狭山民主商工会が
「適格請求書等保存方式(インボイス制度)の実施延期を求める意見書」の提出を求める請願書を提出
9月11日、狭山市議会の総務経済委員会で、狭山民主商工会(代表 塩野谷政男氏)が提出した「適格請求書等保存方式(インボイス制度)の実施延期を求める意見書の提出」についての請願審査が行われました。
委員会室には、用意した椅子が足りないほどの傍聴人が集まり、市民の関心の高さが現れました。
生活を圧迫する物価高
今回の請願には、無所属の丸橋ユキ議員、田中寿夫議員と、日本共産党の大沢えみ子、きぬがわ千代子、はしもと亜矢の3議員が紹介議員となっています。 審議の冒頭、筆頭紹介議員である、無所属の丸橋ユキ議員による趣旨説明がありました。
今、物価高騰が暮らしと営業に深刻な影響を与えています。 全国的に企業の倒産件数が増加し、狭山市内でも生活保護世帯数・件数が増えている状況です。更に、厚生労働省が発表している「毎月勤労統計調査 従業員5人以上」によると、実質賃金は前年同比2・5%もの減で、16ヶ月連続のマイナスになっています。
丸橋議員は「消費税率引き上げを伴わない消費税増税、つまり実質増税であるインボイス制度を予定通りこの10月1日から導入すると、コロナ渦や物価高で事業を続ける事が出来るかどうかの瀬戸際に立つ事業者を一層苦しめ、地域の経済を更に疲弊させる恐れがある。インボイス制度についての考え方は色々あると思うが、現在の景気・社会情勢を踏まえ、制度の導入は今ではなく、延期するべき」と訴えました。
また、「そもそも消費税は預り金ではなく、商品価格の一部。消費者には消費税の納税義務はないことは、判例でも示されている」とも説明しました。
インボイス制度が導入されると
インボイス制度が導入されると、これまで免税されていた年間売り上げ1千万円以下の事業者は、「納税業者になり消費税を納入しインボイスを発行する」道を選ぶか、「インボイスを発行できない免税業者のまま」を選ぶかのどちらかになります。
しかし、売り上げ1千万円以下の事業者の実態としては、諸経費を引いて手元に残るお金は200〜300万円と言う方が多くを占めており、増額となる消費税の負担は、年間10数万円と、ほぼひと月分の収入にあたります。
また、免税業者のままを選択しても、取引先から消費税分の値下げを求められたり、インボイス発行できないことを理由に取引を中止になるケースも予想されます。
狭山民商事務局長の意見陳述
今回の審査には、参考人として、狭山民主商工会事務局長の宮里寛了氏が招致され、補足説明を行いました。
宮里氏は「民主商工会は、自営業やフリーランスで働く労働者が励ましあって営業とくらしを守っている団体。会員は免税業者が多く、まだインボイス登録を迷っている事業者も多い。全国では、登録の取り下げも累計1万件を超えている。10月に導入されると、来年3月の確定申告時に事務負担の混乱、金銭的負担が表面化し、混乱が心配される」と説明しました。
委員会では、フリーランスの実態や事業者への支援など、2時間を超える議論が交わされました(主な意見については左囲み参照)。
委員会採決では、田中、橋本議員が賛成しましたが、他の議員の反対で不採択となりました。 請願は、9月29日に開かれる本会議最終日に本採決が行われます。