2018年予算審査 市民要望実現の一方で課題も
2018年度の予算については、各常任委員会での審査が終了しました。
狭山市の2018年度予算は、昨年度対比0・5%増の総額432億円となっています。
日本共産党議員団では、各分野の施策について「憲法に基づき、市民福祉の向上になっているかどうか」との立場で審査に臨み、前進面は評価しつつ、問題点を指摘しました。
増え続ける待機児童
保育の分野では、保育所の待機児童が年度末で174名にのぼっています。新年度の入所希望も多く、現在、調整を行っていますが、全員が入所できる状況ではありません。
市でも認定子ども園など定員を増やしてはいますが、希望に追いついていません。文教委員の大沢えみ子議員は「幼稚園の跡地などを活用して早急な対応を」と要望しました。
教育分野で市民要望が予算化一方で制度の後退も
教育分野では保護者から要望が強かった小中学校のトイレ改修を2倍のスピードですすめるとして、新年度4校の工事費が予算化されました。
また、生活困窮世帯の中学生を対象に行っていた学習支援(アスポート事業)を小学生まで拡大することや、学校スポーツ保険を利用する際の窓口払いの解消など、市民の声をもとに、党議員団が繰り返し要望してきた施策が実現しました。
一方、奨学金制度については、昨年「所得要件」と「学力要件」がつけられたことから、例年20件ほどあった新規利用が、今回は9件のみと大幅に減少。大沢議員は「明らかに後退」と厳しく指摘しました。
公民館の分野では、夜間の利用がない場合に休館にする制度が始まっていますが、利用がさらに減少してしまいかねません。 日本共産党の猪股嘉直議員は本会議で「子どもたちの学習支援など活用する方向で検討すべき」と述べました。
公民館については、公共施設再編計画の中で、全ての公民館について、これまでの社会教育法に基づく施設から、法の縛りのない「地域交流施設」へ変更する方針が出されています。
公民館は戦後、基本的人権の尊重・国民主権・平和主義を掲げた「新しい憲法」を学ぶ場として全国に設立されてきました。大沢議員は委員会審査の中で、「こうした公民館の意義を無くしてしまうような方針には賛成できない」と述べました。
予算案をはじめ、上程された各議案は、3月19日の最終日に本会議で採決される予定です。
住民要望が実りました♪
○生活困窮世帯への学習支援事業(アスポート事業)
対象をこれまでの中学生に加えて小学生まで拡大
○様々な障害への理解を深める「あいサポート運動」がはじまります
○住宅リフォーム助成制度550万→600万円へ
○智光公園のアスレチック改修→2018年度完成へ
○小中学校のトイレ改修を2倍のペースで実施
○就学援助制度の新入学学用品費支給を前倒しへ
(小・中とも制服やランドセルの購入に間に合う時期に支給)
○学校スポーツ保険を利用した場合も窓口払いなしへ
(学校や幼稚園のケガの際にスポーツ保険を使う場合、病院等の窓口で現金払いをしていたが、こども医療費と同様に 窓口払いがなくても受診できる仕組みに変更)
○教職員の負担軽減としてスクールサポート スタッフ、部活動支援員を配置
○中学3年生の英語検定受験料を補助
2018年度予算の問題点
●保育所待機児童−年度末174名に(新年度も83名の入所待ちが)
●学童保育室−新年度86名が待機
●奨学金制度の後退−所得制限・学力要件がつけられ、43件の相談に対して9件しか支給されていない
●学校給食費 月500円の値上げ
●下水道料金の値上げ
●介護保険料の値上げ
●サピオ稲荷山の民営化など公共施設の再編が住民不在で進められている
●生活保護率が非常に低い
●情報政策官が新年度は空席に
●公民館を「地域交流施設」に変更する方針が出されている