狭山・社会保障を良くする会 秋の企画 越生町の補聴器助成制度を学ぶ
狭山・社会保障を良くする会(会長・中野隆夫氏)では、毎年秋に学習交流企画を実施しています。
今年は、この4月から高齢者の補聴器購入助成制度を開始した越生町へ、バス1台で視察研修を行いました。
越生町での運動
65歳以上の3人に1人が聞こえに悩みを抱えているといわれる現在。補聴器への関心は高まっていますが、1台数万円〜数十万円と高額で、なかなか購入できないという方も多いのが実情です。
越生町では、地元の年金者組合の方々が購入補助を求めて昨年9月から署名運動を実施。同年12月議会で、町議会議員11人中6名に紹介議員になってもらって議会請願を行い、満場一致で採択されたとのこと。
越生町年金者組合の小池氏は「対象が非課税世帯のみで利用がなく制度がなくなってしまった自治体もある。誰でも使える制度にという点を強調した」と運動の論点を語りました。
実態調査でニーズを把握
こうした町民や議会の動きを受けて、越生町では、今年4月から、@65歳以上 A聴覚の障害者手帳を所有していない方 B町税を滞納していない方 C申請書の下段にある「医師の意見書」欄に補聴器の使用が必要であると認められた方 を対象に、1人1回4万円の補助を始めました。
制度の実施に先立ち、町として実施したのが、町民の聞こえに関する状況と補聴器購入のニーズを把握することでした。
通常実施している「高齢者実態調査」に、町として独自の項目を追加し、対象者の約2割が「聞こえに課題あり」と回答していること、またそのうち7割が「補聴器を持っていない」状況であることを掴みました。
町では言語聴覚士の講演会なども企画し、難聴が心身に与える影響などを学習。難聴が「認知症のリスクを高める」「コミュニケーションに困難」「心理的影響」「交流減少」などに影響すること、25年後には高齢化率が54%になるとの予測が出ていることなどから、「認知症予防のため、実施を決定した」との経過が、越生町職員から説明されました。
利用しやすい仕組みづくり
今年度の予算は80万円。これは、「高齢者実態調査」の中で、補聴器の必要性は感じているが、所有していない理由として「高額のため」と答えた方が19名いたことを受け、4万円× 20人分の予算を組んだとのことでした。
特徴的なのは、認知症予として実施するため、課税・非課税の分類は行わないとしたこと、また、「〇〇デシベル以下」など聴力レベルの規定をせず、医師が「必要」との意見を記載すれば、申請できる仕組みをつくったことです。
実施にあたっては、町内の耳鼻科医に協力を求め、意見書の料金を無料にしてもらっているとの事で、町民が利用しやすい仕組み作りに尽力しています。
10月時点での申請は2件とのことですが、今後、地域包括支援センターや、介護事業者等にも案内を予定しているそうです。
参加者からは、「認知症の関係の勉強の中で、聞こえが予防につながる事を学んだ。いかに元気な高齢者を増やしていくかが課題だと思うので、狭山市でも早く補聴器を補助を実現させたい」「現役時代、地下鉄の保守の仕事をしていた。耳栓をして難聴対策をしていたが、退職後、60代でも耳が不自由に。年齢制限なく補助をしてほしい」
などの感想が出されました。
会長の中野氏は「この研修で学んだことを力に、狭山市でもぜひ助成を実現させたい」と語りました。