狭山市議会文教厚生委員会が提言 将来の「あるべき姿」から検討を
狭山市議会文教厚生委員会は、3月4日付で、狭山市教育委員会に対して「狭山市の学校教育の未来に向けた提言(小・中学校の規模と配置の適正化等への提言)」を提出しました。
発端は、「小・中学校の規模と配置の適正化」や「特別許可地区の変更」、校舎の「長寿命化計画」などについて教育委員会から説明を受ける中、各会派の委員から、現在の在り方を疑問視する発言が相次いだことでした。
狭山市ではこれまで「小規模校では教育活動に影響が出るため、規模と配置を適正化する」として、事実上の統廃合を行ってきました。しかし、その単位が地区ごとになっており、小規模校のままの学校がある一方で、駅周辺の開発等に伴い、児童数が増えて教室
が不足する学校も出るなど、アンバランスが生じています。
また、老朽化が進む校舎等を「長寿命化」で対応するとして計画を策定していますが、委員からは「昭和の建物を令和でも使うのか」と厳しい意見も出されていました。
子どもにとって理想の環境を
こうした状況を踏まえ、文教委員会として何らかの提言をすべきと、1年をかけて議論が進められてきました。
提言では、「未来から逆算する思考法(バックキャスティング)」を持ち、将来的に、狭山市の児童・生徒がどのような教育環境で学ぶことが理想なのか?そのために何が必要なのか?という視点で、「中長期的かつ複合的、全体的な視点で施策を進められたい」との視点が盛り込まれました。
また、「規模と配置の適正化イコール統廃合ではない」として、「適正化」とは、本来、児童・生徒が健全に育つ教育環境を確保するために取り組まれるものであり、「学校の統廃合や廃校を前提として進めるものではないことを常に意識されたい」との文言も記載されました。
個別の施策としては、「市全体を捉えた学区の見直し」「保護者をはじめ地域住民からの理解」「デジタル化や感染症対策に対応した学習空間の確保」「状況に応じて新しい学校への建て替え」などが提示され、さらに将来の課題として「少人数学級を想定した学級数の推計」「障がい者に配慮した学校設備の充実」「浸水想定区域にある学校の移転」「徒歩以外の移動手段」なども検討するよう求めています。
日本共産党の大沢えみ子議員は「委員全員が一致し、委員会として提言が出された意義は大きい。教育委員会は重く受け止めてほしい」と話しています。