幼児虐待死亡事件 再発防止に向け人員強化
県議団と共に申し入れを行う大沢議員
今年1月に狭山市内で起きた幼児虐待死亡事件について、狭山市は専門委員を招いての検証を行い、7月に報告書をまとめました。しかし、今回の報告書は「児童相談所が関与していない」として県が検証を行っておらず、県警察や児童相談所の聞き取り調査が不十分です。
日本共産党埼玉県議団と狭山市議団は、9月27日に埼玉県庁を訪問し、知事宛に、県として検証を行う事や、再発防止に向けた取り組みの具体化について申し入れを行いました。
埼玉県からは福祉部長と子ども安全課長が対応しました。
冒頭、柳下礼子県議会議員が「今回のケースでは警察からの通報のあり方が課題となった。二度とこのような事件が起こらないように、県としても検証を」と述べましたが、担当部長は「市の調査に協力しており、改めて県としての検証を行う予定はない。市の報告書については各児童相談所でも情報共有を行っている」と回答しました。
また、課題とされていた警察との情報共有について、4月に厚労省から通知が出されており、「現在は通報があった場合について、自治体や児童相談所と情報共有を図る事になっている」との説明がありました。
地元市議として同席した大沢えみ子議員は「情報共有は確かに大事だが、それに伴う予算や人員配置がなければ同じ事が繰り返される」と発言。
狭山市が行った検証報告では、狭山市は保健師一人あたりの担当人数が過大(平均7000人のところ、13000人)で、ケース会議でも十分な協議が出来ていない事が指摘されており、今後、支援の質を高めていくには、「今のままの人員では支援者の燃え尽きを助長する可能性が高い」として、「保健師等の人員強化と教育研修体制の充実が不可欠」としています。
大沢議員は「市でも保健師を採用したり、こども課に担当職員を置いて対応しているが、県でもぜひ人員増や予算措置をお願いしたい。すぐに増員できないならば、せめて精神保健福祉士などの専門職を各自治体に派遣することや、そうした職員が研修に行けるような人的余裕を持たせることを検討してほしい」と要望しました。
虐待を根本的に防ぐ仕組みを
虐待はあってはならない事ですが、核家族化や厳しい経済状況の中で子育てをしている現代の家庭ではいつでも身近にある要素でもあり、検証報告書でも『保育の福祉的利用』の重要性が指摘されています。
大沢議員は「支援が必要な家庭がすぐに使えるよう、保育所には定員の余裕がほしい。子育て世帯、母子家庭などへの経済的援助をはじめ、疲れた時に気軽に使える一時預かり保育など、子育て支援制度の充実が必要。
公的支援につながっていたら、どこかで虐待の予兆をキャッチできるかもしれない。全国どこでも起こりうる事であり、県でも検証を行い、各自治体へ教訓として周知を」と要望しました。