狭山市議会3月定例会 新年度予算審議が始まる
狭山市議会3月定例会では、新年度の予算審議が行われています。
狭山市の新年度予算は、総額で約430億円。収入の多くを占める市民税は「緩やかな景気回復」を見込んで増額となっていますが、日本共産党の望月議員が質したところ、市民の平均給与所得は286万円で、2007年の349万円と比較して、10年間で63万円も落ち込んでいます。
国有提供施設等所在市町村助成交付金(基地交付金)は6億5500万円と、前年度よりわずかに増額となりましたが、固定資産税相当額では約21億円(約14億円の差)、周辺の路線価格から換算しても約17億円(約10億円の差)になります。
航空自衛隊入間基地では新型輸送機C2配備に伴う様々な施設も建設されています。少なくとも固定資産税相当額は交付されるべきです。
ふるさと納税は、昨年の実績を元に2000万円を見込んでいますが、一方で他市への納税による減税分は2015年度で約4000万円に上っています。 背景には自治体間で加熱する「返礼品」制度があり、近隣では「いったん立ち止まる必要がある」として返礼品を中止した自治体も出ています。
事務事業の見直しによる影響
歳出では、小谷野市長の元ですすめられた事務事業の見直し〈サマーレビュー)により、各種補助金の見直しや単価の引き下げが行われました。
建設国保・埼玉土建国保への補助は廃止となり、敬老事業の委託金は一人当たり800円の単価が750円に引き下げられました。資源物の集団回収補助金も、これまでの補助単価5円が4円に引き下げられます。
道路舗装では「私道整備補助金」の項目が廃止。「今後は道路事業の予算の中で対応する」との事ですが、住民要望に応えられるのか疑問です。
福祉部門では難病患者に毎月支給されていた手当(昨年度4000円→今年度2000円)が、新年度は廃止され「1万円のお見舞金(生涯1回のみ)」になったほか、障害者手帳を取得する際に必要な診断書料への補助が打ち切られました。
奨学金についてはこの1月から基準が変更され、所得要件や成績基準が設けられました。市は「前年度と同じ対応ができる」としていますが、予算規模は2015年の4100万円から、新年度は2900万円まで減額になっています。党市議団は12月議会で「柔軟な対応を求める決議」を提出し、希望する子どもたちが奨学金を受けらられるよう要望しました。
厳しい予算の中でも、市民要望が実現した項目もあります。昨年、予算が削減された「平和意識高揚事業」は、事業項目として復活し、23万5千円の予算が付けられました。残念ながら中学生の広島平和記念式典への派遣としての予算ではありませんが、党議員団は「事業の復活を評価しながら、引き続き、式典への参加を求めていきたい」と述べています。
新規事業としては、他市から狭山市内の親世帯と同居・近居するために住宅を購入する際の補助事業や、ウォーキングの歩数に応じてポイントが付く健康長寿埼玉モデル事業などが予算化されています。
2017年度予算の主要項目
○民間保育所の整備
(私立幼稚園が小規模保育所を開設するための補助:2カ所)
○健康長寿埼玉モデル事業
(ウォーキングの歩数に応じてポイントを付与し、景品があたる)
○入曽駅周辺整備事業費
(計画実施に向けた測量予算)
○入間川とことん活用プロジェクト(入間川を拠点に新たな観光拠点をつくり賑わいを創出する)
○親元同居・近居支援事業
(市外から親世帯と同居・近居するために住宅購入や増築を行う場合の補助)※市内からの転居は対象外
削減・廃止・縮小・負担増の事業
■埼玉土建・建設国保補助の廃止【▲22万5千円】
■難病福祉手当の廃止【4000円→2000円→廃止】
■奨学金の予算縮減 【4100万円→2900万円に】
■障害者手帳取得のための診断書料 の補助を廃止【▲200万円】
(診断書の実費を5000円を上限に補助。毎年500件余りの申請があった)
■集団回収補助金5円→4円に
■敬老事業の補助単価引き下げ【一人あたり800円→750円に】
■私道整備事業費は項目を削除 ※道路事業費の中での対応に変更【▲300万円】
■学童保育の料金 →値上げに
■各種がん健診の負担金 →値上げに