労働総研ニュースNo.307 2015年10月



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 『日本再興戦略 改訂2015』批判




『日本再興戦略 改訂2015』批判

 安倍内閣は6月30日、『日本再興戦略 改訂2015 未来への投資・生産性革命』を閣議決定し、発表した。このなかでは、アベノミクスは「『デフレ脱却』を目指して専ら需要不足の解消に重きを置いてきたステージから、人口減少下における供給制約の軛(くびき)を乗り越えるための腰を据えた対策を講じる『第2ステージ』に入った」として、その成否は「生産性革命」を成し遂げられるかどうかにかかっていると強調している。
 この間、労働総研・経済分析研究会は、『日本再興戦略』の批判を系統的に続けてきたが、今号では、引き続き「新成長戦略」の問題点と欺瞞について、研究会のメンバーに簡潔なコメントを寄せていただいた。

「瑞穂の国」の社会保障 ――「骨細の方針」

牧野 富夫

 2015年版「経済財政運営と改革の基本方針」も、大企業にとっては「骨太の方針」だが、勤労国民・社会的弱者にとっては「骨細の方針」である。このことは、安倍政権3回の「基本方針」すべてに共通する。とくに社会保障を眼の敵にしている。これは「安倍哲学」の「“瑞穂の国”の社会保障」に由来する。その「哲学」をみよう。
 「日本という国は古来、朝早く起きて、汗を流して田畑を耕し、水を分かち合いながら、秋になれば天皇家を中心に五穀豊穣を祈ってきた『瑞穂の国』であります。自立自助を基本とし、不幸にして誰かが病で倒れれば、村の人たちみんなでこれを助ける。これが日本古来の社会保障であり、日本人のDNAに組み込まれているものです」(安倍晋三著『新しい国へ』245ページ)。
 これは「むかしばなし」ではない。「日本人のDNAに組み込まれている」という以上、いま現在の話なのだ。自民党政治だから仕方がない、では済まされない。かれの哲学は憲法を敵視するものだ。そういう人間を「首相」にもつ国である。その人の「戦争好き」はよく知られているが、外交手法も危険極まりないものである。その証拠となる言説もついでに引用しておこう。「尖閣問題について、よく『外交交渉で解決していく』という人がいますが、この問題に外交交渉の余地などありません。尖閣海域で求められているのは、交渉ではなく、誤解を恐れずにいえば物理的な力です」。この人には、道理にもとづいて平和裏に外交交渉をすすめる、という考えはなく、「物理的な力」がすべてなのだ。戦争法に通底するではないか。
 15年版「骨細の方針」に戻ると、その全体をつらぬくトーンが問題である。社会保障や地方行財政などを削減して、それを民間に明け渡す、というものだ。要するに、社会保障など国や自治体がやるべきことを民営のビジネスチャンスに供する、ということである。
 いっそうの生活保護切捨てもねらわれている。「真に必要な保護のあり方や更なる自立促進のための施設等、その制度全般について予断なく検討し、必要な見直しを行なう」というわけだ。これは一見まともにみえる言い回しだが、保護の対象者を極度に絞り込み、すでに保護を利用している人を強引に「自立」させる、という内容である。
 みてのとおり、「瑞穂の国の哲学」が隅々まで浸透している。「8・30」規模のデモを何度も浴びせ、安倍政権を即刻打倒しようではないか。

(まきの とみお・顧問・日本大学名誉教授)

アベノミクスの隠された「成長産業」

友寄 英隆

 安倍内閣の3回目の2015年版「成長戦略」は、財界寄りのエコノミストたちの間でも、すこぶる評判が悪い。日経新聞ですらコラムで「生産性革命といった派手な『お題目』が躍るばかりで、中身が伴っていないとの評価が一般的である」(7月25日付)などと酷評している。
 とはいえ、エコノミストたちも、批判はしても、なにか妙案があるわけではない。もともと「成長戦略」などといっても、主要な大企業は、競って海外展開で儲けをあげるようになっているので、「生産性革命のために未来投資を」などと国内投資を呼び掛けても、「お題目」に終わるのは目に見えている。今回の「成長戦略」では、ローカルアベノミクスをかかげて、「農業、医療・介護、観光産業の基幹産業化」によって、地域から経済成長をはかるなどと書いているが、大企業の海外志向の資本蓄積のあり方を根本的に変える立場に立たない限り、どんな成長戦略でもうまくいくはずはない。
 ところで、アベノミクスの「成長産業」といえば、表向きの「成長戦略」のなかには、まったく登場していないが、安倍内閣のもとで、いま猛烈に活気づいている産業がある。軍事産業である。
 安倍内閣は、2014年4月に「武器輸出三原則」を撤廃した。続いて同年6月には、「防衛生産・技術基盤戦略」も決定した。これまでは武器輸出が禁止されていたため、工業生産額全体に占める軍事生産の割合は1%以下にすぎなかった。しかし、「武器輸出三原則」が撤廃されたために、日本の軍需大企業は約40兆円とも言われる世界の武器市場めがけて、いま猛烈に勢いづいている。しかも、現在の武器は、製品も製造過程もICT(情報通信技術)化してきており、軍事産業とのかかわりは製造業全体に大きく広がっている。
 安倍内閣は、軍事費の予算を大幅に増やすとともに、武器輸出を後押しするため、ODA大綱を改定して、発展途上国の軍隊や軍関係者が関与する活動への支援もできるようにした。さらに科学技術の軍事利用のための「軍学共同」に拍車をかけ、武器の研究開発から武器の購入、輸出を一元化して加速するために「防衛装備庁」を新設しようとしている。軍事産業の拡大は、アベノミクスの隠された「成長戦略」のもっとも有力な柱の一つになりつつある。
 安倍内閣の経済政策は、アベノミクスの3本の矢による「景気回復」とか「デフレ脱却」などの国民受けの良い政策だけではない。安倍内閣がもっとも熱心に取り組んでいるのは、軍事力強化の経済政策である。安倍内閣は、安保法制=戦争法案などの政治立法と連動し、軍事力の物質的基盤の構築を一体的に強行している。安倍内閣の軍事力強化路線を含めたアベノミクスの再定義が必要である。

(ともより ひでたか・経済研究者)

経済連携協定、インフラ輸出と経団連

山中 敏裕

 再興戦略(15年版)では、TPPなどの経済連携協定とインフラ輸出にかかわって、「海外にモノやサービスを輸出するだけでなく、質の高い投資等を行うことにより、相手国とWin-Winの関係を構築していくことが重要」、「モノ、カネ、技術等の国境を越えた移動を促進する経済連携協定は重要性を増している」とされ、海外でのインフラ需要に対しては「質の高いインフラ投資」をもって応える、とされる(傍点は山中、以下同じ)。「3つのアクションプラン」のひとつ、「国際展開戦略」でも、TPPなどの経済連携協定とインフラ輸出が言われる。経済連携協定とインフラ輸出とは、いかなる関係にあるのか。経団連が、これを明確に示している。
 再興戦略の策定に先立つ15年1月、経団連会長が、2030年を展望したビジョン「『豊かで活力ある日本』の再生−Innovation & Globalization−」を安倍首相に手交した。同「ビジョン」では、「2020年までにTPP、RCEPを核とするFTAAPを構築すべき」とされ、「メガFTA/EPAを活用しつつ、日米欧間において規格・基準など規制の調和を推進し、新興国等への横展開を進めることも重要」、それらを含めて「WTOルールへと昇華」させて「高水準の多角的自由貿易投資体制」を確立し、「新たな経済秩序」を構築すべき、とされる。こうした「地域経済統合は、日本を拠点とするグローバルなサプライチェーンのネットワーク構築を促進し、企業の海外事業活動の円滑化に貢献する。このネットワークをさらに強固なものとするために、日本のインフラ システムの海外展開」と言われる。つまり、経済連携協定とインフラ輸出とは、「企業の海外事業活動の円滑化に貢献する」ものなのだ。
 すでに、経団連は、「奥田ビジョン」(03年)で、MADE “IN” JAPANからMADE “BY” JAPANへと舵を切り、東アジアでの徹底した最適地事業展開を展望していた。TPP、RCEPを核とするFTAAPをつうじて、アジア太平洋の広大な地域で(さらにはWTO規模で)市場原理主義的市場が構築され、インフラ輸出で産業基盤整備がなされれば、多国籍企業は広大な地域でその時々の条件に応じた円滑な最適地事業展開が可能となり、各国各地の地域経済は多国籍企業の進出と撤退で攪乱され、労働者はジャスト・イン・タイムで使い捨てられる。再興戦略は、これを押し進め、経団連の意向を貫徹させるものである。

(やまなか としひろ・会員・日本大学准教授)

黒田総裁とピーターパン物語

建部 正義

 「皆様が、子供のころから親しんできたピーターパンの物語に、『飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう(The moment you doubt whether you can fly, You cease forever to be able to do it)』という言葉があります。大切なことは、前向きな姿勢と確信です」。これは、黒田東彦日本銀行総裁による、2015年6月4日の日本銀行金融研究所主催2015年国際コンファランスにおける開会挨拶のなかの一文である。
 そういえば、黒田総裁は、こういう一文も残している。「〔日本銀行が物価安定目標として目指す〕2%に持っていくまでは、人々の期待を変えるだけの『速度と勢い』が必要なのです。デフレ均衡はひとつの安定的な状態ですので、そこに向けて引力が働きます。……そこから脱出するためには、ロケットが強力な地球の引力圏から離れる時のように、大きな推進力が必要となります。すでに安定軌道を回っている人工衛星とは違うのです」。これは、2015年2月27日の日本記者クラブにおける講演「原油価格と物価安定」のなかのそれである。
 ここでは、とりわけ、「前向きな姿勢と確信」という表現が注目される。これは、もはや、精神論に近い表現ではなかろうか。つまり、2%の物価安定目標を早期に実現するためには、「前向きな姿勢と確信」、つまり、気合いを緩めるわけにはいかない、と。
 ちなみに、2015年7月15日の政策委員会・金融政策決定会合において、日本銀行は、「経済・物価情勢の展望(2015年4月)」(いわゆる展望論文)の中間見直しを行ったが、そこでは、4月時点での見通しに比べて、2015年度の消費者物価(消費税率引き上げの影響および生鮮食品を除く)上昇率についての政策委員の大勢見通しは0.8%から0.7%に、2016年度のそれは2.0%から1.9%に引き下げられている。要するに、政策委員の大勢は、2016年度においても消費者物価上昇率は2%の物価安定目標に届かないと判断しているというわけである。
 しかも、政策委員の一人は2015年度にかんしては0.2%、2016年度にかんしては0.8%といった数字を掲げている。なお、2016年度といえば、黒田総裁が「2%の物価安定目標を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」旨の公約を掲げて以来、4年目ということになる。
 こうした背景を考えてみれば、黒田総裁が精神論に頼るのも、追い詰められた末のやむをえぬ窮余の策として位置づけることが可能になるであろう。

(たてべ まさよし・中央大学名誉教授)

安倍政権を打倒し、国民生活本位の経済政策の実現を!!

萩原 伸次郎

 2015年6月30日、「日本再興戦略」改訂2015が、発表された。この改訂版の基本姿勢は、2年半前の「日本再興戦略」と変わるところがない。大企業が儲かれば、それに伴って国民生活はよくなるという「トリクルダウン」の考え方だ。
 この改訂版では、「日本経済は、かつての強さを取り戻しつつある」とし、「今は、企業や国民のデフレマインド払拭するための構造改革として第三の矢の成長戦略を大胆かつスピード感を持って「実行している最中」にある」という。
 しかし、国民生活の視点から見た場合、この改訂版がいうようにデフレマインドが払拭される傾向にあるのだろうか。大胆な金融緩和政策という第一の矢は、商業銀行の準備金の積み増しには大きな効果があり、ハイパワード・マネーの増額にはなったが、肝心のマネー・ストックの増加にはつながらず、商業銀行の金融資産市場を通じる株価の急騰を引き起こした。機動的財政政策として支出された大量の財政資金は、大手企業の内部留保の積み増しには効果があり、大手企業の株価急騰に一役買ったことは事実だが、実質GDPの急上昇を引き起こしはしなかった。
 たしかに、2年前に比べると物価上昇があったことは事実だが、これには、2014年4月からの消費税3%増税と引き続く金融緩和から引き起こされた円安による輸入物価の上昇が大きく響いている。
 ところで、この改訂版によれば、「経済の好循環は着実に回り始めている」のだそうだ。だから「アベノミクスは、デフレ脱却を目指して専ら需要不足の解消に重きを置いてきたステージから、人口減少下における供給制約の軛を乗り越えるための腰を据えた対策を講ずる新たな「第二ステージ」に入った」としている。その内実は、農業、医療、エネルギー、雇用などに残る「岩盤規制」を打ち砕き中長期的な経済成長を実現するのだそうだ。TPP参加によって、農業では、大企業の農業進出を積極的にはかり、さらに、サービス貿易の自由化を梃に、医療の市場経済化を進め、エネルギーでは、原発の再稼働だ。雇用では、残業代ゼロや制約なき非正規労働の拡充によって、日本経済に格差と貧困をこれまで以上に広げることを考えているようだ。
 大企業と富裕層の膨大な富の蓄積を後押しする安倍政権を打倒し、国民経済の立場から、中小零細企業への支援を背景に、全国一律最低賃金の大幅アップなどの実現から、日本経済をボトムアップする経済政策への転換が今こそ求められているのである。

(はぎわら しんじろう・会員・横浜国立大学名誉教授)

アベノミクス虚偽性の深化

下山 房雄

 6月30日閣議決定の文書「日本再興戦略2015」を、私はアベノミクスの欺瞞性虚偽性を一層強めたものとして受け止めた。例えば、この文書は副題の「生産性革命」に関連するイノベーション創出の基盤として国立大学の役割に言及して「人文社会から自然科学まで多様かつ重要な学問分野の継承発展を」と言い、「地域・日本・世界が直面する経済社会の課題解決に貢献していく必要」とまで述べている。この叙述と、憲法25条の規定する国家からの「学問の自由」を蹂躙する非科学的天皇主義国家主義に基づく大学式典での国歌斉唱国旗掲揚の行政指導や、文系学問は国家に不要だとしたに等しい1943年10月の徴兵猶予廃止→学徒出陣を想起させる文系学部の廃止改組の行政指導の極右政治の現実を対比するだけでも、そのことは明白であろう。
 アベノミクスの喧伝する認識=克服すべき「失われた二十年」(1991年2月〜)。しかしその後半を構成する小泉内閣(2001年4月〜06年9月、その後1年は第一次安倍内閣)の経済政策の司令塔内にいた安倍晋三や甘利明が、金融緩和、財政出動、規制緩和の小泉政治を強化再現しているのが安倍晋三のアベノミクスである。小泉政治とほぼ同時期の戦後最長いざなみ景気(02年1月〜08年2月)が大企業利益増進――賃金低下に象徴される国民経済不振の時代であったように、アベノミクスのもとで大企業利益増進――賃金低下が続いている。実質賃金対前年低下が今年4月まで2年続いたうえ、6月は再びマイナス3%。8月17日発表の4-6月期のGDPは3期ぶりのマイナス(年率換算−1.6%)。8月18日の「東京」社説が「消費が伸びないかぎり経済の好循環は生まれない。消費を持続的に回復させるには雇用や所得環境を改善して格差を解消し、安定した中間層を復活させることだ。アベノミクスと真逆の政策である。」と断言するに至ったごとくだ。
 「再興戦略2015」の真実の叙述――「企業収益は過去最高を記録し」に続く次の叙述の虚偽性は明らかである。――「その収益が2年連続で賃上げに振り向けられ、凍り付いていた消費も漸く持ち直しの兆しを見せ始め」「経済の好循環は着実に回り始めている」。再興戦略2013や2014にあった利潤増→賃金増のトリクルダウンを何とか実現せねばとの緊張感はすっかり失われ、空しい虚言の呼号しかもはや無い!

(しもやま ふさお・理事・九州大学名誉教授)

破たんが明白な「アベノミクス第二ステージ」の雇用・労働政策

生熊 茂実

 「日本再興戦略改訂2015」は、「日本経済はかつての強さを取り戻しつつある」、「経済の好循環は着実に回り始めている」と強弁し、「アベノミクス第二ステージ」を2つの「車の両輪」ですすめるという。それは、(1)「個人一人一人」と「地方の一つ一つ」がその潜在力を開花する「未来投資による生産性革命の実現」、(2)「ローカル・アベノミクスの推進」である。このなかで、雇用・労働政策が提起されているが、それは企業の「稼ぐ力」を強化するために、労働者に「自己責任」を押しつけるものであり、すでに破たんが明白になっているものに過ぎない。
 それは、「生産性革命」をめざす「産業の新陳代謝の促進」、「変革のスピード」が早い時代には、労働者個人が変革に先回りして、新たな波に合わせて「能力やスキルを柔軟に鍛え直していく仕組み」に「前向きな挑戦が求められている」というのである。その延長線上に8時間労働から除外する「高度プロフェッショナル制度」、職務等を限定した「多様な正社員」、「予見可能性の高い紛争解決システム」が計画されている。これは言うまでもなく、企業戦略や企業の評価によって、労働者の解雇を自由にできるようにするものであり、「賃金定額で働かせ放題」「過労死」をもたらすものとして、労働者・労働組合の強い反対のなかで、政府・財界の思うようにはすすまない状況にある。
 そういうなかで、「働き手自らが主体的なキャリアアップ」を強要し、「企業主導による能力評価促進」やOff‐JTの雇用能力開発を、政府資金を使って普及・促進すること、小学校から大学にいたるすべての教育機関で文系教養を軽視し、実学のみを重視して企業の求める人材の育成を求める、中高年・高齢者の活用などを強調している。さらに労働力不足に対する対策としては、「女性の活躍」、「外国人材の活用」をあげている。「女性の活躍」自体は望ましいものであるが、現状の労働者の働き方や保育所等の「待機児童」問題を改善・解決する方向性についても「働き過ぎ防止」など「自己責任」を強要し、保育等でも政府の責任は明確ではない。いずれにしろ、「女性の活躍」も「外国人材の活用」も、低賃金で雇用が不安定な労働者を大量につくりだそうとするねらいが明白である。まさに「日本総株式会社」をめざすものである。しかし経団連自身が、文科省の「人文社会系学部の見直し」通知に対し、「産業界の求める人材像はその対極にある」と「即戦力」だけを求めているのではないと声明し、矛盾が噴出している。
 これらの雇用・労働政策の背景には「少子化」があることを「再興戦略」も認めざるをえない。しかし、「少子化」をもたらした大きな原因に若者をはじめとする労働者の雇用・労働の状態悪化があることに眼を背け、いっそう労働者に「自己責任」を強いている。これでは、労働者状態の悪化がいっそう進行することとなり、日本経済の再生には逆行するものと言わざるを得ない。

(いくま しげみ・会員・JMIU中央執行委員長)