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生活保護の不正受給の報道は……
猪股嘉直市議
猪股嘉直市議
 生活保護の不正受給がニュースを賑わしています。お笑い芸人の母親が生活保護を受けていたことが発覚し、そのことを皮切りに、生活保護者のバッシング報道が続いています。
確かに、不正受給はダメです。私も仕事がら生活保護の相談を受けます。話を聞いて、明らかに生活保護の対象にはならないことなどもあります。その場合、率直に理由を言って、「申請しても却下される可能性が高いよ」とアドバイスをします。しかし、申請を行うのは本人の権利ですから「申請はできますよ」と言います。後の判断は本人ですから「申請、できないよ」とは言いません。

日本の保護率は高いの?

さて、生活保護の状況や不正受給の実態とはどうなのでしょう?テレビや新聞のニュース報道を見ていると、相当な不正受給が行われているように見えますが……。
日本の生活保護受給者は全人口の1.5%(厚生労働省)です。これが多いか少ないか?先進諸国のドイツが9.7%、イギリス9.3%、フランス5.7%に比較すると決して多くはないようです。 
また、不正受給はどうか?金額にすると、全体の0.4%です。勿論、不正ですからいいわけはないのですが、不正受給の横行があるかのように思える報道は、正しい報道ではないのでは?と疑問を感じます。何しろ、受給者の圧倒的多くが不正をしているのではと思える内容に見えますから。そして、この0.4%には、高校生が生活費の援助のためにアルバイトで収入を得たものについて、申告しなくとも良いと誤解していたものなどまで含まれているのです。
もう一つの指標を見てみます。捕捉率です。捕捉率とは生活保護の利用資格のある人のうち、現に保護制度を利用している人の割合を示すもので、日本の実態は2〜3割で、むしろ必要な人に行き渡っていない実態があります。ウィキペディアのホームページを参考にするとイギリスの捕捉率は87%、ドイツは85〜90%とあります。

不正受給報道の意図は?

こうしてみると、お笑い芸人の母親の不正受給に端を発した報道は、国が今進めようとしている生活保護制度の改悪を進めようとの意図が見え隠れします。今、検討されている中で、「生活保護の期限制」などがあります。
勿論、生活保護を受給しなくてもやっていける状態であれば、今すぐにでもやめるべきですが、そうでないのに期限がきたからストップは憲法25条の「健康で文化的な生活を保証する」からの完全な逸脱です。


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