問題だらけの豊洲移転 築地での再建は十分可能!
連日、問題が報道されている築地市場の移転問題。日本婦人の会 東京都本部が主催した学習会に参加した大沢えみ子議員からの報告を紹介します。
中澤さん(中央)のお話を聞く参加者
今回の学習会では、この間、築地移転反対運動の先頭を切って奮闘されてきた全労連・全国一般東京地本 東京中央市場労働組合執行委員長の中澤誠さんから、具体的なお話を伺う事ができ、「築地での再建」というこれからの方向性に確信が持てました。
築地市場の移転問題については、これまで何度も疑問が出され、日本共産党東京都議団も以前からこの問題を追及していましたが、特に2015年11月、業者の見学会が実施された頃から、業者の間でも「こんなに狭いと思わなかった」「水槽に水を入れすぎると床が抜けると言われた」など、不安と戸惑いの声があがるようになりました。 中澤さんらは2016年4月に「築地市場・有志の会」を結成し、アンケート調査を実施。仲卸業者の8割が「移転延期」を望んでいる事が明らかになり、これに確信を持って、農水大臣あての請願署名(仲卸業者586社のうち過半数にあたる319筆)を提出しました。
日本共産党都議団が記者会見し、テレビでも「盛り土問題」が大きく報じられましたが、中澤さんは「豊洲新市場は『隠すこと』で成り立ってきた計画」と厳しく指摘します。
2002年に決定機関である「建設協議会」が立ち上がったものの、08年〜12年の間、一度も開かれず、基本設計も無いままいきなり「着工1週間前」という状態での説明会。さすがに賛成派からも疑問が続出し、この時の説明会は大荒れになったそうですが、都はそれでもこの計画を押し通しました。設計図は部外秘で、新聞社からの公開請求にも「非公開」。建物も隠しながらの工事。誰も概要を知らないままだったそうです。
問題だらけの豊洲市場
中澤さんは「今、このような状況になって、移転はもう難しいだろうが、業者の8割は困ってないし、喜んでいる」として、豊洲移転の問題点を分かりやすく説明してくれました。
●「交通アクセス」→豊洲にはJRの最寄駅がなく、ゆりかもめ一本だけ。
●「物流の問題点」→環状2号線で分断されており、水産と青果をつなぐ物流動線が存在しないという世にも奇怪な市場。
●「環状2号線」(写真参照)→豊洲へのアクセス道路として見切り発車で建設を始めたが、築地の一部を通る設計になっており、移転が終わらないと工事ができず豊洲に行けない。その間は市場が閉鎖になる?
●「物流コストが上がる」→築地は非常に効率的な設計になっているが、豊洲の中にはトラックが直接入れず、建物内の物流に余計なコストがかかる。
●荷降ろしのためのエレベーター、駐車場も足りない。
●新しい施設使用料も、卸業者の負担も決まっていない
●シアン、ベンゼンなど、土壌汚染の見本市(都は調査をまともにやっていない)
国民に開かれた市場の意義
途中で工事が中断している環状2号線
中澤さんは「汚染がなかったら豊洲移転を認めるのか?との質問も頂くが、そもそも汚染があったから誰も手をつけなかった土地。石原元都知事はそこを『汚染なし』の価格で買い取っている。現在裁判を行っているが責任は大きい」と述べました。
そもそも市場は、米騒動で大変な思いをした経験から「食べ物はみんなの物」という信念でせりを制度化し、生鮮食品を国民のものにしてきた歴史があるとの事。
中澤さんは「築地ブランドは『品質に値をつける』という実績があり、全国の生産者のモチベーションに大きく寄与している。卸売市場が国民に開かれていることは大きい。大手資本に握られる事は国民にとっての損失であり、戦争する国つくりに繋がる。農業、水産、医療などは国民みんなのもの。築地が『古くてダメ』という見解そのものが間違いで、今の場所で再建築は可能(もともとその予定で検討してきた経緯がある)。既存施設の活用、昭和モダンを基本に再整備したい。現在再整備協議会を新たに立ち上げて再検討すれば今の場所で十分再建できる」と話されていました。
今年の7月は都議会議員選挙。埼玉の食の安全にもつながる豊洲移転の問題点をしっかり学べる機会になりました。(大沢)