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2017年杉並区議会第四回定例会一般質問(富田たく) |
日本共産党・富田たくです。私は、日本共産党杉並区議団を代表しまして、 1.方南町駅のバリアフリー対策について 2.投票率向上の取り組みについて 以上、2項目について質問いたします。 1.方南町駅のバリアフリー対策について まずは方南町駅のバリアフリー対策についてです。 今年11月8日、東京メトロ本社の広報課から私あてに1本の電話がかかってきました。東京メトロ方南町駅のエレベータ、エスカレーターなどを含む新出入口の供用開始日が決定し、一か月後の本年12月9日土曜日の始発から利用が開始されるとのことでした。日を同じくして、杉並区都市整備部からも同様の通知が文章で届きました。 方南町駅は1962年の開業で、杉並区の都市化、住宅化が進んだ頃に建てられたため、駅出入口の敷地が狭く、開設当初からエレベータやエスカレーターなどのバリアフリー設備は設置されておらず、車いすの方、足腰の不自由な方、ベビーカーを利用する子連れの方など、多くの利用者からバリアフリー化を求める声が常に上がっていました。 そういったなかでの、待ちに待ったエレベータ利用開始の連絡、それも年明け以降かと思われていたなかでの年内の利用開始に、私も大変喜ばしく受け止めています。 また、地域の町会・自治会、商店会や地域住民の皆さんが諦めずに声を上げ続けてきたことが、東京メトロや杉並区などを動かし、安心安全のまちづくりを進めてきたんだと、あらためて実感しています。 そこで最初に確認いたしますが、杉並区として東京メトロ方南町駅のエレベータ、エスカレーターなどを含む新出入口の供用開始日決定について、どのように受け止めているでしょうか。この間の経過も含めて答弁を求めます。 また、エレベータ以外にも、エスカレーター、多機能トイレなどが追加されると聞いていますが、改めてどのような設備が追加され、利用者の利便性はどのように向上するのか確認いたします。 東京メトロから届いたエレベータ利用開始のしらせを地域の方々にお伝えしたところ、「来年2月だと聞いていたが、本当か?」、「良かった、知らせてくれてありがとう」、「長かったね」など多くの喜びの声が寄せられました。 地下鉄の安全性の向上とエレベータ設置などバリアフリー化を求める「東京メトロ利用者の会」を2000年から立ち上げ、方南町駅周辺などで活発に署名活動など行っていた会の世話人を務める87才の男性は、「2000年からだから、17年か・・・」と感慨深そうに笑顔を見せてくれました。 私たち日本共産党も「東京メトロ利用者の会」の方々から相談を受け、東京メトロ本社との直接交渉のセッティングや署名運動の協力、要望書作成のサポートなどを行ってきました。会を立ち上げてから17年間で、私たち日本共産党がかかわった東京メトロとの直接交渉はのべ16回に上ります。 東京メトロは当初、エレベータの設置用地を環七通りから東側のみで探していましたが、利用者の会の運動や住民の声に押され、対象範囲を環七通り西側にまで広げる方針転換を行いました。2010年に取得されたエレベータ設置用地が、環七通りの西側です。用地取得の対象範囲拡大がなければ、エレベータの設置はさらに先に延びていたでしょう。 また、用地取得後は多くの方から、「エレベータだけでなくエスカレーターなどのバリアフリー設備も設置してほしい」という声があがっていました。2012年の利用者の会と東京メトロとの直接交渉では、エスカレーターや階段出入口などの設置を求める要望書が提出され、そうした要望が後の工事計画案に盛り込まれました。 こうしたバリアフリーを求める住民の声を受け、2013年5月に発表された杉並区の「バリアフリー基本構想(案)」では方南町駅周辺が重点整備地区に指定され、方南町駅の改良工事が特定事業となりました。 このころ、方南町駅ではベビーカー「おろすんジャー」と名乗る若者が、緑色の戦隊ヒーローのコスチュームを着て、駅利用者のベビーカーをおろすお手伝いをするボランティアを行っており、全国的に話題となりました。海外メディアにも取り上げられ、駅のバリアフリー未対応の現状と共に、ベビーカーをおろす雄姿が広く報道されました。彼のこの活動で東京メトロでは荷運びを補助する要員を増員しています。 さて、この2013年に発表された「バリアフリー基本構想(案)」ではエレベータ等の設置は中期計画とされ、最長で2019年3月の完了と計画されていました。これには地域住民から「用地を取得してから10年近くも待たなければいけないのか」、「もっと早くエレベータだけでも工事できないのか」との声が噴出しました。 「東京メトロ利用者の会」では、こういった住民の声を受け我党区議団とともに、区に対して工事期間の短縮を要請しました。「バリアフリー基本構想(案)」に対するパブリックコメントでも、寄せられた意見の7割以上がエレベータ設置工事の早期完了を求める声であり、杉並区と東京メトロは中期計画のままとしながらも、工事期間を短縮して2017年3月を完了目標とする内容で基本構想が決定されました。 当時、我党区議団の質疑に対し杉並区からは「最長2019年3月の中期計画としてメトロから上がってきたが、ベビーカーおろすんジャーや社会的な要請もございまして、2017年3月までに進めるとメトロは言っている」といった答弁がありました。ベビーカー「おろすんジャー」のボランティア活動や地域の方々の声が、ここでも東京メトロと杉並区を動かしました。 その後、2013年11月に工事が始まり、途中、工事敷地内の水道管やガス管など埋設物の輻輳(ふくそう)のために工事が難航するというアクシデントで工事期間が1年延期され、2018年3月完了予定となってしまいましたが、今回、2018年の年明けを待たず今年12月に利用開始となったことは、東京メトロの努力と共に、早期の利用開始を求める地域住民の声に東京メトロが応えたということだと受け止めています。 せっかく予定よりも供用開始が早まったのですから、地域の方々にもそれを早く伝えなければ、工期を短縮した東京メトロの努力が無駄になってしまいます。 区としてもバリアフリー基本構想の重点地区・特定事業として指定している以上、住民周知を行う責任があると思いますが、供用開始日決定に伴い住民への周知は区としてどのように行う予定なのか確認いたします。 方南町駅ではエレベータ、エスカレーターなどを含む新出入口の工事だけでなく、丸ノ内線・本線から直接乗り入れを可能にするため、現在3両編成しか対応していないホームを、6両編成対応にする改良工事も行われています。 この工事が完了すれば、中野坂上駅での乗り換えの必要性がなくなり、車いすの方や足腰の不自由な方、大きな荷物やベビーカーを押す方だけでなく、駅利用者全員の利便性が向上することになります。バリアフリー化の推進だけでなく、本線からの直接乗り入れも地域の方々にとっては大変待たれるところです。 あらためて、工事完了予定はいつごろとなっているのか確認いたします。 方南町駅の西側出入口が設置されているのは、方南町交差点の北西側です。この方南町交差点は環七通りと方南通りが交差しており車通りも激しく、歩行者の信号待ちがとても長いのが難点です。朝の通勤時間帯などは、地下鉄に乗り遅れまいと歩行者信号が赤から青に変わる直前から駆け出す方もいます。 方南町交差点の西側に設置された新出入口の利用が開始されれば、方南町交差点の南西側、和泉4丁目地域からの利用者は信号待ちをせずに地下鉄駅を利用できるようになり、利便性も安全性も向上します。 そのため、駅利用者からは「新出入口の階段部分だけでも12月9日より前倒しして利用できないかと」との声も上がっています。この点について杉並区としてメトロへの要請を行うべきと考えますが区の見解を求めます。 今回のエレベータ利用開始は、方南町駅の安全性向上、バリアフリー化のゴールではなく、最初の一歩だと私は感じています。というのも、方南町駅の東側出入口は未だバリアフリーとは程遠い状態にあるからです。 東側出入口から今回設置された西側のエレベータまでは約180m、信号待ちの長い方南町交差点を横断しないとたどり着かないので、高齢者や車いすの方にとってはやはり負担になります。 なので、西側出入口にエレベータが設置されると決定した後も、周辺の住民からは東側出入口もバリアフリー化を進めてほしいとの声が根強くあります。 区として、東側出入口のバリアフリー化の必要性についてどのように認識しているか確認します。 また、今後は東側出入口へのエレベータ設置を東京メトロに対し強く求めていくべきと考えますが、区の見解を求めます。 さて、方南町駅の西側出入口が設置されている方南町交差点は、方南地域、堀ノ内地域、和泉地域を結ぶ結節点となっています。しかし、環七通りと方南通りという大通りが交わる交差点なので、横断歩道の距離が長く、歩行者にとって安全性、利便性に欠ける交差点と言わざるを得ません。 そのため、地下鉄駅のエレベータ設置と同じように、昔から交差点の改良を求める声が上がっており、現在も地域の方々が作った交差点の改良を求める横断幕が掲げられています。 地下鉄駅のバリアフリー化が前進しましたが、杉並区としてここで気を緩めず、方南町交差点の改良など住民からの要望を受け止め、方南町駅周辺のバリアフリー化をさらに推進することを要望しておきます。 また、方南町駅だけでなく区内鉄道駅のバリアフリー化は道半ばです。エレベータ、エスカレーターなど移動にかかわるバリアフリー化が遅れている駅。ホームドアや内方線付き点字ブロックの未設置など視覚障害者の方々の安全整備が遅れている駅などが多数あります。 今後、日常的に利用される公共交通機関で痛ましい事故が発生しないよう、また誰もが気兼ねなく安心して利用できるよう、区内公共交通機関のバリアフリー化推進に、杉並区として全力で取り組んでいくことを強く要望いたしまして、次の質問に移ります 2.投票率向上の取り組みについて 次は投票率向上の取り組みについてです。 10月22日、第48回衆議院選挙がおこなれ、全国では53・68%と戦後2番目に低い投票率でした。杉並区でも55・42%と全国平均とかわらぬ水準で、投票率向上の取り組みが求められています。 まず、投票率向上の取り組みに関係し、衆議院選挙での区内期日前投票所の状況について確認していきたいと思います。期日前投票所の利用は年々増加し、昨年の参議院選挙では区内で7万人以上が利用し、今回の衆議院選挙では10万人の大台を超えました。投票者数が26万人余りなので投票した方の3人に1人以上が期日前投票を利用したことになります。 平日および土曜日の都合のいい日に投票ができ、それも区内14カ所のどこの期日前投票所を利用してもいいという利便性が、期日前投票が増えている要因の一つだと思われます。また、今回の選挙では投票日当日が台風の影響で悪天候になると予想され、多くの方が投票日前日の土曜日に投票を行ったことも、期日前投票が増加した要因となりました。 その結果、投票日前日の期日前投票所に有権者が集中してしまいました。区役所では6階の期日前投票所に入るのに長蛇の列ができ、投票するまでに40分〜60分待ち。土曜日なので薄暗い本庁舎で順番を待つのも大変ですが、庁舎内に収まりきらず外の駐輪場まで列が伸びるといった状況でした。区役所以外の期日前投票所でも、同様で雨のなか施設の外まで投票待ちの行列が伸びていたとのこと。 いつまで待っても投票の順番が来る様子もなく、並んでいた有権者からは「これでは誰も投票しない」との声も上がり、区職員を怒鳴りつける方や、並んでいる方々の間でも小規模な言い争いもあったとも聞いています。 また、行列をみて投票をあきらめて引き返す方も多数目撃されており、そういった方々が翌日の投票日に投票所に行けたのかとても心配です。 投票率向上が求められるなか、この様な混乱が発生し、投票すること自体にストレスを感じてしまうことは、今後の投票行動にもマイナスの影響を及ぼしかねません。 衆議院選挙の投票日前日、各期日前投票所での混乱状況について区はどのように把握しているのか確認したいと思います。 全・期日前投票所のうち何か所で長蛇の列ができていたのか、最もひどかったのはどこの期日前投票所で、最大で何人の行列となり、待ち時間は最大でどれくらいだったのか、また、区に対し投票に来た有権者からどのような声が寄せられているのか、具体的な説明を求めます。 今回、こうした混乱の原因をどのように分析しているのかも確認したいと思います。 期日前投票所での投票には投票受付、投票用紙の発行、候補者名の記入、投票箱への投函、施設によってはエレベータでの移動など、様々段階がありますが、それらの数や方法などで、何が原因でこのような長蛇の列による混乱が発生していたのか、区はどのように原因を分析しているのか説明を求めます。 また、今回の長蛇の列による混乱を問題があるものと受け止め改善する必要があるものと認識しているのか、それとも投票日と台風がたまたま重なったレアケースで、今後も発生頻度は低く改善の必要はないと考えているのか、区の見解を確認いたします。 今回、混乱が発生したのは、期日前投票所の受け入れ人数の少なさ、来所する有権者数の見積もりの低さが大きな原因だと指摘します。今後、期日前投票所の収容人数や一度に受付・記入・投票ができる人数を増やすことが必要だと考えますが区の見解を求めます。 また、区役所の期日前投票所については、投票日前日の土曜日だけでも1階に設置することはできないのか、確認いたします。 子連れで期日前投票に来ていた家族は、10月末の寒空の下で長時間も乳幼児と一緒には並んではいられないと、母親は子どもと投票所となった区立施設の中に待機し、父親が列に残りました。投票受付ができる段になって母親たちが合流したそうですが、片親だけで期日前投票所に来ていたら、投票を諦めたかもしれないと語ってくれました。 投票待ちの行列が施設外まで伸びた場合、夏場なら熱中症の危険が、冬場なら寒さによる体調不良、台風などの場合は風雨にさらされるなど、健康に影響を与えかねません。有権者の来所が集中してしまった場合、屋外に並ばせるのではなく屋内で待機できるよう対応すべきと指摘いたしますが、区の見解を求めます。 さて、ここまでは期日前投票所の混乱と改善についての確認でしたが、ここからは純粋に投票率向上を進めるための区の取り組みにについて確認したいと思います。 先にも述べましたが、先日行われた衆議院選挙の投票率は戦後2番目の低さでした。投票率の低下の原因は政治に対する無関心や、現在の政治に対する信頼度の低下、投票日当日の悪天候など様々ありますが、日本社会の高齢化や多様化する職業形態などもその要因の一つだと考えられます。 高齢者も子育て世代も、仕事が忙しく休みが取れない方にも投票に来てもらうためには、投票しやすい環境を整備することが必要だと考えます。 そのためにも、日本の選挙制度の特徴である「投票日・投票所投票主義」や、短すぎる選挙期間、規制だらけの選挙運動など、選挙制度自体を抜本的に改善することが求められると指摘するものです。 また、制度的な問題点を解消していくことと同時に、自治体としては現在の制度で、できる限りの投票率向上の取り組みを進めていかなければなりません。 2015年(H27)第二回定例会で我党区議団の上保まさたけ区議が、投票しやすさの観点、選挙啓発の観点から駅前投票所などの設置を提案し、選挙管理委員会委員長からは「研究してまいりたい」と答弁がありました。この間、選挙管理委員会としてどのような研究をし、投票環境の向上をどのように図ってきたのか確認いたします。 現在、杉並区が投票所を設置する際の基準としては、投票区の人口がおおむね1万人以下となるようにとしています。しかし、高齢者や仕事が忙しい現役世代にとっては投票所への距離、移動時間が投票動向に大きく関係するのではないでしょうか。 前回の第47回衆院議員選挙の際に公益法人「明るい選挙推進協会」が行った全国意識調査では、投票所までの距離が5分未満の人で投票に行ったと答えた方は77・5%、5分から10分未満では71・6%と低下し、10分以上の人は58.4%と一気に落ち込みます。この調査からも、自宅と投票所との距離が投票動向に大きな影響を与えていることが見えてきます。 杉並区内でも集合住宅内に投票所が設置されている「グランメゾン杉並シーズン投票所」では毎回他の投票所よりも投票率は高く、昨年の参議院選挙では区内平均約60%のところ約75%でした。 こういったことからも、足を運びやすい近所に投票所があることが投票へのハードルを下げることだと考えますが、この点、区の認識を確認いたします。 さて、投票しやすさということでいえば2016年に制度化された共通投票所が注目を集めています。共通投票所とは、あらかじめ投票する場所が指定されている投票所と違い、投票日当日でも区内有権者であればだれでも投票が可能となる投票所で、自治体の裁量によって設置ができます。昨年の参議院選挙では一部自治体で導入されています。総務省が今年3月に作成した「投票環境向上に向けた取組事例集」では共通投票所を設置した自治体の取り組みが取り上げられています。 人口3万2千人余り、有権者数2万8千人弱の青森県平川市(ひらかわし)では、県内の大規模商業施設に期日前投票所及び共通投票所を設置したところ、期日前投票者の利用者数は2千7百人を超え、全期日前投票者数の51・65%にのぼり、投票日当日の共通投票所の利用者は1千7百人余りと、当日投票者数の17・16%、6人に一人が利用したそうです。近年の国政選挙で40%台だった市内の投票率が56%を超えたとのことです。 日常的な買い物が大規模商業施設に集中しているといった地域性や、自治体人口の規模によっても効果は変わっては来ると思いますが、取組事例集で取り上げられていた自治体ではそれなりの手ごたえがあったと記載されています。 今後、こういった共通投票所の制度の活用なども行いつつ、一万人単位でひとつの投票区という観点だけでなく、距離や移動時間、設置場所を考慮に入れて、投票所として利用されていない区立施設、私立の教育施設や、スーパーや商店街、公園や駅前の広場などを活用して、投票所、及び期日前投票所の抜本的な増設を求めますが、区の見解を確認いたします。 また、投票所や期日前投票所をそれぞれ1か所増設するのに経費はどれくらいかかるのかも、最後に確認させていただいて質問を終わります。 |
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