MASAKI TANAKA 田中まさき
くらし・福祉を市政の主役に 日本共産党 水戸市議会議員 田中まさき
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市議会会議録
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2009年3月議会一般質問 2009.3.13

日本共産党の田中真己です。通告に従い一般質問を行います。
@介護保険制度について 
(1)第4期計画の実施と介護サービスの充実について
はじめに介護保険制度についてです。06年度から08年度の第3期が終了し、新年度から第4期がスタートします。第3期の介護サービスの実績は、ホームヘルパーや訪問看護、訪問入浴などが計画の7〜8割にとどまり、3年間で10億6850万円も計画を下回りました。原因は介護度の軽い方のサービスを抑制する06年度の制度改悪で、要介護1から要支援に切り替えてサービスを減らしたことなどによるものです。第四期は介護サービス利用を制限せず、必要な介護を十分に受けられるよう充実を求めますが計画を伺います。
(2)新介護認定システムの問題点について 
4月から新介護認定システムがはじまりますが、これまで以上に軽度に判定されると指摘されています。例えば、高カロリーの点滴のみの場合、現行なら「全介助」ですが、食事をしていないため「自立・介助なし」とする。座っていられる時間を10分程度から1分程度可能ならよしとする、などです。調査する項目が減って、コンピュータによる一次判定が軽度に判定されること、介護認定審査会に出される資料が減り裁量が縮小されます。厚生労働省のモデル事業でも2割が軽度判定となり、一次判定から二次判定への変更率はこれまでの28.9%から18.3%に低下しています。全日本民主医療機関連合会の全国調査で、新システムをあてはめた例でも、73歳車いすの男性が、現在の要介護1から要支援2となり、ヘルパー利用が週9回から週3回に減らさざるを得ず、生活が成り立たなくなると懸念されています。そこで、重度でも軽度に判定される問題など実施凍結を求める声もある新認定システムの問題点について見解を伺います。また、新システムの研修は2時間程度の自治体も多いと聞きますが、どのように対応するのか答弁願います。
(3)介護報酬改定について 介護報酬の再度の引き上げ・見直しについて
次に介護報酬改定について、介護現場の深刻な労働実態を反映して、来年度から介護報酬が3%プラス改定されますが、過去2回合計4.7%(03年2.3%、06年2.4%)のマイナス改定があり「せめて5%程度の再度の引き上げが必要」と現場から声が出され、3月11日の茨城新聞1面でも「介護報酬を改定しても職員の待遇は改善できない」という市内特養ホーム施設長の声が報道されていました。
今回の改定は、基本報酬は据え置いたまま、加算の新設が中心です。加算対象は事業所の有資格者、一定の勤続年数の職員、常勤職員の配置状況によるため、人員を確保できなければ加算できません。大規模事業所でも待遇改善に生かせないわけですから、市内に多い小規模事業所はなおさら加算のメリットがなく、逆に経営困難に陥る懸念すらあります。影響はどのようになるのか市の見解を伺います。
利用料負担軽減の拡充について
同時に、介護報酬の引き上げが利用の抑制につながらないよう利用料の負担軽減の拡充を求めます。介護報酬はプラス改定されましたが、介護度別の利用限度額はまったく変更がありません。現行で限度額いっぱいサービスを利用している人が119人おり、この方達をはじめ、今までと同じサービスを受けようとすれば、限度額をオーバーし、オーバーした分は自費負担になるかサービスを減らさざるを得なくなります。現在、本人負担6%・市負担4%の利用料軽減策がありますが、年間80万円以下の年金・所得の方に限られています。所得制限を緩和して対象者を拡大し、軽減策の拡充を求めます。
人材確保・キャリアアップへの支援策について
介護報酬改定は職員体制の厚いところに加算をつけるものですが、現実には厳しい労働環境と低賃金で離職率が高く、慢性的な職員不足にどの事業所も悩んでおります。私が深刻だと思うのは、介護を目指す若者も減っている現実です。市内のある福祉専門学校では、介護福祉士の定員が1学年40名に対し、今春卒業するのは10名だけです。そこで、市内の福祉専門学校などの定員割れの実態をお答えください。
県は雇用・研修一体型事業として、ホームヘルパー1級または2級の取得の無料受講や、全県で100人程度のホームヘルパー2級課程の受講を受け入れた事業所への助成を打ち出しましたが、まだまだ不十分です。市はこの制度を活用した上で、独自に人材確保・キャリアアップへの支援策を実施することを求めますが答弁願います。
(4)高齢者の障害者控除制度の積極的適用について
次に、高齢者の障害者控除制度の積極的適用についてです。地方税法の改正で、65歳以上で一定の障害がある人は障害者に準ずるとして障害者控除の対象となり、年125万円以下は非課税となります。これは介護認定を受けた人も対象となります。現在、水戸市では介護認定を受けた高齢者8713人に対し、わずか7%、627人の控除にとどまっています。原因は周知不徹底と申請主義によるものです。
宮崎県日向市では、通知を郵送した介護認定者のほぼ全員が控除を受けられたほか、ホームページでも「認定申請書」が手に入ります。本市においても同様の措置をとり、介護認定されたすべての人に通知し申請書を提出いただくこと、本人は申請困難な場合も多いと考えられますので、その場合は介護認定通知書でも認めることです。
2.高齢者福祉サービスについて 
(1)緊急通報システムの適用基準の改善について 
次に高齢者福祉サービスのうち、緊急通報システムの適用基準の改善を求め質問します。これは自宅で突然病気や事故にあった場合、ペンダントのボタンを押すと消防本部に通報が入り助けを求めるシステムです。現在の条件は、65歳以上の病弱な一人暮らし、もしくは高齢者のみ世帯、一人暮らしの重度身体障害者、75歳以上の一人暮らしとなっています。さらに3名の協力員の登録も必要ですが、実態にまったく合っていません。
一人暮らしの高齢者が増えていますが、05年度777人をピークに今年度620人へと減り続けています。市の統計で65歳以上の単身世帯は約12500人おり、うち緊急通報システム利用者はその5%にすぎません。それ以外にも家族がいても日中独居の高齢者も多数おります。ある80歳の男性は「高血圧と心臓頻拍症でいつ倒れても不思議はないので緊急通報システムを申請したが、同一敷地内に家族が住んでいると独居老人と認めないと言われた。長男家族は毎日仕事でいないのに納得いかない」という手紙をよせられました。
今後3年間の計画は、毎年10人ずつしか増やさず、3年経っても640人です。そこで、基準緩和を求めます。第一に65歳以上の一人暮らし・高齢者のみ世帯はすべて対象とし、「病弱な」という条件は撤廃すること、第二に隣接して子ども世帯がいても勤務していれば独居と同じであり、日中独居の65歳以上高齢者も対象とすること。第三に3名の協力員登録制度は確保が困難であり見直すことです。
(2)高齢者配食サービスについて
次に高齢者に夕食を配る配食サービスについてです。安定した食事は健康維持に欠かせず充実すべきです。このサービスも利用者は3年前の6万7500食が今年度4万5000食へ2万2500食も減りました。65歳以上1人暮らし、高齢者のみ世帯で調理困難な方で、なおかつ介護認定などが必要ですが、介護認定などの条件はやめて、対象を広げることです。また、現在2社のみの指定事業所の拡大です。補助を受ける2社も、補助のない事業所も1食500円が多く、補助があれば配送範囲の拡大が可能です。国の「ふるさと雇用再生特別基金事業」には「高齢者宅への配食サービス事業」があり、失業者を雇い入れて実施する場合の費用が支給されますので、活用し事業所を拡大してはどうでしょうか。
また、肝炎を患っている方から「味付けが塩辛く食べられない時が多い」との声が寄せられました。糖尿病や高血圧、肝炎など、カロリーや食事内容に配慮が必要な方への対応はどのようにしているのでしょうか。症状に応じた献立作りなどが必要と考えますが見解を伺います。
3.生涯学習活動 公民館設置基準について
 次に生涯学習活動について、第一は、公民館・市民センターの拡充です。生涯学習や地域の諸活動が活発になるにつれて、施設がせまく、飽和状態のところが多く見受けられます。施設を予約する日は朝から行列をつくる姿もあるほどです。現在、公民館の標準的な基準は2種類あり、第一は、人口5000人以上の地区の市街型で、延床面積約800u、敷地約3000uです。第二は、人口5000人未満の郊外型で、延床約600u、敷地約2500uとなっています。しかし、この基準を満たしているのは旧水戸地区の31館のうち10館にすぎず、多くが狭あいのままです。
今後、団塊の世代の退職で活動が活発化し、さらに利用者が増えることから、狭あいな公民館は計画を前倒しして増改築することが必要ではないでしょうか。また、吉田・緑岡・見和・渡里などの地区は人口が1万2000人から1万5000人であり、5000人以上の基準だけでは不十分です。来年度、公民館10館の耐震調査を行うとのことですが、人口の多い地域は上乗せ基準をつくり、増改築すべきではないでしょうか。
公民館専用の陶芸窯の設置について
第二は、公民館専用の陶芸窯の設置を求めます。公民館での陶芸教室だけで延べ利用人数は年間2000人を超え、さらに教室以外の陶芸サークルにも多くの陶芸愛好者がおります。しかし市内33公民館のすべてに陶芸窯がないため、老人福祉センターや開江老人ホームの陶芸窯を借りて作品をつくっています。あくまで間借りのため、老人福祉センターの教室やサークルが優先で、年間2回しか利用できないところも出ています。ひたちなか市では公民館専用の窯と施設があります。水戸市も公民館専用の陶芸窯、施設を少なくとも4〜5か所に設置すべきですがいかがでしょうか。
4.霞ヶ浦導水事業の中止を〜漁協の「霞ヶ浦導水差し止め裁判」提訴について
 次に霞ヶ浦導水事業について、3月3日、那珂川関係漁協は「霞ヶ浦導水差し止め裁判」を水戸地裁に提訴しました。すでに仮処分を申請していますが、いよいよ本裁判を提訴したわけです。今回の本裁判には大涸沼漁協、栃木県漁連も加わりました。反対署名は10万4201筆に達し、弁護団は101名、組合員は約4万人であり、全国的にも過去例のない大規模な反対運動として広がっています。3月3日の決起集会は会場に入りきれない430名の参加者で大変熱気ある集会でした。ある漁協組合長は「正論はわれわれにあり、邪は正に勝てず。必ずわれわれは勝利する」と決意を述べ、「私達は漁業補償金で那珂川・涸沼を台なしにする道を拒否します」との声明を採択したのです。その後、南町から水戸地裁までパレードを行い「アユ・サケ・シジミを守ろう」「導水事業はやめろ」などの横断幕やプラカード、アユのぼりを掲げた漁協組合員が「那珂川の自然を守ろう」と道行く市民に訴えたのであります。テレビ局も含め報道各社も多数取材にきておりました。
そこで加藤市長に伺いますが、今回の本裁判提訴と反対運動の広がりをどう受け止めているのか。昨日の本会議で、漁協の反対運動を「障害」と呼んだことは誠に不適切で認めがたい発言ですが撤回する意思はないのか答弁願います。市長は今議会の所信表明で「市民との相互の信頼と合意」「市民と行政との協働によるまちづくり」と述べましたが、漁協の皆さんや反対署名に賛同した多くの市民の声に耳を傾ける気はないのでしょうか。導水事業推進の姿勢を改め、国交省に工事中止を求めるべきと考えますが答弁願います。
また、事業中止を求める漁協の主張は主に以下のようなものですが、それぞれについて市の見解をお答え願います。第一に、漁業権侵害の事業であり、水産資源に回復しがたい深刻な被害を与えるということです。そもそも漁協の同意を得ない河川工事は全国過去に例がないと聞いておりますが、実例があるのか、ないのかお答えいただきます。
第二に、那珂川の水量減少による悪影響です。霞ヶ浦に送水するため毎秒最大15トン取水されると、流速が落ちて仔アユが海まで到達できないこと、那珂川取水口の下流域の栄養分が減少し、アユやサケの回帰率が減少すること。涸沼の塩分濃度が上昇し、全国4位のシジミ漁が壊滅的な被害を受けることです。市長が進める桜川へのサケの遡上する環境づくりに反するものではありませんか。第三に、霞ヶ浦からの送水による那珂川の汚染です。外来生物・難分解性有機物・毒素・カビ臭物質が送水されてきます。仮にろ過施設ができてもこれらは除去できず、那珂川に深刻なダメージを与えます。
第四に、生物多様性基本法違反の事業であります。昨年5月8日の国会で全会一致で成立した生物多様性基本法は、国の行為による環境破壊をとめようとするもので、野生生物や生息環境、生態系のつながりを含め保全するものです。これは我が国も批准した生物多様性基本条約に基づくものです。川崎健・東北大名誉教授は、「利根川・霞ヶ浦水系と那珂川水系はまったく異質な2つの水系であり、これをつなぎ合わせようとする霞ヶ浦導水事業は、明らかに条約と法律に違反する行為である」と述べています。
加藤市長は「人と自然がいつまでも共生できる環境の確保」をめざすと所信表明しましたが、本当にそうであるなら、率先して生物多様性基本法を守る立場に立たなければなりません。霞ヶ浦導水事業は明らかにこれに反する事業でありますが、所見をお伺いして1回目の質問を終わります。

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