大沢えみ子議員の一般質問 3月末で休館 どうなる?サピオ稲荷山
日本共産党の大沢えみ子議員は、12月議会の一般質問で、ふれあい健康センター(サピオ稲荷山)について取り上げました。
サピオについては、昨年3月に突如「プール、トレーニングルーム、温浴施設を廃止する」との基本構想案が出されました。 6月議会、9月議会、12月議会には、連続して「基本構想案を見直してプール等を存続してほしい」との陳情が出され、9月議会では請願も提出されましたが、残念ながら僅差での否決となりました。
大沢議員は「パブリックコメントに寄せられた声を見ても多くの方が存続を望んでいる。個人的にはプールを存続させるべきと考える。そもそも廃止とする前提条件がずさんで、到底、納得のいくものではない。子ども達や障害者が気軽に水に親しめる環境の整備は、民間の参入が見込めないからこそ、公で実施すべき」と主張。そのうえで、現在、市が行っている更新事業の進捗状況について質しました。
架空の数字の比較に意味は?
PFI事業では、VFM(バリュー・フォー・マネー:民間事業者が実施した場合、公で実施するよりも経費が低く抑えられることを示す数値)が出ることが、ひとつの目安とされています。
大沢議員は「VFMは、建設費や維持管理費、運営費などを、公と民間がやった場合(LCC=ライフサイクルコスト)で比較して算定するものだが、今回は『プール等の機能は全て廃止』『新しい機能の内容は不明』。この状況で、どうやって比較を行うのか?」と質しました。
担当部長は「一般的には簡易設計や参考見積り等から算出するが、それに加えてヒアリングの結果や事業者選定委員会の意見を踏まえるなどして算出したい」と答弁しましたが、大沢議員は「何も決まっていない中で、どうやって見積もりをとるのか?ある意味、架空の数字対架空の数字、これを比較してVFMが出たところで、本当に意味のある数字、すなわち『PFIで実施する根拠』となり得るのか?」と厳しく指摘しました。
拙速に進めず市のビジョンを
大沢議員は、今後、サピオの更新計画が具体化されるにあたって「ダイヤプランの取り扱いがどうなるか」「受益者負担やそれに基づく利用料金をどれくらいと想定しているか」「環境センターの余熱利用の活用方針」などについても質しましたが、いずれも「現時点では決定していない」旨の答弁。
また、健康増進のための目標設定は「行わない方向」、利用人数などの目標値についても「設定するかどうか決定していない」など、施設の根幹に関わる事項の多くで方針が定まっていない状況が浮き彫りになりました。
大沢議員は「多くの人が存続を求めている中でもプール等を廃止するというならば、今以上の効果があることを明確に示してほしい。事業者からの提案はあると思うが、まずは、市として『サピオをこのような施設にする』というビジョンが必要。健康増進施設として明確に位置づけて、健康寿命の延伸や認知症予防の効果を検証できる機能を持たせる、あるいはダイアプラン構成市でさらに発展させていく。環境に配慮した余熱を活用するものにしていく。こういうものを事業者にきちんとビジョンとして示せるような方針を持ってほしい。それが不十分な状況、十分な検討時間が無いというならば、一旦立ち止まり、当面の改修を行ってほしい。改修費として必要な金額は約21億円であり、10年間で考えれば年間2億円。それを一旦やって、その間に、その先の施設のイメージをつくる、こうした方法だってあるのではないか。拙速に進めるのではなく、十分な協議と市としてのビジョンを持って、サピオを最大限活用することが肝要と考える。サピオがこれからも市民に愛される施設となることを願っている」として質問を結びました。