|
議会質問 |
> indexに戻る |
2016年杉並区議会第四回定例会一般質問(上保まさたけ) |
日本共産党杉並区議団を代表して、高円寺地域の学校統廃合による施設一体型小中一貫校計画について、区民事務所について質問をいたします。 1.高円寺地域の学校統廃合による施設一体型小中一貫校計画について まず、高円寺地域の学校統廃合による施設一体型小中一貫校計画についてです。 高円寺地域の小中一貫校計画についてはこの間、該当地域だけでなく広範な区民が反対の声を上げ始めています。 その背景には、計画そのもののひどさと区の住民無視の強引な一貫校の進め方があります。 そもそもこの計画は、学校選択制と小中学校適正配置基本方針より、杉八小の児童が減少したことにより、「高円寺地域の新しい学校づくり」の名で、杉八小を統廃合の対象とする計画案として出発し、最終的に杉四小、高円寺中を巻き込んだ学校統廃合による使用中一貫校計画となりました。しかし、計画案に対するパブリックコメントでは、反対意見が7割を超え、説明会では反対の意見が多数でした。しかし、そうした声を全く聞き入れないばかりか、一部の地域、学校関係者だけを集め、それで地域の声を聞いて計画を進めているというアリバイ作りのような懇談会を開いて、本計画を進めてきました。 そうしてできあがった計画は、子ども達の教育環境にとっても、近隣住民の住環境にとっても甚大な影響を与える最悪なものとなりました。 本計画は、環七沿いの商業地域だから高い建物を立てられるという理由で、高円寺中の決して広くない敷地に、杉四小、杉八小、高円寺中の3つの小中学校の児童・生徒を押しこめるものです。そのため校舎は南北約72m、東西約62m、高さはなんと約30mと高層大規模化します。オフィスビルだと7、8階、マンションだと10階建てに相当する高さです。 校庭も700㎡縮小し、中学生が使用するにもかかわらず、一周120mのトラックしかひけません。校舎は敷地の南側に配置させるため、環七とJRの線路に囲まれます。そのため、大気汚染や騒音も多く、それに配慮しなければならないため、常に二重窓を閉め切りエアコン漬けの学校生活を送らなければなりません。校庭の日照にも大きな影響があります。通学時間・距離共に増大するうえ、車両通行の多い環七を渡り通学することになります。さらにそこに80億円もの区民の血税をつぎ込むこと自体、異常極まりないことです。 近隣住民には今年初めに計画の全容が急きょ知らされることになり、近隣住民のみなさんにとってはまさに寝耳に水の事態でした。このように計画の異常な実態が明らかとなる中、巨大校舎によって被害を受ける住民によって被害者の会が作られ、区との真摯な話し合いが進められました。しかし、そこで住民が納得するまで一切の工事を行わないとする合意がかわされていたのにも関わらず、それを踏みにじり、区教委は、この夏に高円寺中のボーリング調査を強行しました。その後の工事は住民の猛反発によりストップされているものの、こうした乱暴な計画の進め方に対し、もう黙っていられないと多くの区民が声をあげ始めています。 この間、区の実行計画・協働推進計画等に関するパブリックコメントでもこの計画に対し50を超える声が寄せられています。そのすべてが本計画に反対、または見直しを求めるものです。少し紹介いたします。「杉四小、杉八小を高円寺中に統合する施設一体型の小中一貫校は、排気ガスの深刻な環七沿いの悪化した教育環境を押し付けるものである。中央線・環七の騒音のために1年中窓を閉め切りエアコンでコントロールされた教室で過ごさせるのは、公のやることではない。」 また、別の意見として、「協働推進計画 方針1「区民の意見を区政運営に活かしていく」について、高円寺小中一貫校に関して、区民である住民の意見をまったく聞いてこなかったことを指摘し、今後は住民の意見を誠実にきき、この問題を進めてほしい。住民の意見を一切聞かず、強引に一貫校建設にむけて乱暴なことをすすめてきたのではなかったのか。これからは、「協働推進計画」でこうげんしたのであるから、このとおり、実行してほしい。」といった厳しい声が寄せられています。 さらに先日、行われた住民と区教委との話し合いの場には、区内各地から、この計画に反対する住民が傍聴に訪れる事態となっています。 さてその、地域住民との話し合いの中で、この一貫校の図面には、緑は校庭のわずかな植栽スペースと屋上緑化しか示されていない。杉並区ではエコスクールというものを実施しているが、それとの整合性も合わないのではという指摘がありました。 そこでまず、このエコスクールについて伺います。 Q.まず、エコスクールの推進を行ってきた経緯とそれに対する区の評価を伺います。 杉並区みどりの基本計画では、エコスクールの推進について、「区立学校の緑化・エコスクール改修等を計画的に進め、環境に配慮した学校運営、および学校を核として、家庭・地域を含めた環境教育の推進を図ります。」と謳われています。 Q.そこで、エコスクールが子どもに与える教育的な影響をどうとらえているのか、区の見解を伺います。 Q.同時に当区の全体的なエコスクールの現状と杉四、杉八、高円寺中ではどのような設備があり、教育的な取り組みがなされているか、伺います。 Q.そしてこの一貫校には、ビオトープの設置等、区のエコスクール計画で設置が求められている諸機能があまりにも少なすぎます。校庭にあった高円寺中学のシンボルともなっていた木も切られてしまいます。こうした学校づくりはエコスクール計画と整合性が合わないのではないでしょうか、区の見解を伺います。 加えて、この間、複数の会派から、当初新校舎に設置するはずだった武道場を削減したことへの苦言が出されています。新校舎に武道場などの必要な諸室が設置できない、十分なエコスクールの実施ができない。これ自体が高円寺中の狭い土地に3校を押し込める施設一体型小中一貫校をつくることが無理な計画であることを示すと同時に、何より子ども達のことが全く考えられていない学校づくりであることを改めて示すものです。 次に子どもの発達に関して、施設一体型小中一貫校がどのような影響を与えるかということについてです。 この間、我が党区議団も再三に渡り議会で指摘をしてきた事ですが、小中一貫校の教育的効果は国でもはっきりと検証されているわけではありません。 それどころか、教育学や心理学の専門家からは、施設一体型の小中一貫校では子どもの発達に大きな影響が出ているという調査結果が示されています。 文部科学省の科学研究費助成事業として、教育学、心理学の研究チームが行った「小中一貫教育の総合的研究」という調査結果があります。 これは2013年から14年に、施設一体型小中一貫校と普通の小中学校8,000人の児童・生徒を対象に行った調査で、自分に自信があるか、そして自分には価値があるか、居場所はあるかなどの感覚について聞いたものです。 結果は、先の問いに対し、普通校の児童よりも小中一貫校の4、5、6年生の児童にネガティブな結果が出ているというのです。 研究チームの方の考察によると、要因としては、第1に、一貫校では、小学校高学年の児童は、中学生と自分を比較する機会が極端にふえるため、自分自身について低目に自己評価をしてしまうこと、第2に、一貫校の歴史が浅いため、学校の運営のシステムが安定しないことによる心理的な負荷が大きいこと、三つ目に、学校の規模が大きくなることによって自分の居場所を見つけづらいこと、四つ目に、9学年になることによって、学年の位置づけというのが変化して、小学校高学年の児童が上級生としての意識を持ちづらいことなどが挙げられるというものでした。 普通の小学校では、最高学年として運動会などの行事等で全校的な責任を負い、自治を経験する機会があります。しかし、一貫校ではそれが奪われ、高学年が自信を持つプロセスが消えているためだと指摘をされています。 Q.まずこうした文科省の研究機関の調査結果について、教育長の見解を伺います。 杉並区小中一貫教育基本方針では、小中学校の9年間というのは、自分の存在を価値あるものと受けとめられる感覚である自己有用感、自分の価値や存在意義を肯定する感覚や感情である自己肯定感が育まれ、社会の一員としての自覚が培われる大事な時期だとして、こうした感覚を育むのが小中一貫教育の目的だとしています。 しかし、文科省の研究機関の調査結果では、区が小中学校時代に育みたい、培いたいと思っている感覚や感情が、小中一貫校では育むのが困難になっている、このことが検証されているのです。 Q.区教育委員会はこれまで6・3制を維持するから問題ないと言ってきたが、調査結果で示された傾向は、小学校高学年の児童が、中学生と自分を比較する機会が極端にふえる施設一体型小中一貫校自体がもつ物理的な構造によるものです。6・3制を維持するから問題ないというのは、そもそも筋違いの議論だと考えますが、教育長の見解を伺います。 Q.施設一体型小中一貫校計画は、区の小中一貫教育基本方針にも矛盾し、子どもの発達にも悪影響が出ると国の調査研究でも指摘をされており、加えて先にも指摘してきように、子ども達の教育環境や近隣の住環境の悪化は明らかであり、高円寺地域の学校統廃合による小中一貫校計画は中止するよう求めますが、区の見解は伺います。 施設一体型小中一貫校にこだわるのではなく、小学校は小学校、中学校は中学校のまま建て替えを行えば、中学校に武道場を整備することも、十分なエコスクールを推進することも可能であり、そうした計画に見直すことを重ねて求め、次の質問に移ります。 2.区民事務所について 次に、区民事務所についてです。 区立施設再編整備計画により、区民事務所の削減、集約が進められています。高円寺北地域では高円寺駅前事務所が廃止され、区民から不満の声が寄せられています。 高円寺の駅前事務所を始めとした区民事務所の廃止について、区は窓口の事務取り扱い件数が減少したのと同時に、証明書の自動交付機の利用率が高くなったからと言っていました。 高円寺北地域の方からは、証明書等の窓口での取得が、以前は駅前で済んだものが、現在は交通機関を使わないといけないと不満の声をお聞きしました。 駅中のコンビニエンスストアに証明書の自動交付機が設置をされていますが、区民の中には自動交付機が苦手な方もいて、高齢者などは窓口で対応してほしいという要望が寄せられています。 同時に、このコンビニ内の自動交付機は、商品の棚の真横にあり、区役所入口の自動交付機のように囲いがされているわけでもないので、暗証番号などの個人情報を保護するという観点からみても問題があり、速やかな改善を求めるものです。 また別の90歳になる方からは、セシオン杉並ではなく、電車とすぎ丸を乗り継いで区役所まで行っていて大変苦労しているということでした。高円寺駅前事務所はセシオン杉並へ集約されたとはいっても、高円寺北地域にとっては事実上の事務所の廃止であり、同事務所の廃止されたことによってどこの事務所が一番行きやすいのか周知も図られていない実態もあります。 Q.このように区民事務所の削減によって、不便になったという声を区は把握しているか見解を伺います。 高円寺北地域では、以前に今の高円寺区民集会所が出張所だった時代のことを覚えている方も多く、駅前事務所が無くなったのなら、区民集会所で証明書の取得ができるようにしてほしいという声も寄せられています。 Q.区内の区民集会所を始め、区立の集会施設等に事務所の窓口機能を併設させ、利便性を高めることを求めますが、区の見解を伺い、私の質問を終わります。 |
Tweet |
このページの先頭へ ▲ |