労働総研ニュース No.234 2009年9月



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労働運動総合研究所
 アニュアル・リポート〜2008年度




労働運動総合研究所

アニュアル・リポート〜2008年度


「人間的な労働と生活の新たな構築をめざして」プロジェクト

年度中に取り組んだ調査研究テーマ

「人間的な労働と生活の新たな構築をめざして」

責 任 者 牧野 富夫

メンバー人数

5名(推進メンバー)

(1)調査研究が明らかにしようとしている中心点は何か
 明らかにすべき中心点・課題は、「人間的な労働と生活の新たな構築」のための理論的・実証的な処方箋の提起である。それにはまず、「労働と生活」を“破壊”してきた新自由主義・「構造改革」の展開を検証しなければならない。ついで、「人間的な労働と生活の構築」には“何が必要か”、その指標を明確にすべきである。

(2)年度期間中に明らかになった論点
 明らかになった第1点は、90年代半ば以降の「構造改革」による“雇用破壊”“社会保障改悪”が「労働と生活」を破壊した、ということ。第2は、「労働と生活の新たな構築」には、1)「経済的ゆとり」、2)「時間的ゆとり」、3)「心身の健康」が基本的な条件となる、ということ。

(3)これから解明すべき論点

  1. 「経済的ゆとり」実現の基礎的条件として、「安定した雇用」、「生活できる賃金」、「安心できる社会保障」が不可欠であり、その確保のための戦略を明確にすること。
  2. 「時間的ゆとり」実現の基礎的条件として、「労働時間の短縮」、「不規則勤務の是正」「休日の増加」などがある。これらを「人間らしい生活・生活時間」の視点から追求すること。
  3. 「心身の健康」確保のためにも、上記の「経済的ゆとり」、「時間的ゆとり」が必要であり、また医学その他学際的な解明が求められる。

(4)その他

  1. 09年12月の「労働総研20周年シンポジウム」で、上記の「中間報告」をおこなう。
  2. 上記研究をすすめるためのプロジェクトメンバーを決定する。
  3. 研究テーマのメンバーによる分担を決める。
  4. 2010年度の総会で「口頭報告」をおこない、総会の議論も反映させて同年中に文章化する。

賃金・最低賃金問題検討部会

年度中に取り組んだ調査研究テーマ

日本における市場賃金の実態と課題

責 任 者 小越洋之助

メンバー人数

9名

(1)調査研究が明らかにしようとしている中心点は何か
 調査研究テーマの副題は均等待遇の前提条件の解明、である。
 日本では正規女性労働者における男性労働者との均等待遇、男女賃金格差の縮小は遅々としている。この背景や課題について、従来の議論を整理しつつ、より具体的に解明していく。同時に、非正規雇用が年々増大し、そこにおいても女性労働者が多く、しかも非正規男女ともに低賃金の現状のなかで、正規との格差を縮小させる課題をも明らかにするように課題設定をしている。そのためには非正規の賃金決定の実態認識、そこでの課題、対策を認識することも均等待遇を実現させる条件となる。

(2)年度期間中に明らかになった論点
 同一(価値)労働同一賃金論として運動の側で整理されていない論点、とくに同一(価値)労働同一賃金に関係して、職務分析、職務評価導入の是非、職種別賃金・横断賃率の在り方について、過去と現状の研究動向の検討などを行ってきた。
 また、近年重視されている非正規雇用と正規雇用の均等待遇の在り方について、内外の状況の整理や、民間だけでなく公務の実情についても検討している。しかし、均等待遇のテーマは言うはやすいが現実に実現するには多くの超えるべき課題があることが分かってきた。

(3)これから解明すべき論点

  1. ILO、国連などの海外の動向の認識
  2. 非正規労働者を含めた外部労働市場における労働力の価格決定の実態分析(パートの賃金決定、パート労働法の影響、中途採用者賃金、初任給の影響範囲、賃金の地域格差等)
  3. 具体的事例の整理と理論的フレームワークの構築

(4)その他
 特になし。

女性労働研究部会

年度中に取り組んだ調査研究テーマ

ジェンダー平等への理論と運動の課題

責 任 者 川口 和子

メンバー人数

6名

(1)調査研究が明らかにしようとしている中心点は何か
 2008年度は、1)賃金の男女格差問題を中心に、国連「女性差別撤廃委員会」やILO「100号条約・勧告適用専門委員会」から日本政府への法改定をふくむ是正勧告を再三受けながら、たちおくれている現状をふまえ、その要因、背景、課題などについて検討し、賃金部会と合同研究会もおこなった。また 2)労組運動における男女共同参画について、全労連女性部との懇談や、全労働幹部を招いて同労組の女性部組織改編の事例も討議した。

(2)年度期間中に明らかになった論点
 1)の男女賃金格差については、戦後の「同一(価値)労働同一賃金」要求原則をめぐる「論争経過」、「裁判闘争の経過」、「労組の賃金闘争と男女格差是正の運動」の歩みもふり返りながら、財界の「人事・賃金管理の動向、変化」と併せて、とくに最近の、遠藤公嗣氏、森ますみ氏等による従来の属人給(年功給)から職務給への転換による職務の分析・評価の手法を重視される論調、小売業や福祉関係の「対人サービス業における“感情労働”」の評価など、新たな動向をとりあげ討議してきた。ヨーロッパのような職種別労働市場が確立していないうえ、労使協調的企業内労組が多くを占める日本において「同一価値労働」の判断基準をどう設定すべきか、また賃金の水準と形態の関連などが議論の焦点となった。

(3)これから解明すべき論点
 今年度は、これらの課題を引き続き討議するとともに、女性労働者の過半数を占めるに至った非正規労働者、雇用形態による賃金格差の問題もふくめて検討を深めたい。すでに8月の部会研究会では、正規職員とパートの均等待遇をめざしコンサルタントも起用して職務分析・評価をすすめている生協労連の事例研究を予定している。
 なお 2)についても、仕事と育児・介護など家庭責任はなお女性に重く、競争原理による労働強化等々の影響が、役員のなり手がないなど労組女性部の活動にも現れている現状を重視し、一定の法改定の一方で、イデオロギー攻撃をふくめて巧妙化している財界・政府の戦略の実態、労組女性部の独自要求や今日的役割など改めて討議を進めたい。とくに 1)の格差是正の課題は今日の貧困問題と表裏一体で、女性部の課題に止まらず、労組運動と男女共同参画のあり方を問うものでもあることに視点を置き、検討したい。

中小企業問題研究部会

年度中に取り組んだ調査研究テーマ

中小企業経営の現状と労働組合運動の発展

責 任 者 松丸 和夫

メンバー人数

11名

(1)研究経過
 当部会では、経済危機の進行がかつてない深刻さで中小企業経営を直撃しているもとで、中小企業関係単産が直面している諸問題に対処するため、部会メンバーを報告者につぎのような課題を明らかにしてきた。

  1. この間、全労連と全商連が共同で取り組んできた対政府(中小企業庁、金融庁や公正取引委員会)交渉を中心に、「中小企業の活性化、経営危機突破の共同について」のディスカッション・ペーパーをまとめて公表した。
  2. 中小の製造業、トラック運輸、印刷、一般中小などの産業や小規模零細業者が直面している諸問題を解明するため、「景気急落!中小企業の危機と労働組合の取り組み」について交流した。また、「中小企業の金融問題」について公開研究した。

(2)定例シンポジウムの開催について
 6月5日、「経済危機下で、どう雇用を守るか?―中小企業の現状と労働運動―」をテーマに労働総研定例シンポジウムを開催した。中小の経営者が自分や家族の賃金を削って従業員の雇用を守っていることや、労働組合主導で経営再建、雇用の確保を図っていることなどが報告された。学生を含む80名が参加した。

(3)研究成果の公表と今後の研究課題について
 今日の中小企業苦境の原因が、1)深刻な経済危機が長期化し、地域経済が疲弊していること、2)親会社・取引先から際限ない単価の切り下げが要請されていることなどが共通し、資金繰りなどの金融問題などが続いていることから、これを改善させる運動に資する研究を公開しながら継続し、一定の段階でまとめていく。
 また、政治的にも新たな段階を迎えるにあたり、改めて労働問題、労使関係、中小企業の在り方(政策)などを総合的に研究していくよう、逐次具体化する。

労働者状態統計分析研究部会

年度中に取り組んだ調査研究テーマ

労働者状態にかかわる統計資料の系統的分析と蓄積

責 任 者 藤田  宏

メンバー人数

12名

(1)調査研究が明らかにしようとしている中心点は何か
 労働総研と全労連で共同編集してきた『国民春闘白書』の内容充実である。同書は、06年度から春闘に役立つデータブックとして活用できる統計ハンドブック的性格の比重をさらに高めるという新しい編集方針にもとづいて作成されることになった。
 労働者状態統計分析研究部会は、この『国民春闘白書』を充実させるために、全労連とも協力して、1)労働者状態にかかわる統計の全般的分析、2)賃金、労働時間、雇用などの統計データにもとづく労働者状態の実相に迫る分析、3)大企業の企業分析と日本経済についてのマクロ的な研究調査をすすめ、その成果を2008年『国民春闘白書』に反映させてきた。この取り組みをひきつづき、部会の中心的課題に位置づけ、重視していくことにする。

(2)年度期間中に明らかになった論点
 各種統計にもとづいて労働者状態を分析し、労働組合運動の時々の政策的課題について明らかにすることである。
 この間、部会として、「非正規雇用の正規化と働くルールの厳守による雇用創出で日本経済の体質改善を」の試算をおこない、労働総研として、その成果を公表した。この試算は世界同時不況下で強行された大企業を先頭にした「非正規きり」の攻撃に反撃するうえで一定の役割をはたした。引き続き、労働組合運動の課題とかみあった政策的提起をしていくことにする

(3)これから解明すべき論点
 労働者状態にかかわる統計分析を土台にして、大企業職場の実態調査も含めておこない、不況下における労働組合運動の課題について解明する。また、労働者の状態悪化が進むなかで、労働者の状態悪化とのかかわりで連合の政策方針も分析し、一致できる要求・政策についての分析も行い、全労連のすすめる運動に寄与できるようにしたい。

(4)その他
 『国民春闘白書』の執筆はもちろん、『労働総研ニュース』、『労働総研クォータリー』などへの執筆、資料提供などの努力をさらに強めることにしたい。
 また、労働者状態にかかわる基礎資料の系統的分析と蓄積をはかると同時に、労働組合運動の時々の焦点になる課題についての統計資料の分析を行い、その成果を適当な形で公表する取り組みをすすめることにする。

国際労働研究部会

年度中に取り組んだ調査研究テーマ

世界各国の労働者の主なたたかいの実態

責 任 者 斉藤 隆夫

メンバー人数

15名

(1)調査研究が明らかにしようとしている中心点は何か
 ケース・スタデイの形で各国別に主要なたたかいの事例を取り上げ、闘争課題(要求)、たたかいの組織・規模・戦術、たたかいの到達点について実状の把握を期した。

(2)年度期間中に明らかになった特徴的な点
 07年8月に米国のサブプライムローン危機をきっかけに始まった世界的金融混乱のなかで、有価証券市場暴落によってそこから逃げ出した投機マネーが原油、穀物、食料などの商品市場に流入し、世界的な物価高騰を生み出した。ドイツ、フランス、イタリア、ベルギー、ギリシャなどの欧州諸国をはじめ南ア、エジプト、インドネシア、フィリピン、ロシアなど多くの国で賃上げ、減税、物価上昇規制など購買力擁護のたたかいが盛り上がりをみせたばかりでなく、農業・漁業などの小・零細業者の燃料費高騰に抗議するたたかいが起こった。
 年度後半以降は、住宅バブル崩壊とともに一挙に進行した米国の消費低迷は本格的な恐慌の色彩を強め、さらに米国への輸出低迷などを通して、世界経済は不況局面に入った。各国で企業倒産、工場閉鎖、解雇の嵐が吹き荒れ、これらに反対する労働組合のたたかいが活発に取り組まれた。ドイツでは、BMW、シーメンス、ヘンケルなどの大企業が相次いで人員削減案を発表し、解雇一時金と再雇用のための「社会計画」作成の約束を会社から引き出すなどの成果を挙げた。スペイン日産では、バルセロナ工場の人員削減案が発表されたが、組合の抗議行動の中、計画の一時中止を勝ち取った。

(3)これから解明すべき論点
 ひきつづき2009年の世界の労働者のたたかいの動向を調査・研究する。

関西圏産業労働研究部会

年度中に取り組んだ調査研究テーマ

現代資本主義と非正規雇用問題

責 任 者 丹下 晴喜

メンバー人数

8名

(1)調査・研究で明らかにしようとしている中心点はなにか
 2008年度関西圏産業労働研究部会では、「現代資本主義と非正規雇用問題」という課題を設定し、以下の研究会をおこなってきた。

○08年5月10日 『浅見和彦「戦後日本の組合組織化運動とその論点」を読む』(丹下晴喜)
○ 〃 7月19日

『非正規雇用問題を考える―『資本論』の現代的意義』(伍賀一道)
『中国人研修生・実習生問題の現状と課題―愛媛の事例から―』(久保友美恵)

○ 〃 10月4日

『丹野清人「越境する雇用システムと外国人労働者」の検討』(久保友美恵)
『非正規労働組合結成に対する既存労働組合の影響』(伊藤大一)

○ 〃 12月6日

『五十嵐仁「労働再規制」を読む』(丹下晴喜)
『サスキア・サッセン「労働と資本の国際移動」の検討』(久保友美恵)

○09年2月21日

『日本の外国人労働市場と中国人研究生・実習生制度』(久保友美恵)
『大経大における非雇用組織化の取り組み』(伊藤大一)

○ 〃 4月18日

『修士論文の構想報告』(久保友美恵)
『浜松市の日系ブラジル人調査報告』(植木洋)

 全体を通じての問題意識は、「資本と国家の動態のなかで資本蓄積(階級関係の再生産)が労働者階級の状態にどのような影響を与えているか」ということであった。

(2)年度期間中に明らかになった論点はなにか
 以上の問題意識をもとに、今年度、討議を行い明らかにした論点としては、1)経済学の理論、特に資本論との関連での非正規雇用問題の位置(7.19伍賀報告)、2)現代資本主義において非正規雇用問題を議論する枠組み(7.19伍賀報告、10.4久保報告、12.6丹下報告・久保報告)、3)非正規雇用と労働組合運動(5.10丹下報告、10.4・2.21伊藤報告)、4)非正規雇用、特に外国人研究生・実習生の労働・生活実態(7.19・2.21・4.18久保報告、4.18植木報告)であった。
 1)、2)については資本蓄積による階級関係の再生産とともに、国家の施策が就労強制というかたちでさらなる相対的過剰人口を生み出すメカニズムをもっていること、また国境を超えた労働力動員機構の形成が国内の労働基準の低下に大きな圧力をもたらしていること、などが整理できた。特に後者の問題は、間接雇用の国際的展開として重要な論点であると思う。
 3)については、1)、2)の論点とあいまって、今後の労働組合運動が国内の非正規問題のみならず、国際的に動員される非正規労働者の対応を余儀なくされることを明らかにした。特に外国人研修生・実習生の問題は国内の相対的過剰人口の死錘として機能しており、この問題への対応は、労働運動が労働基準の引き上げを行ううえで重要な課題となっている。
 その他、今年度の研究会では、以下のような成果があった。すなわち、昨年度に引き続き若手研究者の育成の場としての機能が発揮できたことである。修士論文を抱える院生に研究報告の機会を与え、議論を行うことで、若手研究者の能力向上に資することができた。また、伍賀会員の研究会への参加を通じて、これまでの枠をこえたネットワークの広がりができたと思う。

(3)これから解明すべき論点
 現代資本主義に関連する文献検討、ファクトファインディング、さらには関西での民主的・階級的立場での研究者のネットワークづくりを行いたい。
 また、研究内容のまとめと公表について具体的に検討していきたいと思う。

労働時間・健康問題研究部会

年度中に取り組んだ調査研究テーマ

「人間的な労働と生活の新たな構築をめざして」に関連して

責 任 者 西村 直樹

メンバー人数

8名

(1)調査研究が明らかにしようとしている中心点は何か
 労働時間・健康問題研究部会は実質的には3年ぶりの研究部会となり、健康問題を加えるとしたため、また労働総研の基本的プロジェクト「人間的な労働と生活のあらたな構築をめざして」と重なり合う課題ですから前提として、ILOのディーセント・ワークの実現をめざし、全労連・労働総研が最大の研究プロジェクトとしている「人間的な労働と生活の新たな構築をめざして」の内容を充実させ、実現に近づけていくための研究課題と活動をすすめることとした。

(2)年度期間中に明らかになった論点

第1回研究会 (081126)−12月12日、労働総研シンポジウム「人間的な労働と生活のあらたな構築をめざして」に出席、資料を各メンバーにも配布・送付。
第2回研究会 (090128)−東京社会医学研究センター理事長渡部真也先生の、労働者の健康維持のためのこれまでの研究活動のあらましの報告、課題の大きさに認識を新たにする。
第3回研究会 (090325)−天野寛子先生の報告「家事労働と労働時間短縮の運動について」。この課題と大きく関係するシンポジウム(いのち・健康・安全を蝕む深夜労働を告発するシンポジウム)が4月25日、全労連といのちと健康を守る全国センター、東京社医研センターの共催で行われるのでこれへの参加を確認。
第4回研究会 (090522)−4.25シンポジウムの「報告」を中心に、夜勤・交代制勤務・変形労働時間制の結合された現在の労働時間の実態について討論。
第5回研究会 (090703)

(3)これから解明すべき論点
 全労連が「いのちと健康を守る全国センター」、「東京社会医学研究センター」と共同して主催した「いのち・健康・安全を蝕む深夜労働を告発するシンポジウム」の活動は継続的にすすめられるということですから、このシンポジウムと並行して、告発だけでなく、考え方・社会意識の構築を大きなたたかいの目標として掲げる。具体的には以下に重点をおく。

(ア) ただ働き(サービス残業)の根絶をめざす運動を強力に進める。そのためには要員の確保、所定時間で生活できる賃金水準の確保をもとめ、最低賃金制の要求と運動とも緊密に結びついた研究活動を推進する。
(イ) 夜勤、交代制勤務、連続操業での交代制勤務などが変形労働時間制度と結び付けられて実施され、50通りとか70通りとかの勤務実態が強制されている現実を告発すると同時に、これらをもたらしている看護師の拘束17時間勤務、郵政の深夜勤(ふか夜勤と読む)のような長時間拘束を禁止すること(ILO基準では就労時間と労働時間終了時との間隔を11時間とする)。そのための夜勤・交代勤務の実態掌握と改善点のうきぼりをはかる。
(ウ) 作業におけるゆとり時間の回復の世論を当然のものとする社会意識の変更をかちとる運動を推進する。

(4)その他
 以上の活動を進めながら、必要に即して、全労連の「労働時間・休日休暇の政策」と日本共産党の「労働基準法の抜本改正をめざして」の若干のすりあわせをすすめ、全労連に提案して行くことも考える。

英語ライティング教室

年度中に取り組んだ調査研究テーマ

英文ライティングの基礎づくり

責 任 者 岡田 則男

メンバー人数

6名

(1)英語ライティング教室の目的
 国際的な連帯、共同の必要性が増大しているのにたいし、国際的なコミュニケーションに不可欠な英語が書ける人は、労働運動その他の民主的運動・組織にかぎらず、一般的に少ない。英語が書けるようになるためには、特別な努力で学習、訓練していかなければならない。このため、ジャパン・プレス・サービスの岡田則男氏を講師として、英語で海外に発信する能力を向上させることをめざし2005年3月より「英語ライティング教室」を毎月2回の割合で、全労連会館において開催している。毎回6人前後が参加している。

(2)内容
 参加者は毎回出される和文英訳の課題を「宿題」としてやり、教室では、講評、質疑応答をつうじて、英語ライティングの基本を学んでいる。

 ことしは、「書くための読み」と、基礎的な語法にかんする知識を向上させるために、労働運動にかぎらず、政治、経済、福祉、外交などあらゆる分野の、論評、インタビュー、エッセーなどを読み、そのなかの英語表現を中心に研究するようにしている。

 英文ライティングの材料としてことしは、尾林芳匡著『新 自治体民営化と公共サービスの質』(自治体研究社)の英訳に取り組んでいる。これは、著者自身が英訳出版を希望したのを受けたものである。自治体論、自治体労働者論などの基本的知識、判断が求められるものでもあり、かなり高度なかつ困難な翻訳であるが、同時に、欧州でも中南米でも、新自由主義の影響が自治体に影響をおよぼし、おおくの否定的な影響とのたたかいがおこっているなか、国際的な経験の研究や、全労連や自治労連などの国際交流にも役立てる学習にしたいと考えている。

 アメリカ労働運動史(Labor's Untold Story)の日本語翻訳にとりくんでいる。3月には合宿をおこない、6人が参加し翻訳経験交流もおこなった。

 青年労働者・学生を対象にした講座の開設を、ひきつづき追求する。

8月の研究活動

8月3日 若手研究者研究会
4日 労働者状態統計分析研究部会
6日 女性労働研究部会
10日 「人間的な労働と生活の新たな構築をめざして」プロジェクト

8月の事務局日誌

8月3日 2008年度第7回常任理事会
2008年度第2回理事会
2009年度定例総会
7日 事務局会議
21日 「教育のつどい2009」へメッセージ
27日 国公労連大会へメッセージ
29日 建交労大会へメッセージ