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質問・発言

●13年第3回定例会・一般質問(2013年10月10日)

鈴木 聡議員

1.橋本県政の政治姿勢と課題について(答弁・知事)
 (1)大型開発から脱却し、くらし・福祉優先の県政に転換を
   ・県民雇用者報酬の実態、最低賃金の引き上げ
   ・社会保障切り下げと消費税増税中止
   ・学校耐震化、住宅再建の震災対策
   ・少人数学級拡充
 (2)TPP交渉参加撤退、農業再生策
2.新中核病院建設について(答弁・知事)
 (1)救急医療体制の充実
 (2)新中核病院建設の見通し
3.原子力政策について(答弁・知事)
 (1)福島原発事故の放射能汚染水の危機打開
 (2)東海第二発電所再稼働準備中止・廃炉に

1.橋本県政の政治姿勢と課題について

(1)大型開発から脱却し、くらし・福祉優先の県政に転換を

 日本共産党の鈴木聡です。
 私は、いのちを守るために新中核病院の建設をと幅広い方々から願いを託されました。6期目の橋本県政は、県民要望の多い医療体制の整備、高齢者福祉、子育て支援など、最優先に取り組むことが課題です。
 そのためにも常陸那珂港、つくば新線沿線開発、八ッ場ダムなどの大型開発は見直し、中止の決断が必要です。開発で借金をつくり、福祉や医療を後回しにし、県民や県職員に犠牲を強いてきた県政を改めなければなりません。
 今、安倍内閣が国民の願いとかけ離れ、消費税増税、TPPなど強行しようとしているとき、国の悪政にストップをかけ、県民のくらしを守る防波堤としての役割が求められていることを強調し、知事に質問をいたします。
 最初は経済対策の要(かなめ)として、賃金引き上げについてです。知事は1人当たりの県民所得が過去最高の全国5位になり、県政の発展だと表明しました。 県民所得は雇用者報酬、財産所得、企業所得の合計です。本県の1人あたりの雇用者報酬は過去最高どころか、平成22年は14年前に比べて52万6千円も減少し、全国16番目となっています。企業は収益を上げても賃金を減らし、非正規労働者を増やし、深刻な不況をもたらしました。県内企業への賃上げ要請について取り組みを伺います。
 本県は、中小企業数が99.9%で、88%は中小企業で働いています。本県の最低賃金は、1時間あたり713円で、全国平均より51円も低いのです。1000円以上に引き上げ、中小企業への賃金助成制度などの支援は重要課題であり、国に働きかけるべきですが、所見を伺います。
 次に社会保障の切り下げと消費税増税中止について伺います。来年4月から8%の消費税増税は、国民のくらしと営業を壊し、日本経済をどん底に突き落としてしまいます。「店をたたむしかない」と悲痛な声が広がっています。
 一方で社会保障は軒並み切り下げです。70歳から74歳の医療の窓口負担を1割から2割に引き上げること、要支援1、2の高齢者を介護保険給付から外してしまうこと、年金支給額は2.5%引き下げ、生活保護の6.5%の引き下げなど、強行しようとしています。
 知事は、社会保障の安定財源確保と財政の健全化の一体改革と説明しましたが、国民を裏切って社会保障を改悪することは許されません。
 国民健康保険は、都道府県単位の広域化が検討されています。国庫負担を29年前に比べて半分に削ったことが高すぎる国保税の原因です。県内では滞納者が2割を超え、保険証の取り上げや差し押さえなど、弱者いじめが強行されています。国保は社会保障制度です。国庫負担を増やすことが抜本的な解決の道です。国の責任を放棄して広域化することは、国保財政の悪化と県民を苦しませることになってしまいます。広域化をやめるよう国に強く働きかけるべきです。知事の所見を伺います。
 平成9年に消費税を3%から5%に引き上げ、税収が落ち込み、大型開発のばらまきで、国と地方の長期債務残高は、3年間で449兆円から600兆円になり、財政は悪化してしまいました。本県でもこの3年間に地方消費税は221億円増えても、県税収入は246億円も減りました。消費税増税は社会保障と税の一体改悪です。増税中止を国に働きかけることについて知事の所見を伺います。
 次に震災対策についてです。知事は、大震災から一日も早い復興に全力で取り組むと表明しました。本県の公立小中学校の耐震化率は77.4%です。全国は88.9%で、本県は43位と遅れた状況です。耐震化が必要な649棟のうち、平成27年度まで90%の整備計画です。早急に100%にすべきではないでしょうか。
 耐震化事業への国庫補助は3分の2から3分の1と区分がありますが、実質、地方負担は6.7%から13.3%もあるのです。すでに13の都県では独自の補助を実施し、耐震化を促進してきました。本県は独自補助がありません。支援策を行うことを求めるものですが、知事の所見を伺います。
  本県の住宅被害は、21万2千棟で被災県では最大です。9割にあたる16万5千棟は一部損壊で国の被災者生活再建支援の対象になっておりません。これまでも独自の支援策を提案してきましたが、やっと昨年から修繕の銀行借り入れの利子1%の5年間補助が実施されました。実績は当初予算の4億円に比べて、わずか1600万円、514件でした。実態とあまりにもかけ離れた補助制度です。
 県内の12自治体は、住宅リフォーム制度をつくり、10万円から20万円の補助を行っています。県建設業協会では地元業者振興策としてこれまでも要望してきました。積極的な支援策として、住宅リフォーム助成制度の創設をすべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、少人数学級の拡充について伺います。知事は小学5、6年生に茨城独自の少人数学級を拡大すると表明しました。本県は小学1年と2年は35人以下のクラスにしています。茨城方式は小学3年と4年、中学1年生です。3クラス以上は35人以下にし、2クラスまでは40人で、臨時教員の配置をしています。すべてのクラス、すべての学年で35人以下を実施するためにはあと60億円でできるのです。
 少人数学級は児童生徒の問題を把握し、指導が適切に行われるようになったこと、児童生徒が授業に集中し、学力が向上したなど現場では喜ばれています。全国の状況は全学年実施は17府県、中学全学年実施は20県です。
 高校受験、部活など中学生をとりまく環境と教師の多忙化改善のためにも、中学全学年実施を、関係者は強く望んでいます。政府は平成23年から8年間で、小中すべてで35人以下学級の実施を「定数改善計画」で決めましたが、小学1年のみの実施で、その後は年度ごとの検討としてしまいました。欧米諸国では30人以下があたりまえとなっています。国に実施を求めながら、県独自の拡充策として、全学年・全クラス実施に踏み切るべきではないでしょうか。知事の所見を伺います。

(2)TPP交渉参加撤退、農業再生策

 次にTPPについて伺います。TPP交渉は10月8日の首脳会合で、年内妥結に向けて交渉をすすめることが確認されました。国民に情報も出さずに、国内での議論もないまま、年内妥結に突き進むことは許されません。TPPは「関税ゼロ」が原則です。「重要5品目」を守るというなら、交渉から撤退以外にありません。
 県の影響試算では、本県の農林水産分野の生産額は4分の1が失われます。全国第2位の農業県の知事として、TPP参加撤退を国に強く申し入れるべきではありませんか。知事の所見を伺います。
 TPP参加の深刻な影響は農林水産業にとどまりません。北海道のように、地域経済や農業関連産業への影響について試算し、県民に情報提供するなど、県独自のとりくみが必要です。合わせてお答え下さい。
 TPP参加を前提にした「攻めの農業」など、ほんとうに現実的でしょうか。いま優先すべきは、食料自給率50%台への引き上げに向けた本格的な農業再建です。価格保障と所得補償を充実させ、家族経営でも、大規模経営でも安心して農業に励める条件整備が重要です。なかでも新規就農者を増やすことに特別の努力が必要です。
 昨年度から始まった年間150万円を5年間支給する「青年就農給付金」は有効な制度です。必要な予算の確保と事業の継続を国に求めるとともに、親元就農の要件を緩和するなど、いっそう拡充すべきと考えますが、知事の所見を伺います。

2.新中核病院建設について

 次に新中核病院建設について伺います。まず経過と問題点についてのべます。
 平成21年9月、筑西、桜川両市長から「筑西、桜川地域における医療機能の充実・強化について」の要望書が県に提出されました。同年12月、県は急性期医療機能の整備や医師確保を軸として「茨城県地域医療再生計画書」を策定しました。筑西・下妻保健医療圏は、急性心筋梗塞に対応できる病院などがないため、心疾患、脳血管疾患の死亡率が全国でも高い地域になっています。医師不足で医療崩壊の象徴的な地域として、マスコミでも取り上げられてきました。
 因みに、人口10万人当たりの脳血管疾患の死亡率は、全国の1.4倍、心疾患の死亡率は1.2倍です。また、一般病床の自足率は、筑西市は40.9%、桜川市は51.3%と低く、特に筑西市の20〜30%は栃木県に依存しています。
 地元の消防署に長く勤務していた方は、「患者を受け入れてくれる病院がなかなか見つからない。ようやく病院がきまって搬送しても、途中で命を落とす患者を何人も見てきた。悲しいことです」と訴えています。
 近年、筑西市民病院や県西総合病院の診療機能の縮小に伴い、筑西、桜川市から軽重症を問わず、栃木県の高次医療機関に患者が集中する傾向が強まっています。
 大震災後の平成23年6月、県主催の「筑西、桜川地域における医療提供体制のあり方検討会議」が開催されました。両市が新中核病院建設のため、本格的な検討を始めること。建設場所や現病院のサテライト機能などについて協議を行うことを確認しました。
 同年7月には両市主催の「新中核病院準備委員会」を開始しました。構成員は、原中勝征、当時の日本医師会長をはじめとして真壁医師会長、県西総合病院長、筑西市民病院長、県保健福祉部次長、筑西、桜川両市議会議長、両市副市長です。
 同年9月、第5回目の準備委員会が開催され、用地選定及び公立病院のあり方の検討結果報告書が決定されました。その内容は、候補地を筑西市の竹島地区とする。筑西市民病院を無床の診療所、県西総合病院は120床程度の病院として継続する。筑西・下妻保健医療圏全体から病院の配置や役割を総合的に判断した、というものです。これを受けて筑西市議会は同年10月、病院建設の基本計画、基本構想策定の補正予算を可決しました。
 同年11月、県は新中核病院の機能強化をはかるため、第二次地域医療再生計画を策定し、新中核病院は300床に増やしました。
 桜川市議会は、同年11月から平成24年6月にかけて、この基本計画策定の補正予算を3回否決しました。その後、平成24年10月1日、当時の筑西市長は協和中央病院と市民病院で協議することを発表、地元医師会は「寝耳に水」と猛反発し、病床数など基本的な条件を話し合うべきと県保健福祉部長に提案しました。
 そして10月15日、県、市、協和中央病院、地元医師会の4者会談を開きましたが、地元医師会の話は受け入れられませんでした。その後、地元医師会は会員にアンケート調査を行い、県西総合病院と市民病院の統合再編を望む回答が最も多く、11月1日に県保健福祉部長に伝えました。市民にたいしては「市民不在の拙速な建設計画では将来に禍根を残しかねない。期限の延長を」と訴えました。
 地元医師会の基本的な考え方は、一次医療から二次、三次医療に至る切れ目のない医療体制の構築、県西総合病院はなくてはならない存在であること、新中核病院は診療科目を特化し、協和中央病院と連携を図る、ということです。このような地元医師会の意を汲まず、県は平成25年1月31日、両市長と3者会談を行い、市民病院、協和中央病院、県西総合病院の3病院による統合再編を提案しました。
 その中で県幹部は「公立2病院の枠組みに戻すことは不可能であり、残された選択肢は一つしかなく、桜川市も入って3者でやっていくべき」「場所については竹島地区にこだわらない」とのべました。県のこの提案に対して、筑西市議会は猛反発し、その予算は継続、廃案にしました。
 今年4月、筑西市長が代わり、公立2病院の再編統合で場所は竹島地区と明言しました。桜川市長は、県の提案通り、3病院の再編統合を主張、その後、両市議会はそれぞれ、新中核病院関連の補正予算1800万円を可決しています。しかし、3病院か、公立2病院かの枠組みで両市の見解が異なったまま今日に至っています。
 そこで知事にお尋ねいたします。知事は4月19日の定例記者会見の中で、「なかなか合意に至らない状態になっているので、県として強引にできない」といい、期限の問題では「国の方から平成25年度中に建物本体の実施設計が完了すれば着工と認めてもいいと聞いている。間に合うかどうか、いろいろな対応をしていかざるを得ない」と述べています。
 私としては、病院建設に取り組む知事の意欲、姿勢が感じられません。
 知事には、新中核病院建設は、筑西・下妻保健医療圏の地域医療再生を計画した原点に立って、救急医療の充実のため、強いリーダーシップを発揮して頂きたい。地元住民は「県がこの問題に責任をもって関与し、新中核病院建設の道筋をつけて欲しい」と強く願っています。知事には両市長の意見が異なっているのは承知の上で、早急に「建設推進会議」を立ち上げ、話し合いのテーブルにつかせ、両市長が意見を出し合うよう要請する必要があると考えます。是非、行動を起こして下さい。ご所見を伺います。
 また、9月6日に県は厚労省に、新中核病院整備事業を平成25年度末までに開始できない「理由書」を提出しました。知事は早急に病院建設事業の見通しをつけ、再生基金活用の期限延長を国に強く求めるべきですが、ご所見を伺います。

3.原子力政策について

(1)福島原発事故の放射能汚染水の危機打開

 次に原子力政策について伺います。福島第一原発の放射能汚染水の問題は、極めて深刻な事態です。
 事故で溶融した核燃料を冷やすために注入している水は、放射性物質を溶かしながら、原子炉建屋やタービン建屋地下にも流れ落ち、1日400トンの地下水と合流しています。放射性セシウムや塩分を取り除き、再び原子炉に注入、処理後に出る高濃度のストロンチウムを含む水をタンクに貯めています。千トンのタンクは2日半で満杯になり、2年後には70万トンにもなる計画です。
 日本共産党は、政府、科学者、産業界の英知と総力を結集して、現状の徹底的な調査と公表、抜本的対策をたてて取り組むよう、提案してきました。
 9月3日、政府も基本方針をたてましたが、地下水が海に流れ出し、タンクから高濃度の汚染水が漏れ出す事態が相次ぎ、制御できない非常事態に陥っています。10月7日の参議院経済産業委員会で、東電の広瀬社長は、「最大1日200億ベクレルの流失」と答えています。原子力規制委員長が汚染水を海に流すことを肯定し、理解を求める発言を行っていることはきわめて重大です。
 全国漁業協同組合は「漁業を生業とする者として、決して受け入れることはできない」と国に抗議し、抜本対策を要請しています。本県では、スズキなど18種の魚介類が出荷制限となっており、漁業者は「東電の対応に不信と失望感がある」「自然で豊かな常磐の海を返してほしい」と訴えております。知事は、汚染水の抜本対策をこれまで以上に国に求めるべきですが、見解を伺います。

(2)東海第二発電所再稼働準備中止、廃炉に

 最後に、東海第二発電所についてです。福島原発の汚染水の危機的状況が拡大しているとき、安倍政権は再稼働のための新規制基準を、6月19日に策定しました。前日の18日に東海第二の事業者の日本原電は、フィルター付きベントと、防潮堤設置の工事を地元自治体に事前協議もなく着工してしまいました。
 日本共産党は6月25日に、工事の中止を申し入れました。「再稼働は前提にしていない」と原電は返答したのです。ところが7月11日に浜田康男社長は「再稼働を目指していきたい」と記者会見で表明しました。当時の東海村長や、水戸、ひたちなかの市長は、「信頼関係を築けない」「安全協定拡大も、避難計画もできていない状況では、住民も行政も認めない」と批判しました。ところが、橋本知事は、事態を見守るとして抗議も申し入れもしませんでした。
 今議会でも再稼働について「国の新たな規制基準で方針を決定すべき。それを受けて審議・協議する」とのべています。再稼働を認めない県民多数の声を受け止めるべきです。新規制基準は、福島第一原発事故の原因究明がされていないのに、再稼働を急ぐための対処療法です。はじめて過酷事故対策を義務付けましたが、放射能を外部に拡大することを前提に、ベントに依存する対策は危険であり、問題です。地下水や汚染水対策もありません。
 老朽化した原発の危険性が指摘されているにもかかわらず、40年運転を、20年延長を認めるということです。使用済み燃料、高レベル廃棄物の処理方針もありません。
 県民のいのち、安全を守ることは知事の責務です。国と事業者に東海第二原発の再稼働準備中止と廃炉を求めることについて所見を伺います。
 第1回の質問は終わります。答弁によって再質問を行います。

〔鈴木聡議員にたいする橋本知事の答弁〕

●県民雇用者報酬の実態、最低賃金の引き上げについて

 鈴木聡議員のご質問にお答えいたします。
 橋本県政の政治姿勢と課題についてお尋ねいただきました。
 初めに、県民雇用者報酬の実態、最低賃金の引き上げについてでございます。
 まず、賃上げについての企業への働きかけについてでございますが、本県の平成22年の一人当たりの県民所得は、対前年比プラス5.4%の297万8千円と3年ぶりに増加し、全国5位となりますとともに、県民雇用者1人当たりの報酬につきましても、2年ぶりに増加し、対前年比で1.9%増の446万9千円となり、国の増加率0.2%を大きく上回っております。このことは、県として取り組んできた産業大県づくりの効果が現れてきたものと考えております。
 また、国内の景気につきましても、円安や株高の影響を受けて回復基調にあり、大企業を中心に景況感が大幅に改善しております。
 しかしながら本県の状況につきましては、国全体に比べると景気回復の遅れが見られ、有効求人倍率についても全国の水準より大幅に低く、地方の中小企業にとっては、アベノミクスの効果は実感できない状況にあり、本県企業の大部分を占める中小企業の経営環境はまだまだ改善しておりません。
 本来、賃上げにつきましては、企業が経営状況や社員の生活等の様々な事情を勘案して決定するものでありますが、現在、日本経済にとってデフレからの脱却ということが最大の課題であり、消費の拡大を図ることも必要でありますので、業績が改善している企業には、賃上げについて、できるだけ積極的に対応していただきたいと考えております。
 私自身、これまで様々な機会を通じて発注単価の引き上げや賃上げについてお願いしてきたところでありますが、今後は、県内の景気の回復状況や企業の経営状況を見ながら、産業界に対しは、賃上げの要請を行うことも検討してまいりたいと存じます。
 次に、最低賃金にかかわる支援策の国への要請についてでございます。
 議員からは、最低賃金を1,000円にすべきとのご提案をいただきました。その根拠についての説明はございませんでしたが、最低賃金につきましては、法に基づき、国の審議会が示す目安を参考に、地方の審議会が生活保護に関する施策との整合性や企業の経営状況等を勘案して審議・答申し、地方労働局長が決定するものであり、適正な手続きを経て決定されておりますので、県としても尊重すべきものと考えております。
 一方、中小企業に対しましては、人件費の原資への直接的な補助ではありませんが、国が、再興戦略の中で中小企業の活性化について重点的に取り組むことを表明しており、現在、検討が進んでいる経済対策の中でも、人件費を引き上げた企業への減税措置やものづくり補助金の拡充など、中小企業への支援策が盛り込まれることとなっているほか、県におきましても、成長産業への参入や新製品開発、受注の拡大などの支援に努めているところでございます。
 県といたしましては、ご提案のような賃金引き上げ原資の補助は考えておりませんが、今後とも中小企業の経営の安定のため、全力で取り組んでまいります。

●社会保障切り捨てと消費税増税中止について

 次に社会保障切り下げと消費税増税中止についてお答えいたします。
 まず、社会保障切り下げについてでございます。
 国民健康保険につきましては、高齢化の進展による医療費の増加や、年金生活者や非正規労働者など、低所得者層が多く加入することによる保険料収入の減少などにより、財政運営は非常に厳しいものとなっております。
 このため、全国の平成23年度決算では、一般会計からの法定外繰り入れが約3,500億円に上っているところでございます。
 また、小規模な保険者が多く財政が不安定になりやすいこと、保険料が市町村毎に大きく異なるなどの問題を抱えております。
 現状のままでは多くの市町村で制度を持ちこたえられなくなりますことから、国保の広域化は避けられないものと考えております。国民健康保険制度を超高齢化が進む中で持続可能なものとしていくためには、むしろ、将来的には全て医療保険制度の全国レベルでの一元化を目指す必要があると考えております。
 本年8月には、社会保障制度改革国民会議の議論を踏まえた「法制上の骨子」が閣議決定され、国民健康保険の財政支援の充実や、都道府県が国民健康保険の運営業務を担うことを基本としつつ、保険料の徴収や保健事業について、市町村が積極的な役割を果たすための必要な措置を講ずることとされたところでございます。
 保険料の高騰については、閣議決定の趣旨を踏まえ、一定の措置が講じられていくものと考えております。
 一方、全国知事会としては、この閣議決定に対し、保険者を都道府県に移すだけでは単なる赤字の付け替えに過ぎないので、後期高齢者支援金の全面総報酬導入により不要となる国費の国保への優先投入をはじめとする財政基盤の確立により、構造的問題を解決するとともに、都道府県と市町村が権限と役割を分担し市町村のインセンティブが働く制度とすべきと主張しているところであります。
 また、結論ありきで改革を進めることなく、地方と丁寧かつ継続的な議論を進め、地方の理解を得たものについて法制化等の措置を講ずべきであるとしており、私もそのとおりであると考えております。
 今後は、全国知事会や、国と地方の協議の場において、新たな国民健康保険制度における国や県、市町村の役割について議論を深めてまいります。
 次に、消費税増税中止についてでございます。
 今回の消費増税は、国会での議論を経て昨年8月に成立した社会保障と税の一体改革関連法に基づき、政府において種々の経済指標や有権者などの意見を参考として検討を行った結果、決定されたものであります、
 現在、国と地方の財政状況は、平成25年度末の国と地方の長期債務残高が対GDP比で200%に達する見込みと、先進諸国でも最悪の状態にあります。
 このような中、少子・超高齢社会の進展による社会保障関係費の増加に対応し、これまでのような将来世代への負担の先送りをやめ、社会保障全体を持続可能なものとするとともに、財政健全化を進めていくためには、税収が景気動向に左右されにくく、あらゆる世代が公平に負担する消費増税は避けて通れないものと考えております。
 全国知事会としても、社会保障の運営を担う立場から、極めて厳しい財政状況の下で、国民が安心し、希望が持てる社会保障を実現するためには安定財源の確保は避けることのできない課題であることから、消費増税の実現を求めてきたところであり、今回の安倍総理の決断は適切なものであると評価しております。
 また、今回の消費増税の決定にあたっては、消費税率の引き上げに伴う景気の下振りリスクに対応し、その後の持続的な経済成長につなげるため、5兆円規模の経済対策などが同時に示されたところであります。
 このため、まずはこの対策を早期に具体化し、着実に実施することで、景気の腰折れはもとより、地域経済や低所得者への配慮、中小企業への対応などに、国をあげて、しっかりと取り組んでもらいたいと考えております。

●学校耐震化、住宅再建の震災対策について

 次に、学校耐震化、住宅再建の震災対策についてでございます。
 はじめに、小中学校の耐震化につきましては、平成27年度までに90%とする目標を掲げておりますが、東日本大震災を踏まえ、100%を目指して努力するよう市町村に働きけているところでございます。
 市町村への財政支援でございますが、現在、国において平成27年度まで補助率の嵩上げがなされており、Is値0.3未満の建物は3分の1から3分の2に、Is値0.3以上は2分の1になっております。また、地方負担分に係る地方債についても、充当率100%、交付税算入率80%に拡充されたことなどにより、市町村の実質負担はIs値0.3未満については、6.7%、Is値0.3以上で10%となり、極めて手厚い助成となっております。
 県独自の財政支援策が必要とのご指摘ですが、国の補助制度が手薄な県立高校において耐震化されていない建物が相当数残っていることや、県と市町村の役割分担などを考えますと、県独自支援策を講ずることは、考えておりません。
 県といたしましては、市町村に対しては、現在の手厚い制度があるうちに耐震化が図られるよう働きかけてまいりますとともに、必要があれば国に対し、補助率の嵩上げ措置の拡充・延長を、引き続き要望してまいります。
 次に、住宅再建の震災対策についてでございます。
 県では、被災者生活再建支援法の対象とならない一部損壊の住宅被害に対し、独自の支援策として被災者住宅復興支援事業を実施しているところでございます。
 初年度である平成23年度は、9市町での活用に留まりましたが、昨年度は、市町村への直接訪問等により周知を図った結果、極めて住宅被害の少なかった2町を除く42市町村で運用が開始されております。
 また、市町村におきましたは当事業に対する上乗せ補助が21市町村で実施されているほか、被災住宅を対象とした修繕等への助成事業が北茨城市や高萩市など7市で実施されております。
 さらに震災対策としての耐震改修を目的とした助成が21市町で実施されているほか、太陽光発電設備の設置や、高齢者向けのバリアフリー化、定住化促進のための空き家改修などに対するリフォーム助成などが行われております。
 実施市町村は年々増加しており、現在は、ほぼ全ての市町村において、それぞれの地域の実情に合わせ、様々な住宅リフォーム助成を行っている状況でございます。
 これらの事業には、地元工務店による施工を条件とするなど地域活性化と絡めて行うものもあり、制度の趣旨からも、市町村が主体となってリフォーム助成事業を行っていくことがふさわしいと考えております。
 また、実施にあたっては、国の社会資本整備総合交付金により市町村負担の軽減が図られておりますことから、県といたしましては、引き続き、国に対し必要となる予算の確保を働きけてまいりますとともに、市町村への情報提供等を積極的に行うことで、住宅リフォーム助成事業のより一層の拡充を図ってまいります。

●少人数学級拡充について

 次に、少人数学級拡充についてでございます。
 私は、県政の最も重要な課題は、一つは人づくりであると考えており、教育の振興、特に少人数教育について、これまで力を入れてきたところであります。
 平成14年度に全国に先駆けて、茨城独自の少人数教育を小学1年生に導入して以来、順次、小学4年生まで拡大するとともに、中学1年生にも導入し、わかりやすく楽しい授業づくりや、児童生徒に寄り添ったきめ細かな指導の充実を図ってまいりました。
 この結果、本年度の「全国学力・学習状況調査」におきましては、8分野中7分野で全国の平均正答率以上の成績を収めるとともに、生徒指導の面においても、近年、不登校児童生徒数が減少傾向にあり、学校現場からも、少人数教育の成果が上がっているという声が多く聞こえているところでございます。
 議員ご指摘の全ての学級を対象とした少人数学級の拡充についてでございますが、本県の少人数教育は、児童生徒数が36人以上の学級が3学級以上の場合に学級編制の弾力化を実施しております。これを仮に、2学級以下まで実施いたしますと、1学級の児童生徒数が18人と極めて少なくなる可能性があり、基準とした35人と比べ著しくバランスが欠くこととなります。
 小学3年生以上においては、社会性を育んだり、互いに切磋琢磨したりする場として、学級は一定の規模が必要であると考え、2学級以下の場合には学級編制の弾力化は行わず、それぞれの学級に非常勤講師を配置して、2人の教員によりきめ細かな指導を行っているところでございます。
 また、全学年への拡充についてでございますが、中学校における学習の基礎となる小学校での学力の定着を十分に図るほか、不登校や暴力行為などの増加率が小学6年生から中学1年生にかけて最も高くなることから、まず、小学全学年で行うことを優先に考えることとしております。
 県といたしましては、現行の制度により、小学5、6年生へ少人数教育を拡充する方向で検討してまいります。

●TPP交渉参加撤退、農業再生策について

 次に、TPP交渉参加撤退、農業再生策についてでございます。
 まず、TPP協定による地域経済や農業関連産業への影響試算についてでございます。
 国においては、本年3月にTPP協定交渉への参加を表明するとともに、関税撤退した場合の経済効果について、経済全体では実質GDPが3兆2,000億円増加する一方、TPP協定交渉参加国を対象に関税を即時撤廃し、国が何ら対策を行わない場合は、農林水産物では生産額を3兆円減少するとした統一試算を公表しました。
 県におきましても、国に準じて農林水産物への影響試算を行い、生産額が1,174億円減少すると公表したところであります。
 ご指摘のとおり、TPP協定は、地域経済や農業関連産業にも影響を及ぼすものと考えられます。国においては、各国の経済連携の効果を試算する世界標準の分析ツール「GTAPモデル」を使用してこの経済効果を試算しており、このモデルは国レベルでの分析しかできないことから、同様の手法により地域経済や農業関連産業への影響を分析することは残念ながらできない状況にございます。
 TPP交渉から撤退してはというご意見をいただきましたけれども、今後とも、十分な情報公開のもとに、国民の理解を得て、そして、また、農業5品目についての約束が実行できるのかどうか、そういったことを十分に考えながらTPP交渉を進めていくべきではないかと考えております。
 次に、議員ご指摘の農業再生のための就農支援策の充実についてでございます。
 本県の新規就農者は、ここ数年は200名程度で推移しております。
 本県農業の活力を維持・発展させていくためには、さらなる担い手の確保が重要でありますので、県では積極的に就農支援策の充実を図っているところであります。
 具体的には、茨城県農林振興公社の「新規就農相談センター」に就農相談員を配置し、就農に必要な様々な相談にワンストップで対応しております。また、農業大学校において、新規参入者やUターン就農者が農業の基礎的技術を短期間に学べる「いばらき営農塾」を開催しておりますほか、新規就農者をJAや農業法人等が受け入れ、農地や機械、施設をリースし、併せて営農指導等を一体的に行い、経営者として自立させる「いばらき実践農場」の整備を支援しております。議員からは、青年就農交付金について、親元就農も対象にしたらというご提案がございました。これにつきましては、私も全く同感でございまして、国の概算要求がそうなっておりますから、それがぜがひでも来年度予算の中で実現していくように、また働きかけをしてまいりたいと存じます。

●新中核病院建設について

 次に、新中核病院建設の見通しについてでございます。
 筑西市と桜川市の間で公立2病院の再編統合の合意形成が図られない状況が続いていた中、平成24年10月には、筑西市から先行して筑西市民病院と民間病院との再編統合の協議を開始したい旨の意思が示され、県に対する協力依頼の要望書が提出されました。この中では、筑西市としても、地域医療再生のため、桜川市の参加を期待するとのことでありました。
 このようなことから、県としましては、地域全体の医療体制の整備が重要であると考え、県西総合病院も含めた3病院による再編統合に向けた体制づくりを進めるよう両市に提案したところであります。
 しかしながら、両市においては、再編統合の枠組みや新病院の建設場所等につきまして、依然として意見が分かれている状況であります。
 新中核病院の問題は、両市の意見がまとまらなければ、事態は全く前に進まないものでありますことから、私自身も、さまざまな機会に、両市長、議長を初めとする議員の皆さんなどとお会いし、お互いに誠意をもって協議を進めるよう助言を行ってきたところであります。
 しかし、両市の皆様は、私の思いに理解を示してくれるものの、中々協議が進展しない状況が続いております。私の前では、市長さん、議長さん方、納得したような顔で帰られるのですけれども、後でまた個別に会いますと、全く違った意見をおっしゃるといったこともございまして、進展していないということについては大変残念に思っておるところでございます。
 ただ、議員からもお話がありましたけれども、現在の状況がいかに深刻なものかということを関係者が十分に理解していくことが必要なのだろうと思っております。何とかなるだろうということではもう済まない段階に来ておりますので、その状況を踏まえた上で、地元において真剣に協議を行う。そして合意を見出していくということが必要でありますので、ぜひとも、議員におかれましても、地元でそういった方面に向けての活動というものをお願い申し上げたいと存じます。
 県としても、両市の意向を踏まえながら、事態の打開に向けて最大限の努力をしてまいりたいと存じます。
 ただ、幾ら強く言っても、馬は川までは連れて行けるけれども、水を飲ませることはできないということがありますけれども、本当に納得してもらわないとこの事業は進みませんものですから、そういった点では、お互いが腹を割った話し合いをしていくことが大変重要なのではなかろうかと思っております。
 また、お互いの合意形成が図られ、新中核病院整備の具体的な方向性がまとまった場合には、今お話しがありました地域医療再生計画の期間延長につきましては、国に対して強く働きかけてまいりたいと思います。

●福島原発事故の放射能汚染水の危機打開について

 次に、原子力政策についてお尋ねをいただきました。
 まず、福島原発事故の放射能汚染水の危機打開についてでございます。
 福島第一原子力発電所の汚染水問題につきましては、汚染水の発生量の抑制及び海岸への流出防止対策が急務となっておりますが、未だ抜本的な対策が講じられておりません。
 さらに、相次ぐ汚染水処理設備のトラブルや、貯蔵タンクからの汚染水の漏えいなど、東京電力における汚染水問題への対応のあり方も厳しく問われているところであります。
 こうした状況が続きますと、先般、韓国政府が本県を含む8県の水産物の輸入を禁止したような影響が、他にも広がる恐れがあり、原発事故の風評被害払拭に取り組んできた関係者によるこれまでの懸命な努力を無にしかねないわけであります。
 汚染水問題については、東京電力任せにするのではなく、国の前面に立って、抜本的対策を早急に講じていくことが重要であります。
 このため、県といたしましては、これまでも、中央要望や全国知事会、関東地方知事会などを通じて、国に対して、汚染水問題の早期解決を繰り返し要望してまいりました。
 また、先月、私も直接、根本復興大臣や林農林水産大臣などにお会いし、汚染水問題の抜本的対策や風評被害の防止などを要望してきたところでございます。
 こうした中、国では、原子力災害対策本部が、汚染水問題への対応に関する基本方針を策定し、「廃炉・汚染水対策関係等閣僚会議」を設置するとともに、対策事業に予備費の活用を含め470億円の国費投入を決定するなど、ようやく本格的に取り組み始めたところでございます。
 県といたしましては、今後とも、国の取り組みや福島第一原子力発電所の状況を十分に注視してまいりますとともに、汚染水の海洋放出が絶対に生じないよう、国に対し、強く求めてまいります。

●東海第二発電所再稼働準備中止・廃炉について

 次に、「東海第二発電所再稼働準備中止、廃炉に」ということでございます。
 東海第二発電所ではこれまで、非常用電源設備の追加配備や原子炉冷却機能の多重化などを実施してきたほか、格納容器ベント設備へのフィルター設置工事や防潮堤の設置工事などに着手しているところでございます。
 これらはいずれも安全性向上の観点から事業者が実施しているものであり、東海第二発電所には、依然として使用済み燃料が保管されていることなどを踏まえますと、工事を進めること自体に、県として敢えて異を唱える必要はないものと考えております。
 しかしながら、東海第二発電所に対する地域住民の関心が高まっている中、地元への十分な説明を行った後、工事に着手すべきではなかったかと考えております。
 また、原子力安全協定第5条に基づく手続きは、原子炉等規制法等に基づく原子力施設を対象としておりますが、7月8日の新規制基準の施行前におきましては、これらの工事は原子炉等規制法に基づく事前の許認可等手続きを要しない事業者の自主的取り組みであったことから、原子力安全協定上も事前了解を要しないものであったことを、ご理解を頂きたいと存じます。
 なお、日本原子力発電からは、「これらの工事は、安全性向上の観点から実施しているものであり、再稼働に直結するものではない」との説明を受けており、県といたしましても、再稼働の判断は、こうした工事が完成しているかどうかとは関係なく行っていくべきものと考えております。
 また、新規制基準につきましては、従来の基準に比べ大幅な規制強化が図られたものと認識しておりますが、さらに、原子力規制委員会では、現在、「福島第一原子力発電所における事故の分析に係る検討会」において、議論が進められているところでありますので、県といたしましては、そこで得られた新たな知見等については、その都度、基準に適切に反映するよう、全国知事会等を通じて国に要望しているところでございます。
 いずれにいたしましても、東海第二発電所の再稼働につきましては、従来から申し上げておりますとおり、国の原子力発電に係る方針や新規制基準への適合性に係る審査の状況、あるいは東海第二発電所の再稼働に係る国の判断などを踏まえ、県原子力安全対策委員会における検証、県原子力審議会における審議、さらには、県議会や地元自治体との十分な協議をさせていただいた上で、方針を決定してまいりたいと考えております。

〔鈴木議員の再質問〕

 知事に新中核病院の問題で再質問を行います。
 まず、第1点として、期限延長について、知事は、国に強く延長をお願いするという答弁であります。実際に9月6日に、なぜ平成25年度末に開始できないのかという理由書を厚労省に提出していると思います。以来1ヵ月たちますけれども、厚労省としてはどういう態度を示しているのかということを、もしわかればお聞きしたいです。
 知事が、こういう新中核病院問題について、国に対してはっきり現状を憂い、そして、どういうふうな形で努力しているかということが期限延長の一つの大きなかなめだと厚労省の専門官も言っております。むげに期限が来たからだめとかということではなくて、新中核病院建設のためにどれだけ前向きにやっているかということがはっきりわかれば、厚労省としてはそれをやめろとまでは言えないだろうと。ですから、そういう形が必要なのだと。今こうしてやっているのだということの形がはっきりわかればその可能性は大きいというふうに私たちは厚労省へ行って聞いたことがあります。
 ですから、私が、先ほど、第1回目の質問の中で、両市長が3病院か公立2病院かということでそれぞれ異なった意見を主張し合っております。そういう異なった意見を持ちつつ、とにかく新中核病院をつくるのだという意思のもとに建設推進会議を立ち上げ、その中でテーブルに着いて、お互いに異なった意見をぶつけ合うというか、表現上はいろいろありますが、そういう意見を述べながら最終決断を図っていくという方向性を知事にぜひ骨折っていただきたい。つまり、両市長が話し合いのテーブルに着く仲介をとってもらえないか。知事に努力してほしいということです。
 それから、地元医師会、いろいろ問題を述べておりますけれども、新中核病院ができないと、もう既にだめな場合は、機能分担、市民病院と県西総合病院がそれぞれ別個にやるという話まで浮上しています。ですから、私は、なるべく早く知事に骨折っていただいて、そして、新中核病院ができるように頑張っていただきたいというのが再度の強いお願いです。
 次に、原子力の問題ですが、日本原電の問題ですけれども、知事は、国の方針とか、そういうことを言って、いろいろ総合的に考えて、東海第二発電所の問題についてはよく考えていくということですが、私たちにとっては曖昧に感じるのです。ですから、知事としてのはっきりした答弁をお願いしたい。以上です。

〔鈴木議員の再質問にたいする橋本知事の答弁〕

 鈴木聡議員の再質問にお答えいたします。
 まず、新中核病院に関連してでございますけれども、理由書を提出した後の厚労省の見解というものは、私のほうではまだ聞いておりません。
 しかしながら、いずれにしても、全く見通しが立たないままに無期限に待つということはあり得ないと思います。それは会計年度の問題もございまして、できるだけ早く、具体的な形でこうなっているからということを言わない限り、延長はそう簡単にはできないのではないかなと思っております。熱意だけ示しても、全く見通しがないということでは無理ではないかということでございます。
 それから、意見をぶつけ合うというお話がございましたけれども、私自身もそういう形で本音で話し合ってほしいということを、この間も、市長だけではなかなからちが明きませんものですから、議長も一緒にしながらお話をしたところであります。もともと、最初の案が、議会のほうでなかなか了承を得られなかったということもありますものですから、市長、あるいは議員の皆さん方が一緒になって本音の議論をして、その中で方向を見出していくということが必要なのではなかろうかなと思っております。
 また、仲介ということでありますけれども、仲介は、それは幾らでもとれないことはございません。ただ、今、個別にいろいろな話を聞いていますと、仲介してまとまるような状況ではございません。もうちょっと地元でこなすということが必要なのではなかろうかなと思っております。
 いずれにしましても、新中核病院の問題、県としても大変大きな課題でございます。あの地域の医療をどうするかという点から大変大きな課題でございますので、今の議員のご指摘なども踏まえて、やれることは何でもやっていきたちという気持ちでございます。
 それから、先ほど、地元医師会のお話もございましたが、私も地元医師会の方々とお会いしています。意見の交換もしております。そして、別個にやるということについていろいろなご意見があると思いますけれども、もし仮に両方同じような形でやっていったとしてどうなるかということになりますと、両方とも医師の確保が極めて困難であると思います。医師の確保をしなくてはいけない。そのためのどういうふうな仕掛けをすればいいかということで、新中核病院300床というアイデアが出てきたところでございますので、そういったこれまでの経緯というものは十分に振り返ってみながら議論が進めていくことが必要なのではなかろうかなと思っております。
 それから、もう一つ、原電のお話がございました。
 原電の再稼働についてでございますが、これにつきましては、先般のNHKの放送などを見ておりましても、県全体では、再稼働について、反対が7割、しかし、地元の東海村では5割以上が賛成というような状況もございます。
 私自身としては、私のこのつたない知識の中で、あるいはまた、頭の中で独断で判断していくというのではなくて、やはり皆さんの声を聞きながらやっていくことが必要だろうと思っております。そのためにも、国がまず専門家が集まり、政府としてどうしていきたいというのか、エネルギー政策の中で本当に原子力発電所というものをどのぐらい必要としているのか、東海第二原子力発電所がその中で必要な原子力発電所に該当するのかどうか。あるいはまた、いつも申し上げておりますけれども、UPZ圏内に98万人が住んでいる。これだけ住んでいて、果たして避難計画が具体的な形でできるのかどうか。あるいは、11月に35年を迎えますので、35年を過ぎて、これからいろいろな手続きをとっていって、残り有効に使える期間というのは、40年でやめるとなるとさっぱり残っていない。そういう状況を踏まえて、本当に会社経営上もやっていくという方向が出せるのかどうか、そういうもろもろの課題があると思います。
 そういった中で、私どもは、国のほうでの見解というものをちゃんと示してくれることを待っているわけでございまして、その上で皆さん方のご意見というものも聞きながら決めていきたいといのが私の立場でございます。

〔鈴木議員の再々質問〕

 それでは、再々質問というより、お願いに変えます。
 知事にお願いしたいのは、先ほども知事が答弁していましたように、新中核病院建設が仮にだめになった場合は、知事も言っておられるように、それぞれの病院が機能分担では医師確保がとても難しいと。地元医師会もそう言っております。そうすると、機能分担のやり方では医師確保が難しいことと、それから、これをやっても今の現状では余り変わらない。つまり、地域医療再生臨時特例交付金25億円が13億円に減ってしまうのですけれども、そういうお金を使っても今の現状と余り変わらないのでは、何としても新中核病院建設のために知事に最大限お骨折りいただきたいというのが私たちの市民の願いなのです。
 ですから、知事も、今の現状ではちょっと話し合いが難しいということもありますけれども、国の期間延長に努力していただいて、そして、両市の市長さんの仲裁に入ってもらいたい。今、そういう努力もやぶさかでないということに私は記憶しておるのですかれども、そういう点、ぜひともお願いしたいと思います。
 それから、先ほどの東海第二発電所の問題では、知事は、つたない意識がどうのこうのとかお話をしていますが、もう知事は6期もやっていますから、こういう問題についてはエキスパートだと思うのです。ですから、もっと知事なりに、住民の安全・安心ということを絶えず言っているわけですから、ぜひその問題についてもよろしくお願いいたします。以上です。


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