高齢者の難聴対策 早めの補聴器装着が有効
高齢難聴への補聴器購入助成を求めて運動を行っている年金者組合狭山支部が、認定補聴器技能者の三井珠眞巳氏を講師に学習会を開催しました。当日は会場定員いっぱいの参加があり、関心の高さが伺えました。
音は「耳」言葉は「脳」で聞く
高齢になって耳が聞こえづらくなっても、病院では「年齢相応です」と言われてそれ以上の対応がない、というケースが多々あります。
しかし、三井氏は「音は耳で聞くが、言葉は脳で聞く。聞こえるけど聞きとれない=聴覚情報処理障害(APD)の重要性が知られていない」と指摘します。
耳の中には蝸牛という感覚器官があり、そこには約1万5000本の有毛細胞があります。この細胞は、音の振動を電気信号に変え、神経を通じて脳に伝える役割を持っていますが、使わないと壊れていき、元には戻りません。
三井氏は「聞こえづらさが解消できるかはこの神経の残量で決まる。神経が残っていないと、高価な補聴器をつけても回復しない」として、神経損傷の前に補聴器をつけることが、聞こえを維持するのに重要だと解説しました。
補聴器「使いづらい」の声
補聴器を購入した方の中には「雑音がひどい」「つけても聞こえにくい」など、使いづらさを訴える方もいます。
三井氏は「加齢性難聴は長期間かけて悪くなったものなので、一気に戻すのは無理がある。一日10時間以上つけているとなじみが早い」として、起きている間はなるべく補聴器を装着し、聞こえのトレーニングを行うことを勧めました。また、耳の形は一人一人違うため、必ず耳型をとって補聴器を作る事が重要であるとも指摘しました。
補聴器と集音器の違い
そもそも補聴器とは、「一人一人に合わせて音を作る」ものです。テレビCMなどで「聞こえます」と大きく宣伝されている機器は、ほとんどが「集音器」と呼ばれるもので、補聴器ではありません。
三井氏は「機械に自分の聴覚情報が入っているかが重要。測定した情報を補聴器に入力し、その人に聞こえる音に調整する。足音、水の音、自分の声などがどう聞こえるかを伝えてもらうと調整しやすい」と話しました。
参加者らは「補聴器の購入助成を行う自治体が増えているので、ぜひ狭山でも実現させたい」と話していました。