促進を補正予算に計上したことに伴い、新規事業として「防災機能強化のための公立学校施設トイレ整備支援事業」を実施しています。 これは、児童・生徒にとって安全・安心な環境を整備するとともに、小中学校等の災害時の避難所としての機能を向上させるため、トイレ改修(洋式化)及びマンホールトイレ等災害用トイレの整備を実施する区市町村を支援するものです。 東京都は、事業をスタートするにあたり、2020年までに80%の洋式化の整備目標をかかげ、各区市町村に達成をよびかけています。しかし、杉並区の今年度の伸び率は1%程度であり、このペースでは到底2020年に80%は不可能と思います。 区としても、目標と年度計画を明確にし、そのための手立てもとって洋式化を促進すべきです。目標、計画、そのための手立てを明らかにしてください。 次に、全ての教室へのエアコン設置についてです。この間、多くの児童・生徒やその保護者からの要望もあり、普通教室にはエアコン設置が進みましたが、特別教室にはまだ未設置の教室が残されています。特別教室へのエアコン設置率も23区では平均以下になっています。 現場からは、「図工室の粘土が暑さで溶ける」などの声が寄せられており、早急に特別教室へもエアコン設置が必要です。 全ての教室へのエアコン設置のための計画をお示しください。 区内小中学校の中で、体育館にエアコン設置がされている学校は一つだけとなっています。夏場の熱中症対策や災害時の救援所としての機能を強化する上でも体育館へのエアコン設置も進めるべきです。 文京区や中央区では、すでに区内の全小中学校の体育館に冷房設置を実現しています。 体育館への冷房設置の目標を持ち、設置を促進するべきだと考えますが区の見解を伺います。 トイレの洋式化や特別教室、体育館への冷房設置を含め、小中学校の施設整備を促進していくためには、予算配分の問題は避けて通れません。わが党区議団は、23区の当初予算で、児童、生徒1人当たりの小学校費、中学校費を調べてみましたが、2015年度から17年度の3年間平均で、杉並区はともに23区平均以下でした。 区に確認しますが、2015年から17年の3年間の杉並区当初予算における児童生徒1人当たりの小学校費及び中学校費は、23区平均と比べてどうですか、何位になっていますかお答えください。 単年度では施設整備等による予算の変動がありますが、3年間でみても杉並区が低いとしたら、その現状と原因を区長はどう認識していますか。見解を求めます。 トイレの洋式化やエアコン設置の遅れと改善の重要性を指摘しましたが、そのためにも小学校費、中学校費などの増額を求めますが、区長の見解を求めます。 3.阿佐谷地域のまちづくり方針について 最後に阿佐谷地域のまちづくりについて伺います。 阿佐谷地域のまちづくりに関しては、昨年、阿佐谷地域の集会施設を杉一小に統廃合する杉一小複合化計画が、杉一小に隣接するけやき屋敷に河北病院が移転することにより計画の見直しを余儀なくされ、見直し案である杉並第一小学校等施設整備等方針が出されました。 わが党区議団は、これまで、この整備方針について、地域を代表する緑が大幅に削減される懸念があること、幅広い区民から利用されてきたけやき公園プールが廃止されること、区が税金を投入し、杉一小跡地に建てられる予定の商業施設は地域の商売に大きな打撃を与えること、そもそも地域の区民の声を吸い上げることなく、方針決定がなされていることを厳しく指摘し、区民の声に基づいた計画へと更なる見直しを行うよう求めてきました。 さて、先にも述べましたが、杉一小跡地に建設予定の商業施設については、地域の商店会からは商売への影響を懸念する声が後を絶ちません。私はこの間の議会で、昨年の5月11日に区が阿佐谷の複数の商店会を集めて行った説明会について、そこに出席した商店会からの聞き取りから、反対の意見しか出なかったことを紹介しましたが、区は概ね賛成の意見が出たなどと答弁しています。それを聞いた商店からは怒りの声が寄せられています。そこで改めてお聞きします。 杉一小跡地に整備する商業施設について、区はこの間、商店会から多くの賛成意見をいただいていると答弁していたが、その賛成意見とはどのようなものなのか、具体的にお示しください。 先の代表質問でも述べましたが、商店街は地域経済の中心であり、地域のにぎわいをもたらすと共に、祭事、街の美化、防犯など地域社会の一員としても重要な役割を果たしています。わが党区議団は、そうした地域の商店会の商売に大きな打撃を与える杉一小跡地への商業施設建設には反対の立場ですが、そもそも区がこの施設を建てる方針を策定するにあたり、商店街への影響をどのくらい想定しているのか疑問です。 今回の計画策定にあたり、阿佐谷南北地域の商店街での買い物客の回遊性などの影響調査などは行われたのか確認します。 加えて、杉一小跡地に商業施設ができた場合、阿佐谷の各商店会への影響はどのくらいを想定しているのか。その影響軽減策は策定するのか、伺います。 施設整備方針については、わが党区議団のアンケートにも、「区は各戸にチラシ等を入れて必要性を説明してほしい。ごくわずかの住民しか参加できない日時に説明会を開いても大多数の区民には伝わらない。」「ケヤキ屋敷を無くさないでほしい。計画そのものについて住民に説明もなく強行するのは許せない」という声が寄せられています。 加えて、わが党区議団のアンケートで計画を知ったという区民もいました。計画の全容がまだ地域住民に知られていない現状もあります。 この間、地域のまちづくりに関する意見交換会等が行われていますが、もっと幅広い地域の住民と意見を交換する場を持ち、その声を計画に反映させるべきだと考えますが、区の見解を伺います。 |
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