狭山市自治協力員報酬 支払い規定を条例に明記
狭山市議会は19日に臨時議会が招集され、市長の専決処分の承認や、自治協力員報酬の支払いを具体的に定める条例の改正など、6つ議案の審議が行われました。
裁判所からの指摘受け
焦点となったのは、自治協力員に対する報酬の支払いについて定めた条例の一部改正です。
そもそもこの時期に条例改定が提案されたのは、先に、さいたま地方裁判所から「自治協力員に対する報酬の支払いについて条例に支払い日などの記述がなく違法である」旨の判決が出されたことを受けたものです。
市は判決を不服として控訴していますが、条例については「この機会に改定して、疑義を解消したい」と提案されました。
日本共産党議員団では、今回提案された改定案が、新たな条例を制定するに匹敵する内容であり、委員会で十分な審議を行うべきと考え、議長に申し入れを行いました。
議会運営委員会での議論を経て、最終的には委員会審査を省略することになりましたが、本会議で、十分な審査が必要との認識は各会派が一致しました。
市「違法性はないと認識」
本会議では、各議員から「任意団体である自治会の長を、市が地方公務員の特別職として任命することの根拠は?」「今回、条例改定が提案されたというのは、裁判所の指摘を受け入れたということなのか」等の質疑が出されました。
担当部長は「自治協力員報酬は、市と地域との連絡調整役を担っていただいている自治会長に、市がお願いする役務の対価として支出している」「以前も県の準則に従って策定した条例に基づいて支給しており、違法性はないと考えているが、疑義の解消のため、今回、条例に具体的な支給方法や支給日を規定することとした」旨の答弁を行いました。
条例は必要だが課題も
日本共産党議員団は「市の規定では、自治会長をそのまま自治協力員とすることになっているが、同一である必要はないのではないか」と質し、担当部長は「地域の代表という意味で自治会長を任命している」と答えました。
また、条例の付則に、「この条例が制定される前の支給についても、さかのぼって支給したものとみなす」との規定があることについて、「このような規定が法的に問題ないのか、県の担当や自治省に確認したか」と質し、担当部長は「県や国に確認はしていないが、最高裁の判例で『適法』との判断が出ており、問題ない」と答えました。
この議案については会派・大河が遡及規定を削除する修正案を提出しましたが、賛成少数で否決され、条例は原案通りのものが賛成多数で可決されました。
日本共産党は、「司法からの指摘があった以上、条例を作ることは必要」として、条例案に賛成しました。
修正案の提出を巡っては、志政会の小谷野議員ほか10名から大河の大島・金子・笹本議員に対して「修正動議提出段階での準備不足、それに伴う数時間に渡る空転」で「議会の権威を低下させた」として、反省と謝罪を求める決議が提出されました。 日本共産党の3議員と無所属の高橋・矢馳両議員は賛同しませんでしたが、賛成多数で可決されました。
議会を終えた猪股議員団長は「条例は必要だが、課題もある。自治会は任意組織。結果的に自治会長が選ばれることはあると思うが、自治会から推薦された人を市が協力員として任命するよう、規定を変えていく必要がある」と述べました。