奨学金の要件「柔軟に」との決議 否決
12月定例市議会で、市の奨学金について、この1月から要件を変更する事が明らかになりました。
変更されるポイントは3つで、@収入基準(最新の生活保護基準額の2・0培以内であること)、A成績要件(全ての教科について、評定平均値が5段階評価で概ね3・5以上であること)、B受付期間について、これまでの随時受付から「10月と2月」に限定する、となっており、どれもこれまでの狭山市の奨学金にはなかった要件です。
問題は、これまでの利用者からみて、半数の方が「対象外」になってしまうという事です。 日本共産党の大沢えみ子議員は、「議会として子どもたちを応援する意思を示したい」として、関連する補正予算を審議した文教厚生委員会で「柔軟な対応を求める付帯決議」を提案しましたが、大沢委員以外には賛成がなく否決されました。
日本共産党議員団では、「付帯決議は否決されたが、半数の子どもたちが対象外になることは大きな問題」として、最終日の本会議に「柔軟な対応を求める決議」を提出するため、各会派に呼びかけを行いました。最終的に、日本共産党の3議員と無所属の高橋ブラクソン久美子議員の4名が、議案提案権を使って決議文を提案しました。
賛同者を代表して趣旨説明を行った大沢議員は、「成績については『概ね』との文言がつけられたが、収入基準や受付期間について、親の介護費用を負担している場合や、AO入試など8月から始まるところもある。成績はもちろん、その他の要件も柔軟に対応することを議会としても後押ししたい」と説明しました。
市民の立場でモノを言う議会に
日本共産党からは望月、猪股両議員が賛成討論にたち、「そもそも日本は学費が非常に高く、2人に1人が奨学金を利用しているが、非正規雇用が4割を超える中で返済に苦しむ人も増えている。教育は憲法に定められた権利。生まれた家庭によって機会が得られないのは悲しい社会。ぜひ柔軟な対応を求める」「滞納が増えているというのが理由になっているが、今回の改定で滞納が減るとは思えない。滞納している方も、みんなかつては元気な狭山っ子として夢を持って勉強に励んでいたはず。背景にある理由をきちんと見て、子どもたちを応援する立場で対応してほしい」と述べました。
他の会派からは「教育委員会から柔軟に対応することが明言されており決議には至らない」(創造・金子議員)、「滞納に対する将来の見通しが不十分」(新政みらい・土方議員)、「持続可能な制度が必要。今後の経過を見て対応」(創政会・三浦議員)などの反対討論があり、採決の結果、賛成者は日本共産党の大沢、猪股、望月の3議員と、高橋ブラクソン久美子の4名だけで、賛成少数により決議文は否決となりました。
定例会を終えた大沢議員は「議会は市の提案をチェックし、市民の立場で意見をあげるのが仕事。これまでの半分の子どもたちが対象外になるような改訂をそのまま通すのでは、議会の責任が果たせないのではないか。色々な立場や意見はあって当然だが、市に対して、市民の立場できちんとモノが言える議会にしていくために、引き続き頑張りたい」と述べました。