建設環境委員会 公園整備 所管事務調査 ナラ枯れ被害状況と対策について
2024年12月4日に開催された狭山市議会建設環境委員会で、「ナラ枯れ被害状況と対策」についての現地視察と、所管事務調査が行われました。
近年、カシノナガキクイムシが媒介するナラ菌によってコナラ等の樹木が枯れる被害が全国で発生しており、狭山市内においても被害が確認されています。
カシノナガキクイムシは全長5ミリメートルほどの昆虫で、主にコナラやミズナラ、カシ類の樹木に穿入します。この際、体に付着したカビの一種であるナラ菌が、樹木を枯損させるナラ枯れを引き起こします。
ナラ枯れ被害について、埼玉県では、令和元年度に所沢市、新座市で確認され、狭山市では、令和2年度に智光山公園と稲荷山公園の北側斜面で確認されました。
市では現在、倒木による危険の回避とカシノナガキクイムシ(以下「カシナガ」)の拡散防止のため、伐採等の対策を講じています。
ナラ枯れの原因とサイクル
かつてナラ林は定期的に伐採され、炭や薪として使われてきました。しかし、燃料が石油に移行し、ナラ材が使われなくなり放置されるようになったことにより、高齢化・大径木化する木が増えています。
こうした高齢の老木は、カシナガにとっては繁殖しやすい状況となり、樹木に穿入し、体に付着したナラ菌を感染させ繁殖します。カシナガが繁殖した木は、水を吸い上げる機能が阻害され、ナラ枯れが発生します。
1年の周期で見ると、6月〜7月に枯れたナラの木から新成虫のカシナガが飛び出し、健全なナラの木に穿入します。7月〜10月に集中的に菌が繁殖、樹木内にはカシナガが掘った坑道が無数見られる状態になり、木が枯れてしまいます。
枯死したナラの木1本には、平均1000頭程度のカシナガの成虫が生息しており、翌年にはその数十倍のカシナガが飛び立つと言われています。
このため、カシナガの活動が休止する11月から翌年の5月までの間に被害木を根元から伐採し処分することで、拡散防止を図ります。市では「現状では、伐採することが最も有効な対策」としています。
伐採後は再利用や植樹も
ナラ枯れ被害が広範囲に及んでいるため、狭山市では、倒木による人的被害や周辺の安全面を最優先し、枯死木を伐採して対策を図っています。
委員会には、「2024年度に智光山公園で173本、緑地で10本、合計183本を伐採。今回の補正予算で、智光山公園の119本、堀兼・上赤坂公園の50本、合計169本の伐採を行った」との報告がありました。
2020年度から2024年度までの5年間で、公園と緑地で伐採された本数は、公園で1533本、緑地は225本で、合計は1758本となっています。
日本共産党のきぬがわ議員は伐採後の樹木の取り扱いや植樹について質問。
伐採後の樹木については、パルプ原料として長瀞町にある協同組合へ搬出し、資源として再利用されているとのこと。
また、伐採後、極端に公園等で樹木が減った箇所については、植樹を行っているとのことで、2022年度は、智光山公園で12本、狭山台中央公園で50本の苗木を植え、堀兼・上赤坂公園では、2022年度と2023年度であわせて40本の植樹を行ったとのことです。
市からは「今後も伐採により減っていく箇所があるが、萌芽更新も期待されるところもあり状況を注視し、必要な対策を図っていく」との報告がありました。