労働総研ニュースNo.322・323 2017年1・2月



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2017年春闘提言
研究部会報告他




2017年春闘提言

労働者のたたかいこそ展望を切り開く力

――安倍内閣の「働き方改革」と労働組合の社会的責任――

2017年1月17日 労働運動総合研究所

 

研究部会報告

・女性労働研究部会(10月5日・11月16日)
 10月は、岩崎明日香さんが「世代別に見る男女の賃金格差の変化について」として、総務省「就業構造基本調査」の1997年と2012年を比較して報告した。この間、女性の大学への進学率は半数を超えたが、高学歴化にもかかわらず、20代女性雇用者の年収と正規雇用率は低下している。30代以降の女性労働者は50〜99万円の層が最多となっており、男女の賃金格差は大きい。女性の有業率が48%にとどまり、低賃金および男女賃金格差等の実態と対策等について論議した。
 11月は、厚生労働省「女性の活躍促進に向けて配偶者手当のあり方に関する検討会報告」を中嶋晴代さんが、「2016年人事院勧告・報告の特徴と国家公務員の配偶者手当の見直し」について高村佳那子さんが報告した。配偶者手当は税制(103万円の壁)や社会保障制度(130万円の壁)と相まって既婚女性の賃金を抑制していること、共働きや単身世帯・ひとり親世帯等の増加などの家族構成の変化と制度の矛盾、配偶者手当の受給世帯にとっての問題点などについて論議した。
・労働時間・健康問題研究部会(12月2日)
 電通過労死事件についての各紙の報道などを多角的に報告しあい、関西電力過労自殺事件、東電うつ病休職者解雇事件、三菱電機うつ病労災認定者残業時間申告制の残業隠し実態記事、ヤマト運輸残業隠し実態暴露記事など、最近明らかにされている各企業の残業時間隠しと、それにもかかわらず働きやすい企業として認められている実態を交流、最賃・時短の署名運動拡大を推進することの重大さを確認、公開研究会などの企画を討議した。春闘の中で、連合組合員との下からの交流運動の組織化、地域春闘強化について、論議を行った。
・中小企業問題研究部会(公開)(12月9日)
 「第10回中小企業のまち民間サミット(in尼崎)の報告」と不況打開大田実行委員会の取り組みについて、同実行委事務局担当幹事の馬場良彰氏より報告を受け、質疑討論した。民間サミットの特徴については、(1)参加者が減少傾向の中で若手地方議員の参加が増え、(2)各地の報告、討論とも政策提案型から運動実践型へ発展中で、(3)成功例としては公契約条例(尼崎市)、里山資本主義(岡山県真庭市)、工場・商店の全数調査と政策提言(東大阪市、東京都大田区)などが報告された。大田実行委が取り組んだ「中小零細工場60社独自調査」では、仕事が少ないので8時間労働・残業なし、週休2日制で働いていること、平均賃金は事業主21万円、家族従業員17万円、一般従業員24万円、技術継承のため92%が正社員との報告が注目された。

12月の研究活動

12月2日 労働時間・健康問題研究部会
   9日 中小企業問題研究部会
   16日 賃金最賃問題研究部会
   19日 労働組合研究部会
   22日 国際労働研究部会

12月の事務局日誌

12月8日 労働法制中央連絡会事務局団体会議
   9日 企画委員会