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2017年杉並区議会第二回定例会一般質問(上保まさたけ) |
日本共産党杉並区議団を代表して、1.杉一小改築を含む阿佐谷地域のまちづくり計画について、2.高円寺地域の学校統廃合による小中一貫校計画について質問いたします。 1.杉一小改築を含む阿佐谷地域のまちづくり計画について まず、杉一小改築を含む阿佐谷地域のまちづくり計画についてです。 この間、阿佐谷地域の集会施設を杉一小に統廃合する杉一小複合化計画が、杉一小に隣接するけやき屋敷に河北病院が移転することにより計画の見直しを余儀なくされ、今月見直し案であるB案を推進する方針が出されました。 そもそも、元々の複合化計画であるA案については、小学校と集会施設を複合化することやそれに伴う屋上校庭化などにより、地域の防災機能の低下や、子ども達の健全な育成が図れるのか不安の声が上がっていました。 一方、見直し案であるB案については、学校と集会施設を別々に整備し、杉一小に関してはA案よりも良好な環境となる可能性が出てきてはいるものの、その他の内容には様々な問題点や疑問点が区民から指摘されています。 今年3月に計画に対する見直し案が区民に示されてから、わが党区議団は、その内容を区民に知らせると共に、まちづくり計画に対するアンケート調査を行い、区民から意見を募集しました。 そこで、そのアンケート調査やこの間複数回やられた説明会で出された意見も踏まえ、何点か質問します。 第一にケヤキ屋敷のみどりについてです。 わが党区議団が行ったアンケート調査では、「阿佐谷の森ケヤキ屋敷は何としても守るべきです。ケヤキ屋敷は住民にとって阿佐谷の歴史そのもの。緑の杉並区と区は言っているが、この頃開発業者と変わらないことをしているように見える。」という意見や「緑を大切にする杉並とうたっているなら保護樹林であるけやき屋敷は残し、自然環境を守り、避難場所をかねた憩いの場にして欲しい。」という提案も寄せられています。 区の説明会でも、地域を象徴するけやき屋敷の森を何とか残せないかという意見が続出するなど、多くの区民が、阿佐谷を緑豊かな街にすることを望み、みどりが削減されることについて懸念を抱いているということが鮮明となっています。そこで伺います。 病院が移る予定のけやき屋敷の森について、みどりが大幅に削減されることが示されていますが、どの程度削減されることを見込んでいるのか、伺います。 けやきの森の大幅な削減は、「身近なみどりを守り、その質を高め、みどりで街をつなげると共にみんなで緑を育てよう」というみどりの基本計画などと照らしても矛盾するものであると考えるが区の見解を伺います。 そのうえで、ケヤキ屋敷の緑の存続を願う多くの地域住民の声に基づき、当該用地のみどりを残すような案を検討するべきだと考えるが、区の見解を伺います。 次にけやきプールについてです。 説明会でも、多くの区民から阿佐谷地域からプールをなくさないでほしいという声が多く出されました。 けやきプールは、一昨年の利用者で約1万4000人、一日で換算すると200人以上が利用しています。しかしながら、A案における杉一小複合化に伴う仮設校舎建設のため、昨年の第2回定例会で廃止が強行されました。B案においてもプールの跡地に区民センターを建てることになっており、別の場所にプールを移すことにはなっていません。 区はけやきプールの代替案として、馬橋小学校の開放プールを示していますが、学校プールが利用できる期間と一日の時間帯はいつ頃なのか、お示しください。 そもそもこの学校プールの開放ということ自体、けやきプールの代替にはならないということを厳しく指摘しなくてはなりません。 けやきプールは、7月1日〜9月10日まで約70日、午前九時〜午後6時まで利用できていました。 これに対し、学校開放プールは、夏休みの数日しか利用できません。これでは、とても代替とは言えません。 わが党区議団のところにも「けやきプールは学校プールの開放ではなく、市民プールを開設してほしい」「乳幼児が使っているけやきプールは残して欲しい。」という声が寄せられています。 加えてけやきプールの様な市民プールは災害時消防水利としても活用できることから、プールの廃止は、木密地域となっている阿佐谷地域にとって防災力の低下に直結します。 乏しい代替案ではなく、阿佐谷地域にプールの設置を検討するべきだと考えるが、区の見解を伺います。 次に、B案で突如出てきた杉一小跡地に建てる予定となっている13階建ての商業施設についてです。 B案では、杉一小の跡地に産業商工会館を併設した商業施設が建てられる計画となっていますが、この構想には多くの区民が驚愕しています。用途地域的に可能だからと言って、13階建ての建物を区と地権者の共同事業として建てようというのですから無理もありません。しかも、それを区民の血税を投入して建てるわけですからハコモノ行政の何物でもありません。 しかし、区民への影響はそれだけにとどまりません。北側にこのような商業施設ができれば、南側の商店街はたまったものではありません。 阿佐谷南地域の商店街からは、「この13階建ての施設ができれば、商店街への影響は計り知れない」とこの商業施設の計画に反対の声を上げています。 加えて地域では、将来的な駅前開発で、駅前をデッキ化し、地上のバスターミナルや中杉通りを通らずに直接その商業施設に行けるようにすることなども懸念されています。 このように杉一小跡地にハコモノの商業ビルができること、それに付随する駅前開発などにより、阿佐谷南地域の商店街からは、商店街の賑わいの喪失への不安の声が上がっています。そこで伺います。 そもそも、小学校跡地にこの13階建ての商業施設を建てる構想はどこから出てきたのか? 加えて、阿佐ヶ谷駅の北側にこの商業ビルができた場合、南地域の商店街の商売に大きな打撃となると考えるがそのことについて、区の見解を伺います。 この項の最後に計画の進め方についても伺います。 そもそも区は、昨年の夏に病院の移転計画を知ってから、幅広い区民と対話することもせず、ほんの数か月という短期間で見直し案を策定し、区民にA案とB案の2者択一を迫るという態度をとっています。こうした進め方も大変問題です。 この間、数回の説明会、OHなどが行われ、A案についてもB案についても問題点が多く、数々の疑問の声が出されています。しかし、そこで出た意見は計画に全く反映されていない。そういう進め方は大変問題だと考えるが区の見解を伺います。 さらに、区民と対話をしていても計画の見直しをまだ知らない区民も多くいることと同時に、例えば「病院と小学校を交換して、ケヤキの森を公園に」などA案でもB案でもない新しい案を提案する意見も多く、見直しの事実を知らせれば多くの区民が関心を持つこともあり、この点からも計画に対する区民の意見を幅広く募集する必要があるのではないでしょうか。 計画の見直し自体をまだ知らない住民に、今からでも周知をはかり、計画に対するパブリックコメントを実施するべきだと考えますが区の見解を伺います。 わが党区議団には、「4・5月に決定は拙速すぎる」という声も多く寄せられ、説明会の場でもそうした意見が多く出されています。2者択一を迫る区のやり方にも多くの区民が納得していません。 私がこの見直し案をめぐる議論の中で印象的だったのは、今までA案を進めてきた学校関係者の方からも、今までと話が違うという怒りの声が上がっていることです。 区はこれまで、区立施設再編整備の名で施設を削減することばかりを区民に押し付けてきました。A案の計画自体、最初から施設の集約ありきで進められてきました。その中で、学校関係者は杉一小改築複合化計画に関する懇談会に入れられ、複合化しかないのだからどのように複合化するのがいいかという議論しか、させられてこなかったわけです。 それが急に事態が変わったからと言って複合化はしませんと言われれば、梯子を外されたと思うのは当然です。 今後の阿佐谷地域全体のまちづくりにかかわることであり、数か月やそこらでB案にすると結論を出すのではなく、区民との対話を続け、そうして幅広い区民から吸い上げた意見を反映させ、時間をかけて結論を出し直すべきだと考えるが、区の見解を伺い、次の質問に移ります。 2.高円寺地域の学校統廃合による小中一貫校計画について 次に、高円寺地域の学校統廃合による小中一貫校計画についてです。 この間、近隣住民が地域の教育環境と住環境が脅かされる同計画に対し、門の前などでよりよい教育環境と住環境を求めて、「巨大校舎反対」などのプラカードを掲げるなどの抗議行動を行っています。 そうした住民に対し、一貫校の工事を請け負っている工事業者から4月27日付けで、抗議行動の中止を求める仮処分が申し立てられました。 5月12日付の東京新聞では、この事件を取り上げ、同訴訟は「抗議行動の萎縮を狙ったスラップ訴訟だ」という住民の声を紹介しています。 スラップ訴訟のスラップとは、「住民の集団行動に対する戦略的な対抗訴訟」の英訳の頭文字をとった言葉で、このスラップ訴訟は通称恫喝訴訟ともいわれています。 権力を持った企業や政府などが、公の場での発言や政府・自治体などの対応を求めて行動を起こした権力を持たない弱者や個人に対し、どう喝的、報復的ないやがらせを目的で行われています。被告となった側は法廷準備費用・時間的拘束等の負担を強いられるため、仮に原告が敗訴しても、主目的となるいやがらせは達成されることになります。 欧米ではこのスラップ訴訟が表現の自由を揺るがす行為として大きな問題となっており、法律で禁じている自治体もあります。 日本でもこの間、沖縄県東村(ひがしそん)高江での米軍用ヘリパッド建設現場で抗議の座り込みをしていた住民を「通行妨害だ」と国が訴えた裁判がスラップ訴訟だとして 大きな問題となっています。 まさにこの訴訟は、一貫校計画で住環境を脅かされる住民の正当な抗議行動を恫喝、弾圧し、行動を萎縮させる目的で行われている訴訟であり、まぎれもないスラップ訴訟です。 以前本議会でも、この高円寺小中一貫校計画の区の強行的な姿勢を取り上げ、沖縄と同じだという指摘がありましたが、まさにその通りの事態になっています。 そこでまず伺いますが、抗議行動を行っている住民に対し、工事会社が「住民が工事を妨害している」として、起こした訴訟は、間違いなくスラップ訴訟です。杉並区でスラップ訴訟が起きていることについて、区の見解を伺います。 工事会社は、「住民が工事を妨害している」と訴えを起こしているが、区も同じような認識をもっているのか、見解を伺います。 同時に工事業者はこのスラップ訴訟を起こすことを前提に、工事の着工以前から住民を監視していた事実が明らかとなりました。 高円寺スラップ訴訟の中で、12月17日に区が主催で行った工事についての説明会で、今回訴えられた住民の様子を写した資料が工事業者により提出されています。 区の職員を含めた説明会の参加者によれば、業者が表立って住民を撮影した様子は見受けられなかったとのことであります。これは明らかに隠し撮り、盗撮であり、重大な人権侵害行為です。 しかも、この時期は、まだ住民が正門前などでプラカードを掲げての抗議行動などを行っていない段階から行われている点でも異常です。住民の肖像権、プライバシーの権利を蹂躙する暴挙でしかありません。住民の公的な機関が主催する住民説明会で、住民への人権侵害が行われていることは重大問題です。 工事業者が、区主催の住民説明会の場で、住民を隠し撮りしていた事実が裁判資料の中で出てきていますが、このことを区は知っているのか、伺います。 次に、当時現場で工事業者による盗撮が行われていた事実を区は知っていたのか確認します。 重大な人権侵害行為であり、こんなことは絶対に許されないという認識を区は持っているか、伺います。 業者に対し事実確認と画像の消去など、厳格な指導、対処を行うべきだと考えるがどうか、区の見解を伺います。 その後、工事業者は、住民の抗議行動を監視するため、中学校の門に監視カメラを設置しました。これは常に抗議行動を監視するとともに、住民のこうした行動を萎縮・威圧する目的での設置であり、許されません。 区の防犯カメラ条例には、第4条で「防犯カメラを設置する場合には…区長に届け出なければならない」とされていますが、そうした届け出はなされていません。加えて、第5条には「防犯対象区域ごとに見やすい場所に、防犯カメラ管理責任者の氏名、防犯カメラを設置している旨その他規則で定める事項を表示しなければならない。」とされていますが、そうした表示も一切ありませんでした。 住民の抗議もあって、カメラは取り外されましたが、工事業者が住民を監視、萎縮・威圧する暴挙に出たことは重大です。 こうした区の防犯カメラ設置条例にも違反し、住民の行動を監視、萎縮・威圧する目的でのこの監視カメラの設置は許されないと考えるが、区の見解を伺います。 住民を隠し撮りし、監視し、威圧する。まるで、現在国会で審議されている共謀罪法案の先取りみたいなことが、工事業者によって行われていることは重大問題です。 工事業者の一連の人権侵害行為は許されるものではありませんが、そもそもこうした住民と業者を争わせている最大の原因は、区が住民の声を無視し、計画を進め、現場での対応を工事業者に丸投げしていることです。 地域住民はこの間、区との話し合いの中で、ずさんなボーリング調査の問題、一貫校に通う予定の児童生徒数の問題など、この一貫校建設に対する様々な問題点や疑問点を区に投げかけていました。 しかし、区はそうした問題点や疑問点にろくに答えもせず、工事を強行しようとしてきました。そのため、住民はそうした工事に抗議を行ってきました。その最中には、工事会社との口論も起こっています。その都度、住民は「今区と話し合っている最中だから工事をやめてくれないか。区に問い合わせてほしい」と要請し、区にも連絡し、現場に来てほしいと要望していました。にもかかわらず、区は「現場の対応は工事業者がやるもの」と無責任な態度をとり続けてきました。 そもそも、工事を請け負っている業者は住民と同じ高円寺の会社です。この間の区の無責任な態度が地元の住民と業者を争わせている最大の原因であり、そのことについて区の反省はないのか。見解を伺います。 工事業者に住民が訴えられている状況というのはそもそも異常なことです。 区は裁判の経過を傍観するのでなく、直ちに間に入り、工事会社の申し立て理由のひとつである、工期遅延に対する違約金の請求を行わないなどの措置を講じるべきだが、区の見解を伺います。 こうしたトラブルになっている根源は、この一貫校計画が住民の声を聞かず、学校統廃合ありきで進められてきたということです。本来学校は地域コミュニティーの拠点です。 今回改定された教育ビジョンでも、「地域・学校が協働し、共に支える教育を進める」とされています。 しかし、学校をつくる際に、地元住民がその校舎によって、安心して暮らせる住環境を脅かされ、それに抗議をすればスラップ訴訟を起こされる。このようにして建てるような学校づくりは、この教育ビジョンと照らしても異常極まりないことです。このような深刻な軋轢を生むような学校づくりは、区の教育方針とも矛盾するものではないのか。教育長の見解を伺います。 そして、今からでも直ちに工事を中止させ、地域住民と話し合いのテーブルにつき、計画の見直しを含め、議論するべきと考えるが、区の見解を伺い、私の質問を終わります。 |
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