駅ホームの墜落事故で思う事
盲導犬を連れた男性が転落したJR蕨駅のホーム(写真は今年の1月14日埼玉県蕨市で=東京新聞より=)
昨年10月、秋晴れの日曜日、狭山平和委員会は横須賀にある無人島=猿島=を訪れました。同委員会が開催した8回目の平和ツァーです。
猿島は幕末、明治、昭和と江戸・東京を外敵から守る要塞の役目を持たされ、砲台が設置され、兵士も常駐するなど東京湾入口の守り手でした。
現地、猿島では「猿島公園専門ガイド協会」のガイドさんから、島の由来や「エコミュージアム猿島」と言われる常緑樹のジャングル、渡りをする蝶・アサギマダラなどの生体など、詳しい説明を受けました。私たちは45人のグループでしたが、4班に分かれ約10人ごとに一人のガイドがつくという贅沢な編成で、詳しい説明、質問にも細かく対応してくださいました。ガイド料は勿論支払いますが、「よくわかって、とてもよかった」という評価がたくさん出ました。
視覚障害者が駅から転落
私たち一行が船で猿島に渡り、詳しいガイドを受けているころ、近鉄大阪線河内国分駅で、視覚障害者の男性(40歳)が駅ホームから転落して、特急電車にはねられ死亡されました。現場に転落事故を防ぐホームドアや防止柵は無かったとのことです。
「こうした事故が頻発している」と感じるのは私だけでしょうか?8月15日の終戦記念の日にも東京メトロ銀座線青山一丁目駅で盲導犬を連れていた男性(55歳)が転落し、亡くなりました。やはり転落を防ぐホームドアは設置されていませんでした。
駅ホーム転落事故頻発、何故?
最近、このような事故が頻発(?)するのは何故でしょうか?安全対策の「ホームドア」が設置されていないからでしょうか?だとするならば、過去には「ホームドア」など設置されている駅など全然なかったではないですか。「ホームドア」の事が取りざたされるようになったのは何故か?
ホームに駅員さんがいなくなったからです。私は、ホームで「駅員さんがいないかな。今度の電車は私の行きたい駅に留まるのか、留まらないのか、聞きたいな」などと思うことがしばしばあります。次の電車の「行き先」や「急行・準急・快速・特急」などが分る掲示はありますが、停車駅については常に掲示されているわけではなく、時間をおいての掲示です。こうした時に、すぐに電車が来そうなときは本当に焦ります。視覚障害があるわけではない私も困ります。
視覚障害者ならば、それどころか、自分のいるその場所が「安全かどうか」ということを常に不安になりながらいることでしょう。私の“困り”と次元が違います。
本来ならばホームドアではなく、駅員さんが欲しい
合理化をどんどん進めて、駅員の数を最低限にしてきた。駅員さんは減らされ、ホームにたつ駅員はほとんどなくなり、駅員を見つけることが困難になりました。電車の運転手も「ワンマン運転を実施しています」などと、ともすれば「開き直り」のように聞こえるその言葉を堂々と言わされています。今となっては全ての駅にホームドアを設置しなければならない状況ですが、本来ならば、ホームドアが必要のないような駅員さんの配置が必要だと思うのです。
猿島のガイドさんは私たち45人の客に4人もついてくださった。そのことで私たちは未知の島=猿島=を充分に知ることができたのです。