労働総研ニュース No.233 2009年8月



目   次

東北で働く単身者に保障されるべき最低生計費はいくらか
2009年度定例総会報告他
20周年記念労働総研奨励賞への応募のよびかけ他




 労働総研の熊谷金道代表理事と金澤誠一理事(佛教大学教授)は、全労連、全労連東北地方協議会とともに、7月27日、「東北地方における最低生計費試算」を発表しました。以下の文章は記者発表の概要です。

東北で働く単身者に保障されるべき
最低生計費はいくらか

生活実態調査、持ち物財調査、物価調査に基づく、最低生計費試算

2009年7月27日
全国労働組合総連合(全労連)
全労連東北地方協議会
労働運動総合研究所(労働総研)
監修責任者 佛教大学教授 金澤 誠一



2008年度第7回常任理事会報告

 2008年度第7回常任理事会は、全労連会館で、2009年8月3日午前11時から午後0時30分まで、牧野富夫代表理事の司会で行われた。

I 報告事項

 大須眞治事務局長より、「東北における最低生計費試算調査」記者発表など、前回常任理事会以降の企画委員会・事務局活動、また研究活動についてなどが報告され、了承された。

II 協議事項

1) 事務局長より、2009年度定例総会方針案の一部修正が提案され、討議の中で出された修正提案を含めて理事会・総会に提案することが確認された。
2) 事務局長より、常任理事の補充として藤田宏理事を常任理事とすることを理事会において提案することが報告され、承認された。
3) 事務局長より、「2008年度会計報告」「2009年度予算案」について報告され、総会への提案が承認された。
4) 事務局長より第2回理事会および2009年度定例総会の進行と役割分担について提案され、承認された。
5) 事務局長より20周年記念労働総研奨励賞について、表彰実施要綱・運営覚書・応募のよびかけ・募金のよびかけについての各案文について、また今後の進め方について提案がされ、協議のうえ承認をした。

2008年度第2回理事会報告

 2008年度第2回理事会は、2009年8月3日午後1時から2時まで、全労連会館にて開催された。冒頭、大須眞治事務局長が第2回理事会は規約第30条の規定を満たしており、会議は有効に成立していることを宣言した後、熊谷金道代表理事の議長で議事は進められた。
 事務局長より、2009年度定例総会に提案する議題が提案された。討議した結果、常任理事会による一部修正案を含めて、各議題を2009年度定例総会に提案することが確認された。
 また、常任理事の補充として藤田宏理事を常任理事とすることが提案され、承認された。

2009年度定例総会報告


1.  2009年8月3日、東京都文京区湯島2-4-4の平和と労働センター・全労連会館において、労働運動総合研究所2009年度定例総会は開催された。
2.  午後2時、大須眞治事務局長が、規約第22条により本総会は有効に成立しているとして、開会を宣言した。議案の審議に先立ち、この1年に逝去された藤吉信博常任理事・事務局次長、上田誠吉理事、江口英一理事、塩田庄兵衛理事、竹内真一理事への哀悼の意を表し、出席者全員で黙祷をささげた。続いて事務局長が議長の選出を諮ったところ、全会一致で金田豊理事を議長に選出した。
3.  金田議長は、規約第25条の規定により、議事録署名人の選任を諮った。その結果、議長及び天野光則常任理事、川口和子理事の2名を選出した。引き続き、大木一訓代表理事が主催者挨拶をおこなった。次いで、大黒作治全労連議長が来賓挨拶をおこなった。
4.

 第1号議案「2008年度における経過報告」について事務局長より提案され、全員異議なく承認された。
 第2号議案「2008年度会計報告」について事務局長より、また、第3号議案「2008年度監査報告」について、渡辺正道監事により報告され、全員異議なく承認された。

5.  続いて、第4号議案「2009年度方針案」の「研究所をめぐる情勢の特徴」が、藤田実常任理事より理事会による一部修正を含めて提案された。次いで「2009年度事業計画」および「研究所活動の充実と改善」について事務局長より提案された。
6.  討議において、以下の論点が討論された。
(1) 生活保護制度について
 生活保護制度については、この間の「派遣村」の活動に典型的にみられるように、運動の力によって、窓口規制などについて、一定程度運用の改善がなされてきたとはいえ、制度的な改善はなされていないので、この点について運動をつよめる必要がある。
(2)

社会保障の財源問題他について
 「社会保障のあり方検討会」については、社会保障の財源問題にも踏み込んで研究することは重要で、大いに賛成である。給付のわずかな改善を消費税増税など低所得者への増税で差し引かれるようでは何にもならない。社会保障の財源再検討がすすめられている時に時宜にかなったような形での検討を行っていただきたい。

(3)

国と自治体の財政問題について
 輸出主導の経済構造から内需主導の経済構造へ転換するというだけでは、不十分で、「真の内需主導」というべきである。内需主導ということで大型公共投資の経済にもどるようなことにならないようにしなければならない。

(4)

社会保障と「セーフティネット」について
 社会保障の経済効果としては、所得再配分機能の強化が重視されなければならない。

(5)

人間らしい労働と生活の研究について
 労働者・国民が人間らしく働き生活できるような経済構造にしていくこと自体が内需主導の経済をつくっていくことになる。労働者の生活を豊かにすること自体が経済構造の転換の実現になる。

(6)

「世界の労働者のたたかい―世界の労働組合運動の現状調査報告」について
 EUや北欧の社会民主政党の実態について、もっと注目していくことが必要なのではないか。ILOの動きなども重視していくことが重要ではないか。

(7)

労働組合の組織論について
 職場に団結の基礎を構築する意義を重視し、資本と対決する方向を明確することが必要ではないか。ローカルユニオンの活動もそのような中に位置づけられるのではないか。


 など延べ9人が発言し、議案の一部修正を含め、「2009年度方針案」は全員一致で承認された。なお、修正部分は「労働総研ニュース」2009年6・7月号の以下の箇所。

5ページ、右段下から12行目
「雇用・失業対策・生活保護などの制度・運用に一定の改善をかちとる」
→「雇用・失業対策・生活保護などの運用に一定の改善をかちとる」

5ページ、右段下から3行目
「偽装派遣」→「偽装請負」

6ページ、左段上から9行目
「同時に、これらの組織と運動をさらに前進させるためには、非正規労働者と一体となった正規労働者のたたかい、全労連と傘下組織の労働者がそれを自らの課題として財政支援を含めどれだけ連体・共同の運動が本格的に追求できるかが決定的に重要になっている。」
→「同時に、これらの組織と運動をさらに前進させるためには、非正規労働者と連携・一体となった正規労働者のたたかい、全労連と傘下組織の労働者がそれを自らの課題として財政支援を含めどれだけ連帯・共同の運動が本格的に追求できるかが決定的に重要になっている。」

6ページ、右段上から2行目
「国政の基本において自公政権と多くの共通点を持つ民主党では国民の切実な願いに真に応えられないことも明らかである。」
→「国政の基本において自公政権と多くの共通点を持つ民主党が国民の要求に応えていくうえでいくつもの重大な弱点をかかえていることは明らかである。」

7ページ、左段下から16行目
「(4)残業の上限規制、サービス残業の全廃など労働時間の規制」
→「(4)サービス残業の全廃、残業の上限規制など労働時間問題の改善」

8ページ、右段下から18行目
「後期高齢者保険制度」
→「後期高齢者医療制度」

7. 続いて、第5号議案「2009年度予算案」について、事務局長より提案され、全員一致で異議なく承認された。
8. 次に、事務局長より、理事会において常任理事の補充として藤田宏理事を常任理事としたことが報告された。
9. 次に、総会における決議事項がすべて終了したので、金田議長より議長解任の挨拶がおこなわれた。
10. 以上で、2009年度定例総会の全日程は終了した。閉会は午後5時であった。

 なお、閉会後懇親会が、黒川俊雄顧問の乾杯で始まり、なごやかにおこなわれた。

20周年記念労働総研奨励賞への応募のよびかけ

 労働運動総合研究所は、「労働運動の必要に応えるとともに国民生活の充実向上に資することを目的として」1989年12月11日に設立されました。
 それ以来20年間にわたり、当研究所は新しいナショナルセンターである全国労働組合総連合との協力・共同のもとに、運動の発展に積極的に寄与する調査研究・政策活動をすすめ、多くの成果を上げてきました。とはいえ、今日の労働運動をめぐる社会的諸条件は、国内においても国際的にも激動の時期にさしかかっています。解決すべき労働運動の抱えている課題にくらべれば、研究所として取り組まなければならない研究課題は山積されているといっても過言ではありません。
 このたび、研究所創設20周年を記念して、労働運動に関連する調査・研究の発展を期待して、「20周年記念労働総研奨励賞表彰事業」を実施することとしました。多数の方が応募していただくことをお願いする次第です。

<応募要領・応募資格>

(1) 個人部門は、40歳未満(2010年3月末現在)、応募論文は2009年1月1日から2010年3月末日までに作成されたもの、または発表されたもの。
(2) 団体部門は、労働組合調査部などによる調査研究活動で、2009年1月1日から2010年3月末日までに作成されたもの、または発表されたもの。

<応募時期・発表>

個人部門、団体部門とも2009年9月1日から2010年3月末日までに、労働運動総合研究所事務局に郵送またはメールで提出する。提出は本人の責任でおこなう。
入選者は、2010年7月の上旬頃に本人宛に通知し、7月下旬予定の2010年度労働総研定例総会で表彰する。

<表彰・賞金>

労働総研奨励賞1席1編、賞金30万円  (個人部門、団体部門それぞれ同じ)
労働総研奨励賞2席2編、賞金各15万円(個人部門、団体部門それぞれ同じ)

<選考委員>

委員長 日野秀逸常任理事・東北大学名誉教授

20周年記念労働総研奨励賞表彰事業に関する募金のお願い

 労働運動総合研究所は、このたび創立20周年をむかえるにあたって労働総研奨励賞の表彰事業を行うこととしました。
 この事業は、労働運動に関連する分野での研究や調査研究の今後の発展を促すためのものとして実施するものです。これによって若手研究者の労働組合に関連する分野での研究活動が活発化し、労働組合調査部などでの調査活動が盛んになることが期待されます。
 また、このような研究活動の成果を踏まえて、労働組合活動の一層の発展も期待されるものになっています。
 このような意義のある表彰事業をすすめるのに必要な資金について、多くの方々のご協力をお願いする次第です。
 募金は1口2000円で何口でもかまいません。何かにつけお金のいる時期であり、大変恐縮ではありますが、事業の趣旨をご賢察の上、募金いただければ幸いと思います。
 なお、ご送金の際の口座などは、労働総研事務局までお問い合わせ下さい。

労働運動総合研究所
〒102-0093 東京都千代田区平河町1-9-1 メゾン平河町501
Tel(03)3230-0441 Fax(03)3230-0442
E-MAIL rodo-soken@nifty.com

7月の研究活動

7月3日 労働時間・健康問題研究部会
12日 「地域政策検討」プロジェクト
14日 賃金最賃問題検討部会
18日 「人間的な労働と生活の新たな構築をめざして」プロジェクト
22日 中小企業問題研究部会
23日 国際労働研究部会
25日 「地域政策検討」プロジェクト
 

7月の事務局日誌

7月11日 全印総連大会へメッセージ
18日

第6回企画委員会
JMIU大会へメッセージ

22日 会計監査
24日 事務局会議
27日 最低生計費調査記者発表
28日 日本医労連大会へメッセージ
31日 全労連臨時大会へメッセージ