6月定例議会 減免申請の際にマイナンバー
6月定例市議会が9日から開会しました。今議会には市税条例改訂や男女共同参画基本条例の制定など、15本の議案が提案されています。
利用抑制にならない対応を
今回の市税条例の改訂は、個人番号(マイナンバー)制度に関連して、事業所設立の申告書や各種減免制度の申告の際、申告用紙に個人番号・法人番号を記載する欄を、新たに設けるという内容です。
個人番号制度には大きな問題点がいくつもあります。
今回の議案では、各種の減免制度の申請に個人番号が求められていますが、漏えいのリスクが高い個人番号の記載が必須になってしまえば、減免申請をためらう人も出てくることが懸念されます。
日本共産党議員団では「個人番号の記載がなくても、本人確認ができれば減免申請を受け付けるなど、利用抑制にならないような対応を」と求めました。
年金番号の流出で不審電話も
個人番号制は、この10月から国民全てに12桁の番号が割り振られ、税と社会保障の情報を一元管理するというものですが、1つの番号から税金の支払い状況や医療、投薬情報などの個人情報がわかることから、情報漏えい、なりすましなどの犯罪のリスクが高まることが懸念されています。
先日、日本年金機構から個人情報125万件が流出するという事件が起きました。どれだけセキュリティを強化しても、情報漏えいのリスクは生じます。 すでに各地の高齢者宅には「年金番号の変更ができる」「情報を流出しないようにできる」などの不審な電話がかかってきている現状もあり、さらなる被害が生み出される可能性があります。
マイナンバー制度は中止を
日本年金機構は、国民からの問い合わせの対応に「1000人体制で臨む」ことや、「お詫びの文章」を発行していますが、これに係る経費は年間50億円にも及びます。
政府は個人番号制によって「利便性が向上する」「経費の削減になる」と言いますが、国民にとっては、かえってリスクが高まり、問題が起きた場合の経費も莫大なものになる、この経費も結局は国民が負担することになります。
巨額を投じて実施された「住民基本台帳ネットワークシステム」がほとんど利用されず、今度の個人番号制度によって、10年後には現在の番号が利用できなくなることを考えても、本当に「経費の削減」になるかどうか疑問であり、国民にとって、デメリットが大きいとしか言いようがありません。
外国でも制度の弊害が浮き彫りになっています。イギリスでは、いったん導入が決まった「国民IDカード」法が、「人権侵害の恐れがある」ことや、「経費が不透明で巨額の税金が浪費されるおそれがある」として、廃止されました。
日本共産党は、このように税や病歴などの個人情報を一元的に扱うことをはじめ、管理のリスクや、問題が起こったときの対応などを考えても、「個人番号(マイナンバー)制度の実施は中止すべき」としています。