入曽駅周辺整備事業 市が「全額負担」の覚書締結か!
狭山市では現在、入曽駅と周辺地域の安全確保に向けた整備を進めようとしています。
狭山市駅西口事業よりも高い橋上駅舎事業費
日本共産党狭山市員会と同市議団は、入曽駅周辺事業について、市民の安全確保や、入曽・水野地域の内水被害の軽減の観点からも、事業自体は必要と考えています。
しかし、現計画については、総事業費50億円のうち、駅舎・自由通路事業が30億円(狭山市駅西口再開発の橋上駅舎・自由通路事業費、約22億円よりも高額)となっていることや、今後の償還計画が十分に示されていない、既存商店街への支援策が不十分、西口の自転車駐輪場の整備計画がないなど、議論が必要な点が多々あることを指摘し、少なくとも地域住民の理解が十分に得られてから事業は進めるべきと主張してきました。
撤去費用を含む全てを市が負担
こうした中、狭山市民オンブズマンが8月29日に公表した資料で、今年2月に小谷野市長と西武鉄道株式会社が、「入曽駅周辺整備事業に関する覚書」を交わしていたことが明らかになりました。
問題なのは、この中で「甲(狭山市)は、本事業に要する費用の全てを負担し、乙(西武鉄道株式会社)に対して負担を求めないものとする」との内容がある事です。さらに「不要となる既存駅施設の撤去」も事業に含まれることになっています。
狭山市駅西口事業の際は、橋上駅舎事業費として約12億円が計上され、鉄道事業者は駅舎事業の3分の1にあたる約4億円を負担していました。
入曽駅周辺整備事業については、市議会の建設環境員会を中心に説明が行われてきましたが、費用負担について、「狭山市が全額負担する」との報告はされていません。
説明なき「覚書」は撤回を
この覚書については、決算審議中の建設環境委員会でも問題となり、資料が提出されましたが、執行部は「報告が遅れたことは申し訳ない」と謝罪する一方で、「スケジュール通り進めてきただけ」と強弁しています。
建設環境委員である日本共産党の望月高志議員は、委員会審議の中で、「広報さやまで計画を発表したのが2月10日で、その後パブリックコメントでも色々な意見が出ていたのに、その前に覚書を交わすというのは早すぎではないか。橋上駅舎の費用や必要性の検証も不十分。橋上駅舎化以外の整備方法もあるのではないか」と指摘しました。 地方自治体の最終的な意思決定権は議会にあります。
望月議員は「市民の代表である議会に何の説明もなく、予算を伴う覚書を交わすのは、踏み込みすぎだ」と述べ、覚書の白紙撤回を求めました。
総事業費266億円を投じた狭山市駅西口事業では、今年度も10億円を超える償還金を支払っています。後年度に大きなツケを残さないために、市民への十分な説明が求められます。