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2018年杉並区議会第一回定例会一般質問(くすやま美紀) |
日本共産党杉並区議団を代表して、国民健康保険について、子どもの食事支援について、教育費の負担軽減について、質問します。 1.国民健康保険 国民健康保険は、自営業者や非正規労働者、年金生活者や無職の人などが加入する公的医療保険で、「国民皆保険」の基礎となっています。戦前の旧国保法は、相扶共済(そうふきょうさい)の精神で運営されている任意の保険でしたが、1958年の全面改定で、国保は社会保障であることが明確に位置づけられました。国保制度がはじまった当初、政府は、無職者が加入し、保険料に事業主負担がない国保を保険制度として維持するには、「相当額の国庫負担」が必要と宣言していました。しかし、歴代政権は国保の財政運営に対する国の責任を後退させ続け、その結果、「低所得者が加入する医療保険なのに保険料が高い」という「国保の構造問題」をうみだしました。 4月からの都道府県化への移行が目前に迫り、区民は、今でさえ高い保険料がさらに大幅値上げとなるのではないか、徴収強化が強まるのではないかと不安を募らせています。 私は、これまでも国保問題をとりあげてきましたが、あらためて基本問題に立ち返って区長の見解をうかがうとともに、杉並区が、あらゆる努力で区民の負担軽減を図ることを求めるものです。 第1に、保険料負担についての認識をうかがいます。無職者や低所得者が多くなっているにもかかわらず、高齢化による医療費の増大で保険料を引き上げてきた結果、保険料負担は加入者の生活を脅かす事態になっています。前定例会で、40代非正規で働くシングルマザーから寄せられた「親子3人、ひと月17万の手取りで国保料2万5千円は高い。フルタイムで働いているが非正規なので社保に入れてもらえない。国保料は本当に高い」という声を紹介しましたが、ほかにも、わが党区議団が実施した区民アンケートには、次のような声が寄せられました。50代主婦「国民健康保険料が毎月5万円以上というのはとても負担が大きく、家計を圧迫している。ぜひ軽減してほしい」、60代主婦「夫婦2人分、国民健康保険料月額約36,000円払っている。この金額は家計に対して相当の負担となっている」などです。保険料負担の現状からすれば、こうした声が上がるのは当然です。 予算特別委員会、決算特別委員会に提出された資料でも、年収200万円、40歳夫婦と子ども1人の3人家族の場合、介護分を含む保険料は、2011年度の約13万7千円から今年度は約24万1千円と、6年間で1・8倍近く上がりました。収入に占める保険料負担は1割を超えます。さらに国民年金保険料が加わると約64万円と収入の3割を越えます。単身者以外では、こうした事態はほぼ同様です。区長は、こうした事態についてどう認識しますか。お答えください。 全国知事会は、2014年(H26)7月に決議した「国民健康保険制度の見直しに関する提言」で、「被保険者の負担が限界に近づいていることを踏まえ、今後増嵩(ぞうすう)する医療費に対して、被保険者に過度な負担を負わせることなく、将来にわたり国保の持続性を担保するための制度的措置を講じること」と国に提言しています。当然のことだと思いますが、区長の考えはいかがですか。 第2に、来年度からの国保の都道府県化を機に、一般会計からの繰り入れを「赤字」だとして、廃止が打ち出されていることへの対応についてです。一般会計からの法定外繰り入れを廃止すれば、医療費の増嵩(ぞうすう)とあいまって保険料が急増することは明らかです。 杉並区の場合、2015年度(H27)の保険者判断による法定外の一般会計繰り入れ額は38億2909万円となっていますから、これをゼロにしたら、被保険者あたりの負担は単純平均で2万7千円の負担増になるのではありませんか。お答えください。 昨年末に東京都国保運営協議会が発表した「仮係数に基づく1人当たり保険料額」では、2016年度(H28)の法定外繰入後の保険料約12万7千円に対し、2018年度(H30)法定外繰入前は約16万2千円と、2年間で3万5千円、1・27倍の増加になると試算しています。この伸び率で単純推計すれば、さらに2年後2020年(H32)には約18万3千円に増加。4人世帯では73万円をこえる保険料に跳ね上がります。 こうした事態になりかねないことを区長はどう考えますか。それでも一般会計からの繰り入れを段階的に廃止するのですか。区長、お答えください。 第3に、保険料徴収の強化の問題です。保険料の値上げが連続して行われ、収入の1割以上が保険料となる事態のなかで、杉並区の滞納世帯は3万世帯を超え、3世帯に1世帯近くが滞納世帯、年度途中では5万世帯を超える事態となっています。収納率は84・7%で、全国的には低い区部平均85・9%よりも低い状態です。 こうした状況は、単に徴収努力の不足や、区民の自覚の低さの問題ではなく、保険料の支払いが困難という事態が根底にあるからです。それだけに、区が対応すべきは保険料の引き下げであり、収納については、強権的ではなく、きめ細かな対応が求められています。 ところが、東京都国保運営方針では、年次計画をもって収納率を全国平均まで引き上げることをかかげ、杉並区の場合、被保険者規模により、2017年度(H29)87・0%、2018年度(H30)87・5%、2019年度88・1%、2020年度88・6%の目標が示されています。 区は、こうした都から押し付けられた目標を、機械的にあてはめて徴収強化をはかるのですか。お答えください。 第4に、どのように保険料の引き上げを抑えるかについてです。 国が、国庫負担率を1984年の法改悪前に戻し、都が従来行ってきた保険料抑制のための区市町村への支援を復活させれば、保険料の負担をおさえ、これ以上の値上げを抑えることは十分可能です。 国は、2015年度から区市町村に1700億円の財政投入を行い、さらに来年度から追加で1700億円、計3400億円の財政投入を予定していますが、23区や他の首長とも連携し、国にいっそうの財政投入を求めていくべきと考えますが、いかがですか。また、国の新たな財政投入を、保険料の引き上げ抑制に生かすべきです。区長の見解をうかがいます。 東京都は、独自の財政支援として、6年間にわたり総額79億円の財政支援を行うことを決定しました。来年度については14億円の支援を行い、2年目以降も11億円から17億円の範囲で支援額を推計しています。都が独自支援を決定したことは重要ですが、金額的に不十分であり、かつ6年間の激変緩和措置というものです。都道府県化にあたり、より本格的な財政投入を都に求めるべきと思いますが、いかがですか。 収入のない子どもにまでかけられる均等割りは、家族の数が増えるごとに保険料を加算していく仕組みで、子育て世帯の保険料負担を重くし、子育て支援にも逆行するもので、全国知事会などからも見直しが要求されています。子どもに対する均等割は免除すべきです。区長会として、多子世帯の支援について都に要望したことは重要ですが、区としても何らかの支援を実施すべきではありませんか。これまでも紹介しているように、すでに都内では、東大和市が第3子以降の均等割りを無料にしています。埼玉県ふじみの市でも、来年度から第3子以降の均等割りの全額免除を実施します。規模的に子ども全員の均等割り免除が難しいということであれば、他自治体で実施している第3子均等割り無料化を、区として実施すべきと考えます。区長の見解をうかがいます。 2.子どもの食事支援について まず、子ども食堂についてです。 子どもに無料または低額で食事を提供する子ども食堂が全国各地に広がり、杉並区でも現在8カ所で運営されています。ある子ども食堂は、月2回の実施で、毎回60名ほどが利用しています。 私が見学にうかがった際も、たくさんの子どもや親子連れでにぎわっていました。子どもは無料、大人は300円で誰でも利用でき、私も勧められ食事をいただきましたが、季節の行事も取り入れられたメニューでした。運営者に話をうかがうと「野菜などの食材はほとんど寄付によって賄うことができ何とかなっているが、スタッフがボランティアなので、当日にならないと何人来てくれるかわからない点が悩み」とのことでした。 食事を終えた子どもたちはスタッフと折り紙などで遊んだり、テーブルでは親同士おしゃべりする光景がみられ、「毎回来るのが楽しみ」「子どもたちも喜んでいる」と話していました。 子ども食堂がマスコミなどで取り上げられ始めたころは、「子どもの貧困対策」「親の長時間労働などによって孤食になっている子どもに食事を提供する場」という概念でとらえられていた感がありましたが、今は、子どもの居場所、子育て世代の交流、さらに高齢者も含めた新しいコミュニティの場となっていると感じました。しかし、そうは言っても、「家庭が困窮しているために食事に来る子どもがいることも確かであり、そうした子どもたちに、もっと利用してほしい」と運営者は語っていました。その点で、福祉事務所のケースワーカーや民生委員に、子ども食堂の存在を広く知らせてほしいとの要望がよせられました。 子ども食堂については、せっかくリーフレットもつくられたのですから、福祉事務所など、区が積極的にPRに協力していくことは可能だと思いますが、いかがですか。 区内でも子ども食堂を開設したいという人が広がっていると聞いています。私が見学に行った時も、区外の方でしたが話を聞きに来ていました。 品川区では、子ども食堂がない空白地域解消のため、食材提供に協力する企業と開設を希望する団体をマッチングする仕組みを構築する支援を行うとのことです。 杉並区の保健福祉計画では、子ども食堂について、団体間の連携の推進、社会福祉協議会と協力し、活動に賛同する区民・事業者による活動支援を後押しする仕組みづくりに取り組む、とされていますが、具体的にはどのように支援していくのか、うかがいます。 わが党都議団は、昨年の都議会第4回定例会で、子ども食堂について「親の長時間労働の広がりで孤食になっている子どもに楽しく栄養バランスを考えた食事を提供している意義は大きい」と指摘し、子ども食堂への支援を充実させるよう求めました。小池知事は「子ども食堂のような取り 組みがさらに進むよう、しっかり支援していく」と述べ、来年度予算案に、子ども食堂への支援が盛り込まれました。 都の子ども食堂推進事業も活用し、杉並の子ども食堂への支援を拡充させることを求めますが、いかがですか。 東京都が首都大学東京の「子ども・若者貧困研究センター」と連携して行った「子供の生活実態調査」では、調査対象の小学5年生と中学2年生の約1割の家庭で、過去1年間に金銭的な理由で必要な食料を買えなかった経験がある、との結果が示され、切迫した実態が明らかになりました。 「まともな食事は給食だけ」という子どもたちが増えているともいわれています。子どもの養育にとって保護者の責任は重要ですが、困窮している子どもたちに必要な食事を届ける公的な制度を整えていくことも必要と考えます。 江戸川区では、昨年、食事支援ボランティア事業「おうち食堂」と、子ども配食サービス事業「KODOMO ごはん便」を開始しました。食事支援ボランティア事業は、親が複数の仕事を掛け持ちしていたり、病気などで十分に料理できない家庭に対して、調理員を派遣するもので、シルバー人材センターや、地域のボランティアが、各家庭を訪れて料理だけでなく買い物や片づけまで行うというものです。18歳未満の子どもがいる世帯が対象で、一人分の食事代500円は区が全額負担しています。子ども配食サービス事業は、区内の仕出し弁当組合が協力し、原則住民税非課税で中学生以下の子どもがいる家庭に弁当を届けるもので、自己負担は1回100円です。利用はそれぞれ、年に48回を上限としています。 食生活の貧困は、子どもの発達を阻害し、健康だけでなく、学習面にも大きな影響を与えるとの指摘もあるだけに、こうした他自治体の取り組みも参考にし、生活困窮世帯の子どもへの食事支援の施策を整えていくことが必要と考えますが、区の認識をうかがいます。 3.教育費の負担軽減について 教育は子どもが人間らしく生きていくための重要な権利であり、家庭の経済力にかかわらず、すべての子どもたちに豊かに保障されなければなりません。ところが日本は教育への公的支出の国内総生産に占める割合が、OECD加盟国で最下位となっていて、幼児教育から大学・専門学校まで教育にかかる保護者・学生の負担は、世界から見ると考えられないほど重くなっています。 義務教育は憲法で「無償」と定められていますが、国の制度で無償なのは授業料と教科書だけで、その他の必要な教材や行事等にかかる経費は、基本的に保護者負担であり、それも高額です。 杉並区の場合、小学校の教材費の一部と修学旅行費3万円を補助していることは重要ですが、2016年(H28)の文部科学省の子どもの学習費調査では、教材費や給食費、PTA会費など学校に納める年間の保護者負担は、公立小学校で10万2000円、公立中学校では16万7000円と家計に重くのしかかります。 そこで、うかがいます。憲法第26条第2項で「義務教育は、これを無償とする」とうたわれながら、重い保護者負担があることについて、区の認識はどうでしょうか。お答えください。 就学援助についてうかがいます。 就学援助制度は、経済的な困難をかかえる子どもに義務教育を保障するための命綱であり、貧困と格差が広がるもと、ますます重要となっています。私の周りにも利用している人がいますが、「就学援助があって本当に助かっている」と言っています。 就学援助のなかで、私たちが繰り返し求めてきた準要保護世帯に対する入学準備金の前倒し支給については、ようやく、中学生は2019年度から、小学生は2020年度から実施することが示されました。重要な前進ですが、金額については小学生が20,700円、中学生が22,990円と実際にかかる費用とはかけ離れたままとなっています。前定例会でも紹介したように、新宿区は昨年、小学校は40,600円に、中学校は47,400円に引き上げました。中央区は小学校43,890円、中学校76,860円と国基準を大きく上回る額を支給、この他、文京、府中、狛江、足立、町田、世田谷、豊島などもすでに増額または来年度増額予定と聞いています。杉並区も、せめて要保護世帯と同様に、小学生は40,600円に、中学生は47,400円に増額すべきです。 この間、区は準要保護世帯の入学準備金について「他区と比べてそん色ない実態にあり、直ちに引き上げることは考えていない」「区独自に義務教育費の保護者負担軽減策を実施していることも考え併せれば、現時点で増額するとの判断には至っていない」と繰り返し増額に背を向けていますが、他区で次々と増額に踏み出していることについて、どう受け止めているのですか。 前定例会の私の質問への答弁では「要保護世帯に準じた支給単価に増額した場合には、今年度ベースで、約1700万円余の経費増」と示されました。区の財政力からすれば直ちに踏み出せる金額です。あとは区長の姿勢次第です。区長、増額の決断をすべきではありませんか。 それぞれお答えください。 2010年度からクラブ活動費、生徒会費、PTA会費が国の補助対象品目に加わりましたが、杉並区では対象にしていません。クラブ活動費については、23区では半数以上の区が対象にしており、文京区では、来年度、23区で初めてPTA会費を就学援助の対象にするとしました。 昨年の第1回定例会で、私は、杉並区でも部活動なども就学援助の対象にするよう求めましたが、現時点では考えていないとの答弁でした。その後、検討はされたのですか。クラブ活動費なども対象にし、費目を拡大するよう求めますが、いかがですか。 生活保護基準の引き下げの影響によって、就学援助の受給条件となる所得基準額が引き下げられています。決算特別委員会で示された資料では、たとえば小学生一人のひとり親世帯の認定基準額の目安は、2013年度(H25)は約306万円でしたが、2016年度は(H28)は、約282万円と24万円も引き下げられています。今年度はさらに約274万円に引き下げられています。両親と小学生一人の3人世帯でも、2013年度の約371万円から2016年度約337万円と34万円の引き下げです。その結果、どうなったでしょうか。認定率は、小学校で、2013年度19.9%から2016年度には15%に減少、中学校も、30.9%が23.5%に減少しています。 区は、「認定率の減少については、23区において総じて同様の傾向にある。景気の動向やそれに伴う雇用・所得環境の変化など、さまざまな要因が影響していると考える」としていますが、働く人の実質賃金が5年連続低下しているといわれているなか、賃金の改善が大きく作用しているとは思えません。認定基準額の引き下げによって、対象者が狭められていることが大きな要因ではありませんか。小学生にとりのひとり親世帯の場合の基準額を2013年当時の約306万円に据え置いていた場合、認定率はこれほどの減少にはならなかったと考えますが、あらためて見解をうかがいます。 世田谷区などでは、認定基準を生活保護基準の引き下げに連動させず、維持しています。子どもの貧困が深刻な状況になっているもとで、わが党は、認定基準を生活保護基準の1.2倍から1.5倍に引き上げるよう求めていますが、認定基準額を少なくとも2013年の生活保護基準引き下げ前の時点に戻し、対象を広げることが必要ではありませんか。 今後、国はさらに生活保護基準の引き下げを狙っていますが、最低限、現状からの引き下げを行うべきではありませんが、いかがですか。 それぞれお答えください。 最後に学校給食についてうかがいます。 学校給食は、国の食育推進基本計画で、「子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるようにする」としているように教育の一貫であり、本来は無償であるべきと考えます。 杉並区の場合、学校給食費の保護者負担は、年間で小学校高学年が約5万7千円、中学校が約6万1000円です。就学援助を受けていれば、給食費は実費が支給されますが、就学援助の対象から外れる低所得世帯にとっては重い負担です。 私たちは、これまでも学校給食の無償化を求めてきましたが、区は「学校給食法第11条第2項で、学校給食を受ける児童または生徒の保護者の負担とする旨、規定されている」とし、「東京都にも公費助成を求める考えはない」と冷たい姿勢です。しかし、全国では無償化に踏み出している自治体がすでに80以上に広がっています。無償化の理由として、子育て支援や定住しやすい環境づくりに加え、給食を教育の一環としてとらえる「食育」の推進をあげる自治体が増えています。政府も公立小中学校の給食の無償化に関する全国調査を始めるなど、取り組みが進んでいます。 また、昨年7月の都議会議員選挙では、わが党以外にも多くの党が学校給食無償化を公約に掲げました。こうしたなか、わが党都議団は、無償化への取り組みの一歩として、都として一人あたり月額1000円の給食費助成を行う条例提案を行いました。残念ながら否決されましたが、東京都が全国に先駆けて助成条例をつくれば、国が無償に踏み出す大きな一歩につながると考えます。 そこでうかがいます。23区では、葛飾区や品川区で、第3子以降の給食費を無料にしています。杉並区でも、一度に全児童・生徒の無償化は無理でも、まずは第3子以降を無料にするなど、何らかの助成に踏み出すことを検討すべきと思いますが、いかがですか また、東京都に対し、公費助成を行うよう働きかけてほしいと思いますが、区の見解をうかがって、質問を終わります。 |
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