MASAKI TANAKA 田中まさき
くらし・福祉を市政の主役に 日本共産党 水戸市議会議員 田中まさき
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市議会会議録
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2007年12月一般質問

 日本共産党水戸市議団の田中まさきです。2007年12月定例会にあたり、通告に従い一般質問を行います。

(1)全隈産廃最終処分場建設差し止めについて

 はじめに、全隈町産業廃棄物最終処分場建設差し止めについて質問します。11月29日、東京高等裁判所は、住民が建設差し止めを求めた裁判で、住民側勝訴の判決を言い渡しました。私も当日、東京高裁第818号法廷を傍聴し、緊張しながら判決を待ちました。濱野惺(しずか)裁判長による「主文、本件控訴をいずれも棄却する」との判決を聞き、住民の皆さんは大きな喜びの声を上げました。95年に計画が明らかになって以来、「いのちの水を守ろう」をスローガンに、12年に及ぶ粘り強い反対運動が展開され、現地調査や署名活動、度重なる裁判の傍聴など長年の苦労が報われた瞬間でした。
 東京高裁判決は、住民側が勝訴した一審の水戸地裁による「建設・操業・使用してはならない」との判決を全面的に認め、業者側の控訴を棄却したものですが、特に、水道水を汚染する危険があるとして、産廃処分場の建設差し止めを言い渡した点が、非常に画期的です。これまで、井戸水への影響を認めて建設差し止めを言い渡した判例はありましたが、水道水への影響を認めたのは全国初であります。水戸地裁判決からさらに踏み込んで、水源地に有害物質をもちこむ危険性を明快に述べ、水源地を守るための市や国の責任を明確にしたこと、安定型産廃最終処分場は毒性の強い有害物質の搬入を防止する有効な対策がないこと、廃棄物処理の関係法令には不備があり、水源地を守る特別な規制を国に求めた点など、全国の産廃裁判はもちろん、国の廃棄物行政にも影響を与える司法判断です。

 裁判の争点は、水戸市民の水道水源地を守るのかどうかでありました。水戸市には水源地を守る大きな責任がありますが、今回の判決について市の見解をうかがいます。
処分場を計画した株式会社・赤塚設備工業は、安定5品目、すなわち廃プラスチック類、がれき類、金属くず、ゴムくず、ガラス陶磁器くずのうち、ゴムくずを除く4品目を11年にわたり、約12万8000トン埋め立てる計画でした。
 判決は第一に、水源地に有害物質をもちこむ危険性について次のように述べています。「水源地にいったん有害物質が搬入されると、そこに雨水・地表水などが流入し、周辺に流れ出て、広範囲に深刻に汚染する事態が生じ得る」「水道原水の汚染に起因する健康被害は、汚染水を長期間摂取して発症するため、汚染の構造が判明した時点では、回復困難なまで身体を蝕まれ生命の危機に直面しているおそれがある」としています。
 第二に、市や国の責任について「水源地汚染による生命、身体、健康被害の重大性・持続性・不可逆性にかんがみ、未然防止が肝要である。もっとも効果的な措置は有害物質を水源地に搬入しないことであり、国や地方公共団体がそのための必要な施策を定め実施すべき」としています。 
 第三に、法整備の不備について「廃棄物処理関係法令も他の法令も、産廃処分場の設置許可にあたり、水源地への設置を禁止したり、適切に規制しておらず、水源地保全のための特則を手当てしていない」「地形・地盤・地下構造の綿密な調査や、災害発生に対処できる安全確保の対策、審査・判断にふさわしい主体・手続き・仕組みの整備が必要であるが、現行法制上は十分に整備していない」と厳しく批判し、「水源地に有毒物質を搬入しないことが必要との水道法などの趣旨に照らすと、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などで水源地保全の特別な規制をしていないのは総合的観点からの政策にかけている」として特別な法規制を国に求める踏み込んだ判決となっています。
 また、第四に、現地には住民側弁護団が調査の上明らかにした、湧き水やトウキョウサンショウウオの生息する湿地帯や地下水脈があり、有害物質が搬入された場合、汚染された水が田野川に流入し、那珂川合流点までは4.7キロ、その下流350メートルに水戸市の枝内取水塔があり、田野川の水は那珂川とさほど混ざり合わぬまま取水口にたどりつくこと。そして、開江浄水場、楮川浄水場へ送られており、汚染水が、希釈されぬまま水道原水として取水され水道水が汚染される蓋然性がある」と認定しました。
 第五に、赤塚設備工業が示した対策は不十分だとしました。今回の産廃処分場は茨城県が設置を許可しましたが、判決は「設置が許可され基準に適合しても、人間の営みで行われる以上、法令違反行為や手落ち、判断ミスの発生は不可避的であり、それに備える措置が執られていなければ危険の有効制御は難しい」と述べています。
 この点について、赤塚設備は、「汚染水が出ても田野川や那珂川で希釈されるし、水道施設の浄水場で浄化されるから水道水の安全性に問題はない」と主張しましたが、濱野裁判長は「たしかにこれらは最後の命綱であるが」「毒性の強い有害物質が大量に搬入される事態を確実に防止する手立てがない以上」「搬入される有害物質の種類や数量次第では河川の希釈採用、自浄作用、水道施設の浄化作用ではまかないきれない可能性がある。水道水の安全性に問題がないと断定できない。」としました。
 赤塚設備の対策は「天然の地形、地下の構造、地下の水流任せのものであり、安全性の最後の支えがないと言わざるを得ない。」「業者は、自然や他人任せではなく、自らの安全対策により水源地汚染の危険を有効に制御する必要がある」と述べ、赤塚設備が示した安全対策はことごとく退けられました。
 水戸市には今回の東京高裁判決を正面からしっかりうけとめる責任があります。そして、赤塚設備工業に対し、計画を中止し、上告を断念するようただちに申し入れることを求めますがいかがでしょうか。

(2)安定型処分場の危険性について 
 今回の判決は、水源地に危険な安定型産業廃棄物最終処分場を建設することそのものを否定したものです。そこでまず、水戸市における安定型処分場の現況について、場所、箇所数、許可の状況を答弁願います。また、有害物質混入の防止策として市はどのような対策を講じているのか伺います。
判決は、安定型産廃処分場の有害物混入の防止策として、廃棄物処理法が定める、管理票制度すなわち産廃の搬送履歴を記録するマニフェスト制度と、搬入物を定期的に確認する展開検査では不十分と指摘しています。「安定型最終処分場が水源地に設置される場合、管理票制度と展開検査が、有害物質が搬入されないよう用意された、ほぼ唯一の手段であるが、未然防止の効果的措置とは言い難い」「産廃の排出業者も処理業者も、産廃を安定型産廃として埋立処分できれば、経済性・簡便性から好都合であり、共通の利益を有する関係にある。安定型産廃以外の産廃混入を知っていても、他人に知られなければ、安定型として埋立て処分する誘惑に駆られることになるのは見やすい道理であり」「昨今目先の利益にとらわれ、他人に知られなければ事実を偽ってもよいとする違法な経済活動が社会的にも目立つ現状にかんがみると、違反行為に対して罰則があることだけではただちに安定型とそれ以外の産廃が厳格に分別されるのを期待するのは困難」としています。
また赤塚設備工業は、目視により展開検査をすると主張しましたが、「その方法自体に限界があり、行う者が処理業者自身であり、他人にわからなければ、混入しても埋立て処分する誘惑に駆られることになるのは、ここでも見やすい道理だ」と明快に述べています。実際に、安定5品目だけを埋め立てるといいながら、それ以外の産廃が混入し、全国でも硫化水素発生による死亡事故など違法操業が後を絶ちません。
そこで日本弁護士連合会は8月23日、「安定型産業廃棄物最終処分場が今後新規に許可されないよう求める意見書」を国に出しました。安定5品目自体が酸性雨にさらされ化学変化を起こし有害物質を出すものであり、また何の遮断措置もなく、素掘りの穴に有害物質をどんどん埋めてしまう処分場そのものを認めるべきではないとの見解です。
東京高裁判決も「水源地への産廃処分場建設の適切な規制がされていないのは遺憾であり、今後の法整備が必要」としています。水戸市はこれらの指摘をどう考えるのか見解を伺います。市として国・県に対し、今後安定型産廃最終処分場は認めないよう求めるべきですが答弁願います。また、国に対し、水源地に産廃処分場の建設を禁止するなどの法整備をただちに行うよう求めるべきと考えますが見解を伺います。

市民環境部長

 田中議員の一般質問のうち(環境行政),全隈産廃最終処分場建設差し止めについてお答えいたします。
 今回の東京高裁控訴審判決に係る産廃処分場設置計画は,平成10年1月30日付けで県知事が許可した案件でありまして,本市は,事業計画者(赤塚設備工業)に対し,上告の断念を申し入れる立場にないものと考えております。
 次に,廃棄物行政についてお答えいたします。
先ず,安定型最終処分場の許可の手続きでありますが,廃棄物処理法の規定により,県知事の許可を受けなければならないとされており,申請内容が許可要件に適合していると認めたとき許可されるものでございます。
 次に,市内の安定型処分場の場所,現況につきましては,現在,県知事の許認可等を得て民間が保有する処分場として,下入野町に2事業所が設置しており,現在も稼動中でこざいます。

 次に,安定5品目以外の産廃の混入につきましては,法令に産廃処分場の維持管理基準の定めがあり,安定型産廃以外の廃棄物の埋立処分を防ぐための展開検査が義務付けされており,これは搬入された廃棄物の全量を対象に行うものでございます。さらに,産廃管理票は,産廃の排出者に対して,排出者の処理責任を最終処分まで確認することを義務付けたものであり,いずれも不適正処理防止の有効な手段であると考えております。
 次に,安定型最終処分場の設置に対しての日弁連の意見や廃棄物関係法令の不備に対する指摘につきましては,法整備に関わる国の問題でありますが,本市は,これまで日本水道協会,全国水道企業団協議会等を通じて,水道水源の水質保全対策の推進について,産廃処分場等に対する法規制を強化するよう国などに要望をいたしておるところでございます。

(2)水道水源保護条例の早期制定について

 次に、水道水源保護条例の制定について質問します。今回の判決で濱野裁判長は「市町村が水道水源保護の目的から産廃施設の設置を規制する水道水源保護条例を制定しているのも法の不備を補うものとしてうなずける」と条例制定の必要性を認めています。全国で条例を制定し水源地を守ろうとしている自治体が増えております。
水戸市は現在、条例ではなく「水道水源保護指導要綱」及び「内規」で、対応しておりますが、これは、産廃施設が水源地に計画された場合に、市と業者が事前協議を行い、許可したのちに違反行為があった場合は勧告し、それでも守らない場合は業者名を公表する、というものです。これでは有害物質の混入を未然に防止するための効果的措置とはいえないと考えますが、市の見解をうかがいます。
また、要綱及び内規における保護区域と区域指定の理由をお答えください。特に、保護区域は、那珂川・田野川・藤井川など、枝内取水口につながる水源地のみを範囲としていますが、内原地区は地下水を水源としております。笠原水源も水道水として一部利用されています。当然これらの地域も保護区域に指定すべきですが、所見をお伺いいたします。 
 宮城県白石市では条例で市域の半分以上を水道水源保護区域として指定し、第11条で「水源保護地域において、何人も規制対象事業場を設置してはならない」と規定し、産廃処分場は建設できないようになっています。水戸市も保護区域を大幅に拡大するとともに、今後、水道水源を汚染する計画を一切排除するため、産廃処分場などの建設禁止を含む水道水源保護条例を早期に制定すべきですがいかがでしょうか。

水道部長

次に,田中議員の一般質問のうち,水道行政についてお答えいたします。
水道水源保護指導要項及び内規では,水道水源の汚染を未然に防止するための効果的な措置とはいえないのではないかとのご質問でございますが,この要項は,厳しい排水基準の設定,開発計画事業者との事前協議,また水質検査,立ち入り調査などを含めた協定書の内容となっており,実効性のある指導ができるものと考えているところでございます。
 次に,水源保護区域につきましては,渡里町枝内の水道水源の取水口から,その上流に位置する那珂川,田野川,藤井川等の流域である上国井,渡里,田野,成沢,全隈,藤井町など取水する水に影響を及ぼすおそれのある区域としております。
 また,水源保護区域の範囲を内原地区にも拡大すべきではないかとのご質問でございますが,内原地区につきましては,地下水を水源としている地域でございますので,今後,水脈・水質等の調査をした上で,検討をしていきたいと考えております。
 次に,水道水源保護条例の制定についてのご質問でございますが,私有財産の制約や他の法制度との整合性などから,条例化は適切でないと判断したところでございます。
しかしながら,水道水源の水質保全対策につきましては,流域全体で取り組みが必要不可欠であることから,これまで,日本水道協会,全国水道企業団協議会等を通じて,産業廃棄物最終処分場等に対する法規制の強化を図るよう,国に要望をしてまいりましたが,このたびの全隈町に計画されている廃棄物最終処分場建設の裁判を機に,さらに国に要望するとともに,これらの動向を見守ってまいりたいと考えております。

(3)南部老人福祉センターについて 
次に,(仮称)南部老人福祉センターについて質問します。来年4月開設に向け、住民の期待も高まっています。まず、施設名称については、市民に親しまれる施設となるよう、公募し愛称を決定してはいかがでしょうか。
また多世代交流活動について、地元で実施されている高齢者と子どもや水戸養護学校との交流を日常的に展開するためには、南部老人福祉センターの運営がかなめとなります。 
社会福祉協議会に管理を委託する計画とのことですが、具体的にどのような運営を検討しているのか、また、多世代活動で利用する場合の利用料は無料とすべきですが見解を伺います。以上で第一回の質問を終わります。答弁によりましては再質問いたします。

保健福祉部長

田中議員の御質問のうち,南部老人福祉センターについてお答えいたします。
老人福祉センターにつきましては,すべての施設において,これまでの機能を主体としながらも,新たに多世代交流事業や介護予防事業などを実施し,新たなニーズに対応してまいります。
そのため,新たに設置される(仮称)南部老人福祉センターにつきましては,幅広い世代に利用され,地域から親しまれる施設運営としてまいりたいと考えておりますことから,愛称の公募について実施してまいります。
次に,多世代交流における施設の利用形態につきましては,地域における高齢者を主体とした交流事業の実績を考慮し,高齢者クラブ等の関係団体との連携協力により,指定管理者と具体的な検討を行ってまいります。なお,使用料につきましては,多世代交流事業が積極的に行われるよう,原則無料としてまいりたいと考えております。



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