2011年7・8月 第221号 第2回定例会報告特集


市民の立場ですじをとおし、
命と暮らしを守る党市議団

原発からの撤退・エネルギー政策の転換を

 3月11日に発生した東日本大震災によって、福島第一原子力発電所が重大な事故を起こしてから4ヶ月になりますが、事態はいまだ収束の見通しが立っていません。

 放射性物質の拡散が続き、原子力発電所の周辺で生活する10万人以上の住民が避難を余儀なくされ、農水産物の生産や出荷など地域経済に重大な被害を与えています。
 原子力発電は、本質的に未完成で危険な技術です。原子炉の構造から、放射性物質という死の灰をかかえ、どんな事態が起きてもそれを閉じ込めておく完全な技術は存在しません。さらに、原子力発電所を稼動したら必ず大量に出てくる使用済み核燃料の後始末ができません。使用済み核燃料は、何万年も放射能を出す危険なもので、福島の実例ではっきりしたように、一つひとつが核事故の発火点になりえます。
 日本共産党は、国民の命と暮らしを守り、エネルギー政策の転換に向けて、政府が原子力発電からの撤退を決断、自然エネルギーの開発と普及、低エネルギー社会への移行するよう求めています。
 以上の内容を意見書として提出しました。しかし、可否同数のため議長裁決で否決されました。

―自然エネルギーへの転換へ―

太陽光発電の拡充を

 市は6月議会で、住宅用太陽光発電導入推進事業補助金の予算を補正増し、当初予定の70件を倍増しました。住宅用3・3KW太陽光パネル設置費用は現状では約2百万円かかる。これに対して補助金は、国が15万6千円、県と市が各々5万2千円で合計26万円程度です。
 余剰電力は1KW時42円の価格で10年間買い取ることになっているが、10年後でも元が取れないで55万円の赤字が残る。党市議団はこれまでも太陽光発電の拡充を求めてきました。脱原発・自然エネルギーへの転換が求められている今こそ、取り組みを一層強めるべきだと提言。特に、補助金の拡充と合わせて、避難所となる学校をはじめ公共施設への設置を求めました。

政党助成金を廃止し、その財源を被災者救援に

 党市議団が提出した、政党助成金制度を廃止し、その財源を東日本大震災被災者救援に充てることを求める意見書は、賛成少数で否決されました。政党助成金は年間320億円、国民一人当たり250円の税金が原資として使われ、日本共産党を除く各政党に配分されている。支持政党にかかわりなく国民の税金を各政党に配分する政党助成金は憲法が保障する思想・信条の自由に違反する制度です。
 東日本大震災の復興財源が問われるなか、今回の大震災で被災した人たちが納めた税金も使われるのです。
 大震災で多くの国民が塗炭の苦しみを味わっている困難の時である。政党助成金を廃止し、その財源を東日本大震災被災者救援に充てるよう強く求める内容の意見書です。

子ども・子育て新システム」に関する意見書

 党議員団の提出した子ども・子育て新システムに関する意見書は、賛成少数で否決されました。現行保育制度は、国と自治体の公的責任ですべての子どもの『保育を受ける権利』を保障してきた。国が現在検討している制度改革では、国の責任を市町村に委ねるだけでなく、児童福祉法第二十四条に基づく市町村の保育実施責任を大幅に後退させるものであると指摘しています。その上で、子育て困難が広がる中、急激な少子化の進行にもかかわらず保育所の待機児童が増加している今こそ、国と自治体の責任で保育・子育て支援を拡充させ、財源を確保し、すべてのこどもに質の高い保育を保障するための保育制度の拡充をと国に求めています。




日本共産党市議団

中澤 邦雄

中沢邦雄(団長)

保健福祉常任委員
議会運営委員
農業委員
都市計画審議会副会長
柏木 育子

柏木いく子

教育市民常任委員長
高座清掃施設組合議員
国保運営協議会議員
菊川 ユリ子

もりや浩一

教育市民常任委員長
高座清掃施設組合議員
国保運営協議会議員



第2回定例会概要

 第2回(6月)定例市議会は、6月2日から6月27日まで開かれました。議案は専決処分5件、一般会計補正予算(第一号)、(第二号)、水道事業補正予算、条例改正2件、財産の取得、道路認定3件、道路の路線の変更1件、和解及び損害賠償の額を定めること1件、開発公社や財団の報告10件、固定資産評価審査委員の選任2件、人権擁護委員の推薦2件、陳情3件を審議しました。党市議団は専決処分に対する質疑は柏木議員、議案に対する総括質疑と討論は守谷議員、報告に対する質疑は中沢議員が各々行いました。一般質問には3人全員が行い、意見書3本を提出し、市民の立場で奮闘しました。




質疑と討論の要旨

「市独自の放射線測定」
「非核三原則の法制化」など

 提案された諸議案の総括質疑に守谷議員が立ちました。
 市内の上水、原水についての放射性物質の検査と合わせて、市独自の放射線の測定を求めました。当初、市長は「放射能測定器を保有していない」と答弁しましたが、国から貸与された測定器を保有していて、市独自の放射線測定が始まりました。
 また、討論では、諸議案に賛成の立場を明らかにし、防災無線の難聴地域解消などを指摘。「非核三原則の法制化を求める陳情」には賛成の立場で討論しました。非核三原則のうち、核兵器を持たず、つくらずについては、核不拡散条約を日本も批准して国際法上の義務となっています。残る「持ち込ませず」ですが、日米の核密約がかかわってくると考え、昨年3月議会で核密約廃棄を求める意見書を全会一致で可決したことなどにふれました。さらに、原水爆禁止協議会を結成し、半世紀以上にわたって核兵器廃絶の実現に向けて運動を展開している座間市でこそ本陳情を採択すべきと述べました。




一般質問

「高座海軍工廠」の歴史を後世に

中沢邦雄議員

一、シルバー人材センターとリサイクルセンターの事務所移転・配置替えによる改善対策について―シルバー人材センターは小松原の大和市境で交通が不便なので市の中心部に移転させ、その跡にリサイクルセンターを移せば、リサイクルセンターが抱えている職場環境・駐車場問題等が解決できると質問し提言。
二、東原・さがみ野・ひばりが丘地域の戦後の出発点となった「高座海軍工廠」の歴史を後世に伝える意義について―戦闘機「雷電」を生産するために高座海軍工廠が東部地域に昭和19年に建設された。工場や地下壕の建設に朝鮮の人々が動員され、雷電の組立てには台湾出身の13才〜18才の少年8419人が工員として働いた。この歴史的事実を後世に残すよう提言。



一般質問

太陽光・バイオ燃料の活用を

もりや浩一議員

 国や県が掲げる太陽光パネル設置の目標が、座間市では1万〜2万世帯にあたることを示して、太陽光パネル助成額の拡充を求めました。また、ひまわりや菜種の油を使ったバイオディーゼル燃料(BDF)が注目されています。品質のよいBDFが生成できることを示し、公用車の燃料にするよう求めました。環境経済部長から「太陽光パネル設置助成は県の動向をもとに対応したい。回収する廃食用油は、有価物として売却する」との答弁がありました。
 また、地域防災計画の見直し、防災備蓄倉庫の点検、耐震補強工事の助成拡充、市教育委員会の災害時の対応、中学校給食実施、太陽光発電の推進施策、原子力空母の危険性と安全対策などを質問しました。



一般質問

待機児解消は公立保育園の改修で!

柏木育子議員

 座間市の第四次総合計画基本構想にはなかった保育園の民間委託。戦略プロジェクトでいきなり、民間委託のスケジュールが掲載されました。今年度はその対象となる保育園を選定するとのこと、その基準について質問したところ、これから基準を決めるとのことでした。今年4月、保育園の待機児は0才児と1歳児だけでも89人にもなります。座間市の総合計画では、待機児目標を、平成32年には0としていますが、待機児解消は喫緊の問題です。今年度ひばりが丘保育園と相模が丘西保育園の耐震化工事の設計が行われます。民間委託ではなく、耐震工事の際、保育室の増築などで待機児解消を行うよう求めました。このほか平和行政などについて取り上げました。


表 議案及び意見書・陳情の表決結果