議会質問 |
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◆上保まさたけ一般質問 |
日本共産党杉並区議団を代表して、1.戦争する国づくりについて、2.投票率の向上について質問いたします。 1.戦争する国づくりについて ○平和安全法制について 最初に、戦争する国づくりについてです。 安倍政権が「平和安全法制」と名付けた全体で11本におよぶ法案の審議が始まりました。日本の国のあり方を根本から大転換することになる国家的重大事ともいうべき法案です。 区長や私たち議員には、区民の命とくらしを守る責務があります。この問題は、法案に賛成の議員も、反対の議員も区民との対話を深め、議会での議論を尽くし、国民的な議論の場を作り出す必要にせまられていると考えます。そうした立場からこの法案に対する意見を表明するとともに、区長の見解を求めるものです。 この間の国会の質疑を通して、法案の3つの問題点が明らかになってきました。 第1は、アメリカが世界のどこであれ戦争に乗り出したさい、自衛隊を戦闘地域、すなわち戦地にまで派兵し、武器・弾薬や兵員の輸送など「後方支援」を行えるようにするという問題です。 一般に「後方支援」といいますが、これは日本独特の造語で、国際的には「兵たん」(ロジスティクス)と呼ばれ、武力行使の一部とされています。ジュネーブ条約の第1議定書第52条では、「兵たん」も軍事攻撃の目標になることを定めています。いくら自衛隊は後方支援だといっても、戦闘地域まで行けば敵とみなされ攻撃され、応戦すればたちまち戦闘状態になります。「自衛隊員が“殺し、殺される”危険が決定的に高まる」――こうした日本共産党志位委員長の追及に、安倍首相はまともに答弁できませんでした。これまでも、自衛隊はイラクやインド洋に派兵されました。直接の犠牲者はでませんでしたが、自衛隊員の精神面に大きな影響を与え、帰国後に自殺した自衛官は54人にも上ったことがあきらかになりました。「非戦闘地域」の活動でもこれだけの犠牲が出ているのに、「戦闘地域」の活動になれば、これをはるかに超える犠牲や負担を強いるのは必至です。日本の若者を「戦地」に派兵し、「殺し、殺される」戦闘をさせ、心に深い傷を残す。こんなことは許されません。自衛隊員の家族からは「殺し殺される戦闘地域に行けとは安倍首相は本当にひどい。戦争に行かせるために息子を自衛隊に入れたのではない」など、不安の声が広がっています。 第2は、「停戦合意」はあるものの、なお戦乱が継続しているところにも自衛隊を派兵し、治安維持活動などをさせようとしている問題です。アフガニスタン報復戦争では、こうした活動で、NATO軍に3千5百人もの戦死者が出ています。それを今後は、自衛隊に肩代わりさせようというのです。安倍首相も、アフガン型の活動への参加を否定しませんでした。 第3は、集団的自衛権を行使できるようにしようとしていることです。 集団的自衛権とは日本を守るためのものではありません。日本が攻撃されていないのに、「他国防衛」の名目で、海外で武力行使することです。憲法違反は明白であり、一内閣の勝手な憲法解釈変更で認めるなど、許されません。しかも、行使の判断は、時の政権まかせです。アメリカは、国際法違反の先制攻撃を軍事方針とし、実際に、ベトナム戦争やイラク戦争など、無法な侵略戦争を繰り返してきました。志位委員長が、「アメリカの戦争に日本が反対したことがあるか」と質したのに対し、安倍首相は「ない」と認め、イラク戦争についても擁護しました。アメリカに「ノー」と言ったことがない日本が、アメリカの言われるままに無法な戦争に参戦し、侵略の共犯者になる――こんなことは、絶対に許されません。 この法案について、安倍首相は、「『戦争法案』という批判は全く根拠のない、無責任かつ典型的なレッテル貼り」と述べましたが、「戦争をしない」と決めた憲法9条をふみにじって「殺し殺される国」になる、まさに「戦争法案」そのものではないでしょうか。 Q−1区長は、この法案についてどのような認識を持っているでしょうか?見解を伺います。 いま、多くの国民がこの法案に反対、あるいは危惧の念を抱いています。先月末に行われた日経新聞とテレビ東京による世論調査では、戦争法案の今国会成立について「反対」が55%で「賛成」の25%をおおきく上回っています。毎日新聞の世論調査でも、戦争法案の今国会成立について「反対」が54%で「賛成」の34%をおおきく上回っています。さらに、「米国の戦争に巻き込まれない」という政府の説明に対して、「納得しない」というのは73%、政府の説明は「不十分」というのが80%で、内閣支持層、自民党支持層の中でも「不十分」が73%に上っています。 自民党の重鎮が相次いでこの法案を進めている安倍政権に、厳しい言葉を連ねていることも印象的です。野中広務元官房長官はテレビに出演した際「わずかでもあの戦争に参加したことのある経験のある私があの姿を見ておって、死んでも死に切れない気持ち」だと声を振り絞りました。古賀誠元幹事長は、「アメリカといっしょに『後方支援』ということで地球の裏側までいけるようになるという、極めて心配していたこと恐れていたこと」と語っています。加藤紘一元自民党幹事長は日本共産党のしんぶん赤旗に登場し、「徴兵制まで行き着きかねない」とまで指摘。公明党元副委員長の二見伸明氏も集団的自衛権行使などに反対の立場を表明し、政権の暴走を厳しく批判しています。 区議会議員選挙のさなかも、この間私たちが取り組んでいる街頭での法案反対の署名活動でも、区民からこの法案に対する懸念の声が多く寄せられています。 小さい子ども連れのお母さん、お父さんは、「いつか息子が戦地に行かされるのではないか」と不安を募らせ、「子どもを戦争に行かせたくない」と言って、署名に応じてくれています。私自身も1才の息子を持つ父親として同じ思いです。戦争体験者の方は、「悲惨な戦争はもうこりごり」「憲法9条のおかげで、70年間日本は戦争をしない国でいられたのに、戦争する国に逆戻りなんてとんでもない」と怒りをもって署名をしてくれています。 首相官邸前や国会前では、毎週木曜日、「戦争する国づくりは許さない」という一点で集まった人々による抗議行動が行われています。杉並区内でも、NOWAR杉並という団体が作られました。ここには、教科書問題や脱原発運動でつながった区民、この間の安倍暴走政治に心を痛め立ち上がったバラエティに富んだ区民が集まり、そこに超党派の議員も集っています。6月7日には区内でデモも行われる予定です。 そもそも憲法9条をもつ日本に求められている本当の国際貢献とは何か。それはアメリカにたいして勇気をもって、無法な戦争は止めろ!日本はそんな戦争には加担しないと宣言することではないでしょうか。武力で平和はつくれません。世界の平和と安定のために何より重要なのは、話し合いによる紛争解決に徹することです。平和の外交戦略をしっかりともち、紛争の平和解決をリードする――これこそ日本のすすむべき道だと考えます。 Q−2戦後70年の年、戦争か平和か、日本は重大な岐路に立たされています。住民の生命と安全を守る責務を負う自治体の首長として、この法案を廃案にすべく、国に対して意見をあげるべきと考えますが、区長の見解を求めます。 ○自衛隊による区民名簿閲覧について 区内のある中学三年生の男子生徒の家に「○○君の親御様」と手書きで書かれた切手の貼っていない封筒が投函されました。その封筒の中には自衛隊の幹部を育成する目的を持つ、高等工科学校の募集チラシが入っていました。この情勢の中でこのような封筒が投函されていたら、気持ち悪いと感じるのが普通の感覚ではないでしょうか。自衛隊がこのように正確な個人情報をどこから手に入れたのか、PTAのなかでも話題になっているとお話をお聞きしました。そこでお聞きします。 Q−3自衛隊が戦地に派遣される危険が高まる中で、区は区内の若者の個人情報を抽出し、自衛隊に閲覧させています。これはいかなる法的根拠をもっておこなわれているのか、区の見解を求めます。 ○オスプレイの横田基地配備について 自衛隊が米軍の戦争に巻き込まれる危険が高まる中、日米両政府は、5月12日、特殊作戦用の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイを、2017年から米空軍横田基地に配備する計画を発表しました。これにより横田基地は、特殊作戦機部隊の新たな拠点として強化されることになります。政府はオスプレイの配備について、「大規模災害にも対応できる」などと述べていますがとんでもありません。CV22オスプレイは、特殊作戦部隊の輸送・補給が主な任務であり、戦争の最前線で敵の急襲作戦に従事する特殊作戦機です。オスプレイ配備は、新ガイドライン具体化の一歩であり、「戦争する国」づくりの一環であることは明確です。 Q−4 そこで質問します。オスプレイの横田基地への配備計画について、区長はどのようにお考えでしょうか。見解を伺います。 日米政府が横田基地にオスプレイの配備を決めたそのわずか5日後の17日、米海兵隊所属のMV22オスプレイがハワイ州のオアフ島の空軍基地で墜落事故を起こしました。海兵隊員が2人死亡、20人が負傷する大事故です。 そもそもオスプレイは、プロペラが止まったとき自動的に体勢を立て直すオートローテーション機能がないなど、構造的に欠陥があり、開発段階から現在に至るまで墜落事故を始め様々な事故が相次いでいます。米軍の公表資料によれば、もっとも深刻な「クラスA」と言われている事故は20件近く発生しています。 米軍専用の横田空域は1都8県にまたがり、今回の配備で、日本の人口の3分の1を占める首都圏の上空一帯がCV22の訓練区域として危険にさらされることになります。 とりわけ、CV22の事故率は、MV22の3倍以上に達しており、人口過密な首都・東京に配備する危険ははかりしれません。むしろ、市街地での訓練が目的とばかりに大都市、東京に配備されるのではないでしょうか?東京は実験台ではありません。もしこのまま配備が強行され、訓練が開始、拡大されれば、杉並区上空をオスプレイが飛行する可能性もおおいに出てきます。くらしと平穏が脅かされることになると、区民の間に不安が広がっています。 Q−5 区として、オスプレイの飛行ルートを確認すべきと考えますが、区長の見解を伺います。 私は、神奈川県の大学で学生時代を過ごしました。その時に聞いた話の中で忘れられない話があります。1977年におきた、横浜市緑区、現在の青葉区で起きた米軍機墜落事件です。 米海軍厚木基地を離陸した米海兵隊所属RF−4Bファントムジェット機が相模湾沖を航行中の空母「ミッドウェー」に向かう途中、エンジン火災を起こし、荏田町の宅地造成地に墜落したのです。その墜落に当時3歳だった林裕一郎君と、弟の当時1歳だった康弘君が巻き込まれたのです。全身大やけどを負い包帯でぐるぐる巻きにされた二人は、青葉台病院に収容されました。午前0時50分、「おばあちゃん、パパ ママ バイバイ‥」の声を残して裕一郎君が息を引き取り、弟の康弘君もお父さんらの必死の励ましの中、翌日、未明の4時30分、幼い生命を閉じたのです。 こんなつらい体験を、区民に、国民にさせるわけにはまいりません。 Q−6 オスプレイの横田基地配備を中止させるよう国に求めるべきです。区長の見解を伺います。 日本共産党は、党をつくって93年。命がけで反戦平和の旗を掲げ続けてきた政党として、戦争法案やオスプレイ配備など、戦争する国づくり許さないという一点で、思想・信条の違いを超え、多くのみなさんと力合わせていく決意です。 2.投票率の向上について 次に投票率の向上について質問いたします。 4月26日投票で行われました区議会議員選挙では、前回の投票率をわずかばかり上回り、40.42%でした。昨年の区長・区議補欠選挙での28%という低投票率を教訓に、何とか投票率を向上させようと各方面で大いに努力をされたと思いますが、依然として厳しい結果でした。 Q−7そこで、まず、今回の投票率を区としてどうとらえているか見解を求めます。 低投票率の問題は、区長、区議会、選挙管理員会がまさに一丸となって努力すべき課題だと考えます。 まず、議会の努力についてです。 今回画期的な取り組みとして行われたのが、超党派区議会議員による選挙啓発宣伝です。昨年の区長・区議補欠選挙後、低投票率をうけて、議会改革特別委員会で、区議会議員としても、低投票率を何とかしようという議論が行われ、自ら街頭に出て選挙啓発活動を行いました。これは大変新しい取り組みです。今後も規模を拡大し、おおいに行う必要があると考え、共同行動を各会派に呼びかけるものです。 議会改革特別委員会では、この間、区議会の出前議会、区政の重大問題にかかわるパネルディスカッションなど、区民に見える区議会を追及する議論が行われています。 一方で、議会に提出された請願・陳情の審査率が非常に低いことも議論になっています。やはり、議会の改選と共に100本以上の請願が区民につき返された実態は改善されなければならないと考えます。日本共産党杉並区議団はこの場をお借りしまして、今期委員会に付託された請願・陳情のしっかりと審査を行うよう各委員長に呼びかけるものです。 次に選挙管理委員会の努力についてです。 まず指摘したいのは、選挙公報の届けもれがあったという問題です。わが党区議団には、今回の選挙で、選挙公報が届かなかったという苦情が寄せられています。実際に、家庭に選挙公報が届かなかった議員もいます。これは重大な問題です。選挙公報を見て、選挙があることを知り、投票に行くという方も少なくありません。ぜひ、原因究明と問題解決が必要だと思います。 また、病院入院中の方、施設入所の方、在宅介護で動きにくい方、など、こういった方たちの権利を狭めないように、その場で投票できる仕組みを作るなどの努力も必要です。この点につきましてはぜひ検討をお願いいたします。 そして低投票率を克服する取り組みとして、投票のしやすさという観点から、日常の生活環境の中に投票所を設置するということを提案したいと思います。 現に杉並でも、大型マンションに投票所を設置しています。28%の投票率に終わった昨年の区長・区議補欠選挙ではそこでは44%。今回も49%と平均を大きく上回っています。投票所が身近にあるということがこれだけ大きな力を発揮することが証明されています。 そこで私が紹介したいのは、長野県松本市の取り組みです。 松本市では、JR松本駅の改札前の中央通路に、仮設の期日前投票所を設置しています。これは2008年から行われている取り組みですが、当時松本市は、県内でワーストの低投票率だったこともあり、これを何とか克服しようと、大型スーパーの前や駅前など、住民が多く集中する場所に期日前投票所の設置を検討した結果、駅前投票所の設置を行いました。これにより、主婦層などが出かけついでに投票するなど女性の投票率が向上し、県内ワーストも克服。そして期日前投票をした方の中でこの投票所を利用した有権者が4分の1を占める結果となっています。さらに駅前に設置することにより、投票所自体が選挙啓発にもなります。こうした取り組みが出来る駅区内では限られてはいますが、JRの駅前広場などでは実施は可能なのではないでしょうか。 そこで伺います。 Q−8投票しやすさ、選挙啓発の観点から、松本市などで行われている駅前投票所の設置など検討するべきだと考えますが、区の見解を求めます。 最後に区長の努力について述べさせていただきます。 昨年の区長選後に行われた第3回定例会の区長の所信表明では、「日ごろからさまざまな形で区政の情報をより積極的に発信し、区政に対する関心を高めていくことが何よりも欠かせないと痛感した」と区政情報の発信の弱さが、低投票率の原因の一つだと述べられました。 その問題は常々私たち党区議団も感じてきたところです。まず、区の重大問題について、区民に知らせる努力が足りていません。区立施設再編整備計画がそのいい例です。当初この計画の素案が出された時、区報には、「区立施設再編整備計画(素案)が発表されました」としか書かれていませんでした。これでは何の事だか区民にはわかりません。そこで我が党区議団は、この計画の重大な中身を知らせる区議団ニュースを作成し、区民に全戸配布しました。そこで、区も重い腰を上げ、計画の中身の情報提供を行うようになりました。 しかしながら、この計画が発表されてから半年間で計画を決定したために、今だに区民に計画の全容が知らされていないのが実態です。 また、昨日の富田議員の質問でも指摘をしましたが、あんさんぶる荻窪と荻窪税務署に関する説明会が開かれないなど、区民と対話する姿勢が見られないことも改善を求めるものです。 我が党区議団は、区が区政情報をしっかりと区民に伝えることを再三にわたり議会で取り上げ、中でも区政情報の発信の最大の媒体である広報すぎなみの全戸配布を要望してきました。先の第1回定例会の予算特別委員会では今年度、広報すぎなみの全戸配布を試験的に実施するということが表明されたことは大きな前進だととらえています。この取り組みについては早急に行うことを求めます。 そして、区政情報の発信という点ではインターネットの活用があげられます。区はHPの他にツイッターを活用していますが、そこでは、防災情報に特化されています。これはすごくもったいないと思います。ツイッターは投票率の低い若い世代も多く活用しています。そうした世代に向けて区政情報を発信していくという点でもツイッターの活用の改善が必要だと思います。 そこで伺います。 Q−9投票率の低い若い世代など、広範な区民に区政情報を発信するという観点から、区のSNSで区政情報の発信を行うべきと考えますが、区の見解を求め、質問を終わります。 |
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