2002年7月 第187号 2002年6月議会報告特集


戦時体制をつくる有事法制阻止へ
地方議会から続ぞく意見書
戦争法案に反対です

 有事法案が、延長国会で成立か廃案かの重大局面を迎えています。
 国会審議で明らかになったことは、法案が米国の海外での戦争に自衛隊が「武力の行使」をもって参戦できる仕組みをつくろうとしていることや、そのために国民の自由や人権を制限し、地方自治体をまきこみ強制動員する戦時体制をつくるという危険な内容になっていることです。

 いま地方自治体からは、有事法案について「慎重審議」「反対」を求める声があがり、三五七の県市区町村議会で意見書が可決されています。  星野市長は、党議員の質問に答えて、有事法制について「武力攻撃の恐れのある事態とか、予測される事態とかは確かにわからない。また、関係法制は二年の間(に作る)というが一緒に論議され、(問題点が)深められるべきだ」との認識を示しています。

 六月六日に開催された全国市長会は、市民生活に重大な影響を及ぼしかねないと「自治体への説明責任」「国会の慎重かつ十分な審議」を国会と政府に求めています。  党市議団は有事法案の廃案をめざして全力で取りくんでいます。

キャンプ座間のダイオキシン問題
公表を求める意見書が全会一致で採択
 去る五月十日、新聞報道でキャンプ座間の焼却炉から排出されたダイオキシンの数値が、日本の規制値をはるかに上回る九五ng〜三三〇ngとなっていたことが明らかにされました。キャンプ座間内には、一九八三年に日本政府が設立した一般ごみ焼却炉二基があり、一日当たり各十トンの焼却量が処理可能で、ダイオキシンはここから発生したものです。在日米軍は、「この焼却炉は今年十二月一日に施行される。より厳しい排出基準を満たすため、現在、改良工事中である」としています。

 座間市は、平成十年に環境庁が実施したダイオキシン全国調査で土壌でワースト5、大気で同10の高い数値が明らかになりました。市はこの数値は一時的なものとしていますが、中沢議員は一般質問でその因果関係を含め全容解明を市長に求めました。

 議会もこの問題を重視し、最終日に「ダイオキシン問題の公表を求める」意見書を全会一致で採択しました。



住基ネットの実施延期せよ
プライバシー侵害の恐れあり
 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)は八月五日から実施することが法律で決められています。しかし、個人情報が満載された住基ネットの実施は「国による情報管理が強まる」だけでなく「プライバシーが侵害される恐れがある」などとして延期を求める世論が高まっています。

 住基ネットは、全国民に配布する11ケタの住民票コード、氏名、住所などの情報をコンピューターネットワークで市区町村から他の自治体や国の行政機関に提供するシステム。対象となるのは、児童扶養手当の給付など九三事務だが、政府はパスポート発給など一七一事務を加える法案を国会に提出済み。

 神奈川新聞によれば、国民の中で住基ネットの内容を知らない人が約半数、実施日を知らない人が83%となっています。党市議団は、防衛庁で情報公開を求めた人全員の身元を調べてリストにしていた問題で明らかなように、現状ではプライバシーが守れないので実施を延期するよう、実施者である市長に議会質問で求め、他会派と共に意見書を国に提出するよう取り組みました。



傍聴の目
 教育福祉常任委員会において継続審議になっていた「高齢者医療費助成制度」の陳情が六月十三日に審議されるというので知人を誘って傍聴に参加しました◆しかし、予算がすでに決まっているからという理由で、十分な審議がされないまま採決が行なわれ、共産党の柏木議員だけが賛成他の五人の議員は反対し、陳情は否決されました◆二、七一一人の署名にこめられた市民の声や願いを、いとも簡単に否定する各党派の議員には本当に腹立たしい思いがしました◆小人数学級の陳情の審議では教育長が「私の教育体験では、学級か三十五人以下だと活気がなくなり、さみしくなる。県の方にも三十五人学級を要望している」という意味の発言をしました◆多くの市民や教師の願いである「三十人学級」を否定する人物が教育長の要職にあるのは情けない。さらに腹が立ちました。多くの市民が市議会を傍聴して、審議の実態を知ることが必要だと痛感しました。(立野台 M・I)



市民の要望を市政に反映
 6月議会での共産党議員の質問や討論

6月議会の概要
 座間市6月定例議会は、6月6日から6月21日までの会期で開かれました。議案は一般会計補正予算案など18件、報告6件、請願・陳情等です。党市議団は議案に対する総括質疑、土地・開発公社、スポーツ・文化振興財団の経営状況報告に対する質疑を中沢議員が行い、市政全般に対する一般質問には柏木、中沢議員が立ちました。
 議案や陳情に対する討論は菊川議員が行いました。

肢体不自由学級を 柏木 育子議員
 座間市障害福祉計画によれば、小・中学校への特殊学級の設置、学校施設の整備充実、障害児介助員事業の推進が掲げられている。しかし座間市に肢体不自由児のための学級は設置されていない。エレベーターも設置されていない上、障害児用トイレもほとんどないことを指摘しました。
 障害福祉計画にあるノーマライゼーションの理念を生かし、普通学級でも、特殊学級でも、養護学校でも子どもが選択できるようにと、将来を見据えた考え方を質しました。教育長は「座間養護学校への就学が適正であると考えている。また介助員の遠足付き添いについては、時間との調整を図りながら検討していく」と答弁。
 そのほか支援費制度や、駅周辺のバリアフリー化、十八歳未満の障害児の入浴サービスなどについても質問しました。

市長の見解を問う 中沢 邦雄議員
 1、市長の政治姿勢。有事法制、個人情報保護法案、住基ネットの実施延長についての市長の見解を求めた。
 2、基地対策。(1)キャンプ座間のダイオキシン問題、(2)水道施設の返還問題、(3)基礎交付金増額問題、(4)デモンストレーション飛行中止問題、?空母の横須賀母港返上を。
 3、福祉行政。(1)保育行政、(2)年金相談窓口、(3)介護保険の見直し計画。
 4、環境行政。(1)地球温暖化防止、(2)ごみ減量化と収集日の見直し、(3)目久尻川の環境浄化を。
 5、教育行政。(1)学校五日制と、ゆとり教育、(2)学校図書充実とオンラインネットワーク化を。
 6、農業整備計画。農業従事者の意見重視の見直し計画とその日程を。

住民訴訟制度を骨抜きにする地方自治法関連条例改正に反対
  
――菊川ユリ子議員の討論要旨
 共産党市議団は、六月議会に上程された議案のうち、四十三号水道事業の条例改正に反対しました。
 水道事業の条例改正は、直接的には職員の賠償責任についての改正ですが、地方自治法の代位訴訟の規定が改正されたことにより、住民訴訟制度が骨ぬきになるという内容です。
 この改正によって地方自治体の行財政運営に違法行為があっても、住民は裁判に訴えにくくなり、結果として住民自治の後退につながる今回の改正に反対しました。
 なお、一般会計補正予算では、公共下水道工事の契約にかかわる市側のミスに対し、業者より裁判に訴えられたものですが、今後の予算の厳格な執行を求めて賛成しました。

地方交付税の大幅削減などに反対
  
公明除く全会派が賛成
  共産党提案の意見書採択
 六月市議会で日本共産党が提出した議員提案四件のうち三件が採択されました。
 「米国の未臨界核実験に抗議する決議」は全会一致で、「地方交付税の大幅削減などに反対する意見書」は公明党が反対しましたが、全会派の賛成で、消費税を引上げるなどの「政府税制調査会の基本方針に反対し、撤回を求める意見書は可否同数となり議長の賛成で採択されました。
 又、コープかながわから出された「食品の安全を確保するための食品衛生法の改正と充実強化を求める陳情」をうけて出された意見書は、全会一致で採択され国に送付されました。

医療改悪反対の陳情が相次ぐ
  
共産党は陳情すべてに賛成
 自民・公明・保守の与党三党は医療改悪法案を衆議院で採決を強行し参議院に舞台を移しました。世論に背を向けて強引に押し通すやり方とともに、その内容も国民に一兆五千億円もの負担増をかぶせるというひどいものです。
 座間市機会にも医療改悪に反対する内容の陳情書が三本あり、そのうち座間綾瀬医師会からと、連合から出された二本の陳情を採択しました。当然共産党は医療改悪に反対の立場から三本すべてに賛成、市民の党も三本とも賛成。公明はその三本に対し賛成、退場、反対と態度が変わり、他会派は二本に賛成一本に反対と言う矛盾した対応でした。
 これは内容にではなく、提出者で判断したことになり、真に市民の立場に立っているとは考えられません。

 介護保険  実効ある減免制度に!
 日本共産党は、介護保険がスタートする時から「保険あって介護なし」とならないように基盤整備を急ぐこと。また、保険料や利用料を減免して低所得者対策をとるよう要求してきました。
 市が十三年十月から保険料の減免を実施しました。その内容は、第一・第二段階の人で三九八人分、三七八万円余。ところがこの実績はほんの一握りの四十五人しか適用になっていません。
 十四年度予算では、一四六人分、一九三万円余としていましたが、これは、十三年度予算と比べると、人数は37%、金額は51%に減額しています。
 共産党は、減免の適用要件がきびしすぎるので緩和すべきだと指摘していますが、引き続き実効ある減免制度にするよう求めていきます。

■座間市は「認定証明書」を発行せず

 なお、要介護認定者も所得税・住民税の障害者控除を受けられるのに、座間市では「認定証明書の発行はできない」と言っています。
 証明書を市が発行するよう更に求めてがんばります。