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2016年杉並区議会第二回定例会一般質問(金子けんたろう) |
1.ヘイトスピーチ対策法について 今月24日、『本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進に関する法律』、ヘイトスピーチ対策法が可決され、努力義務ではありますが地方自治体にも『不当な差別的言動の解消に向けた取り組み』を講ずるよう求めています。この立場から、あらためてヘイトスピーチを許さない、毅然と対応する取組みを区に求め質問します。 Q1 先の第一回定例会において、『差別扇動を標榜する団体の公共施設の利用・占用許可に対しガイドラインの設置、使用の制限などの検討』を求めました。区は答弁で『今後国の動向を見ながら、都と23区の情報交換の場である人権施策都区連絡会等の場において、情報共有に努めていく』と答弁していますが、その後の進捗状況を確認します。 第一回定例会後の今月24日、自民・公明両党が提出した『本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進に関する法律』、いわゆるヘイトスピーチ対策法が、日本共産党、民進党なども賛成し可決、成立しました。 国会では、昨年の8月から『人種差別撤廃基本法案』の審議が行われ来ましたが継続審議となりました。この間、国会議員は、在日コリアンの方を参考人としてお話を伺ったり、川崎市桜本への視察を行い、現地から直接お話しを聞き、差別や偏見により苦しんでいる地域や人々がいることを見てきた経過があります。 我が党は与党案に、「適法に居住する」「本邦外出身者」を対象とする骨格が、人種や民族を理由とする差別は許されないという憲法と人種差別撤廃条約の趣旨をあいまいにする、「不当な差別的言動」の用語が明確性を欠く、また前文で「許されないことを宣言する」としながらヘイトスピーチの違法性を明確にしていない、などの問題点があると指摘し、以下の修正を求めました。 1、法案名称を「ヘイトスピーチ根絶に向けた取組の推進に関する法律」等とすること。 2、「何人もヘイトスピーチを行ってはならない」旨の規定を設けること。 3、ヘイトスピーチの定義について、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」に代え、「人種若しくは民族に係る特定の属性を有する個人または集団(以下「民族等」とする)の社会からの排除、権利自由の制限、民族等に対する憎悪または差別の意識もしくは暴力の煽動を目的として、不特定多数の者がそれを知り得る状態に置くような場所または方法で行われる言動であって、その態様が民族等を著しく侮辱、誹謗中傷し、脅威を感じさせるものをいう」のような規定を置くこと。 4、「適法に居住する」との要件は削除すること。 5、地方公共団体の責務は、「務めるものとする」に代えて、国と同様、「責務を有する」ものとすること。 以上、私たち野党の修正案は容れられませんでしたが、委員会質疑のなかで、対象となる言動は「本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」であり煽動の定義も例示しているから「不当な」や「差別的」というあいまいな用語がそれだけで要件とはならないこと、政府や在日米軍を批判する言動は対象たり得ないこと、アイヌ民族や難民認定申請者など在留資格の有無、争いに関わらずヘイトスピーチは許されないこと、道路使用許可など行政処分あるいは司法判断において理念法が根拠規範となり得ること、などが答弁で確認されたことを、前向きに評価し、こうした答弁の重みを前向きに捉えるためにも、わが党は法案に賛成することにしました。参議院法務委員会で、全会一致で決議した際、満場の拍手が起きました。この力が特定の人種や民族を排斥する差別扇動行為、ヘイトスピーチ根絶の力となると確信しています。 委員会の場ではありますが、この法案が発議者である与党をはじめ日本共産党、民進党によって全会一致で可決されたことは、とても意義のあることだと思います。差別を許す社会であってはならない、現実を受け止め前を向いて、政策では異なる与党と野党がともに努力しようと決意したことは、人間としての誇りであり、良心を成長させる価値のある全会一致だと思います。 Q2 前回の一般質問に対し、杉並区もヘイトスピーチに対し『こうした言動は、決して容認できないものと考えている』と答弁し、強い懸念を持っていることが確認できました。今回成立した当該法、『本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みの推進に関する法律』、いわゆるヘイトスピーチ対策法についての区の見解を求めます。 当該法は、いわれのない差別や偏見によって苦しんでいる人や地域がいることを理解したこと、また、『人種差別を許さない』という抗議を続けている人々や当事者たちの活動によって生まれたものです。そのことを踏まえ、差別扇動により特定の人種や民族を排斥し、地域を分断する行為を許してはならないことを根幹に据えています。 そして、地方自治体に求められる今後の施策について議論をしていきたいと思います。当該法は〈国及び地方公共団体の責務〉が設けられており、努力義務ではありますが、『地方公共団体は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取り組みに関し、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じた施策を講ずるよう努める』としています。また、附帯決議においては、『国及び地方公共団体は、本法の施行にあたり、次の事項について特段の配慮をすべきである』とし、『本邦外出身者に対する不当な差別的言動のほか、不当な差別的取扱いの実態把握に努め、それらの解消に必要な施策を講ずるよう検討を行うこと』としています。 杉並区交流協会が発行している「杉並区の外国人ミニデータブック」によれば、2015年4月末現在、区内には12,082人の外国人が在住しています。国別の多い順では、中国、韓国・朝鮮、ネパールとなっており、在留資格においては、一番多い留学に次いで、永住・特別永住が3割を超えています。 全国で今も続くヘイトスピーチは、在日中国人や在日コリアンに多く向けられています。杉並区も当該法の立法趣旨に即して、私たちが住むこの場所でなにが起きているのか、の実態把握に努めることが必要ではないでしょうか。 Q3 当該法は、国と地方公共団体が連携し、差別的言動や差別的取扱いをなくすよう求めています。杉並区に対し、今後具体的な施策をするよう求めますが、どのように検討しようと考えているのか?お聞きします。 Q4 外国人居住者への差別的言動や取扱いの実態はどうなっているのか、外国人居住者の実態把握を求めるが区の見解はどうか。 あるNGOのヘイトスピーチ実態調査では「被害体験や被害感情」の聞き取りを行っています。別のNPOの「ヘイトスピーチ被害の実態調査」も同様に、ヘイトスピーチを見聞きしたときの感情を聞いています。 このように具体的に質問してこそ人権侵害や、被害の状況を知ることができるのではないでしょうか。 ある在日コリアンの男性にお話しを伺いました。住民の方々にとってヘイトスピーチが言葉の暴力であることを示しています。当該法の趣旨に照らし、とても大切な部分なのですこし長文となりますがお聞きください。 『公の場所で多人数で行われるヘイトスピーチに初めて遭遇したのは2010年頃、 偶然訪れた鶴橋駅前でした。それまで、落書きや投書など、顔を隠してコソコソとしかできない行為であると思っていた「在日朝鮮人は帰れ」などの差別発言が、白昼堂々と行われていることに衝撃 を受けました。 同時に社会のタガが外れ、底が抜け、祖父母たちの世代が経験した関東大震災時の朝鮮人虐殺が発生したような時代に落ちて行っているのではという恐怖を感じました。 何かを言い返そうにも、大人数の街宣団体にたった一人で何も言い返すこともできず、ただただ悔しいく、情けない、惨めな思いでその場を立ち去りました。 在日コリアンである私が日本で暮らしていく、そんな当たり前のことが脅かされているという危機感を覚えました。その後、改めて在特会等の情報をネットで注視するようになり、毎週のように街宣やデモが行われていることに衝撃を受けました。 また、当時小学校低学年だった子どもたちを連れて外出する際には、特に出向き先で 活動予定がないかをチェックするようになりました。自由に街を歩く、そんな当たり前の日常、権利が奪われていることが悔しくてなりません。行政がヘイトスピーチを放置してきたことで、「表現の自由」「言論の自由」の名の下で悪質な人種差別扇動を公の場所でおこなう「権利」と、私達在日コリアンがささやかな日常生活を営む権利が秤にかけられ、前者が優先され続けてきたようにも感じていました。そのことが面前でヘイトスピーチを浴びるのと同様の、あるいはそれ以上の恐怖でした。 何かの拍子で、在日コリアンだというそれだけの理由で寄ってたかってなぶり殺しに されるのではないかという恐怖です』とヘイトスピーチにより、平穏な日常が壊される体験を語ってくださいました。 Q5 実態把握においては、こうした被害体験や被害感情など、民族差別による人権侵害の被害実態を聞く具体的な項目を設けて調査を行なうよう求めますが、区の見解を求めます。 当該法は、単に本邦外出身者を差別するな、という意味ではなく、我々の社会は『差別を許す社会であってはならない』という社会理念の制定です。だからこそ、参議院法務委員会でがありますが、全会一致だったのであり不変の価値があるのだと思います。この理念を普遍的なものにするには、区として何が出来ると区は考えているのか? Q6 当該法は、『本邦外出身者に対する不当なヘイトスピーチによって、地域社会を分断してはならない』という基本理念の基づいている理念法です。そのためにも当該法に基本的施策の啓発活動に照らせば、住民への周知・理解促進、住民同士の相互理解を進めることが必要な取り組みであると考えます。区として今後なにが出来るのかを考えていく必要があると思いますが、区の見解を求めます。 当該法は、『ヘイトスピーチは許されない』という表現にとどまっており、禁止規定や罰則規定はありません。また、当該法で懸念されるのは「適法に居住」「日本以外の出身者」の要件です。野党が「不法滞在の外国人やアイヌ民族への差別的言動が野放しになる」と批判しましたが、与党は修正しませんでした。これでは難民認定の申請者や外国人旅行客なども対象外となります。何より、差別を受けない権利は在留資格の有無にかかわらず、等しく保障されるべきです。 こうした点から言って当該法はけっして十分とは言えませんが、地方公共団体がヘイトスピーチを許さない、具体的にいえば、人種差別を標榜する団体が、ヘイトスピーチなどの人種差別行為を行うための集会を開催するために、公共施設の利用を求める場合には、その管理権に基づき、その利用を制限するなどの具体的な措置をとるなどの姿勢を示すことができる根拠法となります。これまでにも自治体が民族差別及び扇動行為をすることが明白な団体などに公的施設の使用を認めなかった例があります。 他自治体においては、人種差別などをあおり立てるヘイトスピーチを繰り返してきた団体が、法施工後の来月5日に川崎市でデモを行うことを予告していましたが、川崎市議会では、公園をデモに使わせないよう求める要望書を市長に提出しました。また、愛知県の大村秀章知事は30日の定例記者会見で、「申請があれば許可しない」と述べ、県施設の使用を今後認めない方針を明らかにしました。 改めて、ヘイトスピーチの実態は表現の自由を逸脱した差別・暴力であり、人種や国籍による差別は許されない人権侵害―との認識を胸に刻みたいと思います。そして、国や自治体、国民一人一人がその良識を共有し、法の成立を、差別なき社会への一歩を自発的に踏み出す契機とせねばなりません。 さきほど紹介した在日コリアンの男性は当該法の成立への受け止めを語ってくださいました。今回の法成立が、在日コリアンの方々にどう受け止められているのかを示した大切な部分なので紹介いたします。 『法律をつくることで、国が率先してヘイトスピーチを許さないという姿勢を示したことが率直に嬉しいですし、救われたような思いです。 少なくとも従前の、寄ってたかってなぶり殺しにされるかもという恐怖は薄らいでいます。 恐らくは、法律を作るために尽力された国会議員の皆さんが想像される以上の救いと希望です。』 人種差別の被害者が最も身近な行政機関は地方自治体です。今後、差別を拡散するような目的のために公共施設は貸さないなど姿勢、地方自治体は迅速で実効性ある対応をとること、区内でもヘイトスピーチを許さない姿勢を示す、対処ができるよう条例制定が求められます。 Q6 第一回定例会においても、『ヘイトスピーチは決して容認できないもの』と区の姿勢を示しました。『ヘイトスピーチは違法』との姿勢を打ち出すために条例制定を望みますが、区の見解を求め、次の質問をいたします。 2.富士見ヶ丘小学校について つぎに、富士見ヶ丘地域、富士見ヶ丘小学校について質問します。 この間、富士見ヶ丘周辺地域のまちづくりに伴い、周辺の環境も変化するという理由から、『富士見ヶ丘小学校教育環境懇談会』と『富士見ヶ丘地域における教育環境懇談会』というものが設置をされ、話し合いが進められてきました。 そして、二つの懇談会のまとめでは、今後の富士見ヶ丘小学校の改築の方向性について、計画の概要が示されました。それによると【『都市計画高井戸公園・周辺まちづくりグランドデザイン』で提案されている高井戸公園に隣接する企業用地を活用し、富士見ヶ丘中学校と一体的に再整備する案の考え方を目指すべきであるとの方向性がだされました。 Q1 二つの懇談会のまとめ以降、【『都市計画高井戸公園・周辺まちづくりグランドデザイン』で提案されている高井戸公園に隣接する企業用地を活用した、教育環境の整備について区はどのように取り組んできたのか?うかがいます。 富士見ヶ丘中に隣接する企業用地を教育環境の充実に充てることが示されている一方で、当計画にはある懸念を指摘しなければなりません。懇談会のまとめで示された富士見ヶ丘小学校を現在の場所から移転し、富士見ヶ丘中学校との施設一体型小中一貫校を整備するという方向性です。 このまとめには、『施設一体型小中一貫教育校の方向で進む場合』とか『施設一体型小中一貫教育校が設置される際に』というように施設一体型小中一貫校が前提となっている文言が多く見受けられます。 小中一貫校は、この間、その教育的効果なども検証されないまま、学校統廃合を進めるために強行されてきました。そうしたことから、子ども達の教育環境に大きな影響を与える様々な問題点が指摘をされてきました。 まず、第一に子どもの発達に関する問題です。 文科省の研究機関の調査では、小学校一年生から中学校3年生の児童・生徒が同じ学校内に押しこめられることにより、小学校高学年の児童が、自己肯定感を持ちづらくなるなど、子どもの発達に悪影響を及ぼすことが指摘をされています。 第二に、小中一貫校づくりを学校統廃合とセットで強行することによる問題です。 学校統廃合による小中一貫校づくりにより、多くの児童生徒の通学時間・距離が増加し、子ども達の通学環境に大きな影響を与えます。また、地域から学校という地域コミュニティや防災の拠点が喪失し、まちづくりにも大きく影響を与えます。 実際に高円寺地域の小中一貫校計画に対しては、地域から反対する声が上がっています。 加えて、この間の当区における小中一貫校計画では、決して広くない限られた敷地の中に、9学年の児童生徒を押しこめることにより、校舎が高層化せざるをえず、専科の教室や校庭やプールなどの体育施設、教職員のためのスペースが充分に確保できていません。そして、そのことにより授業のカリキュラムを組むことが困難になるなど、現場の教職員からは悲鳴があがり、教育環境に悪影響が出ています。 我が党区議団は、先の予算特別委員会において、施設一体型小中一貫校の運営や教育的効果についてしっかりと総括をしたのか尋ねましたが、所管からの答弁はこれからアンケート調査などを経て検証するというものでした。 教育員会としてしっかりとした小中一貫校の検証もせず、また別の地域に安易に小中一貫校を作ろうとする姿勢は、到底理解できません。 Q2 区として、まず施設一体型小中一貫校の問題点を検証することが必要と考えますが区の見解はどうか? 同時に、この計画が進められれば、上高井戸1・2丁目地域、放射5号線以南から小学校が無くなります。 当該地域に小学校が無くなるということはどういう事か?放射5号線以北の地域と分断されること。また、小さい子どもたちを持った家族が移り住めなくすることが当然考えられます。学校から離れた地域では、住民サービスが十分に受けられなくなる可能性が高くなります。地域の子どもが育つには、学校でも家庭・家族、地域社会などのような長い期間にわたる親密な継続的安定的な人間関係の維持が不可欠であり、その過程でのさまざまな生きた経験が「人間をつくる」。そのために、みんながよく知り合い、地域の人々との交流が深まる「小さな学校」を作っていくことが大切なのではないでしょうか。 Q3 富士見ヶ丘小学校は、築40年以上50年未満となっており、耐震補強をすれば10年〜15年は使用可能になる。移転・改築を早まるのではなく、まず耐震補強をすべきではないか?区の見解を求めます。 同時に、この計画を多くの周辺住民が知らされていない現状があります。同時に懇談会には、一部の区民しか参加しておらず、多くの地域住民の声が計画には反映されていません。 Q4 懇談会まとめも、平成27年に出されたもので、小学校に入学あらたに入学したこどもたちの保護者の意見も反映されておらず、一般住民が情報を知らなさ過ぎます。保護者や地域住民に情報周知を行うべきではないか。 |
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