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【江尻加那 質問】
日本共産党の江尻加那です。第110号議案 茨城県植物園等整備工事の請負契約の変更について、議案質疑します。
知事肝いりで宿泊や温浴施設を備えた植物園のリニューアル工事ですが、来月11月のオープンが迫った今になって、急に、汚水処理設備と変電設備、さらに防火水槽をつくるために、3億9千万円を増額する議案です。
中身としては、@温浴施設の排水を那珂市の公共下水道につなぐ予定だったが、排水量が多くて流すことができないと分かり自前の処理が必要になった。A今ある電気設備の増設で足りると思っていたが変電設備が新たに必要になった。B木造の宿泊施設が多いので消防法の規定で防火水槽が必要になったなど、どれも、初期の設計段階から見込んでおくべき中身ではないでしょうか。事業費30億円のうち3億円を設計費にあてたにしては、お粗末ではないかと感じます。
今回のリニューアル整備工事とその後20年間の管理運営を一括して行う事業者として県がプロポーザルで選んだのは、株式会社ボタラシアンリゾートです。8社で構成する特別目的会社であり、レジャー・宿泊業のコンサルタントやリゾート運営会社、建築設計や建設工事会社など、県が「実績がある」と評価した会社の合同体です。
にも関わらず、排水や電気、防火設備など基本的なインフラ計画の詰めが甘かったのは、プロポーザルによる一括発注の弊害なのでしょうか。
そこで、以下3点について、農林水産部長に伺います。
第一に、追加工事となる汚水処理設備や変電設備、防火水槽の設置を当初想定できなかった理由と、契約変更の議案提出が今定例会になった理由は何か。
第二に、工事請負契約の変更議案が審議・可決される前から、追加工事は既に実施しており、それは「予算の流用」で行ったとのことですが、本事業所管の林政課に3億9千万円も他から流用できる事業予算があったのか。茨城県財務規則(※)に照らして、流用の正当性を示してください。
第三に、11月リニューアルオープンとしていますが、管理運営にあたって更なる追加設備や工事が必要にならないか、しっかり精査出来ているか。
以上、答弁を求めて質疑を終わります。
(※茨城県財務規則)
(予算の流用)
第19条 事業主管課長は,やむを得ない事由により,予算において定めた項並びに目及び節の金額を流用しようとするときは,予算流用決議書及び予算流用内訳書を作成し,知事の承認を受けなければならない。
2 事業主管課長は,前項の規定により流用が承認されたときは,予算配当通知書により会計管理者に通知しなければならない。
【農林水産部長 答弁】
江尻加那議員のご質問にお答えいたします。
第110号議案 「工事請負契約の変更」についてでございます。
議員から3点ご質問をいただきました。
まず、1点目の追加工事が想定できなかったことなどの理由についてでございます。
茨城県植物園等のリニューアルにつきましては、民間の知見を活かした魅力ある施設へと再生することとした上で、「緑に遊び、緑に包まれて眠る、日本初の泊まれる体験型植物園」をコンセプトに、整備を進めております。
この工事につきましては、令和6年第2回定例会において、設計・施工・運営一括発注方式により、工事請負契約を締結することについて、ご可決をいただき進めているものでございます。
通常の建設工事につきましては、建物などの種類ごとに設計を行い、その後、工事を個別に発注する分離発注方式で実施をしております。
他方、今回の一括発注方式につきましては、集客や顧客満足度の向上に資する運営ノウハウを有する事業者の意向を設計に反映でき、収益性の確保がより期待できるなどのメリットを有している一方で、実施設計を進める中で、現地条件などにより、当初想定されていない変更が生じることがございます。
今回の場合、3つの変更点がございまして、まず、汚水処理施設につきましては、新設の建築物から生じる、全ての汚水を那珂市の既存公共下水道へ排水する予定でおりましたが、竣工後、全ての施設が稼働した場合には、公共下水道の処理上の上限量を超えることが判明したことから、公共下水道への排出量を調整するため、新たに浄化槽や調整槽を設置する必要が生じたものでございます。
続いて、変電設備につきましては、植物園西側に配置しましたコテージについて、既存の変電設備を用いて配電することを想定をしておりましたが、実施設計の結果、既存設備では電気の使用量を賄えないことが判明したため、新たに変電設備を設置する必要が生じたものでございます。
そして、防火水槽につきましては、那珂市の既存消火栓や、各建物に備え付ける消火器などで対応することとして進めておりましたが、木造建築物の配置が定まり、消防当局と協議した結果、追加設置を指導されたものでございます。
いずれの変更内容につきましても、対策工法の検討、費用の積算、発注の調整などを行い、7月に方針を決定したことから、その直後に開催されます今定例会に提出させていただいたものでございます。
次に、2点目の工事請負契約が今定例会において審議・可決される前から、工事を実施している点についてでございます。
まず、工事を一時的に中止すべきか否かの判断に当たり、国が示す地方自治法に係る解釈においては、公共工事の変更契約に係る議決が必要になった事案について、工事の内容、住民の利便、工期延長に伴う施工業者の負担増大などを総合的に勘案し、「工事はそのまま継続し、工事の期間中に議決を得る」という対応が許容されているところでございます。
そのような中、今般のケースにおきまして、増額の主な要因となりました汚水処理施設、変電設備及び防火水槽につきましては、新たな植物園の開園に向け、当初から予定していた機能であり、かつ、必要不可欠な基本インフラであることから、工事を進めているところでございます。
今回、ご審議いただいております工事請負契約の変更につきましては、工事の進捗を踏まえ、受注者側から、当初契約時には想定できなかったインフラ工事等による増加費用の協議がなされ、内容を精査したところ、発注者である県としても妥当な範囲と考えたことから、直近の今定例会に議案を提出させていただいたところでございます。
最後に、3点目の、管理運営に当たり、更なる追加設備や工事が必要にならないかという点についてでございます。
こちらについては、設計業者、施工業者及び管理運営事業者とを交えて精査を行い、当該変更契約以上の追加がないことを確認しております。
県といたしましては、来月29日のリニューアルオープンに向けて、今後も工事をしっかりと進め、県内外の多くの方々に広くご利用いただき、地域活性化につなげてまいりたいと考えております。
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