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2015年杉並区議会第三回定例会一般質問(上保まさたけ) |
質問の冒頭、この間の記録的な豪雨により、被害にあわれた方に、心からお見舞い申し上げます。また、我が党としても、被災地支援に全力を尽くす決意です。 私は日本共産党杉並区議団を代表して、児童館再編、新泉小の跡地活用、和泉学園の運営状況、高円寺地域の学校統廃合計画について質問します。 1.児童館再編について まず児童館の施設再編計画についてお聞きします。我が党区議団は先月、児童館再編が子ども達にどのような影響をもたらすのか、和泉児童館と和泉学園内学童クラブの視察を行いました。 和泉児童館は地域館として多くの児童生徒に親しまれてきました。私たちが視察に訪れた時もそこでは、多くの子ども達が児童館を利用していました。友達と来てもいいし、一人で来ても、そこには友達がいたり、指導員がいて遊んでくれるなど、子どもにとって様々な遊びと、人との関わりを児童館は提供してくれるんだなと実感しました。 特に目についたのは中高生の利用です。この児童館には中高生スペースというものがあり、中学生は、そこでゲームなどをして過ごしたり、そこを出て小学生と遊んだりと、自然な形で異年齢の集団が形成されていました。遊戯室では、高校生もいてバスケットボールをしていましたが、隣りの小学生に気をつかって、お互いの遊びを保障しながら楽しんでいた事に感心しました。こういう経験こそ子どもが育っていく上で極めて重要だと感じます。これは自然とそうなるわけではなく、中高生委員会の運営など児童館職員の経験と努力によって培われたものです。 学童クラブでは、指導員の周りに子ども達が集い、工作などをしていました。指導員さんに聞くと、夏休みの一日中を学童クラブで過ごすには図工室や音楽室の備品が本当に役に立つとのことです。視察の前日には本格的なカレーづくりに取り組んだそうで「昨日くればよかったのに」と子ども達が自慢するほどでした。夏休みの間中、本当に工夫された時間を提供していることに驚きました。 この和泉児童館が来年なくなり、施設は「(仮称)子ども子育てプラザ和泉」という乳幼児専門館に転用されます。はたしてこれまで和泉児童館がつくりあげてきた小中学生の居場所機能や、異年齢集団という地域の財産を、和泉学園に移設して継承・発展させることが可能なのでしょうか。そこでお聞きします。 Q−1 小学生の児童館機能は和泉学園に移すということですが、具体的にどのような環境を整備することでそれは可能となるのか。現在の検討状況をお伺いします。 Q−2 そして、和泉地域における中学生の居場所事業はどうなるのか。来年の再編時には対策が間に合わないということがありえるのか、お答えください。 Q−3 和泉学園内の学童クラブは自由に図工室や音楽室の備品を使うことができるのか?その際、経費の負担などはどこの教育所管が責任をもつのか、検討状況をお聞かせください。 視察の際、来館している子ども達に聞いてみたのですが、そこにいるどの子も、来年和泉児童館がなくなることを知りませんでした。このこと一つとっても、区長のトップダウンによる弊害が明らかであり、特に子どもの健全育成に関わる分野でこのような乱暴な進め方が行われている事に強い憤りを感じます。 Q−4 和泉児童館の再編は計画不十分きわまりなく、計画を白紙撤回すべきと考えますが、区の見解を求めます。 この計画が本当にずさんで将来に禍根を残すものであるということが、次に示す和泉学園内学童クラブの視察でいよいよ明らかになりました。 現在、和泉学園内学童クラブでは、52名の子ども達が過ごしています。まず不思議に思ったのは全ての子が育成室の中で過ごしていたことです。夏休みですから一日を学童で過ごします。校庭は工事中で使えないわけですが、和泉学園から提供があったとされる空きスペースや中庭などは利用しないのか聞きました。すると、中庭を使えると言われても正規職員は二人、あとはパートさん。目の前の校庭ならいざ知らず、育成室からずっと離れた中庭やどこかの空きスペースなどで遊ばせるのは安全面などで対応しきれないというのです。いくなら全員で行くしかないと言います。 その学童ではベーゴマを保育プログラムの中心に据えています。そこには単に魅力ある時間づくりというだけではない切実な実態があります。児童館と違い、子ども達にいろいろな場所で、いろいろな遊びを提供する事はできない状況の中、育成室の中で何か打ち込める遊びを提供しなければならない。そこからベーゴマに熱中させるプログラムをおこなっているそうです。そのため、保護者には「この内容でいいならうちの学童に来て下さい」と話しているそうです。 さて、校庭の工事が終わったとして、学童クラブの子ども達が自由に使えるのでしょうか。来年の児童館再編で和泉学園学童クラブは150人の定員となります。児童館機能も移転してくるといいますが、いまだに検討状態です。中学生の部活動とはどう両立するつもりでしょうか。学園側が提供を申し出てくれている中庭もみてきましたが、なんと三方の壁がガラス張りでボール遊びなどはできません。何もかも机上の空論で物事が動いているのではないかと、大変な不安感を覚えました。そこでお聞きします。 Q−5 学校から空いてるスペースの提示があっても、目の届かない所に職員と子どもを分散できない実態がありますが、区はその現場の指摘をどう考えますか。 また、そうした空間を育成スペースとして有効に活かすには、かなりの人員的な加配やそのスペースの改修が必要と考えますが、現場と話し合って検討するつもりがありますか。お答えください。 Q−6 ベーゴマに特化したプログラムなど、運営事業者の努力によって平穏を保てているものの、極めて制限された環境において子どもたちへのサービス提供がされているのは明らかです。これを区はどう改善していくつもりか、お答えください。 150名の学童クラブは、児童館内の学童クラブが行ってきたような家庭的な保育が非情に困難になると予想できます。どんなに職員を基準配置しても大規模な子ども集団は安全を考えた場合、どうしても管理的にならざるを得ません。区はこれまで100名に達するような大規模な学童については第二学童を作る方針を作ってきました。それがなぜ150名学童を容認できるようになったのか、疑問です。 Q−7 150名定員となることで子どもへの目が行き届かなくなる危険性が増しています。事故発生の危険性の高まりについて区はどのように対策を講じるつもりでしょうか。お答えください。 Q−8 これまで区は大規模学童については第二学童をつくる方針を示し実践してきました。大規模学童の問題点について区はどのように認識しているのか、改めて区の見解を求めます。また今回、150名定員の学童クラブをつくるにあたって当然検討されたと思いますが、学童保育の質の維持の担保についてどのような検討があったのか、区としての専門的な知見をお聞かせください。 私たちは視察の際、学童クラブが150人定員となることについて率直に職員さんに聞いてみました。職員さんから漏れ出た声は「不安です」の一言でした。同じ校舎で行う学童クラブ事業とあって同じ事業者にならざるを得ず、事業者には断ることなどできません。その際、これまで行ってきたプロポーザルによる、保護者も加わった業者選定が行われないこととなります。公開の場での業者としての事業提案も、保護者らの目による選定という緊張関係もつくられていないわけです。そこでお聞きします。 Q−9 区は、学童クラブの運営事業者とどのような事業計画を検討してきたのか、あるいは運営内容については事業者に任せているのか、示してください。また、保護者には定員が150名に達するというこの計画について意見を聴取したのか、区の見解を伺い次の質問に移ります。 2.新泉小の跡地活用について 次に、新泉小の跡地活用についてです。 和泉地域では新泉小が廃校されました。新泉小がなくなることでこの地域にどのような弊害があらわれるでしょうか。この地域は現在、環七沿いのマンション乱立、屋敷の宅地細分化、高齢化した長屋地帯が建て売り、あるいは大規模開発にかわっていく可能性があります。このことによる人口増は容易に予測でき、本来小学校をなくしていいような地域ではありませんでした。そもそも教育先進国では一つの学校は地域と密接につながりあった200人以内、フィンランドでは100人以内といわれる学校規模が水準です。その点でちょうどいい規模だった新泉小が廃校にされ、大規模校を押し付けられ、かつ小中学生を同じ敷地内に押し込む施設一体型小中一貫教育を押し付けられる。この地域の負担は計り知れません。 こうした施策を認められるものではありませんが、最低でも新泉小跡地の活用は地域の要求に基づいたものとなるべきです。ところが区は当初、跡地について売却も視野に入れるなどしていましたが、町会や商店街などが声をあげ、敷地の半分を使った特別養護老人ホームが計画されたことは、一定地域の要求に沿ったものです。しかし、残り半分の校舎や体育館、校庭を専大付属高校に貸与するという方針は、地域から大変な反発を受けています。先日行われた説明会では、校舎の一部に防災会議室が設置されることにはなりましたが、校庭や体育館を地域住民が使えるのは日曜祝日の午前中、水曜日の夜二時間だけ。その利用時間についても「専大付属の教育活動等に支障のない場合に限る」というものです。いったい専大付属に跡地をいくらで貸すのか問われると、「はっきり決まっていないがおよそひと月100万円」という答えが返ってきました。まず賃料がいくらかも決まっていないのに専大に貸すことだけは決まっていることに驚きましたし、およそとのことですが、地域にとってはかけがえのない新泉小跡地の半分ほどの、約4000㎡の土地と建物をひと月たった100万円ほどで貸与するというのはどういうことなのでしょうか。地域活用は制限され、賃料も驚くほど安い…地域の怒りは当然で「住民をバカにするな」という怒りの声も説明会場に響きました。それでも区長はこの地域の声に一切聞く耳を持とうとしません。そこであらためて区長の姿勢をお聞きします。 Q−10 新泉小跡地活用については計画を白紙撤回し、あらためて住民の声を聞く場を持つべきと考えますが、区長の見解を求めます。 3.和泉学園の運営状況について 次に、和泉学園の運営状況についてです。 新泉小と和泉小、和泉中が統廃合され、この4月から和泉学園が開校しました。杉並区では初となる施設一体型小中一貫校です。これまでも指摘してきたように、施設一体型一貫校では小中学生が同じ敷地内で生活するために、小学校高学年のリーダー性が失われる、校庭が狭い、中学校の部活や小学生の校庭利用がぶつかりあう、校庭や校舎で小学校一二年生の安全性が損なわれるなど、各地で問題が指摘されています。このほど和泉学園で運動会が開催されたとのことで、地域や関係者から聞いてきました。すると中学2年生からは昨年の運動会と比べ、迫力に欠けたとの声が出ました。関係者からも和泉学園から済美山グラウンドまで歩いていくだけで大変。校庭が出来上がったとして大規模校の運動会の会場として耐えられるのでしょうか。そこでまずお聞きします。 Q−11 和泉学園の運動会について区はどのような評価をしているのか。迫力に欠けたなどの声が生徒や教師からあがっているのをうけて区教委としてはどのように考えるか、見解を求めます。 施設一体型一貫校で過ごすのは何も小中学生だけではなく、小中学校の教員も同じ場所で働くことになるのです。現在和泉学園では小中の教員あわせて約50名が一つの職員室に集められています。通常、小学校と中学校では、その指導に一定の隔たりがあり、それは極めて専門的な知見が必要とされます。600名もの小中学生が生活する和泉学園では、いったいどのような指導体制や会議がもたれているのでしょうか。現場教員からは「今までなら一度で済んだ会議が二度必要になる」とか、「小中一貫教育の研究授業をたくさんやってきたが、ふたを開けたら通常の学校行事をこなすことで精いっぱいだ」などの声があがっています。そこで具体的にお聞きしたいのですが、 Q−12 50名にも及ぶ職員室の運営について、小学校は小学校の、中学校には中学校の教員同士の意思統一というものが必要と考えるが、和泉学園ではそうした職員会議はどう保障されているのか。ただでさえ時間に追われる教育現場においてさらなるストレスを教員に与えることになっていないのか、見解を求めます。 600名もの小中学生と50名の教員を抱える和泉学園ですが、校長は一人しかいません。きめ細やかな学校運営は可能なのでしょうか。小中学生の給食を作るのに栄養士は一人しかいません。献立や塩分濃度、アレルギー対策など、様々な不安が残ります。そこでお聞きします。 Q−13 小中学生が生活するにもかかわらず和泉学園には校長が一人しかいない状況ですが、教育実践に支障はないのか、お伺いします。 足立区の新田学園という施設一体型一貫校では設置後、地域の大規模マンションの建設ラッシュがあり、現在、実に1500名ものマンモス校となっています。一昨年にはプレハブの第二校舎がつくられ、校庭のない環境を余儀なくされています。一方で和泉学園に目を向けると、ただでさえ小中学生が過ごすには狭い校庭に、さらに150名定員の学童クラブ施設がつくられ、児童館機能も移転されてくるような計画となっています。新田学園と同様、和泉地域はマンションの建設ラッシュが続いていますので、近い将来のこととして大変な危惧を抱かざるをえません。そこでお聞きします。 Q−14 和泉学園が今後児童、生徒数が増えた場合、校庭や体育館の使用等をめぐって150名定員の学童クラブと学園の間に摩擦が起きることが想定されるのではないか。区の見解を求めます。 遠い通学路や狭い校庭、そこに学童クラブや児童館まで移設…和泉地域のまちづくりの在り方を検証することで、区立施設再編整備計画のずさんで乱暴な進め方が明らかになります。私たちはあらためて計画の白紙撤回を求めるものであります。そうした観点も含め、次の質問に移ります。 4.高円寺地域の学校統廃合計画について 最後に、高円寺地域の学校統廃合計画についてです。 先に述べたような和泉学園の問題点がある中で、区は、高円寺地域にある杉並第四小学校、第八小学校を高円寺中学校に統廃合する小中一貫校計画を進めようとしています。 区は、この計画を地域や保護者の声を聞いて進めるという名目で、3校の地域関係者、保護者、校長等で構成する「高円寺地域における新しい学校づくり懇談会」を設置しました。 この間行われた同懇談会では、新校舎の配置計画案が出されましたが、それについて疑問や不安が口々に語られました。校庭は現在の高円寺中の大きさから、500㎡も削減され、4800㎡となります。現在の杉四小、杉八小、高円寺中の5月1日現在の生徒数を単純に合計すると生徒数は503名です。しかし、この生徒数に応じた校庭の面積を文科省の省令である学校設置基準に当てはめると、小学校設置基準、中学校設置基準を共に、下回る校庭の大きさとなってしまいます。さらに小中一貫校が開校する予定時期には、学校選択制がなくなっているので、生徒数はもっと増加しますから、より窮屈なものとなります。 さらに配置案では、校庭のトラックは150mと記載されているにもかかわらず、区からの説明では、「校庭に一定の通路などを作る必要があり、150mは引けないので、120mになる」ということでした。学校関係者からは、「現在の高円寺中の150mトラックでも足の速い子は曲がりきれずに転んでしまうこともあるのに、120mになればさらにカーブもきつくなり、相当大変になる」という指摘もありました。 別の学校関係者の方から、現在の高円寺中の校庭で、区内の少年野球チームが試合をしているという話がされましたが、この配置ではそれができるかどうか不安です。中学校の部活動にも大きく影響します。 このことは、「子どもの体力や運動量が低下し、運動する・しないの二極化が進む中で、まず学校での体力づくりの取り組みを充実させ、子どものスポーツ・運動の機会の充実や質の向上を図ること」を謳っている区の「スポーツ推進計画」とも矛盾します。 問題なのは校庭だけではありません。配置案では、学校にもかかわらず校舎は5階建てで、統廃合による校庭の削減や生徒の増加で、子ども達が頻繁に利用することが想定される屋上活動エリアは、6階の位置にあり、それをも含めると6階を子ども達が行き来することになります。 そして、校舎が南側にありかつ高層化することにより、校庭だけでなく、近隣の地域にも日照に影響が広がります。 さらにはこれまでも我が党区議団が議会で繰り返し指摘してきたように、杉八小の学区域の子ども達は大半の子が、通学時間や距離が増大し、かつ環七を渡らねばならなくなるなど、通学に大きな影響が生じます。一定学年が上の子は大丈夫かもしれませんが、小学校低学年の子など、つい最近まで、保育園や幼稚園に通ってた子ども達が通うわけですから、とても不安です。 Q−15 まず、こうした教育環境の低下に対し、子どもの健全な育成をどのように図っていくのか、区の見解を求めます。 学校が地域から無くなることで、地域のコミュニティーの拠点が無くなり、学校を通した繋がり作りの拠点が減少します。教育ビジョンでは、学校を「人が行き交いつながりが生まれる地域の拠点」と位置付けていますが、この区の姿勢と大きく矛盾します。 さらに学校は、震災救援所として防災の拠点です。高齢者でも歩いて通うことのできる避難場所であり、阪神淡路大震災では小中学校のプールは消防水利として大きな役割を果たしてきました。 今述べてきたように、学校統廃合による問題は山積みです。懇談会でも疑問や不満が出されましたが、「経済面だけで子育てを考えているようにしか思えない」など、地域ではもっと激しい怒りが渦巻いています。 Q−16 これらの問題を解決するには、計画を白紙に戻し、今ある学校を残し、発展させていくべきだと考えるが区の見解を求めます。 そして、この計画は、学校をなくすという近隣地域にとって重大な計画にも関わらず、学校統廃合の是非について、区民の声を聞く姿勢が欠如しているのではないでしょうか。 この計画の策定に当たっては、2013年の秋にパブリックコメントを行い、大小の住民説明会も行ったと聞いています。 しかし、計画ができてからは、先ほどあげた懇談会を開いてはいるが、幅広い区民の意見を聞く場が設けられていません。 そもそもこの計画には、パブリックコメントに寄せられた意見の全体の7割が、批判、疑問、反対の声を寄せているなど、多くの区民が疑問や批判の思いを持っています。 区はこうした声に耳を傾けてきたでしょうか。2013年秋に高円寺中の体育館で行った住民説明会では、「児童期の子ども達と、思春期の子ども達への指導は違う。一緒にやる事に無理がある。行事などの取り組みは、子ども達を満足させることはできないのではないか。」「小学生と中学生が、一緒の校庭で遊ぶ事はできない。危険である。」など、意見を寄せてくれた大半の人が、統廃合計画に対し、批判や疑問をもつものでした。 にもかかわらず、住民から「ここで出された意見は区に持ち帰ってくれるのか」との質問に、区は「この場は説明だけにとどめる」という趣旨の発言をしました。もっとも大事な地域住民の声を聞こうとしていない区の姿勢は重大問題です。 計画を進める過程で、懇談会だけではなく、もっと幅広い区民の声を聞くべきではないでしょうか。 Q−17 この計画について、区民と意見を交わす場を高円寺南北でそれぞれ行うなど、細かく開いていくべきだと考えるが区の見解を求め、私の質問を終わります。 |
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