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2017年杉並区議会第三回定例会一般質問(上保まさたけ) |
日本共産党杉並区議団を代表して、杉一小改築を含む阿佐谷地域のまちづくり方針について、保育について、就学援助について質問いたします。 1.杉一小改築を含む阿佐谷地域のまちづくり方針について まず、杉一小改築を含む阿佐谷地域のまちづくり方針についてです。 この間、阿佐谷地域では、区立施設整備やまちづくりに関する方針が作られていますが、この質問の中では、主に二つの方針を取り上げ、杉並第一小学校等施設整備等方針を施設整備等方針、「阿佐ヶ谷駅等周辺まちづくり方針」をまちづくり方針と呼ぶこととしますのでご了承ください。 まず、施設整備等方針については、この間様々な声が区民から区に寄せられていると思いますが、わが党区議団は、そうした声を議会で取り上げてきました。その中で、いまだに内容全体が地域住民に知れわたっていないこと、そればかりか、内容に対する疑問や懸念、見直しを求める声が噴出していること、そうした声を無視して方針決定がされたことを指摘し、内容の見直しを求めてきました。 ただ、区はそうした指摘を受け止めず、進め方に問題はないと方針内容を推し進める姿勢を示してきました。 しかし、この間、そうした区の姿勢とは裏腹に依然として、進め方や内容に区の審議会の場でも批判の声が上がっています。 先の8月1日に行われた都市計画審議会では、施設整備等方針を踏まえた「阿佐ヶ谷駅等周辺まちづくり方針」の策定に関する質疑が行われました。そこでは「地元町会や商店会の総会などで、区から計画について説明がないという声が上がっている。」という意見や「当該計画は複雑であり、なにがどこへ行き、なにがどうなるという具体的な中身の説明、住民への周知をもっと丁寧にやっていくべきだ」という趣旨の苦言が出されました。 加えて、このまちづくり方針が及ぼす影響について、当該計画の対象となる地域の住民動態及び世帯数をどの範囲までを想定しているのか?という質問が出された際、担当所管がそれを把握していなかったことも、明らかとなりました。 都市計画審議会の場で、住民や地域への説明が不足しているのではないか、との指摘を区はどのように受け止めているのか、見解を伺います。 区民に知られていないのは方針の内容だけではありません。それに付随して起こる区民サービスの後退も区民には周知されていない実態があります。 今年、区民に親しまれてきたけやき公園プールが廃止となってから初めての夏を迎えました。プールの廃止は、昨年の第2回定例会で強行されたものですが、プールの前には廃止されたことの張り紙や看板などもなく、私自身プールの前を通ると、せっかく来たのにきれいな水が張っていないのを見て、がっかりしている人の姿を何回も目撃しました。プールの廃止が利用者へ周知徹底されていないことも不誠実だと言わざるを得ません。 区は、けやきプールの代替案として今まで実施をしていた阿佐ヶ谷中学校の開放プールの日数を増やすのに加え、新たに馬橋小学校のプールを開放にする小中学校の開放プールの拡大を提案し、今年から実施しました。しかし、昨年だけでも年間約1万7000人が利用しているけやきプールの代替になっているのか大変疑問です。 区の所管からの聞き取りでは、馬橋小学校のプール開放は、8月7日〜18日の間で行われ、利用者は134人、阿佐ヶ谷中学校のプール開放は8月2日〜13日の間で行われ、利用者は1050人とのことでした。ちなみに阿佐ヶ谷中学校の開放プールの利用者は、昨年と比べても130人減っています。 小中学校の開放プールの拡大という代替案は、こうした利用状況を見ても、年間1万7000人が利用するけやきプールの代替といえるのか、区の見解を伺います。 けやきプールは、阿佐谷地域のみならず、多くの区民に親しまれてきたプールです。とりわけ幼児プールは、子どもたちの夏の拠り所として子育て世代にも重宝されてきました。そのことは、所管からの聞き取りで明らかとなっている、昨年1万7千人が利用しているという実績からも明らかです。一方で、けやきプールがあるから、別の場所でも子ども達が安心して遊べるという実態があります。ある保護者からは、自分の子どもは小さくてまだプールに入れず、近隣の公園の水辺で遊んでいるけど、けやきプールが始まるまでの間は、水辺が小学生とそれに近いような子どもも交じって混雑していて、自分の子どもを遊ばせるのに不安がある。しかし、けやきプールが始まった7月からは、一気にその水辺の混雑が落ち着いて、乳幼児が遊びやすくなるということでした。けやきプールがあるからこそ、近隣の施設でもバランスよく子ども達が遊べるのだと実感しました。 施設整備等方針の内容の見直しを求める声として、けやきプールのような市民プールの設置を要望する意見が多数寄せられていると思いますが、それに対し、示されている代替案が、小中学校のプール開放の拡大という乏しいものしか示せないこと自体、子ども達の夏の遊び場を軽視すると同時に、プールの設置を求める声に背を向けるものだと言わざるを得ません。 改めてまちづくり方針に市民プール設置を盛り込むべきと考えますが、区の見解を伺います。 次に、杉一小移転後の跡地を活用した商業施設についてです。施設整備等方針では杉一小の跡地に産業商工会館を併設した最大13階建ての商業施設が建てられる内容となっています。 区は、この間、この施設の建設にあたって「今後、商店街関係者を含め地域の声をしっかりと聞いていく」と答弁しています。しかし、先に取り上げた、都市計画審議会委員の声にもあるように、そもそもこれまで、商店街の声を本当に聞いてきたのか疑問です。 これまで商店街関係者を集めた説明会や意見交換会はどの程度やられてきたのか、その回数と参加した阿佐谷地域の商店会の数、そこでどういう声が出たのかお示しください。 わが党区議団は、先の第2回定例会において、杉一小跡地への商業施設建設とそれに付随して予想される駅前開発などによって、商店街の賑わいの喪失への不安の声が阿佐谷地域の商店会から寄せられていることを紹介し、この商業施設ができた場合、とりわけ阿佐谷南地域の商店街の商売に大きな打撃となると考え、そのことについての区の見解を伺いました。しかし、「今後商店街の声を聞いていく」というだけで、はっきりとした答弁がありませんでした。そこで、改めて伺います。 杉一小移転後の跡地に商業施設が建設された場合、阿佐谷地域の商店街の商売への影響について、区はどのように考えているのか、区の見解を伺います。 最後になりますが、施設整備等方針の決定について、区はそのプロセスについては問題ないという姿勢を示し、「施設の開設時期を遅らせてはならない」とスケジュールありきで推し進めてきました。しかし、そのことが多くの区民、地域、商店街関係者の思いとかけ離れた内容となっていることを指摘せざるを得ません。 内容自体を知らない区民がいまだに多く、かつ内容も複雑で、それ自身にも異論が多数ある状態となっています。加えてそのことは区の審議会でも厳しく指摘をされている状況です。 今後の阿佐谷地域全体のまちづくりにかかわることであり、スケジュールありきで進めるのではなく、もっと幅広い区民から吸い上げた意見を内容に反映させ、時間をかけてでも結論を出し直すべきだと考えますが、区の見解を伺い、次の質問に移ります。 2.保育について 次に、保育についてです。 この間、杉並区政史上前例の無い規模の保育所増設が行なわれています。保育所の増設が急激に進められていることで、保育施設ごとの保育の質にも明確な差異が生じている現状です。 区内のある認可保育所では、国語の教室と題して、明治天皇の五箇条のご誓文を園児に素読させているということが保護者からの情報提供で明らかとなり、杉並の森友学園のようだと不安の声が上がっています。 保育の質の確保のためには、行政からの丁寧な支援や指導監督が必要不可欠となっており、既存の体制を拡充し、民間事業者への支援と共に、抜き打ち検査等、より厳正な指導監査を行うべきではないのか、区の見解を確認します。 また、この間、抜き打ち巡回が実施されていますが、既存の巡回体制を拡充し、保育の質の確保を進めるべきではないのか、確認します。 区内の小規模保育事業所A型の施設において、都議会議員選挙に立候補を予定しており、ほとんど勤務実態がないという方が施設長をやっていることが、先の保健福祉委員会で取り上げられ、大きな問題となっています。 この件について、保護者からは、「当初、異変に気付いたのは、おむつが反対にはかされて帰ってきたり、乳児用服の股のスナップがついていなかったために傷がついていたというようなケースがあった」とのことで、若い保育士さんが多いため、丁寧な対応を園長に要望しようとしたところ、職員から「園長が都議選に出るので、週に二、三回、午前中しか出勤しない」と言われたということでした。 こうした事態について、保護者から区に相談が行なわれたとのことですが、一向に事態が改善せず、都議会議員選挙告示日から代理の園長が出勤し、選挙後は、また同じ園長が戻ってきたとのことです。 この間の経緯の説明と共に、どのような対応が行われたのか確認します。 また、保護者や児童にとって、園長不在の状況が頻繁に起こり、速やかな是正も行なわれない現状で、保育の質を確保できると考えているのか、区の見解を確認します。 保育の質の確保に直結するのが、現場の職員体制です。保育士不足が加速し、保育士確保競争が激化するなか、保育士確保のために、各自治体で様々な施策が打ち出されています。杉並区においても、待機児童の解消に向けた保育士の確保策、および処遇改善策として2017年4月に採用された保育士に対して5万円分の商品券が支給されています。 現状、新卒者や保育士資格を持つ「潜在保育士」の掘り起こしに、どの程度の影響を及ぼしたのか、区の見解を求めます。 世田谷区では昨年10月より、すべての保育士と保育園看護師の処遇向上に月1万円の補助を行っており、現場からは歓迎されています。 杉並区において、区独自の保育士確保のため直接処遇補助金等を設定すべきではないのか、区の見解を伺います。 この間、区立保育園の民営化方針が示されH31年度までに新たに2園の民営化を行なうことが計画化されました。 民営化に関するガイドラインでは、民営化を実施する前の2年前の春から夏にかけて、対象園2園を決定し、保護者にも告知するとの方向性が示されていますが、依然として、対象園も示されていない状況です。 この間、上井草保育園や杉並保育園において、急な民営化方針によって、保護者から反対の声が寄せられ、当区議会にも民営化方針を見直すよう求める陳情が寄せられる事態となっています。こうした民営化の手続きの不備については、民営化の賛否の違いを超えて、保健福祉員会などで指摘をされ、保護者への対応などの手続きを丁寧に行うべきだということがいわれていました。にもかかわらず、また同じことが繰り返されようとしていることは、2元代表制の一角をなす議会の声を無視するものであり、議会軽視に他なりません。 本来、保育園の入園は、契約行為と取り扱われるべきものです。民営化のように当初設定されていた内容を大幅に変更することは、入園の契約内容の変更であり、十分な移行期間と利用者の合意形成が必要不可欠ですが、杉並区行政の民営化方針は最低限の手続きも踏まれておらず、重大な問題です。 この夏までに示されるはずであった民営化対象園2園を確認します。同時に自らが示したガイドラインにおける手続きすら守れない現状で、民営化方針を強行することは許されないと考えますが、区の見解を確認します。 公立保育所は地域のモデル的な保育水準を維持しており、民間保育所にとっても目指すべき保育水準となっています。保育士不足が深刻化し、民間認可保育所が急増する中、区内における保育の質を安定的に確保できる公立保育所の存在・役割がますます重要となっています。 北区では、今年4月に898名の保育定員を拡大させましたが、その中には公的な責任による安全で安心な保育を求める保護者らの声にこたえ、4つの区立保育所の新設が含まれています。 さらに保育定員の拡大と共に、区が新年度の区立常勤保育士を80人募集したところ、500人を超える応募が殺到したとのことでした。子どもの命を扱う重責を担う保育士が、他の職種より10万円も低い給与水準となっている中で、公務員の安定した賃金が求められていることを端的に示しています。当区の民間保育所で、保育士確保に大変苦労しいる中、賃上げなどの処遇改善が保育士確保にとっても決定的であることは、このことからも明らかです。 他自治体で公立保育所の増設が行われ、保育士の確保が進む中で、当区における区立保育所のさらなる民営化は愚の骨頂であり、言語道断です。 区内の保育所運営における基幹的な役割を担う現在の区立保育園を維持するため、今後のさらなる民営化方針を凍結するべきではないのか、区の見解を伺います。 3.就学援助について 質問の最後の項目として、就学援助について伺います。 就学援助は、憲法26条で掲げる教育を受ける権利、義務教育の無償を具体化した制度の1つであり、経済的理由で就学が困難な家庭を支援する重要な施策です。 子どもの貧困が社会問題となる中、同制度の拡充が大きな課題となっています。なかでも、小中学校の入学前にかかる費用は保護者にとって大きな負担です。区内に住む中学生の母親は、中学校入学時標準服に6万円、体育着など必要なものをそろえると10万円近くになり、乳幼児の妹もいるので、家計のやりくりが本当に苦しかったと話していました。 文部科学省は3月31日、生活保護世帯と同水準の要保護世帯の小中学生への「入学準備金」を増額し、支給は小学校入学前も可能だとする通知を都道府県教育委員会に出しました。 この通知によると、入学準備金の単価は、小学生は1人2万470円が4万600円、中学生は2万3550円が4万7400円となり、前年度と比較すると倍増しています。「援助を必要としている時期に速やかな支給が行えるよう」交付要綱の一部を改正し、これまで「児童又は生徒」としてきた入学準備金の交付対象に「就学予定者」を追加しました。これによって中学校への入学前のみならず、小学校入学前の時期に支給できることになりました。 当区では、すでに要保護世帯については、入学準備金の前倒し支給が実施されているとのことですが、この通知を受け、準要保護世帯にも、入学準備金の前倒し支給を行う必要性が高まっているのではないでしょうか。実際都内ではすでに実施済みも含めそうした流れが広がっています。北区、武蔵野市、武蔵村山市、西東京市、小平市、日野市、あきる野市、八王子市で、小中学校共に、準用保護世帯に対する入学準備金の入学前の前倒し支給が決定し、中学校だけでも千代田区、新宿区、港区、世田谷区、豊島区、荒川区、文京区、板橋区、足立区、葛飾区が、前倒し支給を決定しています。その他の都内自治体でも、前倒し支給を準備、検討を始めている状況です。 そこで伺います。 文科省通知を受け、他自治体で、準要保護世帯に対する小中学校の入学準備金の前倒し支給などの取り組みが広がっていることを、教育委員会としてどのように受け止めているか、見解を伺います。 わが党区議団はこの間、準要保護世帯に対する小中学校の入学準備金の前倒し支給を繰り返し求めてきましたが、区は「他の自治体の状況など、確認、調査・研究を行う」と答弁してきました。 これまで、教育委員会としてどのような確認、調査・研究が行ったのか、見解を伺います。 なお、支給単価の引き上げについても、小金井市、国立市、立川市、小平市で行われることになり、準要保護世帯の増額についても検討が行われています。 子どもの貧困の実態に目を向け、文科省の通知を区としても具体化し、都内他自治体で広がっているような、要保護・準要保護世帯に対する小中学校の入学準備金の増額および入学前の支給を実施するべきだが、区の見解を伺い質問を終わります。 |
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