労働総研ニュースNo.197号 2006年8月



目   次

・前進し始めたパート均等待遇・最低賃金の運動―06国民春闘の成果とその特徴について
・常任理事会・理事会・定例総会報告
・2006〜2007年度役員名簿
・事務局日誌・研究活動他




前進し始めたパート均等待遇・最低賃金の運動

06国民春闘の成果とその特徴について

中島 康浩

 労働総研2006年度定例総会の議案書は、11ページから12ページにかけて「4.労働組合運動が直面する課題」の項に「変化の特徴」が紹介されています。「第1に、春闘は終焉しなかった」として「賃上げ春闘への国民的理解を広げ、最低賃金、パート均等待遇、公契約運動などで一定の前進をかちとるようになった」と評価しています。

 本稿はこの点について、もう少し成果や教訓、特徴点を鮮明にしたいと思い、労働組合運動の内部から見た変化の特徴に関して考察したもので、総会における筆者の発言メモをベースに追加取材、加筆したものです。

1.パート均等待遇の到達点

(1)パート・非常勤などの賃上げ獲得状況と特徴

 全労連・春闘共闘がこの間の春闘で強調し、06春闘でとりわけ重視してきたパート賃上げは、各単産の意識的な取りくみにようやく発展しつつあります。それは、中央単産の方針が温度差を抱えながら職場段階の役員のみなさんに徹底され始めたということです。今年は「雇用機会均等法の改正論議」を背景とした世論形成に努め、「パートの労働力不足」という有利な条件も反映して、これまでにない成果を獲得しました。

 06春闘での回答の特徴は、(1)獲得組合数が239組合に達し、前年同期の187組合を上回ったこと、(2)時間給引上げの平均は16.6円となり、前年同期の11.0円を大幅に上回ったこと、(3)なかには50円、100円、150円、最高200円という報告が見られることです。20円以上の引上げを獲得した組合は計36組合に達しています。

 時間給100円を引き上げた建設関連の組合では、パートは組合員ではありませんが、本部や春闘共闘がうるさく言うので、試しに春闘要求書に一行付け加えたら、いきなり100円の回答があり、要求した組合がビックリして、パートさん達から大変に喜ばれたということです。

 生協労連パート部会では、民間パート時給のなかでも低位の水準を何とか引き上げようと、単組、地連ごとに「正規とパートの賃金比較表」をつくって理事会との交渉に臨んでいます。時間額比較、月収・年収比較による格差は歴然としています。厚労省が発表している「パート管理職の賃金実態」も活用しながら、「せめて正規の8割に」との要求に、理事会側も前面否定することはできません。大型店の身勝手な大量出店などによる経営難を抱えながらも、70組合平均で7.1円(ゼロを含む)の引上げを勝ちとりました。

(2)パートの一時金獲得状況

 パート・アルバイト等の夏季一時金は8月8日の最終集計で、16単産208組合(前年は137組合)に回答があり、時間給パート149組合の平均は0.72ヵ月分、支給額にして5万5290円でした。前年同期との比較では、(1)回答組合数が大幅に増えていることです。(2)支給月数は減少傾向ですが、前年対比が可能な同一組合では基礎時給が上昇している分、支給額は若干のプラスになるものと思われます。

(3)均等待遇と労働条件改善の獲得状況

 パート等の均等待遇と労働条件改善の課題が、大きく前進し始めたのが06春闘の特筆すべき成果といえます。生協労連をはじめ、全労連全国一般、建交労、日本医労連、福祉保育労、自治労連などパートを組織している単産や、JMIU、出版労連、民放労連など非正規労働者の要求実現を重視してきた単産を中心に、均等待遇、労働条件改善に係る成果が生まれ、計100組合に達しました。

 今年の特徴は、次のような要求が実現たことです。

「忌引休暇4日〜1日を付与」(福祉保育労)

「3月年度末一時金支給」(生協パートなど8組合)

「男女均等待遇・格差是正」(JMIUなど8組合)

「社会保険加入・負担割合改善」(自治労連など3組合)

「健康診断・安全衛生」(自治労連・福祉保育労など6組合)

「正社員化・雇止め阻止・雇用保障」(建交労・全国一般・自治労連など24組合)

「継続雇用・再雇用」(生協パート、全国一般など12組合)

「退職金増額」(生協パートなど5組合)

 その他としては、「各種手当の引上げ」が各単産に共通し、「クオカード支給」「視聴率祝い金」は民放労連が獲得、「争議解決」では自治労連が奮闘しました。

 JMIUでは、06春闘の産別統一要求書に「(賃金・労働条件に関わる)男女差別の是正」を加え、パートなど非正規労働者の要求実現を重視してきました。回答は有名企業のほとんどが新卒採用時の初任給などを示しながら「当社は差別しておりません」などと回答してきます。また、各支部の賃上げ要求「一律3万円プラス格差是正」「パートは同率の賃金引上げ」の要求にたいし、今年は5支部が均等待遇(賃金差別なし)などとして、同率の賃上げを回答しました。うち東京のAエレクトロ支部では正規労働者の賃上げが1.79%、5,606円で、パートも同率の時給15円の引き上げと、パートにも61歳以上の雇用延長が実現しました。

 建交労運輸の組合では、H陸運で50名、K陸運で7名、H貨物で5名の正社員化を勝ちとりました。うち、50名の正社員化を実現させたH陸運では昨年末、非正規のなかまが「社会保険に入りたい」という切実な要求を実現させるために労組を結成して建交労に加入しました。同社は県トラック協会の幹部企業です。労働基準局交渉で特別な行政指導を要請したところ、当局から直ちに特別指導があり、健保、厚生年金、雇用保険などの社会保険に加入することを認めさせ、同時に全員の正社員化が実現したものです。

2.最低賃金の改善とたたかいの到達点

(1)企業内最賃獲得状況の特徴

 職場からの賃金底上げ闘争の柱として、すべての職場で企業内最賃を協定・改定しようという運動は、1990年の春闘共闘発足以来これまでに810組合が協定しています。06春闘では建交労、JMIU、化学一般、全印総連、出版労連、日本医労連などの8単産207組合が協定しました。

うち、金額を引き上げて改定した組合は21組合(06協定数の約10%)でした。ひきつづく総額人件費抑制攻撃のなかでの成果として評価しています。

 この結果、「誰でも」対象となる企業内最賃の単産ごとの平均的な水準は14万8000円(化学一般労連)〜17万0231円(建交労運輸)となり、全体平均は16万0398円になりました。また、職種別の建交労・トラック運転手最賃が19万6000円、日本医労連の看護師最賃が19万1989円に各々改善されました。この水準は、つぎに述べる地域別最低賃金の改善、労政審最賃部会での最賃法改正論議にとって、たいへん有効な、価値ある水準だと思います。

 建交労・運輸のK分会では、契約社員から労働相談を受けたのを契機に組織化に成功しました。この支部はもともと「建交労最賃」15万6000円を協定しており、満勤しても月額で12万数千円にしかならなかった契約社員にも建交労最賃が適用され、月額で約3万円の賃上げになったものです。産別最賃が、組織拡大と大幅賃上げに結びついた事例です。

 一方、ある民間単産では、春闘方針で強調したのに成果があがってこないことから、各単組を点検したら、ほとんどの組合が要求していなかったことが判明しました。自らの賃上げが不十分なのは、「底」が抜けているからという賃金実態の確認と理論がまだまだ徹底しきれていない報告として教訓的でした。

(2)地域別最低賃金「目安」答申のたたかい

 7月26日、中央最低賃金審議会は、06年度の地域別最低賃金の目安を、Aランク4円、Bランク4円、Cランク3円、Dランク2円という超低額の答申を行いました。

 全国加重平均は671円になるといわれていますが、8時間労働 平均20日勤務で11万円にも達しないし、単身者の生計費(最低でも15万円以上)に遠く及ばない水準です。全労連は同日、坂内事務局長談話を発表して「2〜4円の目安は極めて不十分であり、地域間の格差を容認・助長している点で、不当と言わざるを得ない」と、きびしく批判したところです。

 この間の闘いの特徴は、最賃闘争を「官民一体」の課題として、中央、地方で取りくんできたことです。中央の最賃・人勧デーは、中賃の審議日に合わせて5月以降4次にわたり、668分の厚労省前ハンガーストライキ、赤坂・茜荘(厚労省の宿泊施設)前での要求行動、答申日当日の抗議行動などに民間、公務各単産の組合旗が並びました。「最賃改善」を掲げた公務のなかまの2次にわたる中央行動を含めると、のべ5,540人が参加しています。

 連動して地方の運動も大きく前進しはじめているのが特徴です。各地方の最低賃金月額(税金・社会保険料を控除した10万円前後)で1ヵ月暮らしてみるという最賃生活体験や、人事院の標準生計費生活体験に参加した仲間は、今年も全国19地方で437人に達しました。「食事は一日2食しか摂れない」「友達付き合いができない」「病気になっても医者にかかれない」「休日は出掛けない」など、ナイナイづくしでも15万円前後かかるのが一般的で、各地の新聞、テレビが大々的に報道しました。地域審議会での意見陳述も実現数が増え、審議委員に立候補する役員も34地方と中央の53名に達しています(未実現)。最賃引上げの自治体意見書の採択運動は24地方で取りくまれ、63自治体が採択し14自治体で趣旨採択されました。京都総評では、仏教大学・金澤教授の協力を得て生活実態調査、持ち物財調査などから全国初の「最低生計費試算についての報告書」を発表しました。これによる若年単身者の最低生活費は18万5426円、年収は222.5万円とされています。

 また、連合の労働者側審議委員との連携も強めています。最終段階では、全労連・春闘共闘調べのパート賃上げ一覧や、これをランク別に再整理した資料=Aランク21.4円アップ、Bランク23.2円、Cランク18.6円、Dランク10.5円というランク別賃上げ一覧を提供しました。また、東京、埼玉、神奈川、三重で実施している「募集時給に見るパート賃金の上昇」という緊急調査結果、埼玉県で対前年49円アップ、神奈川県で19円アップなどの資料も審議の参考にしてもらいました。

 こうした行動や資料提供に励まされた連合の労働者委員が、審議の場で奮闘していることも最近の大きな変化です。さいたま市で14万6000円、延岡市で13万4000円などの必要最低生活費を示しながら、「単身でも最低限の生活ができる水準を実現すべく、明確な水準に改善を」と最後まで二桁台の引き上げを強く主張したことが、小委員会報告に記載されています。

(3)法律改正にむけた労政審最賃部会の審議状況

 最低賃金法の抜本的な改正問題を審議している厚労省の労政審労働条件分科会最賃部会は、中賃の審議委員とダブルため、9月から部会審議が再開され、来春の法改正に向けて、急ピッチで審議がすすむものと思われます。

 これまで、公益委員主導で策定された「最低賃金制度のあり方に関する研究会報告書」にもとづく試案をベースに、05年6月以降13回の審議を重ねてきました。昨年の「研究会報告」の特徴は、地域別最賃については、(1)地域別最低賃金の水準について、「生活保護の水準を下回らないようにすることが必要」としたのをはじめ、(2)「類似の労働者の賃金は(30人未満でなく)一般労働者の賃金水準も重視する」(3)「罰金(現行2万円)の引き上げ」の3点が中心です。なお、(4)「地域の設定単位の見直し」(全労連は「全国一律」を要求中)、に後退しています。また、産別最賃については、(5)「現行小くくりの産別最賃を廃止し、職種別最賃を設定する」ことなどがあげられています。

 この間の部会では、使用者側が「産別最賃を廃止するというのに、職種別設定最賃なる新たな屋上屋が架せられる」などと批判し、公益「試案」に反対してきたが、7月の部会では「適用対象労働者の定義」「申出要件」などの議論に意見を出すようになっています。

 私たちは、32年ぶりの法律改正にあたり、積極面を法律策定に十分生かしていくこと、また、ひきつづき全国一律最賃制の確立を求め、現行産別最賃の廃止には反対の態度を表明してきたところです。今秋から運動としては、学習、宣伝、署名活動などを展開しますが、理論的な要に、ナショナル・ミニマムの機軸としての全国一律最賃制の確立をすえて、実効ある法制度を獲得したいと思います。

3.公契約運動の前進

 特徴としては、公契約に係る自治体決議、行政指導が広がってきたことです。「公契約における賃金と労働条件の改善を求める陳情」など公契約条例の制定、または国へ制定の検討を求める自治体決議は全国の72自治体に広がってきました。また、「発注工事における適切な賃金指導」は函館市をはじめ17自治体で実施するようになりました。

 地域春闘の目玉としては、自治体キャラバンによる時間給引上げ運動が広がりはじめました。自治体のパート・非常勤職員の時間給調査と賃金改善を求める全自治体調査・対話運動、いわゆる「埼玉方式」が、今年は関東ブロックの各県や三重県など10都県に広がり、最賃違反を是正させたり、最賃スレスレの時間給を引上げる成果をかちとってきました。


 以上のような運動の成果については、全労連・春闘共闘レベルの民間総組合数が約4,500組合(支部・分会)という母数から見ると少ないかも知れませんが…。「格差是正」「均等待遇」に向けた新たな前進の一歩として評価しているものです。
(なかじま やすひろ・会員・全労連賃金対策部長)


2005年度第7回常任理事会報告

 労働総研2005年度第7回常任理事会は、平和と労働センター・全労連会館3階会議室において2006年7月29日午前11時から正午まで、牧野富夫代表理事の司会でおこなわれた。

 第2回理事会に提出する「2006年度定例総会方針案」について、大須眞治事務局長より提案された。

 次いで、事務局長より、2005年度会計報告がされ、討議の結果、第2回理事会に報告し、了承を得た上で、2006年度定例総会に提出することが確認された。引き続き、事務局長より2006年度予算案が提案され、討議の結果、第2回理事会に提案し、了承を得た上で、2006年度定例総会に提出することが確認された。続いて、事務局長より、2006年度〜2007年度の役員名簿が提案され、討議の結果、第2回理事会に提案し、了承を得た上で、2006年度総会に提案することが確認された。


2005年度第2回理事会報告

 労働総研2005年度第2回理事会は、平和と労働センター・全労連会館3階会議室において、2006年7月29日午後1時より2時まで開催された。会議開催にあたり、大須眞治事務局長が第2回理事会は規約第30条の規定を満たしており、会議が有効に成立していることを宣言した。

 大木一訓代表理事が司会を兼ねた挨拶をおこなった後、牧野富夫代表理事を議長に選出し、議事は進められた。

 事務局長より、2006年度定例総会に提案する議題が提案された。第1号議案「2005年度における経過報告案」、第2号議案「2005年度会計報告」、第3号議案「会計監査報告」、第4号議案「2006年度方針案」、第5号議案「2006年度予算案」、2006年度〜2007年度の役員名簿が提案された。それぞれの議案を討議した結果、各議題を2006年度定例総会に提案することが確認された。


2006年度定例総会報告

 1.2006年7月29日、東京都文京区湯島2-4-4の平和と労働センター・全労連会館において、労働運動総合研究所2006年度定例総会は開催された。

 2.午後2時、大須眞治事務局長が、本総会は有効に成立しているとして、開会を宣言した。続いて、事務局長が議長の選出を諮ったところ、全会一致で儀我壮一郎理事を議長に選出した。

 3.儀我議長は、規約第25条の規定により、議事録署名人の選任を諮った。その結果、議長及び金田豊常任理事と川口和子理事の2名を選出した。議案の審議に先立ち大木一訓代表理事が主催者挨拶をおこなった。

 次いで、坂内三夫全労連議長が要旨次のような来賓挨拶をおこなった。全労連は憲法・教育基本法改悪反対で、国民多数派を結集する運動の先頭に立って奮闘する。大会で決定した運動の3つのキーワードは、(1)「戦争をしない・参加しない日本」をつくる、(2)「働くルールを確立し、格差と貧困を是正する」、(3)「持続可能な地域社会の実現をめざす」であり、それを実現するためにも、組織拡大に全力で取り組む方針を確立した。労働総研と共同でおこなった「労働組合の活動実態と課題と展望」調査は、非正規・未組織労働者の20%が労働組合への参加を希望していることをあきらかにしており、困難だが組織化は十分に可能である。ナショナル・センター機能の強化のため、「恒常的政策委員会」を設置し、労働総研や単産の協力をも得て、来春闘までに成果主義とどうたたかうか、高齢者継続雇用法の活用などの問題で、職場の実践にかみあった政策を提起したい。そのためにも、労働総研の活躍を期待したい。

 4.第1号議案「2005年度における経過報告案」について事務局長より提案され、全員異議なく承認された。

 第2号議案「2005年度会計報告」について事務局長より、また、第3号議案「2005年度監査報告」について、宮垣忠監事より報告され、全員異議なく承認された。

 5.続いて、第4号議案「2006年度方針案」について事務局長より、「研究所をめぐる情勢の特徴」、「2006年度事業計画」、「研究所活動の充実と改善」の3項目にわたり提案された。なお、事務局長は「2006年度事業計画」の項で、EWSの活動、および全労連の「パート・臨時などではたらくみんなのアンケート調査」への協力は、06年度の事業として当然のこととして継続することを補足提案した。

 6.審議において、(1)財政学的には「小さな政府」論を見ると、「規制緩和路線」、「小さな政府」と「大きな国民負担」は3点セットであるから、「小さな政府」政府路線へのわれわれの対抗提案も3点セットで押し出す必要があること、(2)小泉自公内閣は、日米大企業の要請に積極的に呼応して、労働法制の「規制緩和」を強行しているが、OECDは今後企業規制を強化する方向であり、これらの点を具体的に詳しく紹介していくことが、日本の労働運動を発展させていく上でも必要であること、(3)全労連・労働組合運動の発展にとって、職場労働者に役立つ即効性のある政策提言が求められており、その点で「恒常的政策委員会」への協力が重要であること、(4)財界、大企業は「春闘終焉」を宣言してきたが、今春闘の結果を見ると、要求の前進という観点からすれば、不十分さはあるものの、顕著な前進があることを重視しなければならないこと(『労働総研ニュース』本号、中島論文参照)、(5)日本の貧困率がOECDのなかでもずば抜けて高い背景には、失業・不安定雇用の増大、賃金切り下げ、生活保護水準の切り下げ、年金・医療・社会保障の収奪制度化などがある。最低保障年金をはじめ、労働者・国民生活の最低限を保障し、格差を是正するためのナショナル・ミニマムを確立する国民的運動が重要になっており、こうした共通する問題群を解明するため、年2回ほど研究部会の交流会をおこなうよう検討すること、(6)50年前にできた生活協同組合法が改悪されようとしており、地域における労働者・住民の生活をどのように向上させるかという問題が重要な局面をむかえていること、(7)「新自由主義」的グローバリゼーションの失敗事例をも解明し、国民生活が豊かになるような税金の使い方、政治闘争の紹介など、国際視野に立つ研究を深めていくこと、(8)研究部会は労働運動の実践的要請に応え、短期で成果を発表することが重要であり、そのためにはディスカッション・ペーパーなどで適時報告して、運動に役立てるような方向で研究部会を運営していくことが必要であること、(9)研究活動においても、情勢分析をおこなったように中長期な時間軸にもとづく短中長期の計画を立てる必要があること、など、延べ15名が発言した。審議の中で出された意見は、常任理事会で具体化のための検討をおこなうことが確認され、「2006年度方針案」は全員一致で承認された。

 5.続いて、第5号議案「2006年度予算案」について、事務局長より提案され、全員一致で異議なく承認された。

 6.次に、牧野代表理事より、2006年度〜2007年度の新役員名簿が提案され、討議の結果、全員異議なく承認された。

 7.総会は一時休憩し、新理事会が開かれ、理事の互選により、新代表理事および新常任理事が選出された。代表理事によって大須常任理事が事務局長に、藤吉常任理事が事務局次長に任命されたのち、総会が再会され、牧野代表理事より、新理事会の互選の結果、および事務局長、事務局次長任命について報告された。

 8.次に、総会における決議事項がすべて終了したので、儀我議長より議長解任の挨拶がおこなわれた。

 9.続いて、新役員を代表して、熊谷金道代表理事より挨拶がおこなわれたのち、退任役員と新顧問を代表して、大江洸顧問より挨拶がおこなわれた。

 10.続いて、大木一訓代表理事より、労働総研の調査研究活動に、総会で審議された積極的な内容を活かしていきたいとの閉会の挨拶がおこなわれた。

 11.以上で、2006年度定例総会の全日程は終了した。閉会は午後5時30分であった。


2006〜2007年度役員名簿

代=代表理事・常=常任理事

<理事>
  相澤 與一(高崎健康福祉大学教授)
常 天野 光則(千葉商科大学教授)
  一ノ瀬秀文(大阪市大名誉教授)
  池田 寛 (日本医労連副委員長)
  伊藤 セツ(昭和女子大教授)
  上田 誠吉(弁護士)
  内山 昭 (立命館大教授)
  宇和川 邁(労働問題研究者)
  江口 英一(中央大名誉教授)
  江尻 尚子(元日本医労連委員長)
代 大木 一訓(日本福祉大教授)
常 大須 眞治(中央大教授)
  小川 政亮(日本社会事業大名誉教授)
常 小越洋之助(國學院大教授)
  鬼丸 朋子(桜美林大講師)
  角瀬 保雄(法政大名誉教授)
  上条 貞夫(弁護士)
  金澤 誠一(佛教大教授)
  金田 豊 (労働問題研究者)
常 唐鎌 直義(専修大教授)
  川口 和子(女性労働問題研究者)
  儀我壮一郎(大阪市大名誉教授)
  木元進一郎(明治大名誉教授)
  草島 和幸(労働問題研究者)
代 熊谷 金道(前全労連議長)
  黒田 兼一(明治大教授)
常 伍賀 一道(金沢大教授)
  木暮 雅夫(日本大教授)
常 小林 宏康(労働者教育協会)
常 齊藤 園生(弁護士)
常 斎藤 隆夫(群馬大教授)
  桜井 徹 (日本大教授)
  椎名 恒 (北海道大教授)
  塩田庄兵衛(都立大・立命館大名誉教授)
  島崎 晴哉(中央大名誉教授)
  下山 房雄(九州大名誉教授)
  清山 玲 (茨城大教授)
  芹沢 寿良(高知短大名誉教授)
  高木 督夫(法政大名誉教授)
  田口 美雄(自治労連中央執行委員)
  竹内 真一(明治学院大名誉教授)
  辻岡 靖仁(労働者教育協会)
  永山 利和(日本大教授)
  西村 直樹(金属労研事務室長)
  長谷川正安(名古屋大名誉教授)
常 浜岡 政好(佛教大教授)
  浜林 正夫(一橋大名誉教授)
常 日野 秀逸(東北大教授)
  藤田 宏 (労働問題研究者)
常 藤田 実 (桜美林大教授)
常 藤吉 信博(労働総研)
代 牧野 富夫(日本大教授)
  松丸 和夫(中央大教授)
  村上 英吾(日本大助教授)
  八幡 一秀(中央大教授)
  山瀬 徳行(国公労連副委員長)
  吉田 敬一(駒沢大教授)
  吉田 健一(弁護士)
常 萬井 隆令(龍谷大教授)
       (全労連)
       (全労連)

<監事>
  谷江 武士(名城大教授)
       (全労連)

<顧問>
  内山 昂 (元国公労連委員長)
  大江 洸 (元全労連議長)
  黒川 俊雄(慶応大名誉教授)
  戸木田嘉久(立命館大名誉教授)

<事務局長>
  大須 眞治

<事務局次長>
  藤吉 信博


6−7月の事務局日誌
6月 1日

平和と労働センター・全労連会館開設5周年記念のつどい
「産別記念・労働総研資料室」開設式

6日 人事委員会
16日 事務局会議
17日 第5回常任理事会
第1回理事会
28日 労働法制中央連絡会6.28集会
7月 1日 第2回企画委員会
7日 2005年度会計監査
8日 第6回常任理事会
9日 全印総連第56回定期全国大会へメッセージ
JMIU第36回定期全国大会へメッセージ
12日 全労連・春闘共闘「第3次最賃・人勧デー」あいさつ(藤吉)
20日 日本医労連第56回定期大会へメッセージ
27日 全労連第22回定期大会あいさつ(牧野代表理事)
29日 第7回常任理事会
第2回理事会
2006年度定例総会

6−7月の研究活動
6月 12日 賃金最賃問題研究部会―成果主義賃金に関する最近の論文の検討
23日 女性労働研究部会―均等法制定をめぐって
7月 6日 国際労働研究部会―ILO総会の特徴と全労連の国際活動について
10日 賃金最賃問題研究部会―岩佐卓也「男女賃金差別と年功賃金」を読む
11日 中小企業問題研究部会(公開)―東アジア経済と日本の中小企業〜「中小企業白書」を斬る
22日 政治経済動向研究部会―「通商白書」について
25日 女性労働研究部会―均等法改定をめぐって
29日 関西圏産業労働研究部会―書評・ドーア「働くということ」

労働総研研究例会のご案内

多数ご参加ください。会費無料。通訳つき。

日 時: 9月13日(水)午後6時00分〜8時30分
会 場: 全労連会館3F「全労連会議室」
TEL03−5842−5611(内線12)
場 所: 全労連会館3階全労連会議室

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報報告のテーマ:規制緩和攻撃の下で困難にたちむかうドイツ労働運動の現状
報告者:
フランク・デッペ氏(マールブルク大学・政治学教授)

[報告者紹介]
 西欧諸国では(ドイツも)、建設作業員や看護師などに、東欧諸国の労働者の就労が増えています。これに対応するEUの「ボルケスタイン指令案」は出身国主義で、労働条件・賃金をダンピングし、事実上、東欧からの労働者で西欧の労働者を入れ替えようとしています。日本の企業が正規とパートを入れ替えているのと似ています。
 DGBはどう立ち向かおうとしているのか、研究所はどのように協力しているのか? 研究所との関係にも触れながら興味ある報告です。――当日の報告にご期待を!質問もご用意ください。