土地利用規制法 国会ヒアリング 知らない間に「監視」「制限」!?
政府の土地利用審議会が、重要土地規制法に基づく3回目の指定候補として、入間基地などを発表した問題で、埼玉県内の関連する地域の日本共産党議員らが、塩川てつや衆議院議員、梅村さえ子元衆議院議員、伊藤岳・いわぶち友参議院議員らと国会内でのヒアリングを行いました。狭山市からは大沢・はしもと両議員と、いのまた嘉直埼玉9区国政対策責任者が参加しました。
入間基地は「注視区域」に
今回の指定候補は、防衛関係施設207施設を含む222施設が対象となっており、県内では大井通信所が「特別注視区域」、入間基地が「注視区域」とされています。
国からは「入間基地は本来なら特別注視区域に相当するが、指定区域の多くが人口密集地であり、20万人規模の自治体と同等以上の土地取引がある場合は、特別区域としないとの方針(経済活動の留意事項)に基づいて、注視区域とした」との説明がありました。
「注視区域」と「特別注視区域」では、200u以上の土地取引を行う際に届出が必要になる点が違いますが、指定されれば監視対象となり、「機能阻害行為」と認められれば、国が是正を求めることができる点は同じです。
むしろ入間基地周辺では、届出が不要にも関わらず、監視・是正の対象となることになり、土地所有者や購入者が知らずに高層の建物や看板等を設置した場合などに是正を求められる可能性があります。
「特別注視区域」となっている大井町の議員からは、「都市計画法などでは、土地所有者への不利益や利用制限につながる可能性があるものについては、公告・縦覧などが行われるのに、今回はなぜこうした手続きがないのか?自治体に意見を聞いて、年内にも指定するというが、所有者にも知らされず勝手に指定したとなれば、自治体が責任を問われる可能性がある」との指摘がなされました。
国の担当者は「今回の指定で、土地の価格などに影響する可能性はないと不動産関係団体から回答を得ている」と答えましたが、売買には届出が必要で、監視対象となり、何かあれば是正指導があるかもしれない土地の取引に、全く影響がないと本当に言えるのでしょうか?
「阻害行為」の基準 曖昧
問題となっている「機能阻害行為」についても基準が曖昧です。国は「基本方針の中に類型を明示しており、離着陸の妨げになる工作物の設置、投射装置、妨害電波、土砂の集積などは対象となる。該当しない例としては、周囲と同程度の高さの建物、集会、看板設置、漁労などはこれらに当たらないと考えている」としていますが、「具体的な基準を示す事は困難」としており、大規模な集会などが「阻害行為」と見なされれば中止を求められる可能性は否定できません。
塩川議員は「基地周辺の住民は、日常的に騒音や危険物落下などの被害を被っている。こうした声を上げる住民を阻害行為者として監視するのは許されない」と述べました。
現在、対象地域の自治体に意見聴取が行われていますが、その内容は、「どこの道路までを指定するかといった線引きに関するもの」とのこと。
参加者からは「指定しないでほしいという意見は自治体から出せるのか?」との声が出され、国は「知りたいのは地域の情報だが、意見があれば妨げるものではない」と答えました。
実際の指定は、今後開かれる7回目の審議会で行われますが、今年度中には指定が行われる見込みとなっています。
県内の平和団体では、「住民を対象に学習会などを開き、危険性を発信していきたい」としています。